2017年11月12日
私の母は、10年前の私が20代の時に脳内出血で突然亡くなりました。朝、自宅の寝室で息を引き取っていました。
突然の訃報に、親せきの方々が家に駆けつけました。その中に私の母のお母さん。祖母と、うちの母のお姉さんも一緒に駆けつけました。
祖母と母のお姉さんは 変わり果てた母を見て、悲鳴のような声を上げながら悲しみに包まれていました。
その後、葬儀屋さんが家にみえられて。うちの父が喪主になって、亡き母の納棺にむけた段取りをすることになりました。
その打ち合わせの中で祖母が、納棺される母の衣装には、かつて母が嫁ぐ時に仕立てた着物を、母に着させたい と言いました。
うちの父も、「祖母の言われるようにしたい」と言ったので、着物がどこにしまってあるのか探すことになりました。
母が幾つかの着物を、まとめてしまってある場所は私が知っていたので、祖母を着物入れのタンスまで案内しました。
そして祖母にタンスの中を見てもらうと。何枚もある着物の中で、祖母は嫁入りの時に仕立てた着物をすぐに見つけ出しました。
(着物の色は、色無地の薄い水色だったと記憶していますが・・・。バタバタしていたので着物の色が何色だったか、記憶に自信がありませんw)
・・・わたくし。
この嫁入りの着物を祖母がすぐに見つけ出せたことに、とても驚きました。
なぜかと言いますと、母が嫁いできたのは30年前のこと。30年前に母のために仕立てた着物の色や柄を、年老いた祖母はしっかり覚えていて。そして何枚も似たような着物がタンスの中にあるなかで、さっと取り出すことができる。
30年前の母が嫁ぐ時のことを、祖母はしっかりと覚えていらっしゃったのだぁと思いました。
また、うちの母もその着物を虫喰いさせることもなく。綺麗にタンスにしまってありました。着物をもらった母もまた、親である祖父・祖母の気持ちを大切にしていたことが、しまってあった着物から分かりました。
そうして、母の嫁いだ時の着物を、葬儀屋さんによって母に着させてもらいました。
祖母にとって、30年前に母が嫁いだ時に渡した着物を再び見る時が、まさか母の納棺の時だなんて。どんな気持ちで、嫁いだ時を思い出しながら亡骸となった母を見ていたのか。
正直私は、祖母の立場で想像することができませんでした。
ただ その着物を通じて、祖母と母がお互いの思いを大切にしていた事は、はっきりと分かりました。
着物を渡す親の気持ち、そして着物をもらう娘の気持ちって強い絆になるのですね。男兄弟に育った私は、着物の価値も そして着物に込めた母娘の思いも、この時まで知りませんでした。
ちなみにですが、うちの妻も嫁入りの時に着物を持ってきています。
そしてうちの母が亡くなった時の、着物と祖母の話を妻にしたところ。妻は、「そりぁ 嫁いだ娘は、親からもらった着物を一生大切にするわよ」と、話していました。
・・・つい最近、7歳になるうちの娘が七五三で着た着物。うちの父からお宮参りの時にもらった初着を妻のお母さんが、うちの娘の丈に合うように仕立て直してたものです。
そして七五三が終わると今度は、妻のお母さんは小さいサイズに縮めるように初着を仕立て直して。将来、娘の子供が着れるようにするようです。
着物とは価値あるものだからこそ、次の代に引き継いでいく。しかも、物を引き継ぐだけでなく、思いも一緒に引き継ぐ。
女性と着物って、結びつきが強いものなのだなぁと。
うちの娘の七五三でも改めて思いました。
・・・先ほどの、妻に祖母と着物のことを話したあとで。私は妻にあることを質問しました。
私 「昔は、夫のもとに嫁いだ妻は、家が貧しくなると着物を売って生活をやりくりしたんだって。もし、うちの家計が苦しくなったら、嫁入りに持ってきた着物って、売ったりするの?」
妻 「絶対に、着物は売らない。もしあなたが私の着物を売れって言ったら 私は着物を持って娘を連れて、この家を出ていきます!」
私 「わかりました(T-T) 着物を売らずにすむように、がんばって働きます(T-T)」
お金の切れ目が縁の切れ目。妻に出て行かれないように、夫はがんばらないといけないようです(T-T)
Posted at 2017/11/12 05:31:25 | |
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