
クルマのエンジン音。
クルマを愉しむ重要な要素として、常に私はエンジン音にこだわっています。
私が幼少の時、酒屋だった父が配達兼自家用として使っていたトヨタカローラバンのエンジン音が、最初に"カッコいいエンジン音"として意識した音でした。
物心のつく頃からずっとクルマが好きだった私は、店先のテントの下に腰掛けて通り過ぎるクルマをずっと眺めながら好きな車から順番にエンジン音を覚えていったように思います。
小学6年生くらいになる頃には、エンジン音を聞いただけでメーカー名はもちろん、車種のグレードまで聞き分けられるようになっていました。
小さな頃からピアノを習い、耳コピーが何より得意だった私は、音階という明確な答えの無い音にも興味を注いでいたんだと思います。
父のカローラバンは、見た目がほぼ同じ他のグレードとは決定的にエンジン音が違いました。何故か高級感がありました。
1400 Hi Deluxeというグレードだったと思います。このグレードのエンジンだけ、音楽的な表現をすれば7th(セブンス)、他の1200ccのグレードは概ね6th(シックス)の倍音でした。
高校生になり友達が夜な夜なオートバイで走り始めると、音への興味も自然とオートバイへ移っていきました。
中でもYAMAHAのエンジンはどこかに7thの倍音が聞こえて、気持ちよかったのを憶えています。とりわけ好きだったのがFZ400のエンジン音。
OverやDaishinの集合管に換えても7thの倍音は確実に聞こえてましたが、一部暴走族的な輩が直管にしてバリバリ言わせていたのには興醒めしていたものです。
このような想いを今もなお引きずっているものですから、現在自分が乗ろうというクルマも車種の次くらいにエンジンが何なのかというのが重要だったりします。
音が大きいのが良い、という訳ではありません。
BMW320、そして325。
これらのエンジンはシルキーシックスという有名なあだ名が付けられたほどスムーズなエンジンで、音も私のいう7thの高級感とスムーズな吹け上がりが特徴でした。
VITZはVVT-iエンジン。
音質は普通っぽかったですけど、AE86からの流れを感じる音。HKSのマフラー(リアピースのみ)に換えて気分を盛り上げていました。その昔初代MR-2に乗っていた事もあり、懐かしい音でした。
レガシィワゴンは、自分のクルマ遍歴の中でも特別な1台。
特徴的なエンジン音に興味を持っての選択でした。
マフラーも2度に渡って交換し、ドロドロとした音を愉しみました。
そして次なるMB C240Tもまた、7thの倍音を奏でる素晴らしいV6エンジンの持ち主であります。
BMW 116iは、正直音が素晴らしい!とは感じません。
が、テンロクとしては良いのかな?BMWっぽさも感じるし。
エンジン音への捻じ曲がった憧れが暴走族の爆音を生み、エンジン音が単純に騒音として片付けられてしまう昨今、国産車はもちろん輸入車までも多くがエンジン音を"消す"方向に進み、省エネなどの政治的背景から賢いハイブリッド車なるものが誕生して、ますますクルマという文化が音との決別の道を辿っている気がします。
エンジンの不調などを聞き分けるために、あえて車内にエンジン音が響く構造になっていたドイツ車も今は、"エンジンが掛かっているのかいないのか判らない"くらい静かですね。
少なくとも音を愉しんでいる私には、寂しい思いがします。
と、同時にプリウスやアクアといった静かな静かなクルマにオプション設定されたマフラーカッターは何を意味するものか…お洒落ということでしょうか。
近所が迷惑するほどの爆音は、私もキライです。
しかし、音が出ないクルマはもっとキライです。
Posted at 2015/08/16 22:42:01 | |
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