馬籠宿から小一時間で宿に着く
景色のいい場所や目を引くようなものは何も無い
見えてきた
あれが今日の宿だ
いいな
すごくいい
豪華なホテルは一人旅には似合わない
古いが意外と広いんだな
だが、清潔感はある
古いのとボロいのは違う
まだ15時
近くを散歩してはみたが…
うん、何も無い
ポツポツ民家があるだけ
畑があって、小道があって、よく分からない木がある
観光客が見て回れるようなものは皆無だ
……ほっほぅ…
これはなかなかの強敵だな…
写真を撮る間合いさえ無いとは…
いやいや、今、ひと気のないこの小道も、ここいらの人達の生活があるんだ
観光ツアーに来てるんじゃない
この何気ない風景の中に、おれの日常とは逸した旅情があるんだ
そう思うと良いもんだ
空気を鼻からいっぱいに吸い込んでみる
うん、違う
匂いが違う
空気の質感というか、透明感というか、いつものじゃない
これが旅なんだよ
宿に戻り、風呂に入る
ここの風呂は貸切にできるらしい
どれどれ…
ちょっと広い目の家風呂といった印象だな
貸切にできると言っても、中から鍵をかけてしまうだけだ
他の客とタイミングが被ってしまうと入れない仕組みだな
風呂は一つだけだから
泉質はラジウム温泉
本当はガチで湯治に来るような泉質らしい
肩こりが治るといいな…
さて、飯だ
メインは猪鍋
一人なのにこの量を食うのか?
一人鍋じゃなくて、普通の土鍋なんだが…
美味かった!
味噌味の野菜たっぷりの鍋だったな
裏の畑で採れたであろう野菜達は、身体の中から治療してくれそうだ
猪肉は赤身と脂身がくっきり別れた、肉にくしくも脂身が甘く美味だった
部屋食だったので、膳を下げると同時に布団を敷いてくれる、調理帽を被った初老のご主人
さっきからこの人しか見てないが、他に従業員は居ないのだろうか…
テキパキ動きながら話しかけてくる
こういうのも好きだな
方言やイントネーションの違いが遠くに来たことを再確認させる
「姪っ子がよ、嫁に行ってよ、栄なんだけどよ、久しぶりに電車乗り継いでyo!…」
お前はラッパーか
ツッコミたくなる衝動に耐えて相づちを打つが、気になって話が入ってこないyo!チェキラ!
さて、また風呂に入ってくるか
いい湯だった
昨日はまともに寝てなかったしな…
早めに寝るのも悪くない
つづく
Posted at 2019/04/22 20:51:06 | |
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