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2019年04月13日

花の降る午後

花の降る午後 花に主題がある。

今年は

花の散り際を

この手でおさめたい。

そう思っている。


といっても、花が散るまでまんじりともせず、
というわけでなく満開ともなれば、
足は自然と花の名所に赴きます。

【4月7日(日)】
『史跡 和歌山城』
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城内はお花見ムード全開。
今日は天気がいいですから。
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独り者の私がこういう写真をあげると、何かしら存念があると思われがちですが、
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きれいに撮れたからブログにあげただけで、
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存念などありません。
関係ナッシング。

この石段をあがって、
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めずらしく天守閣をめざします。
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本丸そばに見事な花があった。
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本丸には入りません。
ここから先は有料ですが、お金をケチってわけでなく、目的がちがうからです。眺望よりも花を見に来たんです。

眺望ならここからでも。
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東の方向ですが、なんら特筆すべきことはございません。
なんか、すみません。

そのかわりに、ほう、撮影ポイントとな。
このワードには食いつきいいです。
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ほう、いいですねえ。
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天守閣は以上で。
石段を下りていきます。
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この石垣の風情、
ながきにわたる歴史、歳月を感じる。
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下では露店が立ち並び、花見客でごった返していた。
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それはそれは、たいへんなにぎわいでして。
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だが、城内の華やかさとは裏腹に、
いっぽうで私は心中が急速に冷めていくのをどうしようもなかった。
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この冷めていく気持ちの正体はなんなのだろう?
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その疑念は、ワインの瓶底にたまる澱(おり)のように、
私の心中奥深くに沈んでいった。
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和歌山城をはなれ、
おなじ市内中心部
とある公園へトラヴァース。
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車を回すほどでもない。
歩いていける近さ。

花のうつくしい公園がそこにあった。
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風のない、おだやかな日だった。

花咲く散歩道、そのつきあたりに妙な店があった。
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じつは上の写真をよく見ると、この看板の全体がしっかりうつっている。

牛かつというのもめずらしい。

いっちょー、景気づけに牛でも食うか!

ちなみにあとで調べたら、この店は和歌山城からじっさい丑寅(北東)にあった。いわゆる鬼門である。「丑寅の物忌み」とかいうけど、いいのかね?

カウンター席につくと、目の前に一人にひとつ卓上コンロがある。
ひとり焼き肉でもするのだろうか。
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若い女店員が点火したのち、注文のしなが運ばれてくる。
牛かつ定食
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AF-S DX NIKKOR 16-80mm f/2.8-4E ED VR

ほう!
レアな状態のままの赤身肉を大胆にならべたこのスタイルがウケて、今話題の店なのだという。
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AF-S NIKKOR 35mm f/1.8G ED

このまましばらくおあずけをくらう。
若い女店員のながい説明をくどくど聞かなければならないからだ。

「お肉はレアでございます。お好みの焼き加減で」
あ、自分で焼くんだ?!
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この、「最後の仕上げは自分で焼く」というスタイルもウケて、じつは入店にすこし並んだし、いま店内は満員で店のそとには行列ができてる!

モー、どんどん焼いてやる!
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「特製タレでお召し上がりください」
「よくかきまぜてお召し上がりください」
なんか、タレと卵をよくかきまぜろというので、このお店はどうやら若い女店員の指示通りにやらないと食事が完璧に達成できない仕組みにでもなっているのかやたら説明が多いが、どうせなら「よくかきまぜてお召し上がりください、ご主人様」とか語尾につけてくれないかなとか頭の隅で妄想しつつ、
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お、うまいな。コレ!

ちなみに写真はないが、フライドガーリックチップ?スライス?をこれまた若い女店員の言いなりで茶色のカリカリしたものふりかけて食べると、これがウマい!
やはりあれですな。にんにくは牛肉の旨さにブーストかけますな。

この日はこれにて帰宅する。

  *  *  *  *  *

【4月11日(木)】

冷たい雨が降る。
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花散らしの雨がふる。
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AF-S DX NIKKOR 16-80mm f/2.8-4E ED VR

カウントダウンがはじまる。

  *  *  *  *  *

【4月13日(土)】

ふたたび公園を訪れる。
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花は盛りをすぎ、
午後から風がふいた。

ここでじっとカメラを構えていると、キィッと自転車がとまり、

「ええカメラ持っちゃるなー」

おっさんがニコニコ相好を崩している。
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和歌山弁、紀州の言葉である。ちなみに「する・してる」を「しちゃる」(しちゃーるとも発音する)とこのあたりでは言う。

おっさんは屈託のない笑顔で、

「わしもなー、ニコン持ってるで」

どうせクールピクスかなんかのコンデジであろう。家電量販店で店員のいうがままに買わせられるやつである。そうタカをくくってると、

「しょうもないカメラやけどなー。でぇの七千・・・」

えっ!?と思い、

「ひゃく?」

「そう。たしかそうやった」

ちょっとちょっと! D7100といえばおれのカメラもそうなんですけど。どこがしょうもないのか。バリバリ使用中なんですけど。

ところがおっさんにも言う意味があるらしく、

「フルサイズ機やないんや」

という。APS-Cという言葉さえでなかったものの、ちゃんと知識があるらしい。それどころか、

「兄ちゃん、えふ3って知ってるか?あれ持っとったんや」

しってる。銀塩時代のNikonの一眼レフだ。
みんカラでもごぞんじ有名な自動車デザイナー、ジウジアーロがデザインしたという名機である。

それから所有しているレンズに話が移ったが、16-80のf/2.8-4を持ってることに驚かされた。私も持ってるからだが、わざわざキットレンズじゃないレンズを買ったこのおっさんはどうしたことだろう。肝心のカメラは2年前に買って、いまは放置だそうだが。

「ええ趣味やないか」

カメラを構えた私におっさんはいう。

(果たして、いい趣味なのだろうか?)

盛りをすぎ、花が風で散る。その瞬間をいまかいまかと待つ自分はもしや悪趣味ではないのか。

時はすぎ、季節はめぐる。花が散るのは必定。だが、その瞬間をとらえようとするのは無粋きわまりない行為であり、あるいは死に急ぎの行為なのかもしれない。

今やっとわかった。
ずっと抱いていた疑念が、である。

花の「死」を撮るということは、人の死をとらえるあさましい戦場カメラマンに似て、どこか背徳でうっすら罪深いのだ。

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定年後、悠々年金生活なのだという。
定年というから60代にみえたが、昭和22年生まれ、私の父とそう変わらない歳である。これではおっさんというより、オヤジさんだ。

南海電車に勤めていたそうだ。

「昔はよかった。仕事がぎょうさんあった」

働き口がたくさんあった、の意である。

オヤジさんが高校を卒業したのが昭和40年。この国が高度経済成長期へ駆け上がっていくまさに入り口の時代。
警察官など、希望すればお望み次第。地方の役場勤めは敬遠された。現代とは真逆の就活ぶりである。

和歌山市内に「花王」の大きな工場がある。そう、あの花王である。
オヤジさんは花王にいくか、南海に行くか迷ったらしい。
結局、電鉄をえらんだ。
学校を卒業して配属されたのが、沿線の「箱作(はこつくり、大阪)」の駅員として。駅で寝泊まりし、始発電車をむかえた。

「オヤジさんは今からどちらに行かれるんです?」

言葉がさらに丁重になったのは、ひとつの仕事を成し遂げた誇りある男にたいする畏敬の念からである。

「あそこにな」

市内で有数の繫華街の町名をあげ、

「ツレがおるんや」

花見酒だ、とまでは言わなかったが、はたして待ってるのが友人なのか酒樽なのかその口ぶりからは容易に想像できた。

そうして自転車で去っていった。
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人の話をきくのが好きだ。

はじめは正直、「難儀な」と思った。集中して花を撮ってるのに、声をかけてくるひとが邪魔だったのである。
ところが、よほど話好きだったらしく、オヤジさんの話は上述だけでは書ききれないくらい多岐に及び、亡くなった奥さんの話とか、とにかくすさまじい情報量で、まるで桜の木の下で一冊の本を読み終えたような、私はそんなふしぎと満ち足りた気分になった。

  *  *  *  *  *

そのあと、私はすこし場所をかえ、時間をかけてシャッターをきった。

今回の写真には主題がある。

すこしだけ、その主題に近寄れたとおもう一枚をさいごに掲げて、このブログを了としたいと思います。

ありがとうございました。
またお会いできれば幸いです。

花の降る午後
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(by Carlos Toshiki & OMEGA TRIBE)

ブログ一覧 | 日記
Posted at 2019/04/17 20:04:12

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この記事へのコメント

2019年4月17日 20:37
今回も堪能させて頂きました、ご主人様w (=°ω°)♪

花の「死」とは、考えも及ばない発想でした

僕は「今年もまた逢えた」そして「また次の春に」とレンズを向けていました

出会いと別れ「死」とでは真逆ですが

それでも貴方の写真には、通じるものを感じるのです ( ● ´ ー ` ● )




コメントへの返答
2019年4月17日 21:52
コメ、ありがとうございます。

ああ、逆に「今年も会えた」という発想がなかった。ああそうだ。ふつうそうですよね。rebirthですよね。生まれかわるんですよね。

自分にはいつのころからか、「来年もおなじ環境でおなじ命がある」とは思わなくなってしまいました。

ほかの人にはない、深いところにたっするコメ、感謝します。

tompumkinheadさんの地域周辺をめぐるブログが「安定」ならば、わたしのブログは「不安定」なのかなと思ったりもします。

写真に通ずるものがあるとすれば、それはおたがいにロマンチストだからでしょう。ちょっと言葉にすると無粋のきわみかもしれませんが。

この前の桜、赤いかさをさしたモデルさんの写真、いいですよね。ロマンティックなかんじがしましたよ。むしろ、はたから望遠ズームで撮るほうが構図的に正解にみえました。(tompumkinheadさん視点で正解の意味です)
2019年4月17日 21:55
お邪魔します・・・
ラストの写真、
表題通りのお写真で締めくくってますね♪
『ぎょうさんあった』・・
愛知、知多地区なら解説不要です(^^♪
自転車に乗った、同じくらいの年齢の
お話好きのおじさんが私の周りにもいます・・
コメントへの返答
2019年4月17日 22:01
ありがとうございます!
GT AGAINさん。

「表題通りの写真」と言っていただけてありがたいです。

あくまで自分のイメージなので、世間との乖離はフタをあけてみるまでわからないので、けっこう不安だったりします。

ぎょうさん、は愛知でも言いますか。関西圏でも言いますが、どちらかというと「ようさん」で、和歌山はなぜかみな「ぎょうさん」と言うなーと気づきましたもので。

ありがとうございました。
2019年4月17日 23:35
RicoAlfaRomeoさん、こんばんは。

この前書いてた「花撮りに…」というのはこの日の事でしたか。それにしてもRicoAlfaRomeoさんのブログは一つの物語ですね。 主題の他にかなりの頻度で誰かしらとの繋がりが出てくる。しかもカメラ繋がりという事が意外と多い。 それはRicoAlfaRomeoさんのお人柄がそうさせるんでしょうね。

あ、「ぎょうさん」は松山でも聞きますよ。 ただ、年配の人がよく使う言葉ですけどね。

ラストの桜が舞う写真は「お見事!」です。
コメントへの返答
2019年4月18日 6:49
どうも、一文無しさん。

そこに気づいてもらえるのはありがたいですね。まあ、そんな感じです。私のブログは。

またレンズの話になりますが、最後の写真が200mm望遠最大です。いちおうなんとかイメージ通りかな、と思ってホッとしています。

ありがとうございました。
2019年4月18日 0:09
こんばんは。
いつも美しいお写真を拝見し、ウイットに溢れた文章を楽しく拝読させていただいています。
が、今回のはRicoさんの神髄に触れた感が。
桜を徹底的にハイキーに撮っておられますね。明るくうきうきとしたイメージが伝わりました。雨に濡れた桜の花が明るく華やかに光っています。私が想像しなかったイメージです。
流石だなア!
コメントへの返答
2019年4月18日 6:57
どうも、奈良の小仏さん。
コメありがとうございます。

少々やりすぎですが今回深く掘り下げて書かせていただきました。嘘っぽく感じられるかもしれませんが、けっこうほんとにこんなこと考えながら撮ってたんですよ。

小仏さん、びわ湖行ったんですね。イングリッシュガーデンとかよかったですね。自分はびわ湖行ったことがないんですよ。近いのに。
2019年4月19日 7:59
おはようございます

タイトルの散る桜を見て
あー上手やなぁ…って思いながら
読みすすめましたよ

そしたらもう…文章と写真が交ざりあって
最後の1枚に心がジーン
キューーンとしましたわー

写真でこんな気分になるなんて
なかなかないです
すごいなぁ…
コメントへの返答
2019年4月19日 10:04
どうも、yukiさん。
過分なお言葉、光栄です。

話の内容が最後に写真と交錯するように書いたつもりだったので、まさにその意図を読み取っていただけるとはうれしいですね。
yukiさんご自身の、人の意図したことを読みとくセンスがおありなのもあるでしょう。

もちろん創作はなく、「高度成長期~」もすべておやじさんのセリフからです。はじめは邪魔でしたけど、途中から面白くなってきて、写真を撮らせてもらいました。右手の指に煙草をはさんでるあたりが、無頼ですね。

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Ricoというのは、「ガンスリンガー・ガール」(相田裕)という、今となってはちょっとふるい漫画に登場する男の子の名をつけられた少女のことです。 作中、ドラ...

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