2015年12月06日
霞ヶ関トンネル内 FD2車内
霞ヶ関トンネル内に入ってから一般車がそれなりに走っている中を、アルテッツアターボを先頭に一般車をパスしながら4台の車が走る中、一番最後尾のFD2をドライブしている。野島大樹は、前を走る3台のテールランプを眺めながら場違いの事を、鎌倉時代のある禅宗の導師の言葉を覚え浮かべていた。『吾は、時と有り、時は、吾と有り、故に、吾有時得しか、時間の流れと自分が一体化した事を説明した言葉だが、今のこの状況を吾有時得しをアレンジして言うなら』
「吾速さ得しと、言うべきかな?」そう声に出して呟き、それを聞いた多田李衣菜は震える声で返答する。
「そ、そ、その言い方、ロ、ロックみたいでい、い、いいですね」
「李衣菜ちゃん、声が震えるてい、い、いるにゃ、それと、野島さん吾速さ得しってどうゆう意味かにゃ」こちらも震える声で返答したのは、前川みくである。
「速さと自分が、いや、自分と車の一体感を、表している表現だと思って、それはそうと、スピードを落とす?」
「こ、こ、このままで良いです。前のなつきちも、このスピードで乗っているんですから。わ、わ、私も最後まで付き合います」
「李、李、李衣菜ちゃんが、そう言うんだったらみくも、つ、つ、付き合うにゃ」
「分かった。だったら、このまま行くよ」そう言うと同時に、驚く程に乗れている自分と周囲と同乗者に対して迄も余裕を払う自分の集中力と精神力に、運転している本人が一番驚いている事を今更ながら認識し再度内心で驚きながら『今日の俺は、どうなっているんだ。これ程迄に乗れているなんて普通じゃない』そう思い浮かべると同時に霞ヶ関トンネルを出る。
EG2 車内
デルソルをドライブしている店長は、前を走るアルテッツアターボの走りを見ながら。アルテッツアターボのスペックを推測していた。『パワーは大体300馬力前後だけど、並んでスタートした時に瞬間的にパワーが370~90前後までUPしたようだ、おそらくスクランブルブーストでパワーを上げている筈だ』そこまで推測すると、谷町JCTを通過し前がある程度、空くとアルテッツアターボは加速する。『スクランブルブーストを使用したか、しかし、ブースト使用時にマフラーから白煙が出ている。タービンがヤバイな。さてと、何処で仕掛けるかな?』そう考えながらも、前を走るアルテッツアターボにしっかり付いて行く。
FD2RR 車内
荻村瑞希は今の状況を把握しながらドライブする『先頭はアルテッツアターボ、その後ろを店長のデルソル、最後尾は野島君のFD2、そして3台目は、自分のFD2RRか』そこまで考えると思わず有る事を思い出した『確かアンディ・ウォーホルが速さと色彩がレース中に融合して一体化する様にBMWのレーシングカーのカラーデザインをしたが、この状況を見たら案外、これが自分の目指した物だと、言い出しかねんな。青、赤、白の3台プラス黄色の車が疾走している駆らな』そして、野島大樹同様にこの状況で、3人も乗っている車をしっかり運転し前を走る2台を視界内に納めている。自分に呆れながらもアルテッツアターボとデルソルの動きを見ていた。『もうすぐ、浜崎橋JCTに到達する。先頭を行くアルテッツアターボはこのままC1内回りに行くか?』そこまで考えながら走っていると浜崎橋JCTに付き、先頭を行くアルテッツアターボは当然の様にC1内回りに行き、その後をデルソル、FD2RR、FD2の順で行き、汐留のS字が目の前に見えるが信じられない事に完全にオールクリア状態だった。
FD2RR 車内
「嘘だろ、おいこの時間帯でオールクリアなんて」荻村瑞希は思わず言ってしまい。
FD2 車内
「おいおい、悪魔のジョークか、それとも神様の気まぐれか信じられない」野島大樹もそう言うと。次の言葉を言う。
FD2RR FD2 車内
「「2人とも、デルソルが仕掛けるよ。しっかり見ていろよ」」2台の車内で同じ言葉が発せられた。
アルテッツアターボ 車内
牧島享は、目の前に広がる状況を素早く確認すると喜んだ。『ここのS字は、結構得意中の得意だから一気に離させて貰うよ』スクランブルブーストのスイッチを入れると同時に追加で着けたナイトロオキサイト、通称NOSのスイッチも入れた。『これでパワーは、単純計算でも500馬力を瞬間的に発生出来る。持ってくれよアルテッツア』スクランブルブーストプラスNOSで加速しながらアルテッツアターボは後ろにデルソルを従えながらS字に進入する。「まず、左、次に右、付いてこれるか?」そう言うと同時にスクランブルブーストとNOSのスイッチを解除して左コーナーをクリアし、右コーナーに付こうとした次の瞬間、右のクリッピングポイントにデルソルが飛び込みそのままアクセル全開でアルテッツアターボを鮮やかにオーバーテイクする。「なんだ、今のは!?というより、デルソルはターンイン寸前まで多少は離したしインも閉めて居たのにどうやって抜いたんだ!?」
FD2RR 車内
向井拓海と木村夏樹は呆然とした表情で、デルソルがアルテッツアターボを抜く瞬間を見た。2人にしたら左コーナーをクリアしたデルソルが右コーナーで呆気なくアルテッツアターボのインを付いて簡単に抜いて行ったからだS字の進入時にアルテッツアターボが見せた加速力でデルソルが離されたのを見た後だからだ。呆然としている2人に荻村瑞希が説明する。
「店長、見事なブラインドアタック、消えるラインでアルテッツアターボを抜くとは見事」後ろからアルテッツアターボとデルソルのコーナーワークを見ていた。荻村瑞希はそう称賛の声を上げる。
「消えるライン、なんだそれ?」向井拓海が尋ねる。
「言葉通りの意味だよ。車というのは意外と死角が多い、その死角を利用しながら追い抜きを仕掛けるテクニックだ。ハコのレースとかにもよく用いられるテクニックで汐留S字は三車線区間だから採れるラインはサーキットのそれに近いし、況してやオールクリア状態だから採れるラインは結構有るからね」
「でも、車ってルームミラーやドアミラーとかも有るから結構死角は少ないイメージ有るんだけど?」これは木村夏樹が尋ねる。
「うん、確かにルームミラーやドアミラーでも後方視界はある程度、確保されているけど完璧じゃないから、その死角を利用しながらオーバーテイクに最適なラインで店長が運転するデルソルはオーバーテイクしたから、例にするなら白バイの取り締まりかな、違反車の死角を利用して取り締まっているからな」
「あ、それなら分かる」
「それでか、この前バイクで走っていて捕まったのは、後ろに居ないと思っていたら、何時の間にか後ろにつかれていたのは、そうゆう事だったのか」
「何の違反で捕まったのかは聞かないでおくよ拓海、でもこれで勝負は着いたな。デルソルが前に出たら店長の勝ちで決定だな」そう言いながらも、前を走る2台を辛うじて視界に入れながらドライブしている荻村瑞希は、オービスが2台とも駄目になっている区間を通過し、江戸橋JCTに差し掛かるストレートに入った時デルソルが予想外の進路を取った。
「何を考えているんだ店長、そっちは内回りじゃない湾岸線に行くルートだ!」荻村瑞希は言うと同時にデルソルは江戸橋JCTを右に曲がって行き、その後をアルテッツアターボが追尾する。それを見た荻村瑞希は同乗者に尋ねる。
「どうする?このまま行く、それとも…」続けて言おうとした言葉を遮られた。2人同時にだ。
「「降りるな!そのまま行け!!」それを聞いた荻村瑞希は少し笑みを浮かべて言う。
「分かった。このバカ騒ぎにもう少し付き合って貰うよ」そう言うとFD2RRを右に曲がらせた。
FD2 車内
「荻村さん、行くか普通!2人共どうする?降りるんだったら降りるよ」
「な、な、なつきちが行ったんだから、行きます」
「みくは、本当は降りたいんだけど李衣菜ちゃんが行くというなら、みくも逝きます。みくは李衣菜ちゃんのパ、パ、パートナにゃ」
「字か違っているよ、みくちゃん、分かった此方も最後までこの騒ぎに付き合うよ」そう言うと、FD2を右に曲がらせ前を行く3台を追走するが、その少し後を6台のチューニングカーが続いた。
レクチャーその11に続きます。
Posted at 2015/12/08 19:07:13 | |
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