(注) 2017年8月現在、取消線つきのリンク先ページはなくなっております。申し訳ありません。
「2速1000rpm速度」の話題を続けてきましたが、関係のありそうな面白い記事を見かけたのでもうちょっと考えてみたいと思います。
記事はカーセンサーEDGEの
薄めの低速トルク+MTという(ある意味)贅沢です。低速トルクの大きい今時のエンジンよりも'90年代アルファロメオの4気筒のような「足りな目」の低速トルクをドライバーのMT操作で補ってやるのが今となっては贅沢な楽しみではないか?というお話です。
かつてはスポーツカーでなくとも最高出力などのカタログスペック重視で低速トルクが不足した車は珍しくありませんでしたし、それをMTならともかく4段程度のATで乗るとちょっと加速したくて少しアクセルを踏み足してもまるで反応せずさらに踏み足すといきなりキックダウンが起こって回転が跳ね上がり意図せぬ怒濤の加速…というのがよくあるパターンでした。時代は変わって「なるべく回させない」車ばかりと言ってもいい昨今、「あえて低速トルクのない車を選ぶ」というのは確かに贅沢な話ではあります。
記事では145・155(8V・16V)・156・スパイダー(916型)のツインスパーク(TS)エンジンが「低速スカスカ系」の代表に挙がっているのですが、そのトルク特性はというと有難いことにV6系と合わせてまとめて頂いた
これらのグラフ(リンク先ページの中程以下)に表されています。16Vの「TS」のトルク曲線は最大トルクの値(19.1kgm)から吸気管長可変の155ps仕様と思われますが、3500rpmで最大トルクが出て比較的低回転型かと思いきや2000rpmを下回ると急激にトルクが落ち込むのがわかります。それでも1700rpmも回せば1.6TSの最大トルク(14.9kgm)すら越えるので、1.6乗りの私としては145クラスで「スカスカ」と言われるとまさに「何をゼータクな」と返したくもなりますが(笑)。147の1.6(と2.0)のトルク曲線も見つけたので参考までに
こちらにリンクさせていただきます。
155初期型の8Vエンジンはさらにわかりやすい高回転型で、低中速はスカスカです。そもそもアルファロメオは'80年代初めに位相可変型の可変バルブ機構を世界で初めて市販車に採用したメーカーで、この時代のTSエンジンにもそれは盛り込まれているのですが、それでも面白いもので基本的にはこんな性格なんですね。
低速トルクのないエンジンに間抜けなギア比設定のMTが組み合わさるとどうしようもないのですが、アルファはいかに…という所で、お待ちかねの?「2速1000rpm」データの登場です。今回は上記モデルと基本設計に共通点のある147・GTV・GTを含めた車種について、V6はもちろんついでに一部日本未導入の仕様やJTD(ディーゼル)も合わせて
こちらの表(PDF)にまとめてみました。
表の中から、記事に挙がっていたモデルをピックアップしてみます(エンジンは全て2.0TS)。
145 15.0km/h (減速比2速2.238・最終3.353、タイヤサイズ195/55R15。以下同)
155(8V) 14.8km/h (2.238・3.353、195/60R14)
155(16V) 15.0km/h (2.238・3.353、205/45R16)
156 14.7km/h (2.238・3.563、205/55R16)
スパイダー 14.5km/h (2.238・3.563、205/50R16)
細かな違いはありますがオーバーオールではほぼ同じと言って良く、155以外は乗ったことがありますが実際に車重の違いがそのまま加速の印象に出ます(145:軽快、スパイダー:おっとり)。数字にすると小さめの低速トルクを考慮すればギア比は高めギリギリかな?という気もしますが、実際は「使いにくい」というほどではありませんでした。想像するに155・156・スパイダーについてはDセグメントのセダンとスペシャリティカー(?)なのであえてセカセカさせない設定とされたのでしょうか。
ついでに表の他の部分まで眺めてみるとTSでは145が155の16Vと同じギア比なのに対し、156より車重の軽い147が明確にローギアード化されているところは「元気な弟」という性格付けのようで面白いですね。ただここには載せていませんが、本国にあった147の1.6TS105ps仕様は「Eco」と銘打たれファイナルも3.733と高く(それでも156の1.6と同じですが)、末弟はかなり大人しかったようです!?
またV6勢の5MTは高めの印象ですが、おそらく4気筒よりもアイドリング回転数が低い(1.6TS・2.0TSは約800rpm、156ですが2.5V6は約700rpmでした)のと低速トルク自体が大きいので多少ギア比が高くても不都合になりにくいのではと思われます。実際に表中ガソリン車で最もハイギアードとなっている155のV6にも乗ったことはありますが、低速での乗りにくさは感じられませんでした。おまけに中速域でまったりと湧き出るようなトルク感を息長く味わえるのはなかなか得難く、同じV6でも一直線に吹け上がる156の24Vとはまた違う良さがありました。
Posted at 2015/11/06 14:14:08 | |
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