2015年12月24日
その頃の私は見境がなくなっていました。
AMGなんぞに金もないのに乗っていて
「AMGより上は、なんだ?フェラーリだッ」
と思い込みをしていた時期があったのです。
どうせ乗るなら、テスタロッサ。フラット12だ!
と考えていたのです。
ある時知り合いから、事故から治った512TRがあるけどみない?
と言われて、横浜の某所まで見に行きました。
「ぶつかったのは左フロントです。」
セールスから言われみたのですが、あまりフレームの溶接が良くないのです。
それに色が、今ならこっちのほうがいいと思うのですが、モナコブルーで内装がベージュという渋い組み合わせだったのですが、年齢が若かったのと、どうせそんなに持っていられないだろうから、赤の外装、黒の内装じゃなくちゃダメだと思ってましたので購入は見送りました。
そうこうするうちに
「赤のテスタありますよ。」
というので見に行くと
コーンズ物、91年といいうテスタロッサでした。
今はどうかわかりませんが、当時のコーンズは、並行車対策で並行輸入車は面倒みないと言われていたのです。
うちの近所には、コーンズの拠点があり、いざという時に持ち込めるので、どうしても正規ものが欲しかったのです。
見に行くとまずまずの程度ですが、ドイツ系のクルマと比べると塗装の仕上がりがイマイチなのですが、走行距離が1万6千キロ、割と乗り込んでるので安めの価格でした。
本音から言えば、この値段で行けば、ドイツモノの新車も充分買えるのですが、やはり
「一生に一度フェラーリに乗る」
という夢には、抗しきれず購入しました。
「これがフェラーリの内装かぁ」
第一印象はこれでした。
グッチの高級皮革を思わせる革、ステッチ、ランボルギーニのスエードとは全く違う、ボンデージを思わせる色艶には、セクシーさを感じずにはいられません。
これをナイスなバディの女の素肌ににつけさせたいと倒錯した気持ちが抑えられなくなるほどです。
そして、メーターやそのほかのデザインもほかを圧倒する見事さです。
そして、エキゾーストノート、車を引き取りに行った時、高速に乗るとき同行者が興奮して何やら電話をかけていて、私に向かって、
「ちょっと止まって、全開加速してくれません?」
と電話口を塞いで、リクエストしました。
「いいよ」
というと一気に加速させました。
すると同行者が、
「この音聞こえる?聞こえる?フラット12の加速音だよ!加速音!」
と電話の相手に興奮した声で叫んでいます。
確かに官能的な音です。
しかし、所有するというのは、面倒を見るということなのです。
次の日から、その苦難は始まりました。
基本的にエンジン系統と室内系統は、全く別の電気系統で、後で聞いたのですが、テスタの燃料系は、当時のW124の300の2台分だと考えれば良いので、燃料噴射の心配はなかったのですが、
室内系の電装がでたらめなのです。
特にこの車のリレーボックスがひどく、多層基板を使っているのですが、多層基板なのに弱い材質の基材を使っていて、どんどん基盤のランドが剥がれて、接触不良を起こすのです。
これには参りました。
何しろ当時このリレーボックスは、50万以上していて、おまけに受注後6ヶ月の納期が必要と言われていたのです。
仕方ないので、リレーボックスを外し、ハンダゴテ片手にリレー容量を見ながら、配線径をチョイスして夜な夜な直していました。
また、エアコンも、その手のトラブルが治ったと思ったら、ひねくれだして、リレーボックスの不良なのか、必死に調べたら、なんのことはない室内温度コントロールスイッチがいかれていただけでした。
この時代のフェラーリのオートクライメートコントロールは、驚いたことに各種の温度センサーがついておらず、実験で室温を図って単純にボリュームだけでコントロールするだけの構造だったのです。
思ったよりもお粗末な電気系統にがっかりして全部が動くようになるのを見計らってテスタロッサを売り払ってしまいました。
この先こんな電気系統では、火事になりかねないと踏んだからです。
また、自動車保険も頭痛のネタでした。
フェラーリというだけで、断られてしまうのです。
また、当時は車両保険もダメで通常ではない自動車保険に加入させられバカみたいな金額を払わせられました。
貧乏人がフェラーリを持つとろくなことにならないという見本でしょうか?
絶対に一台きりでもってはいけない車の筆頭でしょうねぇ。
それ以来所有する興味が無くなったので、借りて乗るくらいですが、これを買うなら、AMGのゲレンデでも買ったほうが、全てにおいていいのではないかと思います。
まぁ全く別の車なのですがね。
Posted at 2015/12/25 00:33:41 | |
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2015年12月24日
仕事で移動中、メールの到着を示すチャイムが鳴りました。
はてこんな時間に誰だ?
こんな時間だし、また迷惑メールのお知らせかな?
車を止めるまで考えていました。
見ると部品商からです。
文面は、
「307を今日アニキに返した」
最近は、長文を打つ気力がお互いないので極力短い文章にしています。
しかもショートメールのみという手の抜き方です。
「なんだ?アイツ何が言いたいんだ?」
続いて
「あのアニキが、307の変わり方に驚いていた。」
「ふうーんあのアニキがねぇ。よっぽど、驚いたんだな。」
と私が思っていると
「やっぱり仏車は面白い。」
とまたメールをよこしました。
そこで私が、
「お前この前仏車買いたいってほざいてたじゃん。」
と返すと
「208を買おうかな。本気で!クリオは嫌だ。」
と部品商から返事が来ました。
実は、先日部品商とカミさんは、厚木のルノーまでわざわざクリオを見にいっていたのです。
その後にヤツが、私とミーティングの時
「色も渋くて、カッコもいいけど、何より嫌なのは、日産車の匂いがするのが許せない!」
と相変わらずの匂いフェチの本領を発揮した意見を叫んでいたのです。
そこで、
「お前新車は嫌味だから、中古それもおんぼろな仏車買えよ。」
とメールしてやりました。
すると
「それとこれとは話は別。」
いよいよヤツは、新車の世界に足を踏み入れるのかと思うと、変われば変わるもんだなと思いました。
しかしまだ、おフルのフランス車も興味があるらしく、週末の部品商とのミーティングは、白熱化しそうです。
Posted at 2015/12/24 23:23:11 | |
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