2017年11月01日
続きです。
9年前 真 side
今にも泣きそうな表情で此方を見ている。ルミの姿に真は困惑しており、一方のルミも真の姿を見ると「何でもない少年、悪いけど暫く一人にしてくれないか、後それから他言無用な頼む」と言うと涙を慌てて拭い背を向けたが、そんなルミの姿を見ていると1年前の自分を思い出し、あのときのルミの助けがあったから自分は腐らず野球を続けていた。だから今は理由は分からないが元気がないルミの支えになりたいと思ったがどうしたらよいか迷っていたが、ある事を思い出すとルミに歩み寄り近付いてくる真にルミは気付くと「だから少年、頼むから一人に…」そこまで言うと真は行き成りルミを抱きしめた。
真&ルミ side
抱きしめられたルミは最初は理解出来なかったが、やがて理解すると離れようと暴れるが、そんなルミを真はより強く抱きしめルミは堪らず戦車女子の腕力(戦車道履修者の腕力は基本的には力が強い、理由装填手や状況次第では試合中に応急修理をしたりするから)を発揮して振りほどくとするが、振りほどけず今度は真に平手打ちをしようと右手を振り上げた瞬間に右手を掴まれ、咄嗟に左手で平手打ちをお見舞いしたが真の頬に当たる寸前に左手も右手同様に掴まれ、ルミは真を睨むと「な、な、何を考えてるんだ!行き成り抱きしめるなんて非常識にもほどがあるぞ少年見損なったぞ!」そう叫ぶが、真はそんなルミに非常に落ちついた声で答えた。
「非常識ですかルミ先輩、1年前の件を忘れたんですか?」
「1年前!?、あっ、あれは少年がその落ち込んでいて迂闊な事を言うと傷つけると思ったからだ!」
「だからと言っても、出会ったばかりの人間に普通抱きしめませんよ先輩の方こそ非常識ですよ」
「臨機応変だ。そのくらい察しろ少年!」
「察しろですか、今の先輩だって落ち込んでいるんじゃないですか1年前の自分みたいに、あのとき先輩が訳を訊いて助けてくれて感謝しています!先輩があのとき色々と相談に乗ってくれたんで本当に救われたんです。だから頼れるかどうか分かりませんけど恩返ししたいんです先輩の!」
「少年助けは有り難いが戦車道の問題だ。門外番では助けにも…」
「例え門外番でも戦車道も野球同様にチームでする以上は、先輩の助けになる面はあります。しつこいですけど先輩の助けになりたいんです。訳を教えて下さい訳を!もし教えてくれなければ」そう言うと真は掴んでいたルミの両手を離すといなや「今度は理由は言うまで絶対離しませんよ!」言うと同時にルミを再度抱きしめ、この不意討ちにルミはもう一回振りほどこうとするが、今度はそう簡単に振りほどけずやがてルミは別のアプローチを仕掛けた。
「少年、1年前は確かに悪かったでもな抱きしめるなら、もう少しは考えて抱きしめてくれ」そうルミが囁くと真は、その言葉の意味が理解できず訊ねる。
「えっどうしてですか?」
「汗くさい、少年ランニングでもしていたのか?抱きしめるなら、その事も考えてくれよな全く」その発言に真は、クロスカントリー直後だというのを思い出すと慌ててルミを抱きしめるのを止め、慌てて離し「先輩、そんなに汗くさいですか?すいません」と真は思わず自分の匂いをかぎだした直後にルミは「確かに落ち込んでいたから助けになりたいという少年の心遣いは本当に嬉しかったが、でもな女性にいきなり抱くのは」言うと見事な平手打ちが、今度は真も反応できず右頬にヒットし「セクハラと言われても仕方ないぞ、分かったな少年」そのルミの発言に真は右頬を押さえながら、その場で謝った。
「すいませんでした。先輩見損なってもいいですけど、助けになりたい気持ちは本当です!」そう言って頭を下げる真を見ながらルミは「まあ、いいから頭を上げろ少年」と言うと真は頭を上げ、右頬には平手打ちの跡が確り残っているがルミはその跡ではなく右手を真の顔、正確には額を触ると「頬の跡は問題ないとして、額の傷跡はもう残ってないな少年、敢えて訊かなかったが交通事故に遭ったんだよな中等部入学前に」唐突に言うと真は驚いた、
「どうして、言ったおぼえはないのに!?」
「なに言ってなくても、少年の同級生から聞いたぞ、登校途中に脇見運転の車から弟を庇ったが代わりに5メートル程引きずられて右肩と肋骨を骨折、首と額にも傷を負い、おまけに肺もすこし負傷して医者からは全治4ヶ月以上と診断されたけど2ヶ月で傷を癒したと」そこまで言うとルミは真の額を再度撫で右頬を撫でると「ごめんな少年、正直言って追い詰められていて余裕を無くしていたわ」言うとルミは真に微笑みかけ、そんなルミを見ながら同様に微笑むと「なんか何時もの先輩に少し戻ったような気がします。悩みがあるなら聞いて下さい、その代わりに自分の悩みも聞いてくれませんか?」
「厚かましいな少年、私の悩みを聞くというのに自分の悩みも聞いてくれだと?しょうがない聞いてやるぞ」と言うと、ルミは対継続包囲網の苦しみを真に言うと、真は考え込んだ後に「戦術を対戦相手毎に考えるから、ややこしくなるから臨機応変に考えてみたらどうですか?」
「臨機応変ね、高度な柔軟性を維持したまま個別で動けか、指揮放棄いや作戦放棄と同義語だな」
「いえ、そうじゃなくて基本となる戦術というか作戦を基本にして、その場その場で動けばいいのでは?マジシャンみたいに」
「マジシャン?要はトリッキーな戦術を軸に据えろとそんな場当たり的な方法なんて、いや、待てよ。ウチの練度と技量ならもしかしたら可能か?そしてその手の戦法なら確か、そうだそうだよ。少年!その方法なら決まった型を持たないから相手を翻弄する事が出来るし勝ち目がある!島田流の戦法だ!!なんでこんな簡単な事を思い付かなかったんだ。ありがとう少年!!!」そう言うとルミは立ち上がり真の両手を取ってはしゃぎ出し、真もポカンとしたがルミが悩みに関して一つの答えを出したのに素直にルミと一緒に喜び、ある程度喜んだあとにルミが今度は真の悩み何で自分が次期キャプテンに選ばれたのかと言うことを、それを聞き終えたルミは「そうか、まだ言ってなかったのか」一人納得した表情になった。
「どういう事ですか先輩?」
「去年見込みがあるなと言ったのを覚えているか少年?」
「いえ、覚えてません」
「忘れるな少年、種明かしするとなウチの野球部は見込みのあるヤツ、次期キャプテンとして才能がありそうなヤツを戦車道の訓練や試合を見学させる事で戦車道という別のチームプレーを見させて刺激を与えてキャプテンとしての能力と心構えを育てる。まあ尤もそういう人間は数が少ないんだが、私の知っている範囲内で中1から戦車道の訓練を見学させるなんて少年、お前だけだぞ」ルミは言うと指を鳴らして真を見る。
「すると期待されていたんですか…信じられない」
「信じられないじゃない、もっと自信を持て少年!それに色々聞いているぞ少年のこと」
「色々ってなにを」
「文武両道だってな、テストの成績は常に上位20位内で運動部の中じゃトツプヘッドだと聞いてるぞ」
「誰から聞いたんですか?」
「誰ってウチの学校上位50位までは中等部、高校共に張り出してるじゃないか、それを見ただけだぞ、よっ、知勇を兼ね備えた未来の全国大会優勝キャプテン!」
「そんな、プレッシャーをかけないで下さい先輩だったら此方も、よっ、黒森峰を破った名隊長じゃなくて名将!」
「くっ、そう来るか結構意地が悪いな少年」
「先輩ほどじゃないですよ」
「言ったな」そう軽口を言い合っていると楽器のの音色が聴こえてくるとルミと真は同じ事を言った。
「「カンテレでミカか」」と言うとお互い顔を見合わせるとまたもやシンクロした。
「「早く退散するか」」とまた同じ事言うがルミは立ち去る前に唐突に真を抱きしめると「ありがとう少年、おかげで助かったわ此はご褒美」そして真もまたルミを優しく抱き返すと「此方こそ助かりました先輩、もしなにかあったらまた相談に乗りますよ」と言い返した。
「だったら少年、私も聞いてやるから頼りな」
「先輩も頼って下さい」短くもお互いの体温を感じ、気持ちと心が触れ合った瞬間であり以後、ルミと真の二人は先輩後輩の間柄では無く、対等に接し本音で相談する事が出きる存在になった時でもあった。
独自設定
継続学園艦
中等部、高校の共学校で戦車道に力を入れる一方で、スポーツは野球部は全国的にも名が知られている名門で、プロ野球選手もそれ相応に選出されており、またフィンランド系の学校ということでウインタースポーツやモータースポーツが盛んで男女問わずにアイスホッケー、スピードスケート、スキー、カート、バイク等で名を馳せる選手も多数居り他にもフィンランドというお国柄かムーミン谷の白い死神の影響を受けたか理由は不明だが狙撃、エアーライフル競技でも高い成績を残している。変わり種ではフィンランド式の野球ペサパッロも盛んだが、いかせんことに競技人口が日本中探しても少ないので体外試合を行うのが困難というのが目下のところ最大の悩み。
また、スポーツ以外でも工業学部も優秀な生徒が多い事も挙げられ、他にも規模は小さいが水産学部も生食が可能な鮭の研究や艦内ではバイオスフィアの研究を行い成果を挙げており結果、文科省の進める学園艦統廃合計画からは除外されている。
次回、告白
Posted at 2017/11/08 21:35:14 | |
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