
昨日の続き、ビンテージ・ウオッチの件です。
何事も、突然起こるもので、その瞬間の経験は年とともに回数が増え、これが経験のストックとなっていくものである。
しかし、年とともにその瞬間を感じとる感性が鈍っていくもんでしょうか?
それを経験のストックでフォロー出来るものか?
還暦を迎えた者にとって、感性の劣化を経験の豊富さで、カバーできるものか悩むところである。
そう意味で、昨日の経験は少し驚きをもって迎えている。
このビンテージ・ウオッチを見た瞬間、買わないというベクトル(これはいままでの経験によって過去にミスったことによるものである)はゼロであった。
これは驚きである。自分がまだまだ経験のないころに自分の感性だけで、決定していたあの頃と同じであり。寸分の迷いがなかった。
まだまだ、私は若いのか、それともまだまだ痛い目に逢っていないのか、それとも単純に忘れてしまっのか、できれば前者であって欲しい。
これがびびびびびーときた1930年代のクロノグラフのビンテージ・ウオッチです。

メーカーはSABINAというスイスの弱小メーカーで、クオーツショックにより消えていったメーカーだそうだ。
実に美しく、コンデッションは最高です。
なんでも、文字盤が逆エンボスでへこましたところに、金粒子を流れ込ましたものだそうで、店の超ベテラン・オーナーも3芯ではあるが、クロノでは初めて見るそうだ。
黒ベースに、金のとび偶数アラビア数字、外周がピンクこのデザインした人は、どのような感性をしているのだろうか、SABINAという弱小メーカーだからこそ出来たデザインだとつくづく思う。
これは、オーディオの世界でも同じで、ハイエンドと呼ばれる、実に性能とデザインが高次元で融合された製品は決して、大手メーカーからは出てこない、オーナー自ら、自分の気に入ったものしか世に出さない。今最高にお気に入りのスピーカーはマジコというアメリカのメーカーだが、購入したころ従業員は10名を満たない。

メカはランデロン見事なコンデッション前オーナーがオーバーホールを実施しており、当分メンテフリーでしょう。

ベルト取り付け部をラグというが、これはめったにお目にかかれないステップラグと呼ばれる、通常は直線かなめらか曲線であるが、これは3ステップラグである。光の当たり具合で、表情を変える。

裏ふたき記載された10ミクロンの金メッキ表示、当然金ムクの方かいいと思われるかもしれないが、スイッチ操作の多いクロノは金ムクのボディのスイッチ回りが摩耗し、ガタが出やすいものである。

裏ふたのアール具合が美しい。

皮ベルトもオリジナルで、80年以上の歳月の流れのなか、有機物である皮が健在なのは驚きである。おそらく、湿度の低いヨーロッパでデッドストックされていたものだろう。ステッチも2重で糸色も変えている、このあたりのこだわりは大好きである。
最後に行きつけのビンテージ・ウオッチのショップのコメント掲載します。
「殆ど使用された形跡のないデッドストックに近いミントコンディションのサビーナの38mmのビッグクロノグラフが入荷しました。斬新なカラーダイアルは裏側からプレスをするエンボス加工とは反対に文字盤表面からプレスをして、そこに金粒子を流し込む、この年代でも希にしか見ることが出来ない非常に手間をかけて作られたスペシャルなダイアルです。デザインもデコラティブで艶々のブラックミラーにリーフハンドが美しく映える状態です。ケースのステップラグも角がビンビンに立った状態で、ムーヴメントも素晴らしく美しい状態です。ベルト、尾錠も当時のモノがそのまま残った、素晴らしいコンディションとテイストを魅せる逸品です。 」
ホントいい買い物をしたと思うと同時に、還暦迎えた我が感性は、まだまだいけるんじゃないかと、ひとり自己満足に浸っています ハイ
Posted at 2015/03/23 18:39:02 | |
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ビンテージ・ウオッチ | 日記