
先日の日曜日、東京で開催中の美術展プラド美術館展とフェルメールとレンブラント展を観てきました。
プラド美術館展は、世界中でも十数点しか存在しないというボスの『愚者の石の除去』は、小さい絵ですが何とも云えない迫力が伝わり、エル・グレゴの『受胎告知』、『エジプトへの逃避』も見応え充分でしたし、ルーベンス、ベラスケスの巨匠の絵も素晴らしく、ゴヤの『傷を負った石工』とその下絵に成った『酔った石工』は見比べると非常に面白い絵に仕上がっています。下絵の『酔った石工』は、酔っぱらって自分で立って歩く事も出来ない石工を同僚の二人が抱えて歩く姿を描いてますが、抱えて歩く二人も苦笑しながらも仕方無いと表情で歩き、酔った石工もいかにも酒に酔った表情で描かれてますので、何処かしらユーモラスな感じで描かれてますが、本番の『傷を負った石工』は、傷を負い痛々しい石工の姿が描かれており、それを抱えて運ぶ二人の表情も一転して傷を負った同僚を心配する表情に変化していますので、それらの違いを確認しながら鑑賞するのも良いと思います。
それから、個人的にはティツィアーノ、ティツィアーノ作『十字架を担うキリスト』が観られたのは大変良かったです。ルネサンス期の三大巨頭、ミケランジェロ、ラファエロ、ダ・ヴィンチ、この3人の名前を知っている方も多いいと思いますが、ティツィアーノはこの3人に勝るとも劣らない巨匠でミケランジェロとダ・ヴィンチこの二人の巨匠がティツィアーノを褒め称えたという話は意外と知られていません。(ミケランジェロとダ・ヴィンチは、大変仲が悪かったそうですがティツィアーノの作品には惜しみ無い称賛の言葉を送っています)ゴルゴダの丘に向かって十字架を担ぐキリストその頭には茨の冠を被り血を流しながら歩き、それを支える一人の男の絵ですが、これが観れただけでも充分な価値が有ります。
そして、森アーツセンターギャラリーで開催中のフェルメールとレンブラント展に移動しました。
正直言って、フェルメールの『水差しを持つ女』が最大の目当てでしたが、海洋画、静物画にも見応えの有る作品が有りましたがフェルメールの『水差しを持つ女』を前にしたら、それらの作品も霞んでしまいます。それくらい『水差しを持つ女』は素晴らしい名画です。右手は窓を少し開け、少し開けた窓から風が流れると同時に光も室内に差し込み、風が水差しを持つ女の被っている白いフードをはためかせ様とし光は室内の光と影を明確にし、そして左手に持った水差しを今にも持ち上げようとするその一瞬を写真で撮ったかの様に表現しているのは、流石フェルメールと言いたいです。自分自身、少し大袈裟な言い方かも知れませんがフェルメールの作品の前に立つと息をするのも忘れる程に見入ってしまうくらい、フェルメールは自分の心を虜にする何か、まるで魔法の様な魅力を持っています
また、フェルメールの作品の特徴の1つがフェルメールブルー、もしくはウルトラマリンブルーの使い方の上手さが挙げられます。フェルメールが生きた時代は青色を描くとしたらラピスラズリを細かく砕いて青色を作りますが、当時のラピスラズリは非常に高価でおいそれと手が出る様な代物では有りませんでしたが、フェルメールはその高価なラピスラズリで作られた青色をふんだんに使い描く作品に命を与え、人物の目にも(人物画を観るなら目を良く観てください。目の描き方1つで絵の完成度が違います。名画と呼ばれる作品の目は何とも云えない人を魅了する何かが有ります)描かれています。本当にフェルメール、ヨハネス・フェルメールは素晴らしいです。
プラド美術館展は1月31日まで開催中で、フェルメールとレンブラント展は3月31日まで開催中なので、もし興味の有るかたは足を運んでください。
Posted at 2016/01/26 20:45:14 | |
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