2017年10月15日
続きです。
ミカside 現在 披露宴会場
「こうして落ち込んでいた真先輩を慰め励ます為にルミ先輩は真先輩を抱きしめ、更にレポートを書く手伝いをし、その過程で真先輩が中等部入学前に追った怪我の経緯を聞いた。ルミ先輩は真先輩が強い心の持ち主だと知り、その後も真先輩が戦車道の練習を見学し大局的に見る戦略感を養うのをルミ先輩は暇があればアドバイスしていました」そこまでミカは言うとカンテレを一際大きく鳴らし終えると、次の話を始めた。
「そして今度は9年前、ルミ先輩が17才、真先輩が14才のある夏の日、正確には二学期が始まる前日、今度は真先輩がルミ先輩を抱きしめた結果、先輩後輩ではない関係が始まりました」そこまでミカが言うと、会場内のそこかしこで声が上がった。
「今度は真が抱いたか、どんなシチュエーションで抱いたんだ?」
「おい、言葉使い気を付けろ卑猥に聞こえる」
「卑猥に聞こえるのは、卑猥に考えてるお前の頭が問題じゃないのか?」
「結婚式だから殴り愛でもするか?終わったら面貸せや」
「望むところだ、返り討ちにしてやる」
「お前ら止めろ、字が違う!」
「「「突っ込むところ違う、というか其処か!」」」と新郎の方からそんな声が上がり。そして新婦側の方でも
「ふ~ん、へ~、あの子からルミ先輩にアプローチして手を付けたんだ。やるわね」
「トウコ、言いたいことは分かるけど、幾ら何でも手を付けたのは…」
「いいや、分からないわよリリ」トウコとリリがそんな会話をしていると、再度カンテレが鳴り響きミカが弾き語りを始めた。
真side 9年前
夏の石川県中学野球大会に継続高校中等部は県大会決勝まで駒を進めたが、決勝で敗れてしまい全国大会の切符を手に入れる事は出来なかったが、それでも昨年に引き続いての準優勝である。なお継続高校中等部ならび高校の両野球部は県大会上位の常連ならび全国大会の出場も豊富にあり、中等部は5年前には全国大会を制覇し、高校はここ10年間に限っても甲子園出場回数が夏は5回、春の選抜は3回出場し10年前には春の選抜を制した名門であり、そんな名門の次期キャプテンに指名されたのは、上村真だった。指名の打診がきたのは県大会で準優勝に終わった。次の日の全体ミーティングの時に指命を受け、当初は何で自分がと驚くと同時に他にもキャプテンを務められる候補が居るのにと、戸惑っている真にキャプテンから『真、お前なら安心して任せられる』と言われ更にチームメイトからも『真(先輩)がキャプテンに成るなら問題ありません』と全会一致で言われると真もキャプテン就任を引き受けた。そして今は、明日の始業式後に中等部、高校野球部共同で行われる交代式で真は中等部野球部キャプテンに正式に就任するのだが、明日の事を考えると流石に緊張し改めてキャプテンになる重圧を感じる為に気持ちを引き締めると同時に気分転換に継続学園艦上を走る正確にはクロスカントリーを行っていた。なお夏休み終了前日の今日、宿題が終わっていない輩は必死になって宿題を終わらせようと机に向かっている筈だが、真は10日以上前に宿題は全部終らせていたため宿題の事は何も気にせず、他の学園艦以上に緑が豊富な森林地帯といっても過言ではない継続学園艦を走っていた。余談だが、そんな学園艦の森林地帯で何かしらして過ごす人間たちが多く、真もそういう人たちと会ったりしている。事実走っている途中で、今年中等部に入学と同時に中等部戦車道に入部、入部後のテストで戦車道の実力は本当に中1かと周囲から疑われる程に異常に高い能力を持ちカンテレをトレードマークにしているミカと呼ばれる新入生が森の中で曲を弾いており真は足を止めてカンテレの演奏を聴き、そして演奏が終わると真は「いい演奏でした」と感想を述べてクロスカントリーを再開しようと走り出した直後、ミカがカンテレの音色が真を励ますような調べを紡ぎ、それをBGMにして再度走り出し最奥の樹齢は200年以上ある=学園艦建造のさいにわざわざ陸から移設した=杉の木を、ゴールに定めている木に背をもたれかけ息を整え、整えたら普段ならゆっくり歩いて引き返しフィンランド式サウナでさっぱりするのだが、明日の交代式に言うこと、そして何で自分が選ばれたのかを再度考えたい為に、引き返すのを止めて杉の木の周辺を歩きながら物思いに耽っていたら、急に開けた場所に出ると切り株がポツンとあり、切り株には一人の真が良く知っている人物の後ろ姿、ルミ先輩が座っていたが普段の陽気なルミと違い、今日はどうした理由か元気がなく真は心配になり声をかけた。
「先輩、具合でも悪いんですか?」それを聞いたルミが振り返えその顔を見たとたんに真は思わず声を上げてしまった。
「先輩、一体どうしたんですか…」振り向いたルミは涙目で今にも涙がこぼれそうだった。
ルミ side
中等部戦車道全国大会を制覇し、そのまま継続高校戦車道に入部し1年生ながら継続高校戦車道副隊長に当時の隊長、三年生のリカからの指名で就任したルミは、リカのサポートを見事に行い大会、高校戦車道にある様々な大会、優勝記念杯、新人戦等の大会がある中でこれを制覇するのが誉れとされる初夏の第58回全国戦車道大会に出場し1回戦はアンツィオ、2回戦はサンダースを破り、準優勝まで駒を進め決勝進出をかけ黒森峰と対戦、敗退はしたが、それでも聖グロリアーナと同率3位で終えるとリカから次期隊長として指名され就任した後に新人戦、優勝記念杯などの大会でも上位に入る実力を周囲に見せると、予測筋、以前から継続高校は中堅校であるが実力的には四強に迫る実力を有しており、条件次第ではジャイアントキリングどころか優勝も可能と専門家や高校戦車道の事情通達からは見られており、そして中学戦車道全国大会で幾らルール面で助けられたとはいえ黒森峰を破り優勝を導いたルミが隊長に成った事で大判狂わせが起こる可能性が高いと予想し、実際に成果を上げている為にもしかしたらもしかが起こるかと予想されたが、此処で予想外の出来事が発生した。具体的には四強が、継続を必要以上に警戒並びライバル視をし始めると、四強に続くように他の戦車道履修高校も追随し結果、後年継続包囲網と呼ばれるのが出来上がっていた。実際、聖グロリアーナは秘密情報局のGI6が対継続情報収集のレベルを上げ、サンダースもルミが新隊長に就任した直後の新人戦で負けており対継続情報収集に力を入れる様に隊長に成ったメグミは情報学科に発破をかけ、プラウダも過去の因縁からか益々継続に負けられないとボルテージと更なる練度を上げ、四強の中でも最強と謳われる黒森峰も継続を最大のライバルに捉えていた。この理由は至極簡単な話で、黒森峰の副隊長がルミ相手に中学戦車道全国大会の決勝戦で対戦敗北しており、その経験からルミの指揮統率能力とその指揮に応える継続は強いと身をもって文字通り体験し、隊長に継続は侮れませんと意見具申をし隊長もまた継続が制覇した中学戦車道全国大会ならび継続の戦法を徹底的に分析研究するように指示を出した。この動きに黒森峰の他の隊員からは『幾ら何でも警戒しすぎなのでは?』と言われたが、隊長からは『12年前に継続はプラウダ、聖グロリアーナ、サンダース、そして我が校を撃ち破って優勝している実績がある。ましてや継続の隊長は中学戦車道で我が校を破って優勝している実績を持っている有能な隊長と隊員達だ。連覇を目指す以上は不確定要素には最大の警戒レベルで事に当たるべきだ。それとも何だ油断して継続相手に勝利を献上させる気なのか、もしそういう気持ちの持ち主が居るなら黒森峰から去れ!』と一喝されれば他の隊員も黙ると同時に12年前に継続が四強相手に勝利した事実に驚きを禁じ得なかった。そして四強のこの動きに他の戦車道履修高校も継続に勝てば株が上がると積極的に継続との練習試合を行い。最初はこの状況を楽しんでいたルミも時間が経つにつれて本気で悩み始めた。
確かに練度と技量のソフト面、ハード面の一つ整備修理能力は四強に負けないだけのモノを継続は持っているが、ハード面たる戦車の質と量では四強には大きく離されている。持っている戦車は四号戦車J型、三号突撃砲G型、T34/85に76等の攻撃力が高い中戦車を保有している一方で、重戦車は1台も保有しておらず、数的な主力は45ミリ砲装備の各BTシリーズの快速戦車な上に、生産した国も各国戦車の寄せ集めドイツ、ロシア、フィンランド等で此だけ違うと幾ら高い整備修理能力を持つ継続でも生産国が違えば整備修理の仕方も違ってくるので、稼働率をそれ相応のレベルで維持するのは骨が折れ、更に性能差のバラツキが大きい事はにそれらの性能差を考えて運用する必要が生じていた。一方で四強は所有する戦車の生産国は全て統一されており、性能的なバラツキは比較的少なく指揮統制と運用が大変しやすい結果、四強では伝統的な戦術が確立される一因に成っている。サンダースやプラウダは極論すれば数で押すという戦法、それなりの質と量で攻められるのは対処に難しく、聖グロリアーナは見事な陣形形成からの浸透強襲戦法、黒森峰は高度に指揮統率された強固な集団戦法というドクトリンが採用されると同時に、四強は継続には持ち得ぬ最大の利点保有台数の豊富さという事実がある。高校戦車道で戦力として投入できる戦車数、プラウダやサンダースは50対50の戦車戦が行える学校同士で、聖グロリアーナはOG会の意見が強く車両の導入にも横やりが入る欠点があるが、それでも30両以上の戦車を保有、黒森峰も40両以上の戦車を持っており、おまけに訓練用やレギュレーション上で出せない戦車も数に入れるとサンダース、プラウダは共に軽く150両越え、聖グロリアーナで80両近く、黒森峰は100両越えだ。高校だけでもそれらの数に加え中学戦車道での使用可能な戦車の数まで入れると馬鹿馬鹿しくなる位の戦車を保有し、訓練でもそれらの戦車を的確に運営して効率よく訓練すると同時に、多数の戦車を維持管理整備修理が出きるだけの支援能力、一言で言えば財力を持っているが、継続の場合は財政面ではお世辞にも余裕がなく、保有する戦車の総数も形振り構わず集めても中学、高校で合わせても40両有るか無いかで歴代の継続の隊長達はこの不利を、ハード面では保有戦車を高い稼働率、常に100%な稼働率を維持し!?ルールの範囲内で可能な限りのチューンアップを少しでも性能を向上させ、ソフト面では四強に引けを取らない練度と戦術面でこの差を埋める努力をして勝利を勝ち得ていたが、この継続包囲網といえる状況だと、目先の勝ちを拾う単純な戦術は長期的に見た場合は継続にとっては著しく不味く、他の高校に自分達の手の内を見せるだけで追い撃ちをかけるように四強以外の戦車道履修高校からも、継続に勝てば箔が付くと思われ継続との練習試合が急に増え、特にBC自由学園は継続との練習試合には積極的だったが、その理由は生々しく名物たる御家騒動の内紛を逸らす為に継続という強敵を宛がう事で御家騒動の発生を抑制するという策が採られた結果、BC自由学園での御家騒動はホンの数年程度だが下火になり、この策を立案したアズミの手腕は褒め称えられたが、継続の立場からしたら『ふざけるな!!』と文句の一つや二つを言ってやりたい程だった。実際、急に増えた練習試合で整備修理能力は多大な負担を掛け限界を迎える中でもルミは、隊員達の士気を鼓舞し練度を高め整備修理を担当する整備科には頭を下げてやる気を持たせたが、初夏の第59回全国戦車道大会で1回戦の相手が寄りにも寄って黒森峰であり、黒森峰の対継続対抗策として乗員は練度が高い人間を学年を問わずして抜擢し、戦法も過去の継続の試合内容から、機動力を生かした攪乱戦法から相手の隊列が乱れた所に個別撃破で叩くという戦法に、黒森峰は如何なる時でも集団を崩さず個別に分かれるなというマニュアルを作成、対戦が始まり結果的には黒森峰の勝利で終わったが、それでも勝者と成った黒森峰の損害、対戦フィールドが雪原と継続に有利なフィールドと差し引いても、投入台数の半数の実に5台撃破されており、内訳はタイガーⅠ・Ⅱ、パンターG2台、四号駆逐戦車ラングが撃破しており、特にタイガーⅠ・Ⅱを撃破した事実が改めて継続は強いと印象付けたが同時にルミには今後の展開を考えると益々継続が警戒される事態に本気に成って頭を抱え悩んでおり、明日の始業式後のミーティング時に何を話したらいいのか一人で悩み考えており、やがて深い溜息を吐き出すと呟いた。
「はあ~、本当にどうしよかな~隊長がこんな弱気を見せちゃダメだわな~でも弱気に成りたくなるわ、ソフトとハード面では今は辛うじて何とかなっているけど、将来的には不味いしな~本当どうしよかな~責任を投げ出したいけど私を信じてついてくる娘らを見捨てる真似は出来ないけど、けど……泣きたい、本当に泣きたいでも、隊長の私が涙や弱気な姿なんか絶対に他の娘らが見たら、最悪士気とやる気が大きく落ち込みないから出来ない、本当疲れたな頼れる隊長を演じるのが…」そこまで呟くと再度溜息をつく。
『困ったな、私ってこんなに弱かったの?頼れる隊長を演じるのがこんなにも大変だったなんて、お願い誰か私の悩みをどうにかして、そして私を助けてお願い誰か』内心でそう思うと何故か自然に涙目になり、目に涙が溜まり涙が溢れそうに成るのに自嘲気味の笑みを浮かべると涙を拭こうとメガネを外そうとした時に馴染みある声がかけられ、振り向き、私の顔を見た「先輩、一体どうしたんですか…」真が戸惑いと困惑、驚きの感情がこもった声を発した。
独自設定
このssに於ける中学戦車道のルール
1、最低投入台数は5台から最大まで12台とする
2、半数は、軽戦車と豆戦車で編制すること
3、2に付随するが奇数の場合は次の通りにすること、5台なら2台、7台なら3台、9台なら4台、11台なら5台までが軽戦車と豆戦車の編制とすること
4、2ならび3の捕捉事項として豆戦車は最低でも1台入れること
5、重戦車は1台のみ編制に組み込むことを許可する
6、重駆逐戦車も1台のみ組み込むことを許可するが、その代わりに重戦車は使用不可とす
7、固定砲塔式の駆逐戦車、突撃砲は最低でも1台入れること
8、快速戦車、巡航戦車は中戦車として扱う
9、歩兵戦車、多砲塔戦車は重戦車として扱う
10、1回戦から最大投入台数12台での編制を許可する
以上を基本ルールとする。
継続学園艦整備科、戦車のみならず自動車、トラック、バイクの整備修理はお手の物で、チューンアップはもっと得意な大洗の自動車部とタメをはれる集団、稼働率100%という常識を何処かに置き忘れた数字が証明しており、大洗の自動車部とは話が合いそうなチート集団。
作者から一言、中学戦車道大会のルールはこうでもしないと、黒森峰が中学でも圧倒してしまう為に使用する戦車と性能制限的なルールを考えました。それから継続学園艦の整備科は大洗のチート集団自動車部と同様の扱いにしないと雑多な編制の継続戦車道チームはまともに運営出来ないと考えました。というか大洗の自動車部による戦車稼働率が常に100%だと、常識的に考えれば有り得ない数値で、確か陸上自衛隊の戦車の稼働率は平均80%だと以前なんかで聞いた覚えがあります。
Posted at 2017/11/01 01:21:57 | |
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