
ジャズ・ピアニストとしてキース・ジャレットさんは、確固たる地位を築いていますが・・。彼の「ケルン・コンサート」という、名盤といわれる演奏を楽譜におこして弾いてみると・・。モノマネとしては良いのかもしれないですが、果たしてこの即興演奏がその場で得られる様なものになるか?と、言えばそうでもないわけで・・。例えば、このコード進行から彼の様な解釈がどういう流れで得られたものなのか?などを勉強するにはとても良い教材ではあります。が、演奏してみたいか?と言われると、演奏する前は弾きたくて購入したはずなんですが・・。いざ、実際にコピー通りに弾いてみても感動は得られず・・、なんとなく虚しさを感じてしまいます。
高校生の頃・・まだジャズの演奏を殆ど理解していない当時。ジョー・サンプルさんの「Carmel」を始めて聴いて「なんてカッコイイんだ!弾いてみたい!」そう思わせました。すぐに、放課後に楽器屋さんに飛んでいき、彼の楽譜を購入しました。練習に練習を重ねてようやく弾けた時・・感動してしまいました。自分で言うのもなんなんですが、まあまあレコード?通りに弾けたのです。これはカッコイイぞ。もっと、練習しよう。いやあ、弾きまくりました。当時は、それで良かったのかもしれません。曲調も随分とキース・ジャレットさんのものとは違いますし、スティックス・フーパーさんのドラミングもジョー・サンプルさんのと上手く絡み合って曲の完成度を高めています。なので、バンドとして演奏する事が楽しくて楽しくて・・。高校生ですから、それは新鮮で感動の連続でした。
出来あがったテーマのほぼ決まった曲をバンドとして演奏するジョー・サンプルのスタイルと、その場の雰囲気も加味して瞬間的に即興で創り上げていくキース・ジャレットさんの演奏スタイルでは、かなりの差がありますし・・。楽譜として起こした時の意味合いも変わってきてしまいます。後者のスタイルだと、即興演奏の完成度に意味があるものなので、コピー作品にはどちらかと言えばあまり意味がないのかもしれません。
そんな思いを巡らせながら、今キース・ジャレットさんのケルン・コンサートに耳を傾けていると・・これまでの思いが走馬灯の様に頭の中を巡って・・。それでも、その演奏の美しさに何度も聴いているのにもかかわらず感動してしまうのです。

Posted at 2016/08/09 01:00:33 | |
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