みんカラで最近話題の三菱自動車。
ギャランフォルティスの生産終了で、ファンの皆様の切なる願いがあふれ出しておりますね。
こんなに熱心がファンがいるなんて、大切にしなければいけませんよ、三菱さん…と思う一方、彼らの状況に思いを馳せてみましょう。
(長くなるので、興味無い方はスルーで)
三菱自動車は、2000年~2004年に度重なるリコール隠しが発覚したことで、経営的に大変なピンチに陥ります。(詳細は、
Wikipediaなんかでどうぞ)
なんと、一番騒がれた2004年は、約2兆円の売り上げに対し、赤字が
4700億円も発生しました。これをどうやって乗り切ったかというと、優先株式の発行です。三菱商事や三菱重工を中心とした三菱グループ数社+外資系企業+銀行なんかに優先株式を発行して、6000億円を超える資金を獲得して凌いだんですね。
財閥の資金力すげー( ゚Д゚)
さて、そんな感じで窮地を凌いだのち、コツコツとやってきて、現在(2013年決算)では
過去最高益をたたき出すところまで来ました。
じゃあ、復活したんだね! と思いますが、そう簡単ではありません。
ピンチの時に発行した優先株式の普通株式への転換はあまり進んでいないですし、2012年まで利益剰余金は大きなマイナス(9200億円)を抱えていました(つまり、累積赤字が9200億あって、それを株式で埋めてる状況)。
んで、2013年度に資本金を6000億円取り崩して、利益剰余金に回したり、株式を10株⇒1株に統合したりして、(見た目の)財務状況を修正しました。こうすることで、利益剰余金のマイナスを消すと、株主に配当を出せるようになるんですね。
分かりやすくまとめると、リコール隠しでピンチ⇒グループ企業に出資してもらって凌ぐ⇒業績が持ち直してきた⇒”まっとうに配当が出せる普通の株式会社”になるために、利益剰余金のマイナスを消して、減資して、次の増資のための布石を打った(←2013年度で、ココ)
よって、最近まで三菱自動車の経営は苦しかったと言えます(倒産するとかではなく、大企業としてのあるべき姿になるために)。
あの大事件から、10年足らずでここまで持ち直した意味で、益子会長の経営手腕は相当なものであったといえると思います。さすが、三菱グループ、人材の宝庫であります。
さて、そんな三菱自動車は前述のとおり、2013年度に過去最高益を出しておりますが、その売上はどこから来たのでしょう。
以下の表はエリア別の売上金額と利益をまとめたものです(出所:三菱自動車IR資料)

なんと、
売上の約8割が海外です。特に欧州とアジアの売り上げ規模が大きいのが分かります。
ちなみに売れ筋トップ3の車種は、トライトン、RVR、アウトランダーであり、この3車種で売り上げの約40%を占めているそうです。すべてSUVですね。
そして次に、研究開発費に注目してみましょう。

この表は自動車メーカー別の研究開発費(2011年)をまとめたものですが(出所:
世界ランキング統計局)、三菱自動車の研究開発費が非常に少ないことが分かります。絶対額でも、売上高に占める研究開発費の割合も小さいです。中国の○クリ車種で有名な某社よりも…
資金的に厳しい企業は、選択と集中をするしかありません。三菱自動車はトヨタやVWのように古ラインナップで展開することは資金的に難しいため、特化するしかありませんでした。それが、SUVとEVだったんですね。アウトランダーPHEVなんかは集大成なわけです。限られた研究開発費の大半はEVの技術開発あたりに投下されたと考えられます。
正直、400億円くらいの開発費用でSUVとEVとスポーツカーとセダンと小型車をすべて自社開発することは不可能です。特に、ダイムラークライスラーとの資本提携が2004年に解消され、プジョーシトロエンとの提携交渉(2010年)にも失敗した三菱自動車は、こうした企業と共同開発も難しかったのだと思われます。だから、戦略的に将来伸びる市場で、かつ今のメイン市場である欧州やアジアでウケるSUV、EVに限られた資本を投下した、と。
ただ、そうは言っても、子会社の国内販売会社を喰わせていかねばなりません。
そして株主である三菱グループ企業からの買い支え的なオーダーにもこたえていかねばなりません。
メイン市場を海外においても、国内の販売会社が日本人に販売する軽自動車やセダン、三菱関連法人に販売する営業車や役員送迎車を用意しなければならなかったのです。
でも開発費は足りない(400億じゃ無理)
また、1つ目の表でもわかる通り、日本国内は売上が4000億円以上あるものの、営業利益はわずか9億円です。儲かってないんです。
売り上げの2割の規模で、儲かってない市場に独自の車種を開発して投下することは難しい。
その結果が
OEM生産なんですね。
もちろん背景には工場の閉鎖や稼働率の悪化もあるでしょうが、国内市場や流通チャネルの維持のためにOEM車種を増やす必要があったのだと思います。
以上のことからいえるのは、
現段階では、三菱自動車としては国内のユーザーのニーズに合わせた、国内向けの新車種の展開は難しい、ということです。
んじゃ、どうすりゃいいのか。
個人的な意見は次回に書きたいと思います。
※以上の見解は私の勝手な考察と偏見と独断が入っております。
※嫌いな方はスルーしてください。
※私は三菱自動車のアンチではありません。ランエボ大好きですし。頑張ってほしいから書くのです。頑張れ日本の自動車メーカー!
Posted at 2015/01/28 02:35:46 | |
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