日本自動車工業会が発表した市場動向調査によると、車なんて大して欲しくないと答えた10代~20代が5割を超えたそうだ。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180410-00000509-san-bus_all
(引用)
これに対して、何とも勿体ないなと思う感情と、無理もないなと思う感情の、二つが交錯し、僕はとても複雑な気持ちになった。

(江ノ島をバックに)
僕自身、幼少の頃から車そのものが好きだったし、父や母を含め、誰かの運転する車に乗ることも好きだった。
なので、街行くカッコいい車を見ては「いつかは自分も免許を取って、ああいう車に乗ってやるんだ」という思いを、強く持っていた。
そして社会人になり、自分の車を持つという目標がついにかなったあの瞬間は、今でもはっきり覚えている。

(初めて買った車、ボルボV70)
それ以降、車がないと行かないようなところに自分でいそいそと出掛けてみたり、デートのときに相手の子を自宅の最寄駅まで送っていって感謝されたり、電車だと到着するのに時間が掛かるところをその半分以下の時間で行けるようになったりと、車を持つ恩恵を、そして車があることの恩恵を、僕は多分に受けている。
何よりも、自分の車を持つという「所有欲」が満たされたようで、非常に良い気分になることが多い。

(2台目の車、ポルシェ997)
しかし、車を持ち続ける=維持するには、それなりの、というかかなりのお金がかかる。これもまた事実だ。
僕のように車を持つことで得られるものや車のある生活に価値を見出だせる人にとっては、それらのお金を支払うことも、前向きとまでは言わないまでも、やむを得ないこととして捉えられるのだろう。
ただ、車に大して興味がないとか、免許は持っているが運転するのが苦手だとか、言わば車を持つことに何ら価値を持たないような人からしたら、この維持費にかかる決して安くない支出は、確かにムダなものでしかないだろう。
ましてや、車を維持するのにかかるお金も、たとえば自賠責保険に始まり、任意保険、自動車税、自動車重量税、ガソリン代、ガソリン税、車検、定期的なオイル交換、部品やタイヤ等消耗品の交換代或いは修理代等々・・・とざっと挙げただけでも山ほどあり、細々と挙げていったら恐らくキリがない。車を持つ僕ですら、まるでイジメのようにすら感じることがある。
なので、10代や20代の若い世代の、世間一般には所得も十分にないことが普通の子たちが、車なんて欲しくないと思い車に見向きもしない、もしくは持つ余裕がないと思い諦めてしまうのは、不思議でもないと思う。
まして、30年前や35年前の頃のように、日本全体に、モノを持ち豊かになるんだ、というモチベーションやエネルギーに満ち溢れていた頃と今とでは、時代が明らかに違う。
今はたくさんのモノを持たなくたって生きていけるし、むしろそういうライフスタイルが支持あるいは推奨されている向きすらある。加えて、スマホ1台さえあれば、何から何まで完結してしまうような、非常に便利な世の中だ。必要なものはシェアすることだって容易だし、それで済む。
それに、バブル経済の影響で好景気を享受できた時代とは違い、不景気、不況、リストラなど、現実を見ながら生活していかなければ、明日を凌ぐことすら危ういかもしれない、と考えて現実的にならざるを得ない。そんな、どことなく鬱屈とした空気感が横たわっているのが、今の世の中だ。
そんな状況で、車という一種の贅沢品を呑気な、或いは得意気な顔をして持つことに、確かに積極的になる必要などないのかも知れない。特に都心部は土地も高く、駐車場代すらバカにならない状況だったりする。
ただ、車を持つのも、場合によってはそんなに重い負担にならないことだってある、と分かってほしいなとも思う。
勿論、車に興味がない子たちにこんな話をしても馬の耳に念仏で、そこで話は終わってしまうが、欲しいと考えているが高そうで・・・というイメージがある場合は、諦めないでほしいなと思う。
たとえば、車を買う場合には極力負担を減らす残価設定ローンという方法がある。詳しくはディーラーなどで聞いたり各自調べたりしてほしいが、簡単に言うとディーラーなどに下取りしてもらう価格を決め、その金額になるまで毎月少しずつローンを支払う、という方法だ。また、場合によっては1%などという、5%~6%という金利が当たり前だった頃から考えたら、今は驚くほど低金利でローンを組むことだってできる。
車そのものが高いという先入観も取り払うべきだと思う。今は昔と違って、価格や状態などを同時に比較しながら車を調べられるサイトだってある。それこそ、スマホを使えば簡単に分かる。ネットなどがなかった頃には、いくつものお店を、自分で足を運んで見て回るしかなかったのだ。
また、車によってはエコカー減税が適用され、税金の支払いが格段に安くなるし、軽自動車はそもそも税金が安い。
エコカーに該当する車であれば、任意保険が安くなるというケースもあるようだ。それ以外でも、今はネットで保険を申し込むことが出来る。ネット保険を利用すれば、車や自分の年齢など様々な要素は関係してくるが、従来の、いわば対面型で申し込む保険の3分の1や5分の1くらいの格段に安い価格に抑えることだって出来る。
以前の車からしたら、今は燃費が驚くほど良い車もたくさんある(僕からしたら、20~30km/lなどという数値を叩き出す車があることが、いまだに信じられない)ので、1度ガソリン(或いは軽油)を入れたら当分給油しなくても良いということだってザラだ。
最近高齢者が頻繁に事故を起こすことがクローズアップされていることなども契機となっているのか、各メーカーとも事故を極力未然に防ぐ技術を開発したり、そのようなシステムを車に登載することに、とても注力している。自動車メーカーに勤める友人がそう言っていた。だから、車に乗ることに必要以上に怖がらなくたって良い。
そんな風に、恐らく世間で思われている以上に、車を持つハードルは高くない。勿論駐車場代が高くて、などというどうしようもないケースはさておき、車を持つことは実はそんなに難しくないのだ。
まずは手始めに、極力安上がりに済ませる中古車から持つのだって良いだろう。いや、いくら車が欲しいとは言っても運転に慣れていないうちはむしろ、その方が良いかもしれない。
今は、中古車の中でも劇的に安い車であっても、驚くほどクオリティが良い。というより、ついうっかり変な車を客に売りつけようものなら、今のネット社会において、そんな店はそれこそすぐに晒し者にされて攻撃の対象にされてしまう。だから売る側も、少なからず気を遣っている。
なのであまり心配しすぎず、そうは言ってもいろいろ調べてみながら先入観を取り払い、実際に車を買ってみると良いと思う。
そうして車を手に入れると、高いお金と労力?を出して買ったのだから乗らなきゃ損だ、と思うようになるはずだ。そうして車との接触回数、接点を増やすと、「あれ?今日は何だかいつもと違うな」などと車のコンディションなどにも気付くようになり、そこから次第に車に愛着も沸いてくるようになる。
また、車に触れる回数が増えると今度は、自分の車のことは分かったけど、他の車はどうなんだろう、と思うようにもなるだろう。道行く個性的な車、あるいはステキな車に遭遇し、こんな車だったら乗ってみたい、と思うようになるかもしれない。

(借り物の画像、シトロエンC6)
こういうフェーズにまで来たら、しめたものだ。
恐らく、次はこういう車に乗りたい、ああいう車に乗ってやるんだ、という欲が、きっと出てくる。そうすると、「あの車が欲しいから頑張って働こう」「あの子を誘って、あの車でドライブデートがしたい」などと、良い風に自分のモチベーションやマインドが作用することになるかも知れない。

(こんな車もステキかも知れない メルセデス・ベンツAMG 完全に個人的な好みですが…)
車、欲しいんだけどなぁ、と諦めてしまっている若い世代たちにこそ、是非そんな風な経験・体験をして欲しい。そしてそういう経験をすると、恐らく車を楽しむこと、車を持つことに喜びを見出だせるようになるはずだ。
車を持つと、人生も変わるかもしれない。僕は、本当にそう思っている。