恥を知れ、恥を！

私の母は、８２歳で北海道の片田舎で一人暮らしをしている。
９月から認知症の症状が出始めたことから月に１度通院するようになった。
認知症を患う前からだが、老人にはよくある話。
同じ話を何度も聞かされるようになり、聞いてる方はウンザリしていた。

話の恒例となっているのは、母親の友人姉妹が、住んでいる町内で居酒屋を経営していた。経営者は姉。妹は銀座でホステスしていた経験もあり、昔は美人だったのだろう。７０代の姉妹が営んでいる居酒屋。そもそも店が繁盛するなんて考えにくい。町の過疎化が進む中、コロナでお客は激減。経営が厳しい中、コロナによる国からの補助金を受け取ることなく廃業した。

これに対し、母は嘘でも良いからから営業を続け、補助金を貰えば数百万を手にすることが出来ただろう。友人は、愚かだと熱く語る。

確かにそんな事をして、国からお金を受け取る人もいるだろう。
しかし、それは正当な生き方だろうか？
仮に受け取ったが全額自分の息子が出したお金だったとしたら、母の友人に「お金が貰えて良かったね」と言えただろうか？
逆に、「最初から経営が傾いてたのに息子からお金を受け取るなんて！」と批難しただろう。

補助金や交付金は、空から降ってくる神様の贈り物ではない。

私は言った。
「母の友人は、全うな生き方をした人だ」
「ズルイ事を企む人が多い中、逆に立派だ」と言った。
８０代にもなって、ずるい生き方を我が子に勧めるのかと。

安芸高田市の市長ではないが、
「恥を知れ！恥を！」と。

昭和１６年生まれ。戦後の厳しい中、秋田県から中学卒業後に北海道の農家へ働きに来て父と結婚した。お金に苦労してきた母だからそんな考えも持ったのかも。

このことから高齢になっても自分の生き方、誇り、道理だけは持ってもたいたいと思った次第だ。