2015年08月10日
先日オートマチックがホンダの武器だったということを知ったと書いていらっしゃる方がいたので、ふと考えてみると、もうすでにホンダがホンダマチックをやめて30年以上立つことに気がつきました。
そりゃぁ知らない人も多いわなと感じたので、ちょっと触りだけでも書いてみたいと思います。
以前にもオートマチックトランスミッションの話を書いたのですが、もう随分と前となってしまったので、重複する記述も出てくるかもしれませんので、そこは年寄りの言ってることと勘弁してください。
そもそもなぜ自動車には、ミッションが必要なのでしょうか?
まずは、自動車で直線を走ってることを考えてください。
普通車あたりで、時速100km/hで走っているとき、エンジンはどれくらいの出力かといえば、大体9馬力から12、3馬力で走れるのです。
だから実は、50ccクラスでもかなりのチューニングを施せば、100km/hで走行するのは可能です。
ということは、普通車のエンジンの出力特性で行けば、2000rpm半ばくらいのところで走行可能です。
しかし、内燃機関の出力の特性上、アイドリングに近い速度では、十分な出力が期待できないのです。
また、必要な出力の回転数でエンジン出力を駆動する車輪に直接つなぐと、回転がドロップしたり急激な出力の伝達により、決して気持ちの良い発信はできません。
そこで動力の断切をさせることによって、急激な動力伝達を避けるようになります。
これが俗に言うクラッチの機能です。この機能により、車のスムーズな発進ができるようになるわけです。
そうすると今度は、常にエンジン回転が上がっていたのでは、燃料の消費や騒音が問題になってくるのです。
そこで適切なエンジンスピードに制限する必要が出てきて、好ましいと思われるエンジン回転数と走行速度を実現させるために変速ギア、つまりトランスミッションができたわけです。
昔の技術では、クルマに搭載させるための技術、ドライバビリティーとの問題が解決できず、また走行環境も低速走行が主体だったので変速段数が、少なかったのです。
そんな中女性ドライバーの増加で運転の簡素化が、求められるようになり、アメリカで今のオートマチックトランスミッションの源流が、T型フォードに登場するのです。
T型が売れた理由は、ヘンリーフォードのマスプロダクション導入により車の価格が下がったというのが、経済学などでの定説ですが、実は、イージードライブ化により女性ドライバーの増加が、自動車の消費を押し上げ、量産効果を上げることができたのです。
ざっくりですが自動変速機の歴史の黎明記の話ですが、発祥の地は、アメリカだったわけです。
やがて、それから50年近くたち、日本にもモータリゼーションの波がやってきました。
日本も欧米のような先進国になるには、国民が自家用車を持つようになることだという美旗のもと
国民車構想が、通産省、運輸省から提示され、国内メーカー各社は、それに合わせて各種の車を製造し、欧米より遅れて自動車の普及の波がやってきたのです。
それまでの日本は、公共交通機関と徒歩を中心とした交通だったわけで、自動車が走る環境は、未発達でした。
そうするとどうなるか?
ひどい渋滞が慢性化していくのです。
これを解決するには、道路環境の整備と自動車のハードウエアの開発が急務になってくるのです。
このことに早くから気付いていた欧米のミッションメーカーは、特許登録をして自動変速機を勝手に日本国内で作らせないようにしていたのです。
まだまだ新しい技術で、世界的にも普及していなかかったのでミッションの量産効果はまだ出ておらず、アメリカ以外では、ごく一部の車にしか搭載されている車両はありませんでした。
また、トルクコンバーターの技術が、小排気量用には確立しておらず、軽などには到底搭載不可能でした。
また、技術的な部分をクリアしても、パテント使用料という費用が発生してしまうのも普及を遮る要因でした。
そんな中で、本田宗一郎が、誰でも運転できることは、車両普及の重要な要素であることをスーパーカブの成功で知っていたので 社員に
「パテント料を払って作るくらいなら、自分らのアイデアで作ろう」
と言って始めたのがホンダマチックなのです。
ホンダマチックの最大の特徴は、
「無段変速 (後にスターレンジという名前になりますが)」
普通オートマチックトランスミッションの構成は、トルクコンバーターと変速ユニット、それを制御するバルブボディ、オイルポンプで、オイルポンプで発生した油圧をトルクコンバーターとバルブボディーに供給して、スプロールバルブの位置により、ギヤキャリッジの固定する部位を変えて変速や後退を行うという方式なのですが、ホンダマチックの場合は、オイルポンプとトルクコンバーターという構成でこれにバックギアと発進用ギアがつくという構成だったのです。
自動変速機というくらいですから、変速が自動というのが建前ですが、ホンダは、トルクコンバーターのトルクの変換比でギアチェンジと同じ効果を持たせていたのです。
簡単に言うと油圧の変化で変速の効果を持たせていたのです。
だから無段変速、段がつくものがないのです。
例えて言うなら、変速機付き自転車で間違えて一番重いギアから発進していると考えてください。
漕ぎての力加減で早くなったり遅くなったりという構造なのです。
当然それでは、トロいですし、エンジンブレーキも期待できないので発進用とエンブレ用のLレンジがついていたのです。
しかし、構造が単純なので、中型や大型のバイクにも応用され、CB400ホークⅡホンダマチックや
CB750エアラなどにも応用されました。
しかし、発進の時に律儀にLレンジから発信する人は少なく、ロックアップクラッチや、ODなどが追加されましたが、評判は芳しくなく、普通のオートマに変わってしまいました。
今の交通の流れは、早いのでホンダマチックでは危ないと思います。
今でも残っていれば貴重品ですがね。
Posted at 2015/08/11 00:48:53 | |
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