2016年03月18日
鈴鹿サーキットコース上
ぴにゃこら太ターボチューンNC型ロードスターを先頭に前半のテクニカルセクションをクリアしていく6台の車、順位はNC型ロードスター、FD2、FD2RR、86、R35GTR、BRZの順位だR35GTRはローリングスタートを上手く決めてBRZを第2コーナでオーバーテイクして5位に順位を上げた。
やがて、ダンロップコーナを通過しデグナー第1コーナに進入しようとした時に先頭のぴにゃこら太ロードスターが必要以上にインをカットして走ってしまい。右リアタイアをグラベルに落としてしまい。そのままスピンモードでデグナー第1第2コーナ間のストレートのアウト側で止まってしまい。後ろを走っていたFD2、FD2RRは咄嗟にイン側に避けてクリアして行き。その後ろを走っていた86をR35GTRが抜こうとした際にR35GTRのライン上をぴにゃこら太ロードスターが止まっていた為にフルブレーキを掛けながら86の後ろに付こうとしたが、BRZがその場所を占めていた為にそのままBRZの後ろに付き再度のオーバーテイクのチャンスを伺う。
FD2 車内
少し時間をぴにゃこら太ロードスターがスピンした瞬間に戻す。目の前でぴにゃこら太ロードスターがスピンしてアウト側に行くのを見た。野島大樹は頭で考えるよりも先に身体が反応してイン側に避け、その後を同様な反応で荻村瑞希のFD2RRが続く。時間にしたらほんの数秒程の出来事だったが同乗していた鷺沢文香は囁く様な声で言う。
「車って、あんな動きが出来るんですね。思わず目をつぶってしまいました」
「まあ、今のは身体が勝手に反応したから。車の色だけに『蒼ざめた馬』状態かな?」
「英国の作家アガサ・クリスティ著作の推理小説の題名ですか。確か小説の内容の出来事が本当に起こって結果、1人の少女の命を救った逸話が有りましたね」
「良く知ってるね。小説内でタリウム中毒症状が詳しく書かれていた。そんな時に中東の病院から原因不明の症状で倒れた少女が英国に搬送されてきたが、当初は何の症状なのかが全く不明で何かしらの中毒症状らしいという事だけは判明したが問題なのは、何の中毒症状がさっぱり判らなかった」
「そんな時に看護婦の1人が偶々少女の症状を記したカルテを読んでいたら、丁度その看護婦が『蒼ざめた馬』を読んでいてタリウム中毒の症状にそっくりだと報告しました。結果タリウム中毒の治療にはプルシアンブルーが有効だというのが判明した為に少女の命を救いました」
「ミステリーの女王が命を救ったという事で、当時ニュースを騒がせたからな」そこまで言ってヘアピンに進入しようとしたらイン側からFD2RRが飛び込み2台並んでヘアピンに入る。
「不味い!話に夢中になってラインが甘すぎた!!」そう叫びラインを閉めようとするが、既にFD2RRが一足先にイン側のラインで走っており、FD2に出来る事は抜いていくFD2RRのリアテールを眺めるだけだった。
「くっ、しまった今のは完全に此方のミスだ!!結果が良ければその過程における手段は全てにおいて正当化されるか」その発言に鷺沢文香は反応して答える。
「…マキャヴェッリ著作の君主論の1節ですか」
「その通り、一応読んでいるからね」そこまで言ってルームミラーを見ると確認し思わず呟く。
「参ったな、勇気を持たぬ者には道を切り開く事は出来ぬと言うが、正面切って張り合うには正直言って相手が悪すぎるな」そう言いながら後ろから迫って来る。1台の車を見る野島大樹だった。
FD2RR 車内
「うん、脇が甘い、野島君!」言うと同時にFD2のイン側に飛び込み、瞬間的に並走するとそのままFD2の前にでると古澤頼子に言う。
「古澤さん今の感想を絵に例えるなら、何になりますか?」
古澤頼子は今の出来事に何と言ったら分からなかったが、それでも感想を述べる。
「凄いですけど『戦場から去る負傷した胸甲騎兵士官』に成らない事を祈ります」その返答に荻村瑞希は答える。
「さっきの『メドゥーサ号の筏』よりは良くなっているね例えが」そう返答しながら複合型コーナのスプーンをクリアしつつ後ろを見るとFD2がR35GTRに並ばれたのを見ると、思わず呟く。
「さてと、『ローマの裸馬の競争』か130Rの手前で決まるな」そう言いつつ西ストレートをアクセル全開で疾走する。
鈴鹿サーキット 130R
FD2RRが130Rへのライン取りを行うとした時に後ろからR35GTRが追い付き並走すると荻村瑞希は、素早く状況を判断してR35GTRを前に行かせる。
『悔しいが同乗者がいる状態で、尚且つ並走状態で130Rに飛び込むのは出来ない。この勝負はあんたの勝ちですよ』心の中でそう言うと、R35GTRの一歩後を130RをクリアしてFD2RRが続く。
鈴鹿サーキット メインストレート
実況のアナウンスがメインスタンドに流れる。
「130R手前でR35GTRがFD2RRをオーバーテイク!!そのままシケインをクリアして今、最終コーナに入った!!」そこまで言うと、R35GTRが最終コーナを立ち上がりメインストレートに1番手でチェッカーを受ける。
「1位、R35GTR!続いて2位と3位は、FD2RRとFD2だ!」
そこまで言うとFD2RR、FD2が通過し更に続ける。
「4位と5位はサイドバイサイドだが、86が4位、BRZ5位だ!」86とBRZがコントロールラインを通過する。
「そして、途中でスピンして挽回しようにも及ばなかったぴにゃこら太ロードスターが6位だ!」ぴにゃこら太ロードスターがコントロールラインを通過して1ラップレースが終了した後にもアナウンスが続く。
「それにしても、観客の皆さま方も少しは勉強になったと思いますが、何せ話している自分からして、始めて知った事があるくらいですから何何だったんですかね。あの2人は」半分呆れ声のアナウンスがメインスタンドに響く。
鈴鹿サーキット FD2 車内
レース終了後のクーリング走行をしながらピットに向かっている車内で、今更ながらある疑問を鷺沢文香に尋ねた。
「鷺沢さん、何で同乗する事にしたの?こう言っちゃ悪いけど、この手のイベントには何だか似合わないけど、どうして?」
「…はい、野島さんの言う通りで似合わないと思いますけど、夏目漱石の伝説を発見した人とお話をしたかったのが最大の理由です」
「やれやれ、ターンパイクの一件が巡り巡って、この結果か、素直に喜んで良いのやらかどうかは判断に迷うな」内心で苦笑しつつそう返答する。
「それに、山本さんから話を聞いていましたから。野島君は文学関係には、結構詳しいと聞いていて実際、緊張心をほぐす為に走行前に文学関係のお話をしてくれました」
「それじゃ、いまの状態を『神曲』三部作のうちのどれに例える?」
「…天国編と言いたいです」
「それは良かった。地獄編や煉獄編と言われたら、正直言って凹むけど、地獄編で思い出した。芥川龍之介、著作で地獄変の屏風と言う作品が有ったね」
「…そうです。ある絵師の話です。内容は大殿から地獄を描いた屏風を描く様に命じられた絵師が、実際に牛車に乗った女官が燃えるのを観ないと描けないと返答した結果、本当に女官を乗せた牛車を燃やしてしまう。話ですが」
「読むと大殿と絵師、そして燃やされた牛車に乗っていた女官の関係が、ね。正直言って、何に着想を得たのか気になる所だ。後、『神曲』の著者ダンテから名前を取って、アレクサンドル・デュマが『岩窟王』を書いているよね」
「…主人公の名前はエドモン・ダンデスはダンテを元にしたと言いますし題名も『岩窟王』は他にも『モンテ・クリスト伯爵』とも表現し、モンテ・クリストというのは訳すとキリストの島という意味になります」
「うん、そしてその物語は後の作家達に多大なる影響を与えたからな」
「はい、影響を受けた作家の数はそれこそ数え切れませんから」そんな事を言いながら、ピットに向かっていた。
鈴鹿サーキット FD2RR 車内
「古澤さん、どうして?このイベントに出る事にしたの?」野島大樹と同じ質問を荻村瑞希は古澤頼子にする。
「ターンパイクの一件で、どんな方か興味を持っていましたし、それに絵に関しては知識が豊富だと山本さんから聞いていたので、それから今の感想は『突撃する近衛猟騎兵士官』でレース中は『エプソムの競馬』でした」
「うん、最初の『メドゥーサ号の筏』から『戦場から去る負傷した胸甲騎兵士官』最後は『突撃する近衛猟騎兵士官』とは嬉しいね。おまけにレース中の感想も『エプソムの競馬』とは本当に嬉しいが、ターンパイクの一件が此処でも付いて回るとは、世の中時たま呪いたくなるぞ」その返答に古澤頼子は少し考えた後、答える。
「そう言えば、ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティはご存じですか?」
「ラファエル前派運動の中心人物の1人で『受胎告知』、『レディ・リリス』、『ベアトリーチェの一周忌に天使を描くダンテ』、『プロセルピナ』等など描いた画家だろ」
「その通りですけど、日本では画家として有名ですけど本国イギリスでは詩人として有名です」
「あ、確か野島君もそんな事、言ってたよな」
「文学と芸術の両方に足跡を残しましたので、文香さんとは良く話をしていますが、『プロセルピナ』もギリシャ神話をベースにしたローマ神話ですから」
「そうなの?てっきり元の話はギリシャ神話だと思っていたわ」
「ギリシャ神話でも間違いは無いんですけど、『プロセルピナ』のローマ神話を元に多くの芸術家が様々な作品を残しています例えばベルニーニ作の『プロセルピナの略奪』とか」
「それは、知っている。石に彫られた彫刻とは思えない程の出来映えだから良く知っている」
「ええ、他にも『プロセルピナ』を題材にした作品は数多く存在しますが、ロセッティの作の『プロセルピナ』に関しては笑えないエピソードが有ります」
「確か、モデルにしたのがロセッティに心酔していた画家のモリスの恋人がモデルになった筈だよな」
「そうです。その当時ロセッティは結婚していたのですが、ロセッティに心酔していた画家、ウィリアム・モリスの恋人ジェーン・バーデンと愛人関係になり、モリスもその事を知った上で奇妙な三角関係を築きますが」
「ロセッティの妻、エリザベスは流産に夫の浮気という2つの事実に精神が耐えられず、阿片チンキという薬物に手を出して薬物中毒に落ちていく」
「結果、それが原因となりエリザベス・シダルは亡くなりました。葬儀の際にはロセッティは自分が書き留めた詩集を妻の亡骸と共に埋葬しました」
FD2 車内
「その詩集は今までのロセッティ自身が書き留めた大切な詩集で未公開な物でした。それを埋葬したという事は」
「ロセッティの妻への愛は本物だったが、同時に愛人であるジェーン・バーデンとの愛は何だったのかという問題が起きる。実際問題ロセッティ、モリス、ジェーンの3人の関係は不思議な程に長期間問題なく続く事になるが、ロセッティ自身がある問題を抱える」此方の車内でもロセッティの事が話題になっており、鷺沢文香の後を野島大樹が続ける様に言うと、鷺沢文香は更に続きを言う。
「…眼病をロセッティが患ってしまい。画家としてやっていけるかどうか不安になり。その為に埋葬した詩集を掘り起こして出版しています。妻への愛の為に埋葬した詩集を生活の為とはいえ掘り起こしたロセッティは、亡き妻に捧げる絵を描きます」
「それが『ベアータ・ベアトリクス』を描く事になるが結果的にはロセッティ自信を更に苦しませる事になる。生前の妻への行い。妻を省みず愛人のジェーンと関係を持ってしまい、流産をした妻への気遣いが殆ど無かった己自身を苦しまさせ」
「そして、死んだ妻の墓から妻への愛に捧げた筈の詩集を墓泥棒的に掘り起こして出版した自分自身に良心の呵責を引き起こし、亡き妻と同じ阿片チンキに溺れると同時に酒にも逃避して晩年は自堕落な生活を送り、54歳でこの世を去りますがロセッティが残した絵画や詩集は後の世に多大な影響を与えました」
「そうなんだよな。ロセッティは詩人と画家の両方に足跡を残した人物だからな」そんな事を言いながらピットに戻って来る。
鈴鹿サーキット ピットロード上
R35GTR、FD2RR、FD2、86、BRZ、NC型ロードスターの順でピットロードに車を止めると、アナウンスが流れる。
「それでは、皆さま方1ラップレースを終えた。車とドライバー、そして同乗者に拍手を!でも、ぴにゃこら太ロードスターには同乗者が居ないのでぴにゃこら太に拍手を!!」そのアナウンスが流れると車からドライバーと同乗者が降りてくるが、不馴れな四点式シートベルトの解除に手間取っている同乗者に手を貸す。ドライバーもいる。荻村瑞希と野島大樹もそんなドライバーだ。
「古澤さん、大丈夫馴れてないと四点式外すのには手間取るから、落ち着いて」
「鷺沢さん、ゆっくり外せば問題ないから、落ち着いて外して」2人はそう言いながら、四点式シートベルトを外す手伝いをしていると、アナウンスが流れる。
「2位と3位に成った。荻村瑞希さんと野島大樹さんは手元の資料に依りますと行きつけの店ではインテリコンビとして有名だそうです。正直言って、この手のイベントで聞ける話では有りません。全然似合いません絵画談義や文学関係の話が レース前やレース中、レース後でも聞けるとは今日来たお客さんは或る意味、大変貴重な体験をしたと思います。お利口さんに成って帰って下さい!!」そのアナウンスにスタンドで笑い声と拍手が巻き起こる。それを聞きながら荻村瑞希と野島大樹は思い出した。
『『忘れていた。車内にカメラとマイクが設置されていた事をすっかり忘れていた』』2人はそう内心で思い出し様々な意味で沸いている。スタンドにどういう行動をすれば良いのか本気に悩んでしまう。荻村瑞希と野島大樹だった。
メカについてのss アフターパーツプレミアムパーティその6に続きます。
Posted at 2016/03/23 06:37:34 | |
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