2016年01月13日
翌日 都内某所 チョコレートカフェ
片山雛子議員は執務の合間を縫ってチョコレートカフェでチョコレートを食べながら一息付いていた時に秘書の一人が近づいて来るのを確認した。その秘書には先日野党の有力議員が何かしらの動きをしているという情報を入手したので、その件に関しての情報収集をこの秘書に命じていた。その秘書がここに来るという事は何かを掴んだという事を判断すると、秘書が何かいう前に口を開く。
「例の野党議員の動きに関して、何かしらの情報を入手したの?」
「はい、入手しレポートに纏めましたのがこちらになりますので、ご覧ください」秘書はそう言うとブリーフケースからレポート用紙を片山議員に渡すとそのレポートを見ながら幾つかの質問をし終えると、チョコレートを一つ口に入れるとその甘さを感じながら再度レポート内容を確認し、内心でこのレポートをどのように利用するか考える。
『これを利用すれば野党の勢力を削ぐことが出来、文科省にも影響力を与える事が可能で、更に党内での重鎮にも恩を売る事が出来ると同時に党内での自分の立場を補強するのにも充分に使えるけど、最大の問題点なのは』そこまで考えた後に、徐に秘書に尋ねる。
「このレポート内容は、まだ確実な裏付けになる証拠が取れてないわよね?」
「はい、その件に関しましては、これから調査ならび確度の高い情報収集を行いますが」その秘書の返答を聞きながら珈琲を一口飲むと更に考える。
『そう完全な裏付けがまだ取れてないことが最大の問題なのよね。ここまで調べた事は大したものだけど、これ以上調べると感ずかれる可能性が有るし、感ずかれた時の反応がこちらの想定内で済めば問題無いけど、想定外の反応を行う可能性も有るから、ここで一旦情報収集を止めるのも手だけど、でもこの情報をこのまま塩漬けにしておくのは下策と言わざるえないし』そこまで思考すると有る策を思い付く。
『そうだ、あそこに教えれば良いわ。あそこだったらこの情報に興味を持つ可能性が高いし、何より裏付けをこちらが調べなくても向こうが勝手に調べてくれるし、後は調べた事をどのようにして利用するかを考えれば問題は無いわね』考えを纏めると秘書に命じる。
「このレポート内容を、匿名で警視庁の特命係に送って頂戴そうすれば、後は警視庁の方が対応してくれるわ」そう言いながらレポートを秘書に渡し、そして秘書も警視庁の特命係がどういう存在なのかを知っていた為、それ以上の事は何も聞かず返答する。
「警視庁の特命係ですか分かりました。その様に手配致します」そう言ってレポートをブリーフケースに入れると片山議員に一礼してからその場を後にし、出ていく秘書を見ながら片山議員は呟く。
「杉下さん、この興味深い情報をどのように利用するか拝見いたしますわ」そういい終えるとチョコレートを口に入れその味を楽しみながら先程まで見ていたレポートの題名『大洗女子学園ならび学園艦の廃止解体の不正疑惑調査』を思い出しながら、情報の利用方法を考える片山雛子議員たった。
警視庁特命係 室内
室内で右京と冠城は現時点で判明している事に仮説を立てる議論を行っていた時に角田課長が何時もの台詞「よう、暇か」と言って持ってきた荷物を右京渡す。
「角田課長、これは一体何ですか?」
「いやな、警部殿にお礼の品だそうだ、何でも1年くらい前に交通事故を起こした時に助けて貰ったお礼の品だと」
「1年前に交通事故を起こして助けた?妙ですね。僕にはそんな事をした記憶が無いのですが?」そう疑問を述べる右京だったが冠城が口を挟む。
「折角なので開けて、中を確認しましょう」そう言うと、荷物の梱包用紙を開けると中から出てきたのは紅茶とクッキーのセットとUSBメモリーが入っていた。
「右京さん、このUSBメモリーは何ですかね?」
「何か分かりませんが、取り合えず米沢さんの所に持っていて調べてみますか。角田課長、ありがとうございました。クッキーは皆さま方で食べて下さい」そう言うと、右京はUSBメモリーを持って鑑識の米沢守の所に向かい。その後を冠城が続くのを見ながら、角田課長は呟く「警部殿、本当に食べて良いのか?」
警視庁 鑑識 室内
「杉下警部、調べた範囲内ではでは特にウイルス等の類いは有りませんねファイルが有るだけです」そう米沢守が言うと、右京は返答する。
「そうですか、それでは米沢さん早速ですがファイルの中身を確認したいのですが」
「分かりました」言うとUSBメモリーの中身がパソコンのディスプレイに表示され、それを観ていた。右京と冠城の顔色が変わる。
「特命係だから匿名で送られて来たのは、何の冗談ですかね右京さん」
「例えそうで有っても、この情報は調べる価値は有りますよ冠城君」
「ゴルディアスの結び目を解く」
「剣を見付けましたよ」そこまで右京が言うと、冠城のスマホが鳴る。
「失礼、うん、折尾か、もしもし、折尾局長に何か動きが有ったのか?うん、うん、何!!そうか分かった他にも動きが有ったら知らせてくれ。こちらの方もなんとかなりそうだ。情報ありがとう」そう言って通話を終了すると右京に言う。
「右京さん、試合が決まったそうです」
「試合ですか?」
「そうです。大洗女子学園と大学選抜チームとの試合です。この試合で大洗が勝ったら廃止解体は撤廃するそうですが」
「何か問題が有るとしかおもえませんが」
「大学選抜チームは30両で編制するそうです。それに対して大洗は」
「僅か8両です。冠城君、ゴルディアスの結び目を一気に解ける絶好の機会が訪れましたよ。おそらく、学園艦局長はあの手この手で大洗を負かす為の動きをしますので」
「その間に、この情報の裏付けをしましょう。問題が有るとしたら右京さん」
「ええ、時間との戦いですよ」
杉下右京「戦車道ですか」その4に続きます
Posted at 2016/01/17 08:49:45 | |
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