2018年02月27日
毎度毎度感じることなのですが、日本のクルマをいじっていると感じることがあります。
それは、全ての金属の端部が、加工上仕上がっていないことです。
ことに車が小さくなれば小さくなるほど、製造コストが厳しくなってくるためか、軽自動車に至っては、ほぼ切りっぱなしなのです。
これでエンジンルームに余裕があればまだしも、現代の機能を詰め込まれているわけですから、エアコンのホース、オートマの冷却系、エンジンの冷却系、ヒーターが所狭しとひしめいている。
ですから、手の甲は傷だらけとなってしまうのは毎度のことなのです。
手袋をすればよいと思われるかもしれませんが、水を通してしまう作業手袋では、今回のように冷却系の整備をやる場合、冷却液がかかり、やけどを負うことになる可能性が高いのです。
今回は、ほぼ冷却系のオーバーホールに近い作業を実施しています。
部品を頼んでるディーラーのメカとも話をしたのですが、メーカー推奨のやり方だと、手にケガを負うことはないと断言できるのですが、現場でやる場合少々無理があるといいます。
それは、メーカーが修理マニュアルなどを作るときには、新品の運転もしてないようなエンジンをばらして組み立てるので、個々の部品の劣化がない状態であるという現実にはありえない状況でマニュアルの制作をするからです。
今回、自分のやった作業のうちで絶対にマニュアル通りにやったら大変なことになるのが、ウォーターポンプの交換、ヒーターホースの配管です。
この二つの作業は、大前提として、エキゾーストマニホールドを取り外すということが明記されていますが、そんなことをしたらディーラーでも大損間違いなし。
なぜなら、こんなに熱の被害を受けやすい箇所なのに使ってるボルト類が、みんな普通の鉄製。
実際自分のクルマは、製造から14年、14万キロ経過、鉄の部品は熱外を受けて、エキゾーストマニホールドを止めてる10mm頭のボルトなど熱で痩せていて、10mmの各種レンチでは空回りしてしまうくらいになっているのです。
そこで仕方なく、エキゾーストを外さずにやると、ヒートシールドに手が当たり手が傷だらけに。
これをやっていて頭に頭をよぎるのは、大昔のカーグラの自動車望見に書かれていた白井順二氏の文章に書かれていた
「娘の雛人形の飾り棚を作るたびに気が重くなる」
という一節です。
それによれば、白井氏は、当時カリフォルニア在住で、日本のご両親が、産まれた孫のために雛壇飾りを日本から送られたそうなのですが、そのひな壇の作りが、金属製で端が切りっぱなしで、組み立ての時にいつも痛い思いをするというものでした。
これを読んだ当時まだ中学生だった私は、
「丁寧な作りで有名な日本製がそんなはずはない!」
と、かたくなに信じていたので、逆にその文章が強烈に胸に刻まれたのでした。
それから幾星霜、今や自分でもその言葉が理解できるようになってしまいました。
不思議なことに欧州系のクルマは、かなりしょぼい作りなのですが、こういう金属の端部でを手を切ったという覚えがあまりないのは、不思議です。
自動車メーカーの友人に言わせると
「世界の労働人口の底辺のために高度な精度にせず、昔ながらの手作業も必要な部分は残している」
というのですが
「じゃあ何故その人たちの安全を考えないの」
かとつっこんだら、黙ってしまった。
この手の傷は、しばらくの間は、イヤでも風呂に入るときに思い出させてくれるので、本当に忌々しいと主いうのです。
Posted at 2018/02/28 00:36:41 | |
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