
E36レストア手引き書(原題:「BMW 3 Series E36 Restoration Tips & Techniques」・Greg Hudock著・2012年Brooklands Books刊)の非公式和訳です。
目次はこちら
第1章 E36全モデル概説
――クーペ・セダン・M3・コンパクト・コンバーチブル・
ツーリング・ディーゼル・チューナーモデル
レースで栄冠を勝ち取るクーペ、経済的なセダン、街にピッタリのコンパクトカー、丈夫なボディのコンバーチブル、そしてディーゼルエンジンを積んだ頼もしいワゴン。これらすべてを同じプラットフォームから作り分けるなどそうそうできるものではないが、BMWはE36で見事にやってのけた。本章では、E36型3シリーズのそれら全種類について解説しよう。
(項目一覧)
1. クーペ・セダン標準モデル(ガソリンエンジン車)
2. 4気筒モデル
3. 6気筒モデル
4. 特別仕様車
5. M3標準モデル
6. 特別仕様M3
7. コンパクト・コンバーチブル・ツーリング・ディーゼル
8. チューナーモデル
9. E36年表
クーペ・セダン標準モデル(ガソリンエンジン車)
E36標準モデルのクーペとセダンは単にドアの枚数が異なっただけではなく、ほとんどのボディ外板がそれぞれ専用だった。重量はセダンの方がわずかに大きいが、性能に事実上差はない。E36ではコンパクトを除き、リアサスペンションに従来の旧式なトレーリングアーム(訳注:セミトレーリングアーム)式に代わって「Zアクスル」と称するマルチリンク式が採用された。
欧州仕様の標準モデルにはGM製4段(4気筒車)もしくはZF製5段(6気筒車)のオートマチック・トランスミッション(AT)、そして5段のゲトラグまたはZF製マニュアル・トランスミッション(MT)が設定された。北米仕様にはGM製4段ATとゲトラグ/ZF製5段MTが、アジア・オセアニア仕様にはゲトラグ/ZF製MTとジヤトコ製ATがそれぞれ設定された。
項目一覧へ
4気筒モデル
基準となる4気筒車のエンジンは1991-1993年にM40型が、1994-1998年にM43型がそれぞれ搭載された(北米仕様は1992-1995年がM42型・1996-1998年がM44型)。欧州仕様の廉価モデルでは後ブレーキがドラム式となったが、北米仕様は全車4輪ディスク式であった。パワーでは6気筒に譲るとはいえ4気筒でも十分楽しめることに違いはないし、ターボやスーパーチャージャーでパワーアップを図るにはむしろ好都合である。
316i
316はE36欧州仕様のもっとも基本となるモデルで、装備レベルにより普通の316iと充実の316i SEに分かれた。お値打ち価格で経済的なのにまごうかたなきBMWということで、市場でも好評を博した。信頼性が高くてコーナリングも楽しめる手頃なお値段のクルマを求める向きには今でもお勧めできるし、むろん初めてのクルマにもうってつけだ。
318i・318is
318は欧州では316のひとつ上で、北米ではもっとも基本のモデルであった。316のすべてを兼ねそなえつつパワーのおまけが付く点は従来モデルそのままで、「新しい直6までは無理だがBMWは欲しい」という層に大いに受けた。燃費がよくてキビキビ走るE36として、依然として小さな出費で大いに楽しめる1台といえよう。北米以外の115bhp仕様はちょっと眠たいが、140bhp版は相応に楽しめる。
318をベースにした特別仕様車も多数存在した。FIAクラスIIの公認取得目的で1994・1995年モデルとして生産された318isクラスIIセダン(ドイツ向け1000台・他欧州市場向け1500台)もその1台で、M3 GTに倣うかのように専用サスペンションならびにM社製エアロパーツとM3 GT用リアスポイラーが付いていた。他にも、フルオプションのシンガポール仕様やBMW南アフリカのプレトリアで生産される「リミテッド」「エグゼクティブ」など、各地域独自のモデルも多く発売された。
項目一覧へ
6気筒モデル
4気筒にちょっとおまけした程度の320からM3に近い迫力の328まで、標準6気筒モデルの性能はひじょうに幅広い。
320i
欧州とカナダでは直列6気筒エンジン搭載車の基本だった320は、6気筒のE36では最量販モデルとなった。甘美な音を奏でる2.0Lエンジンは1991-1994年がM50型、1994-1998年はM52型で、両者とも150bhpを発生した。より上位のモデルほどの愛好は受けないが、価格はともかくとして経済性は4気筒車に近い。
323i・323is
(訳注:北米では)コンパクトを除くE36の基本モデルだった318の販売終了に先んじて、その代替として1996年に投入されたのが323だ。搭載するM52型エンジンは325のM50型と排気量はまったく同じだが、328との差をつけるためにあえて出力を168bhpにまで抑えられ、モデル名の数字も小さくなった。下位モデルとして軽く見られがちではあるが、今仮に325を探すなら323も候補に入れたい。325の方が上とみる人もいるが、323は本質的に325をより新しく上質にしたものだからである。
325i・325is
328以前に3シリーズ標準車の最高出力版だったのが325だ。M3の登場までは全E36中の花形的存在で、内容もそれに見あうものだった。エンジンは力強く滑らかに回り189bhpを発生する鋳鉄ブロックのM50型で、スリリングな加速は先代のM3にも匹敵する。M3以外のE36中最強となる328の出現で多少なりとも影が薄くなったとはいえ、いまだに安価に楽しめる1台には変わりがない。
328i・328is
入れ替わりに退いた325よりもわずかに力強く(189bhp→190bhp)、より強大なトルクと低排出ガスを実現した328は、3シリーズ全体の水準を引き上げたモデルだ。余計な出費に悩まされずにスポーティなE36に乗りたいとなれば、M3の代わりとしてお勧めできる。
項目一覧へ
インディビジュアル・Mテクニック・Mスポーツ・クラブスポーツ各モデル
E36の生産期間中、これらの名前を冠した特別仕様やパッケージオプションも用意された。たいていは上級のホイールや強化サスペンションを装備あるいはエアロパーツや内装の装飾を追加したものである。標準モデルに対しては明らかな高値がつくが、M3ほどの威光はない。
項目一覧へ
M3標準モデル
E36型M3の例えとして引き合いに出される「サヴィル・ロウのスーツをまとったフェラーリ」という言いまわしは私もいたく気に入るところだが、このE36型は先代のE30型とは成り立ちが大きく異なる。競技向けの強化版だったE30はエンジンも4気筒を積んでいたが、E36はサーキットと公道の両方に軸足をおいてGT的要素を強めたのだ。「GT」と聞いて軟弱とあなどるなかれ、実はリアルスポーツカー顔負けのとんでもない速さを誇るのだ!
欧州仕様3.0LモデルにはZF製5段MTが、後の3.2L版にはゲトラグ製6段MTが設定された。ゲトラグ製6段セミオートマチックトランスミッション(SMG)装備車も少数存在する。北米ではZF製5段のMTならびにATが用意された。
M3・M3エボリューション(欧州仕様)
欧州仕様M3は、1993年モデルとして登場するやいなや傑作の名をほしいままとした。一見普通のE36にしか見えないが、内にはサーキット走行もこなせる強靱な足回りを秘めていたのだ。ボンネットの下に収まるS50型6気筒エンジンは286bhpを発生し、リミッターが働く155mph(250km/h)までたやすく導いてくれた。1996年には同じS50型ながら321bhpとより強力な3.2Lエンジンを得たM3エボリューションへ交代した。当時も今も、BMWの歴史上類いまれな素晴らしいスポーツカーであることはまちがいない。
M3(北米仕様)
もともと、北米市場にはE36型M3を導入する予定はなかった。ところが欧州での大好評を受け、BMWは1994年になって北米版のM3を仕立てることを決定した。もっとも、生産コストの関係で北米仕様には欧州仕様とは別のエンジンが載せられることになった。1995年モデルとして登場した3.0LのS50US型エンジンは最高出力240bhpで、気筒別独立スロットルのような欧州仕様にみられる高コストの部品は省かれていた。1996-99年には3.2LのS52型が搭載され、240bhpは据え置きながらトルクはより豊富となった。パワーでは欧州仕様に見劣りするものの、1990年代以降の北米向けスポーツカーの中では依然として際だつ1台である。
M3(カナダ仕様・1994年のみ)
北米仕様M3の登場前、BMWのカナダ法人は欧州仕様1994年モデルのM3を45台限定で輸入した。これは欧州仕様M3が北米へ正規導入された唯一の例である。
項目一覧へ
特別仕様M3
M3にも数々の特別仕様車が存在したが、その多くは競技公認取得用や記念モデルであった。
M3 GTR(1994年・ドイツ)
1994年のADAC(ドイツ自動車連盟)ドイツGTカップツーリングカー選手権に出場するための公認取得モデル。エンジンは欧州仕様3.0Lの強化版で300bhpを発生する。公道用としては2台のみ生産された。
M3-R(1994年・オーストラリア)
同じく競技公認取得用のモデルで、こちらはオーストラリアのスーパープロダクションシリーズ出場を目的とした。3.0Lの欧州仕様がベースだが、出力はBMW製E36型M3中最高となる322bhpまで向上している。E31型850Ciから流用した強化プロペラシャフトやAPレーシング製のクラッチ、自社製グループN仕様スプリング・ダンパーで武装し速度リミッターも解除される一方、ラジオ・集中ドアロック・チェックコントロールは省かれている。外装色はアルピンホワイトIIIのみ、内装もアンスラサイトのスエード調のみとなる。生産台数はわずか15台であった。
M3 GT(1995年・欧州)
3番目の公認取得用特別仕様車となるM3 GTは、FIAならびにIMSAのGT選手権出場のために造られた。欧州市場限定で400台のみ販売されたが、うち50台は英国向けの右ハンドル仕様(M3 GTインディビジュアル)だった。サスペンションは固められ、ストラットタワーバーや調整式の前後スポイラーが追加された。英国以外ではアルミ製ドアパネルが付くが、英国仕様のうち9台にも特注で装備されている。欧州仕様3.0Lがベースのエンジンは295bhpを発生し、外装色はブリティッシュ・レーシング・グリーン1色のみであった。
M3 CSL(1995年・北米)
1970年代のCSL本来の精神に則り、E36のCSLでは標準車から90~140kgの軽量化がなされた。その手法にはエアコン・サンルーフ・遮音材・ラジオ・スペアタイヤならびにジャッキといった装備品の撤去はもちろん、ドアパネルのアルミ化やカーペットの軽量化ならびにカーボンファイバー製内装材など軽量材料への置換も含まれる。エンジンは北米仕様M3標準の240bhp版である。生産台数は公式に発表されていないが、およそ120台とみられる。
M3コンパクト(1996年・ドイツ)
ドイツの自動車雑誌「Auto Motor und Sport」の創刊50周年を祝して1台のみが造られた、特別仕様M3の中でも一番希少なモデルである。エンジンは3.2Lの321bhp版を積んでいた。
M3エボリューション・イモラ・インディビジュアル(1999年・欧州)
1996年以降の欧州仕様M3には、それまでの3.0L版と区別するために「エボリューション」の名前が追加された。このM3エボリューション・イモラ・インディビジュアル(GT2ともいわれる)は、欧州向けの限定車である。イモラレッドの外装色と特別仕立ての内装、それにM3 GT用のリアスポイラーが装備された。トランスミッションがSMGとなるのも良い話に聞こえるが実際は不具合の種となることが多く、信頼ある6段MTに換装するオーナーも少なからずいた。生産台数は英国向けが50台、その他欧州市場向けが200台であった。
M3アニバーサリーエディション(1999年・オーストラリア)
BMWモータースポーツ社の創立25周年を記念してオーストラリア限定で発売されたモデルだが、センターコンソールにスターリングシルバー製の銘板が付くほかは標準のM3とまったく同じである。クーペ50台・コンバーチブル70台の計120台が生産された。
項目一覧へ
コンパクト(E36/5)
1994年、標準のE36型3シリーズの後端を23cm切りとって生まれたのがコンパクトだ。リアサスペンションは標準車の「Zアクスル」ではなく、先代E30型から引き継いだトレーリングアーム(訳注:セミトレーリングアーム)式となる。街乗りに適した小柄で経済的なクルマをというねらいで開発されたコンパクトは、北米では予想ほど売れなかったものの欧州では大成功を収めた。今日では、軽量さと他のE36用部品の流用で手軽に高性能化を図れる点でサーキット走行用の種車として注目される。
316iコンパクト
北米以外の地域で販売された。実用的かつ経済的なのはセダン・クーペ譲りである。ついでにパワーが足りないのも同じだが、軽量なコンパクトではさほど大きな問題ではないだろう。
316gコンパクト
BMWがいかにしてE36にクラス随一の先進性を与えようとしていたかを最もよく物語る、超希少モデルだ。80L入りの圧縮天然ガス(CNG)タンクを備え、ガソリンと天然ガスを切り替えて走行できた。出力はガソリンで102bhp、CNGで87bhpであった。収集の対象にはなりそうにもないが、生産はわずか544台と珍しさでは最右翼だ。
318tiコンパクト
4気筒のコンパクトとしてはスポーティな位置づけで、このモデルのみ北米でも販売された。エンジンはM42型またはM44型(1996年以降)で、いずれも138bhpとまずまずの性能だった。特別仕様として、スポーツサスペンションと赤黒コーディネートの内装ならびにM社製エアロパーツを装備した318tiクラブスポーツ・エディションというモデルも存在した。また、大型キャンバストップを備えた「カリフォルニア・エディション」も限定販売された。
318tdsコンパクト
好燃費と余裕あるトルクをもたらす、コンパクト唯一のディーゼルエンジン搭載モデルである。傑出した所こそないが、特徴的なことは確かだ。
323tiコンパクト
一種ダークホース的な1台といえよう。北米以外で販売されたこのクルマ、およそ気取ったところがない見た目は他のコンパクトと選ぶところがないのだが、軽量ボディには威勢のいい直6が載っているのだ。ステアリングを握ればもう興奮のるつぼ、しかもスポーツ・リミテッド・エディションならなおのことだ。
コンバーチブル
E36のコンバーチブルには2種類あった。通常の2ドアモデルと、奇妙奇天烈かつ希少なバウアTC4である。
標準コンバーチブル
E36では318・320・323・325・328にコンバーチブルモデルが存在し、オープンながら堅牢なボディと優れた性能が売りであった。本質的なところはクーペ・セダン版とまったく共通である。
バウアTC4
バウア製E36コンバーチブルは、独特というほかない。第二次世界大戦前からBMWのコンバーチブル化を手がけてきた同社だが、ことE36ではセダンの屋根を切りとって幌を付けるという奇策を採ったのだ。1996年まで造られ、当初はドイツのみで販売された。生産はわずかに310台である。
ディーゼル
3シリーズとディーゼルエンジンの関係は、BMWがより経済的なエンジンを求めて試行錯誤するさなかのE30型の時代に始まった。E36型もその流れを引き継ぎ、セダン・ツーリング・コンパクトの各ボディに設定された。1.7Lの318tdsは出力こそ89bhpと興味を引くものではないが、ディーゼル乗用車の例に漏れずトルクは充実の140lb-ft(19.4kgf-m)を発生した。2.5L版の325tdsともなれば出力は141bhp、トルクも210lb-ft(29.0kgf-m)とはるかに上を行く。インタークーラーなしの325tdというモデルも存在し、こちらの出力は115bhpとなる。収集的価値とはおよそ無縁だが、E36の中でも特異なモデルにはまちがいないところだ。
項目一覧へ
各種チューナーモデル
ちょっと珍しくて特別な1台を望む顧客の受け皿として、チューナーがよりをかけたモデルも存在した。BMWを手がけるチューナーは多いが、中でもドイツで著名なのがACシュニッツァーとアルピナだ。他にも、ディナン・ハルトゲ・レーシングダイナミクスといったチューナーがチューニングあるいはドレスアップパーツ製作を手がけている。
ACシュニッツァー
同社のE36チューニングカタログの表紙に記された「Made by winners, made for fun.(勝者から、歓びのために)」という標語がすべてを物語る。ACシュニッツァー・アウトモビル・テクニークは1987年にシュニッツァー・モータースポーツ・チームから派生してドイツのアーヘンで創業し、以来成長を続けてきた。E36ベースのモデルについても基本的にはサーキット指向だ。4気筒・6気筒にかかわらずE36の全ボディタイプのチューニングを行ってきたが、特筆すべきモデルとしては260bhpのS3 3.2コンパクト、320bhpのS3 CLS、344bhpのS3 CLS IIが挙げられる。
アルピナ
1965年、アルピナはブルカルト・ボーフェンジーペンによってドイツ・バイエルン州のカウフボイレンで設立された。今日ではZ8ベースのロードスターや7シリーズベースのB7などのように、BMW本社と直接連携して開発を進める独自の立ち位置にある。E36においても325iに軽く上乗せしたモデルから火傷しそうなV8パワーを誇るB8まで、優れたチューニングモデルをいくつも生みだしている。
B2.5はMテクニック・サスペンションを装備した325iをベースとし、ECUマップの書き換えならびに自社製吸気管・カムシャフトならびにステンレス製排気管を組みこんで出力を225bhpに上げている。外装は専用エアロパーツとホイールで決め、内装もレザーのスポーツシートとモモ製のステアリングホイール・シフトノブが装備されるとともにアルピナ製であることを示すシリアルナンバー入り銘板が付く。このB2.5は200台のみ生産された。328ベースとなるB6 2.8はB2.5と内容としては共通するところが多いが、2.8Lへの拡大によりパワーも240bhpまで上乗せされている。
B3 3.0は328iがベースとなる。3.0の名が示すとおり、このアルピナ版ではボアアップにより3.0Lの排気量から250bhpを発生する。アルピナ車の例にもれずエアロパーツと専用ホイールが付き、内装もさらに豪華となる。B3 3.2はB3 3.0の進化版で、3.2Lとさらに拡大したエンジンから265bhpを発生する。
そしてBMWがV8搭載のM3を登場させる2008年よりも前のこと、アルピナはE36で掟破りともいえるV8モデルを生みだしていた。5/7シリーズから32バルブV8エンジンを拝借して造り出した、311bhpの4.0L版ならびに最高速度175mph(282km/h)を誇る333bhpの4.6L版だ。4.0L版はわずかに5台、4.6L版はコンバーチブル23台を含む221台が生産された。
ディナン・ハルトゲ・レーシングダイナミクス
スティーブ・ディナンが1979年にアメリカ・カリフォルニアのモーガンヒルで創業したディナンは、北米有数のBMWチューナーだ。E36型M3をベースに仕立てた「ステージII」モデルはスーパーチャージャー付きの直6で354bhpを発生し、0-60mph(0-96km/h)加速を4.7秒でこなす。
ハルトゲはレーサーのヘルベルト・ハルトゲがドイツのメルツィヒで1971年に創業したチューナーだ。ここも他に違わず、見た目も性能も過激なE36を造っている。ハルトゲH3には2.8・3.2・3.5の種類があった。280bhpを叩きだしたハルトゲ323tiコンパクトは特記すべきところだ。
フェデリコ・パヴォンチェッリが1980年にミラノで創立したチューナーが、レーシングダイナミクスだ。3シリーズの直6をベースに程よいチューンアップで265bhpを発生したK30.4がある一方で、R55コンパクトという怪物そのもののモデルもあった。こちらは427bhpまでチューンした7シリーズのV12を移植したもので0-60mph(0-96km/h)加速は4.2秒、そして最高速度はなんと仰天の190mph(306km/h)という代物である。
項目一覧へ
E36年表
1989
1990
- E36型欧州発表。
- 市販車の生産開始。4ドアセダン8,335台を生産。
1991
- この年半ば、1992年モデルとしてE36型北米発表。
- 生産体制が本格化、265,527台を生産。
1992
- クーペモデル登場。
- 欧州仕様M3登場。
- アンチロックブレーキ(ABS)の全車標準化。
- 運転席エアバッグを325に標準化。
- 前年を上まわる362,845台を生産。
1993
- 6気筒エンジンに吸気側の可変バルブタイミング機構(VANOS)を導入。
- 運転席エアバッグを全車標準化。
- エアコンディショナーの冷媒をR-12からノンフロンのR-134aに変更。
- セダンに可倒式リアシートをオプション設定。
- 生産台数339,791台。
1994
- コンバーチブル登場。
- オートマチック・スタビリティ・コントロール(ASC+T)をオプション設定。
- この年後半、サイドマーカーを標準化。
- ドアロック・サンルーフ・ドアウインドウの集中コントロール化。
- 10月、運転席・助手席エアバッグの全車標準化。
- 米サウスカロライナ州のスパータンバーグ工場で北米市場向けE36を少数生産開始。
1995
- 北米仕様M3登場。
- E36/5型コンパクト登場。
- 欧州市場限定でツーリング登場。
- イモビライザー導入をはじめ、盗難防止対策を強化。
- 316iコンパクトを除く全車にエアコンディショナーを標準化。
1996
- 325生産終了。
- 323・328登場。
- M3のエンジンを欧州・北米仕様とも3.2L化。
- オーディオの車速連動音量自動調節機能ならびにラジオのプリセット選局数追加、CDチェンジャーをオプション設定。
1997
- M3セダン登場。
- サイドエアバッグをオプション設定。
- トラクションコントロールの全車標準化。
- 新型5シリーズに倣い、キドニーグリルの意匠を変更。
- ターンシグナル・サイドマーカーのデザインを変更。
1998
- サイドエアバッグ標準化。
- コンバーチブル全車に全自動トップ標準化。
- 8月、E46型3シリーズ発表。E36はクーペが1999年まで、コンパクトが2000年まで生産とされた。
1999
- E36型セダン生産終了。
- E46型3シリーズ発売。
- この年をもってE36型クーペ生産終了。
2000
項目一覧へ
ブログ一覧 |
E36レストア本和訳 | クルマ
Posted at
2022/05/03 11:26:29