
私のE36型M3に標準で付いていたパッドの大きい4本スポークステアリングホイールをZ3用の3本スポーク形に交換した件については整備手帳に記したとおりですが、今回は作業よりも部品の調達が一筋縄ではいかなかったので、余談として書いておこうと思います。
今回装着したこの3本形を初めて見たのは確か1996年頃、Z3登場時のカーグラフィック誌の記事だったと記憶しています(手持ちのCG選集を見直したところ96年1月号でした)。
他にも雑誌ではアルピナに付いていたのを見たように思いますが、これ以降はステアリングスイッチが付いたり装飾が多くなるなど毛色が変わっていったため、エアバッグ付きステアリングホイールの中ではこのシンプルなデザインが変わらず一番の好みでした。
縁あって20年以上経ってからE36を所有することになり、数々の大整備も一段落したところでこのステアリングホイールを付けたくなりました。
交換作業の詳細についてはそれまでに
「Frankie's BMW」というサイトで偶然見つけていましたので、それに従ってまずは部品を調達することにしました。
最低限必要となるのは以下の部品です。
1. 3本スポークステアリングホイール本体(32341092050)
2. エアバッグ(32341092762)
3. スリップリング(32341162111)
4. ステアリングスイッチブラケット(32311162088)
4番のスイッチブラケット(ディーラーで購入)以外は新品だと仮にあったとしてもおそらく高価にすぎるので(一応スリップリングはいくつか見つかりました)、中古品を探すことにしました。
以前からちょくちょく当たってはいましたが、さすがに20年以上前のモデルの純正品となると国内では辛うじて見つかる程度で、それもエアバッグやスリップリングが付かないことがほとんどでした。
それではとeBayで探してみると、さすがというべきか海外では再生品を扱う業者も多く、単に革を張り直して純正並みに再生しただけでなく両サイドにパンチングレザーをあしらったりスエード生地に換えたりしたものなどバラエティも豊富で、未だにより取り見取りでした。
その中に、私の求める純正に準じた仕様でしかもエアバッグとスリップリングも込みで販売されているものも割とあっさり見つかりました。喜びつつ商品説明を読んでいく目が止まったのは、発送の項目の
「Will not ship to Japan」という文言。
この時は漠然と業者が面倒がっているだけかと考え、またいろいろ探すと今度は「全世界発送対応」と表記のある中古エアバッグのページが見つかったので、ならばと本体とは別に入手することにしました。
さっそく注文して今や遅しと追跡サイトを時々覗いてみますが、先方の国リトアニアの税関を出たところから進む様子がありません。さらに約1週間後に追加された項目は「送り主へ返送」…。
そうです。火薬を内蔵するエアバッグは当然ながら危険物扱いとなり、税関は通っても通常の発送方法では運送会社が扱ってくれないのです。
そこからエアバッグの輸出入について少し調べてみましたが、車載状態でなく単体となると「禁止」ではないものの梱包や手続きがかなり面倒そうでした。
慣れない素人がやるよりも専門の代理店にお任せした方がよさそうで、その場合追加コストも馬鹿にならないだろうと想像され、海外からの中古エアバッグ調達は断念しました。
改めて国内で当たり直してみると、とあるショッピングサイトで以前に見つけていたZ3用の中古でエアバッグとスリップリング付きの商品画像が目に止まりました。これは説明に「(エアバッグの)インフレーターは外して発送します」とあったので一度パスしていたのですが、今一度見直してみると出品業者の所在地がなんと職場の近隣。
「手渡しならエアバッグ付きでもいけるのでは」と、ダメもとで問い合わせてみるとOKの返事。手渡しなら現品を確かめてからの購入決定をとすすめられ、まずはお会いすることにしました。
待ち合わせ場所は夜のコンビニ駐車場でした。暗がりで男2人がステアリングをためつすがめつするのは傍目には怪しく見えそうでしたが、こちらはいたって真剣なので気にもしていられません。
もちろんながら初対面となる担当の方との話も最初緊張しましたが、いたって親切な方で商品にも特に問題はみられず、ここに至る苦労やそれにまつわる疑問点にまで丁寧にお答えいただけました。
いわく、やはりエアバッグは基本的に通常の方法では輸出入はできませんが、国内の輸送に関しては特に規制はないとのことでした。となるとなぜネットではインフレーター抜きで売っているのかという疑問が湧いてきますが、数年前から大手ショッピングおよびオークションサイトでは軒並みエアバッグインフレーターの出品を禁止しているというのが理由でした。それらを介さない取引であれば何ら問題はないようです。
こうして部品は首尾よく揃った…はずでしたが、整備手帳にも記したとおり3本あるスリップリングの固定ねじのうち2本が欠落していました。
これくらいはさして高くもないはずなので別に注文すればよかろうと、特に深く考えずにオンラインのパーツリストから本体の載っているページをたどったところ、ねじとして表示されていた部品は1種類(下画像5番)でした。

(画像は2~4番の項目を省略しています)
「M6x15」という但し書きの規格はどう見ても1本残っているねじの細さとは合いませんが、他に見あたらない以上これしかないかということでディーラーに注文。
本国取り寄せに加え連絡の行き違いで都合1ヶ月半も待って届いた部品は、うかつにも失念していたもう1種類の「エアバッグユニット固定用ねじ」でした。
間違いとはいえ注文した以上は潔く買い取る他なく、ディーラーでも「ホームセンターで合うねじを探されては」との助言をいただいたので、純正への拘りすぎを反省しつつ改めて調べた結果規格はM3x10ということで、頭の小さいプラスねじを購入し代用としました。
それでもこのねじの部品番号がないことには納得がいかず、後日思い立って同じスリップリングを使う別のステアリングホイール(M3Cなどに標準のもの)のページを開いてみたら…あるではありませんか(下画像7番)。
サイズもM3x10なので、これで間違いはないでしょう。結局、パーツリストの不備だったということです。
今回のモディファイはこれまでにないタイプの壁に阻まれましたが何とかクリアでき、さらに何かと勉強かつ教訓にはなりました。
古いクルマのエアバッグ付き純正ステアリングホイールの流用などに踏みきる物好き?な人もそうおられないかと思いますが、何かのご参考になれば幸いです。
Posted at 2021/12/23 12:51:38 | |
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