前回のあらすじ。
「上高地で一泊しました」
上高地で迎える朝。

朝食をいただく。

旅装をととのえ、チェックアウト。
ホテルからすぐそばの田代橋でつと、ふりかえる。
穂高連峰よ、さらばだ。

きのうの今日で、また大正池に寄る。

さいごの最後でリフレクションを撮ろうと試みたが、
アリャ。なんかうまく撮れてないな。
風はないはずなのに。
朝9時の陽射しでシャッタースピード1/50だと撮れんか。
今回は明神池が主題だったので、大正池で気が弛んだか。

大正池のバス停のそばに
「ヤマオダマキ」が群生しているところを撮る。
前回来たときここに咲いてるのをおぼえていたから。

以上で上高地はおわり。
引き続き、
【岐阜・高山市】を観光します。
『煥章館』
というところが、高山市図書館なんですが市営駐車場になってます。
30分150円という周囲からすれば格安料金が魅力な駐車場なんですが、安いだけでなく、ほかにもここに停めた理由がちゃんとあるんです。
ていうか、自分の愛車入れて撮るの忘れてた。
あまりの暑さに我をうしなってた。

うだるような暑さのなか、テクテク歩いて行きます。
そういや、よくニュースで最高気温の話題で高山市がうつるのってこのへんですよね。

川沿い、高山名物の朝市。

その先で河岸におりる。
よし、ここだ!

(↑橋脚に注目)
ヌッハッハッハ・・・!
この私がこの炎天下の高山市を、のんべんだらりとただふつうにわけもなく観光するわけないでしょう!
アニメの聖地巡礼に決まってるでしょう!!
・・で、いま撮った橋(鍛治橋)を渡って、

ヨシッ!このあたりだな。

オープニング・メインタイトル・クレジット

(↑これコレッ!これが撮りたかった。構図カンペキ)
以上で聖地巡礼は終了。
これだけが目当てだったので。
あと、私が停めた駐車場の建物も図書館として、アニメの舞台となってます。
・・・炎天下の高山を汗だくになって私を歩かせた張本人。
その作品がこちら。
『氷 菓』(2012年)

製作は京都アニメーション。
そう、京アニとそれまでアニメファンのなかで尊敬をこめた略称にすぎなかった社名略が、テレビニュースでふつうに連呼されることとなったあの会社である。
そしてこの作品のスタッフも、遭難された方々が多い。
武本康弘監督とキャラクターデザインを手がけた作画監督の西屋太志氏が難に遭い、泉下の客となりました。

私は初見では、じつはこのアニメ、つまらないと思いました。
とにかく、ミステリーがひどい。
だって、最初の話で、
【ここからネタバレ有り】
「図書館の本が借りられた謎が、美術部員がモデルの小物に借りてただけ」
とかあって、
(なんじゃそりゃ)
と思いましたよ。オチにしてはあまりにひどすぎる。
【ネタバレ終了】
その後、事件後にもう一度見直してみました。
武本監督がインタビューか何かで、
「高校生なんだから、レベルを合わせました」
みたいなことをおっしゃってて、
(そりゃ、そうだわな)
と納得しました。
高校生が殺人事件なぞ解いてたら、リアリティもなにもありませんからね。
で、見直したら、これがけっこう面白い。
ヒロインのキャラ造形がズルいと言いますか、折木(おれき)という名の男子生徒とのやりとりといいますか距離感と言いますか、こう胸のあたりをキュウーッとつかまれたような、あ”あ”あ”---ッ!!となるような、そんな感じのアニメです。

とにかく演出がうまい。
魅力的なアニメに仕上がってる。
「涼宮ハルヒの憂鬱」を越える作品を社内で作りたかったんだな、というのがしみじみわかる。
こんな有能ですごい監督やスタッフが不慮の事件でいなくなるなんて、なんとこの世は理不尽な世界なのだろう。
あと、私が高山市をおとずれたこの日は、7月18日。
偶然でもなければ、冗談で聖地巡礼やってる気持ちは、みじんもない。

【企業論としての「京アニ」】
「またおまえはアニメの話か」
と言われそうなので、みんカラにはさまざまな会社に勤められてる方がおられるのを見据え、ちょっとここでみなさまの興味をひく企業論などを。じつは、京アニって、企業としてスゴイ不思議な会社なんです。
手っ取り早くいうと、アニメにおける下剋上。
たとえるなら、自動車部品工場がいきなりメーカーに躍り出て車つくってトヨタを抜いたような感じ。
その昔、私のような世代ならよく知ってます。
1980年代、京アニはEDのテロップに最後のほうにでてくる動画や仕上げやってる会社。
それこそ、宇治市内のパートのおばちゃん雇って、セルの色塗りさせてた会社でした。
それが2000年代になって、突如として元請け、制作会社になったんです。
これを下克上と言わずしてなんでしょう。
しかも作画がダントツにうつくしく、アニメもたいへんヒットし、一時にはあのスタジオジブリをも超えたとまでいわれ、実質的には日本一、いや世界一のアニメスタジオとして一世を風靡しました。
しかし、いったいどうやって?この辺りがたいへん謎で、アニメを制作するには、絵を描く作画、演出スタッフなど人材、そして資本をどのようにこの会社は蓄えていったのか。
社長の奥様がたいへん敏腕な方で、それでという話ですが、なにより面白いのが八田英明社長もかなり懐の広い方で、ヒット作品だすと調子にのって若手スタッフがオリジナル作品をつくって大コケし、会社に大損害をだしても社長は「どんどんやってええよ」といった具合だったらしいのです。
「涼宮ハルヒの憂鬱」や「らき☆すた」でヒット作品を出すと、「空を見上げる少女のナントカ」というオリジナル作品で盛大にコケます。あまりのつまらなさに当時アニメファンもドン引きしたものです。
その後も「けいおん!」でまた大ヒットして盛り返しますが、またオリジナルつくって低迷します。でも社長も気前いいといいますか、若手にどんどんやらすんですよね。このあたりがスタジオジブリとえらいちがいなんです。
スタジオジブリは手っ取り早くいうと、宮崎駿の動画工房です。
原画マンがかいた原画を、「こんなんじゃだめだ!」と監督が直してしまいます。
それも、ほとんど加筆してしまうんです。
作画監督が別にいても、です。
これを一般の会社にたとえると、どういうのでしょう。
結果、若手が育ちません。
宮崎駿も高齢になり、「ゲド戦記」をやるにあたって監督誰にするのかというと、だれもいないので宮崎駿の息子がなるんです。
馬鹿が極まってます。スタジオジブリの監督は世襲制なのでしょうか。
ふつうに考えればわかることですが、意外と多くの人は気づかないものです。
ほかにも監督いただろうといわれますが、ではアリエッティの監督って名前でてくるでしょうか。その程度なんです。
企業論として、スタジオジブリは栄光あるクズ会社だといえるのです。
* * *
さーて。話をわたしの旅にもどしますと。
さっきの朝市やってた通りにもどり、一軒のお店に入ります。
なかをのぞくと、「飛騨牛丼」というメニューが気になったもので。
鍛治橋ふきんには「飛騨牛」の看板を掲げたお店が多いが、どこもスゴイ値段。800円でどういう飛騨牛が味わえるのか。レッツトライ!

地元の客らしく、5人のおっさんが味噌の朴葉焼きを肴に昼間からビールをやってます。で、ワクチン接種がどうのとかいう話をしています。そのなかで私はひとり、ぬるい茶をすすりながら飛騨牛丼が来るのを待ってます。
きましたぜ、飛騨牛丼。

(↑「肉、少な!」と思うのがやはり人情。800円だとこれかー。ただ食ってみると、たしかにウマい。和牛以上の肉の味だ)
以上で飛騨高山は終わり。
このまま車で下呂温泉に行きます。
【下呂温泉】
その宿にわたしが泊まるキッカケは、雑誌の広告をみて。
「この写真、イイ! 撮りたい!」
と思い、泊りたいので撮っていいですか?とメールすると、「どうぞ」との返事が。
「男の隠れ家 別冊」より

一番乗りで駐車場に車を停めるが、写真を撮ろうとすると一台、もう一台とこれまた高そうなお車がやってくる。
まっ、私もアルファロメオなんで! まあー、見劣りはしないといいますか。
なんかもー、アルファロメオ乗りってそういうこと、いちいち気にしすぎるのか。それともただ単に私の自己顕示欲が過多なだけなのか。

ほおー、カッコイイね!

『下呂温泉 湯之島館』

玄関がまず豪奢。
ここで靴をあずかります。
上高地のホテルもそうで、ここもなんだけど、なんでこういう一定の格式のある宿だと下足番みたいな係がいて、靴をあずけるのだろう。客が逃げないようにするためだろうか。

あがってすぐに売店があって、ここを右へと案内されます。

無料のカフェサービスルームです。
喫茶店ではありません。
セルフでカフェです。
お茶菓子が供され、フロントではなくここでチェックインの手続きをするのですが、ふつうの宿とは異なる段取りに少々戸惑います。

このあと、お部屋に案内されます。
こういった渡り廊下をふくめ、
当館は建築物ぜんたいが
登録有形文化財に指定されてます。
まあこの程度ならおどろかないのですが・・。
このあと、私を驚愕させることが。
なんと、上皇陛下と上皇后さまがお泊まりになられたと!(昭和51年)
えっ、昭和天皇もお泊まりになられたんですか。(昭和33年)
なんか、けっこうこの旅館スゴかったんだな。
雑誌の広告みて何も知らずに泊まったんですが。
天皇陛下がお泊まりになった宿に泊まるなんて、はじめての経験です。
このほか、なぜか近在で出土したであろう土器の破片やら矢じりやら展示されてて、なんか鉄砲までありまして、なんで鉄砲。個人的にはウケましたが。
創業は昭和6年。レトロな感じが随所に。
で、いよいよお部屋なんですが、障子をガラリあけて、ギョッとなる。
エッ、せまっ。
3万だしてコレはないでしょう。
布団部屋ですか。
ちょっと私、あわててました。
右の簾戸(すど)をあけ放つと、
おっ。
ちょっとわかりにくいですが、広縁がL字になってます。
いいね~。
角部屋だ。
こういう部屋に泊まりたかったんだよ。
なんか、文豪が泊まりそうな部屋に。
あと、お部屋係なんて方がおりまして、名をサトミさん。
てっきり姓かと思ったら、名がサトミ。
名前でよぶんですか。
仲居さんを名前でよぶのが基本なんですか。
サトミさんに、ひろい館内を案内してもらう。
本館3階の展望台へ。
展望台があるんですか。
(↑下呂温泉を一望できる)
さっそく温泉に入りにいきましょう。
ガラス張りでここからも下呂温泉の街並みがみえる。
露天風呂。
きのうの上高地の温泉は硫黄泉だったけど、下呂温泉って無臭なんですね。
湯に浸かると、山しかみえん。
風呂上りは、「神泡 ザ・プレミアムモルツ」でキュッと。
豪勢なお料理が出てきました。
飛騨牛に、
お造りもありました。
当館オリジナル料理。
巻き寿司の朴葉焼き。
いくら何でも、巻き寿司焼くことないだろう。
そのまま食べればいいじゃない。
飛騨牛の鍋。
「ほんとうにトマトも入れるんですか」
何度もサトミさんに確認した。
トマトも入れていいらしい。
生貯蔵酒をたのむ。
地元、天領酒造の酒。
サトミさんが、
「お注ぎしましょうか」というので素直にお願いすると、
写真のように注ぎはじめた。
あれ?杯はオレが持って、それから注ぐんじゃ?
サトミさんが持つんじゃないでしょ。
サトミさんはちょくちょくこのような天然ボケをかますので、見ていて飽きない。
食事の途中でふと、立ち上がる。
優雅にメシ食ってる場合じゃねえ!
おれはここに写真撮りに来たんだった!
三脚すえて撮りだすが、
うーん。なんかこう、ピンとこないな。
ピントあってない?ボケてる?
ちなみに雑誌とおなじ構図は、
カメラの位置どりをざんざん考察したものの、
またホテルの従業員にもきいて情報をえたけど、
どうやらあの屋根の上から撮ったものらしく、断念した。
わたしの部屋からみえる。無料カフェルームの上。
部屋に帰って食事のつづきを。
何やってんだか。
アユの塩焼きが供されます。
上高地が岩魚でここは鮎。
フカヒレの酢の物ですってよ。これは、めずらしいな。
デザートをいただきます。
日もとっぷり暮れたころ、また撮りに行きました。
ま、これがいちばんマシかな。
ま、こんなふうです。
わたしの旅は。
翌朝、朝食をいただいたら、わたしの旅も終わりです。
今回は、温泉、温泉で心身ともにリフレッシュな旅でした。
ありがとうございました。
またお会いしましょう。
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Posted at
2021/07/24 18:54:18