14歳の誕生日

今日は愛犬の誕生日。

いつものように風呂に入る前にベッドの上に君が乗る。
枕の上に器用に首を絡ませ横になる君がいる。僕もベッドに入り
枕の奪い合いが始まる。頭を少しずつずらし必死に抵抗する愛犬を
枕の中央から追い出しお互いに妥協点を見つけ濡れた髪の毛と耳の
ニオイをクンクンと確かめ眠りに落ちて行く。
もう君には暑いかな？いつの間にかベッドから降り木の板に横たわる。
相変わらず僕の手の届く距離で。いつでも撫でてもらえるように。


早起きしても決して僕を起こさない。僕が目覚めるまでじっとして２階に行くのを待つ。
朝ご飯をもらい水を飲んだら大好きなお散歩。すれ違う人たちに愛想を振りまき自宅に戻る。
休日だからモーニングに出掛ける。クルマのカバーを外して中に入る。
僕が用意をする間も近くにいて「出掛けるよ！」と声が掛かるのを耳を立て待ち、声が掛かると
グルグル回る。お出掛け用の鞄にイヤイヤながらも入る姿はいつも笑えたよ。
クルマで走り出しても鞄の中で大人しくしている。外の空気でどこに行くか分かるのかな？
駐車場に着くと鞄の中で暴れ出す。鞄のファスナーをあけると勢いよく出てくるがリードを付けるまで
僕のそばを離れない。Cafeの玄関までで用を済ます。
店員さんに挨拶をして席につくと「オヤツが欲しい。」と目で訴えかける。おやつを食べると今度は
「水が飲みたい。」目線に変わる。犬好きな子供にはおやつを渡し食べさせてもらう。
子供は「ワンちゃんがなめた！」と大はしゃぎしてご両親から感謝される。
友達のワンのお尻のニオイを嗅いだり。決して吠えないからね。皆さんから躾の出来てるワンで
有名だった。僕は何も躾てないんですけど。

久しぶりに“BB”へ。
君と一緒に出掛けた時と同じようにピンクのシャツの襟を立てアバクロのクラッシュにDB履いて
レイバン。昔から傍にいるような・・・クラシカルなショルダーのWash加工のポストマンショルダーは
君のおやつと水、僕のデジカメ、携帯やノート、財布が全て入るような大きさ。
通いなれた道だけど５か月ぶりだから新鮮な気持ち。
当然のように晴れ男な僕達。今朝も‘Napoli晴れ’に決まっている。
駐車場に着いた。君がブルブルする事も無く一人で鞄を持ち店内へ向かう。途中で用を済ませる事
も無く立ち止まらず一直線に店内へ。気さくな店長さんから声を掛けられる。
「今日は14歳の誕生日なんです。」と話をすると「こんな大事な日に。ありがとうございます。」と。
いつも君と座ったテラス席へ。“フレンチ・トーストモーニング”を注文。
可愛いお姉さんは「ブラックでしたね？」と覚えてくれていた。ショルダーリードを引っ張られる事も
おやつや水を与える事もない....５年近く当たり前のように君と過ごした朝の時間が懐かしい。
涙が出てくる....
最後の日、君は立てないのに必死に何度も何度も立ちあがろうとしたね。
頭を床にぶつけても何度も.....命を削ってでも僕にお別れをしたかった君...
君は最後まで「あきらめるな。頑張れ！」と強烈なメッセージを残してくれた。
‘虹の橋’から僕を見守ってくれているんだろう。
どんな困難があっても僕も君のように決して負けないよ。