2016年01月30日
警視庁 廊下
「右京さん、甲斐長官官房付から直々にお褒めの言葉を受けるとは思いもしませんでしたよ」
「そうですね。冠城君、何で甲斐長官官房付は今回に限って協力的だったのでしょうか?」
「旧友の頼みを聞いたから、だと弱いですね動悸が」
「もしくは文科省に貸しを作りたかった。これもちょっと違う様な気がします」
「ひょっとすると、その両方の可能性も有りますよ」
「ええ、でももう1つ考えられる可能性は、甲斐長官官房付も大洗女子学園を廃止解体をさせたく無かったという可能性も有りますよ。冠城君」
「可能性としては1番低い可能性ですけど、今回に限ってはその可能性を信じたいですな。右京さん」
「僕もそう思いたいですよ。冠城君」
警視庁 特命係 室内
右京と冠城の二人が特命係に戻って来ると、室内では角田課長と米沢守が何かしらの議論を行っており、右京が声を掛ける。
「角田課長と米沢さん本日は、どの様なご用件でいらっしゃっいましたか?」
「よう警部殿、俺は何時もの様に珈琲を飲みに来て飲んでいた時に米沢が警部殿に用が有って来てな。居ないもんだから先日の大洗対大学選抜の試合最中に大洗がカール自走臼砲を撃破する所が有っただろ。その撃破に関して米沢と議論を交わしていた訳だ」
「失礼、どんな様な内容ですか?」冠城が口を挟む。
「角田課長は、遠距離射撃で撃破すれば1番楽じゃなかったのかと、そうすればあんな真似をしなくてもカール自走臼砲が撃破出来、遊園地跡地での戦闘にもBT42が参加出来たんじゃないかと」
「まあ、確かに格上のパーシング3両相手にして大立ち回り演じ撃破すれば誰だってそう考えますな」冠城は角田課長の考えに一定の理解を示した。
「そんで、米沢は増援を要請してから攻撃すれば良いと言っているんだ。どう思う?」
「その件に関しては、試合会場で冠城君と議論しましたが、結論から言えば、あの手段しかなかったという結論に達しました」
「杉下警部、どういう意味ですか?」
「最初に角田課長の遠距離射撃での撃破案は、一撃で撃破しなければ護衛に付いているパーシング3両からの反撃を喰らいます。そう成ったら最悪です。あの場に居た4両の戦車でパーシングの反撃を喰らいながら反撃出来る戦車は、残念ながら1両も居ません」
「でもよ警部殿、ヘッツアーとBT42が居るから何とかなるんじゃないのか?」
「確かに攻撃力なら、ヘッツアーとBT42はそれ相応の物を持っていますが、防御力に関しては残念ながら非常に劣りますパーシングの攻撃力はティーガーⅠ型とほぼ同等で、防御力も重戦車と名乗るだけの防御力を持っています。一撃でカール自走臼砲を撃破出来なければ3両のパーシングがカール自走臼砲の盾に成りつつ反撃します。そう成ったら、相手にカール自走臼砲を狙っている事を教える事に成りますから。護衛が更に増える可能性も有ります」
「そう成ったら最後です。大学選抜はその時点では1両の被害しか出ていませんから、カール自走臼砲に護衛を増やす事は何等問題有りませんから」右京の後を冠城がそう言う。
「次に米沢さんの増援要請をしてからの攻撃案も残念ながら困難です」
「それはどういう意味ですか?杉下警部」
「カール自走臼砲の砲撃を喰らった後に大洗には、出せる増援が存在しません、無理をすれば出せたかも知れませんが後の事を考えると文字通り、無い袖は振れない状態です」
「でもよ。確かあの時点で大洗は6両の損失を出していたから後先の事を考えれば出すべきだったんじゃないのか?もしくは残りの全戦車を使用しての攻撃案も有り何じゃないのか警部殿?」
「確かに角田課長が言った手も手段の1つですが、後先の戦いの事を考えると手持ちの戦力の中で強力な戦車は割けられない、その為に手持ちの戦力の中ででカール自走臼砲が撃破可能な必要最低限の部隊編制を立案したのでしょう。西住みほさんは、そして編制された部隊もその無茶な意図を汲んで行動しました。もしとか、たらとかの話しに成ってしまいますが、緒戦の早い段階でパンター2両とT34/85、JS2の計4両の損失は大洗にとって結構痛いダメージです。それが無ければその4両を使ってのカール自走臼砲撃破案も採用出来たと思うのですが、それが出来ない為にあの作戦が取られたんでしょう」
「又、角田課長が言った全戦車を用いての攻撃案は最悪の悪手です。大学選抜にカール自走臼砲を狙っている事を教える事に成ります。そうしたら大学選抜はカール自走臼砲を守るように防衛線を展開して大洗の攻撃を防ぎつつ陣形を凹時状態にして大洗を半包囲する形にした後に、カール自走臼砲の砲撃を半包囲の中央部に行えば一撃で複数の戦車を撃破する事も十分可能です」
「結論から言えば、あの手段しかなかったのですよ。角田課長と米沢さん」
「警部殿がそう言うんだったら、そう何だろうな、それとBT42がパーシングを撃破する時に何かの曲が弾かれていたと思うんだが?」
「カンテレというフィンランドの民族楽器で弾かれて、曲名はサッキヤルヴェン・ポルッカです。アコーディオンで弾かれるのが一般的ですがカンテレで弾かれるバージョンも中々趣があって良いですよ」
「おや、冠城君知っていたのですか」
「以前、北海道に行った時にカンテレの演奏を聴いた事が有りまして、その際に教えて貰いましてサッキヤルヴェン・ポルッカの意味を」
「どんな意味ですか?」
「サッキヤルヴェン・ポルッカはロシアに奪われた領土を取り戻す意味を含んだ曲です。その考えで聴くとあの時BT42がこの曲を弾いた意味も面白いですよ」
「取り戻す曲を弾く、成る程、今回の大洗対大学選抜の試合も大洗という故郷を取り戻す為の試合でしたから冠城君の言う様に考えると、実に面白いですね」
「右京さんも、そう思いますか」
「出来れば、試合会場でその説明を聞きたかったのですが、それはそうと米沢さん、用事というのは?」
「すいません、ついつい話しに夢中に成ってしまいましたが杉下警部この前、持ち込まれたUSBメモリーの件なんですが、あの後もう一度調べて診たら、ファイルを開いてある程度の時間が立つとファイルが開いた事を報せる仕掛けが組み込まれていました」
「おい、米沢それは不味いぞ!!」
「角田課長、それに関しては心配は有りません。ネットに接続されて無いパソコンを使用してファイルを開きました。それに情報事態も贈られてきたUSBメモリーのファイルが開いた事をバースト通信で送った程度です」それを聞いた右京と冠城は顔を見合わせて考える。
「冠城君、どうやら今回の件にはまだ裏が有る様ですね」
「そうですね。右京さん」冠城はそう言うと、無意識のうちにTVのリモコンを手に取ると、スイッチを入れてTVの番組をランダムに押して考えを纏めようとしている時に、右京がこえを挟む。
「冠城君、番組を戻して下さい」その言葉を聞いた冠城は番組を戻すと、片山雛子議員が今回の大洗対大学選抜の試合で文科省と野党の議員との間に不正が有り。それを糾弾している会見が映し出されていた。
「冠城君、どうやら今回の件には片山議員も絡んでいたみたいですね」
「そうですね。右京さん、でも今回に限っては感謝と考えますか」そう言うとTVに映る片山議員の糾弾を聞きながら、右京は紅茶、冠城は珈琲を淹れ始める準備をするのを見ながら角田課長は米沢に尋ねる。
「あの二人、何か分かったのか?」
「さあ、凡人で有る我々にはちょっと分かりかねますな」そう言いつつも、右京と冠城は実に見事な手さばきで紅茶と珈琲を淹れるのであった。
作者から一言、ガールズ&パンツァー劇場版を観ていたら。学園艦が半年も前倒しで閉鎖されるとしたら、こんな裏事情が有ったんじゃないかと思い書きました。このような駄文ss失礼しました。次回はメカについてのss PV視聴を書く予定です。
Posted at 2016/01/31 13:03:24 | |
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