2015年12月26日

部屋を整理していたら、失くしていたと思っていたウィランズ製の四点式シートベルトが出てきた為、DIYで装着しました。結構、かっこ良くなりました。
Posted at 2015/12/26 15:30:46 | |
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2015年12月26日
美城プロダクション 女子寮食堂 0750時
朝の食堂で寮住まいのアイドル達が朝食を食べているが、時たま食べる手を止めて食堂の一角を見ており、その視線の先には二人の男性が座ってアイドル達と混じって朝食を食べていた。第三者が見れば羨ましいと思うも知れないが、もし、そう思っている人間がいたら遠慮なく変わってやるぞ、本当に変わってやっても良いぞ、遠慮するなよ。
「なに、口に出して言っているんですか荻村さん」
「口にしてたか、野島君」そう二人の男性の正体は昨日の夜倒れた荻村瑞希と野島大樹であり、そして、この場にいる居心地の悪さを感じており、倒れた理由は山本敬太郎から聞かされていたが、改めてそれを確認したくなり荻村瑞希は野島大樹に尋ねる。
「什麼生(そもさん)」
「説破(せっぱ)、荻村さん禅用語で我、汝に問うと言っても分かる人間でないと、分かりませんよ」
「その禅用語を教えてくれたのは野島君、君だよ」
「そうですけどね」因みに説破(せっぱ)の意味は、我、答えるという意味だ。
珈琲を一口飲むと、野島大樹は荻村瑞希に答える。
「一言で言えば、急激な眠気に襲われて、それを耐えながらここの女子寮までたどり着いて、ここの食堂で眠気覚ましに珈琲を飲んでいたら、そのまま寝てしまったんですよね」
「そう何だよね。そして、その原因がね。正直言って笑うに笑えん」
「というより、モルモット扱いですか俺達は?」そう言うと、野島大樹と荻村瑞希は二人同時に深い溜息をつき場の空気が少し重くなった為、話題を変えるべく野島大樹は荻村瑞希に聞く。
「それはそうと、昨日の夜黒田さんのFC3Sが湾岸を走っていましたけど、あれって偶然ですかね?」
「神はサイコロを振らない、アインシュタインの言葉だ。偶然とは思わないよ。アルテッツアターボ目当てで間違いない筈だ多分」
「そう思いますか。差し詰め黒田さんは善きサマリア人ですか」
「善きサマリア人ね、ダン・ブラウン作の『天使と悪魔』かい、それとも聖書の方か」
「聖書の方ですよ」
「聖書を持ってくるか野島君、確か追い剥ぎに襲われた傷付いた旅人の話で福音書の第何章だったかな?」
「にゃはは、ルカによる福音書第10章だよ」
「そうそうルカの福音書で、最初に司祭が通りかかるが、その旅人を無視して通り過ぎて、次に」
「レビ人の旅人がその旅人を見かけますが、レビ人の旅人も無視して通り過ぎて行きます」
「そんで、サマリア人の旅人がその旅人を見付けると、傷の手当てをして宿まで連れて行って介抱するんでしょ、にゃは」
「うん、そういう話だよね」
「あの、荻村さん途中から誰かが会話に加わっている気が知るんですけど」その野島大樹の返答に荻村瑞希が横を見ると一人の女性がテーブルに頬杖しながら二人を見ておりその女性が二人を倒れさせた原因を作った人物だと思い出した。
「ふ~ん、二人とも禅用語や聖書とかの内容、結構知っているんだ、にゃは」そう言いながら笑顔を二人に見せるが、二人にしたらモルモット扱いにされた為、一瞬にして怒気が沸き起こり怒りの声を上げようとしたが後ろに、山本敬太郎の姿を見ると怒りの声を上げるのを一旦止めた。
「荻村君、野島君、本当に済まなかった。まさか、こんな事態になるとは想像していなかった。本当に申し訳ない」そう言うと山本敬太郎は、二人に頭を下げて謝る。
「にゃはは、でも一応無事に戻って来たから問題ないでしょ?」
「例え戻って来ても一歩間違えれば洒落にならない事態になっていたんだ、無論、自分にも責任が有るから。どんな罵声を言われても仕方ないが、でもな一ノ瀬志希、二人にちゃんと謝りなさい」山本敬太郎が冷静さの中に僅かな怒気を含んだ声でそう言うと、一ノ瀬志希と呼ばれた女性がその怒気に反応して、頬杖を止めて立ち上がり二人に頭を下げた。
「本当にごめんね。あたしがちょっと弄ったスタミナドリンクのせいで、こんな事になるなんて、本当にごめんなさい。にゃは」その言葉に二人は揃って溜息をつくと、自分達を倒れさせた原因を作った一ノ瀬志希を改めて見ながら、荻村瑞希が尋ねる。
「山本さん、要するにこの娘がスタミナドリンクの成分を弄って俺達に飲ませた。でも、そんな簡単に弄る事って出来るんですか?」
「そうか、二人にはまだ言ってなかったが一ノ瀬志希はギフテッドなんだ」
「ギフテッド、野島君ギフテッド、確か何処かで聞いたような気がするな」
「ギフテッド、確か先定性で生まれつき高い知能と知識を持つ人間を現す言葉で、極端かつ乱暴な言い方をすれば天才の一言で説明出来ます。例えばある種の問題を解く場合、普通の人間なら過程を得てから問題を解きますが」
「ギフテッドの場合は過程をすっ飛ばして、いきなり解答を答えてしまう。そうだろ野島君」
「そうです。荻村さん」二人の会話を聞いた。山本敬太郎は二人がギフテッドの事を知っている事に少し驚きながらも補足の説明をする。
「そうなんだ、それで一ノ瀬志希はケミカル、要は化学に関して高い才能を持っていて飛び級でアメリカの大学を卒業して、その才能を買われて国籍を問わず大企業とかのスカウトも結構来ていたんだが」
「だか、何ですか?」野島大樹が聞く。
「本人曰く、そういう事に『つまんない、興味なし』と言って、日本に帰国して普通の女子校生をしようとしていたら偶々、家のスカウトが『アイドルをやりませんか』と言ってスカウトしたら『興味ある、面白そう』と言ってアイドルを演ることになったんだ。因みに学校は都内の某高校に転校しようとしたんだが、一ノ瀬志希のプロフィールを見た学校の担当者か腰を抜かして驚いてな結果、都内の大学院に籍をおく事になった」その説明に荻村瑞希と野島大樹は、二人共頭の中で同じ結論に達した。
『『変わり者の天才って本当に存在するんだ』』そう思うと同時に昨日、走行前に一ノ瀬志希が勧めたドリンクがどんな成分を弄ったのかを、聞きたくなり荻村瑞希が聞く。
「そんで、俺達に飲ませたスタミナドリンクの成分をどんな風に弄ったんだ?」
「うん、アドレナリンやエンドルフィンが脈拍、心拍数、集中力がある程度上昇した状態で強制的に放出する要に弄ってあるの、副作用としては急激な眠気が発生するんだけど、そういう状態になるのは余程の事をしない限り発生しない筈だったんけど、にゃは」
「余程の事を俺達がやってしまったと、いうことか」
「昨日の夜の愛車との一体感は、普通じゃないと思っていましたが、理由はそういう事だったのか」野島大樹は言うと、更に尋ねる。
「そんで、何で自分と荻村さんにそのドリンクを勧めたんだい、その理由をまだ聞いてないんだが」
「うん、二人共何か緊張していたから、勧めただけにゃは」その返答に二人共同時に溜息をつくと、こう同時に思った。
『『マッドサイエンティストって存在するんだ』』
美城プロダクション 駐車場 0840時
その後、荻村瑞希と野島大樹は二人揃って女子寮の食堂で朝食を食べ終えると、駐車場に止めてある車まで行くが、車の前には見送りの人間がおり、二人を見ると声を掛ける。
「昨日はありがとうな、機会があったら今度は、一緒にツーリングしろうぜ」
「その時は、私も付き合うからね」
「昨日の走りは、ロックでした又、乗りたいです」
「李衣菜ちゃん、昨日は震える声で言っていたのに懲りてないのかにゃ」向井拓海、木村夏樹、多田李衣菜、前川みく、の順で言い、それに対して荻村瑞希は答える。
「拓海、夏樹、本当に機会があったら一緒にツーリングしようか」
「李衣菜ちゃんとみくちゃん、昨日は御免な、今度乗る機会があったらセーブして運転するから」荻村瑞希の後を野島大樹が言いながら、愛車の青のFD2のロックを解除し運転席に座り、エンジンを始動する。荻村瑞希も同様に赤のFD2RRのエンジンを始動すると朝の駐車場になんとも言えない甲高い排気音が響き、エンジンのアイドリングをしながら荻村瑞希は、助手席側の窓を下ろすと、野島大樹に言う。
「野島君、帰り道は久しぶりにターンパイクで帰るか?」
「良いですね。1年ぶりですか」
「1年前の事件以来、あそこは走ってないけど久しぶりに走りたくなった」
「そうですね。それじゃ1年ぶりのターンパイク走行行きますか」そう言うと、野島大樹はFD2を発進させ、その後を荻村瑞希のFD2RRが続く。
「それじゃ、機会があったら又、会おう」
「ツーリングするんだったら、声をかけてくれ、野島君と一緒に参加するよ」そう言って、二人揃って美城プロダクションの駐車場から車を出し、それを見送っていた木村夏樹が有ることを思い出す。
「なあ、拓海、昨日の走行中に8500回転まで回して260~70キロ出ると言っていたけど、本当に出した事あるのかな?」
「う~ん、分かんねえけど、あの車だったら本当に出していても不思議じゃないな」
「それ、分かる。乗っていて普通じゃないと思ったもん」そう二人は言いながら、2台の排気音が朝の都心に響きながら徐々に消えていくのをその場で聞いていた。
レクチャーその13最終話 終了
作者からの一言、夏の話がいつの間にか年末になってしまった。次回はPVの話を書く予定です。
Posted at 2015/12/29 09:28:04 | |
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