2008年12月23日
ドアを閉めて空港の駐車場から走り出して
首都高速に乗る頃に気付いた
助手席から漂う香りはほんのり甘酸っぱく
柑橘系を思わせる空気が漂っている
きりっとした横顔のつくりと違って纏うその香り
私が気付いた頃にはなにげなく車内の空気
全てに伝播していた
私は香水を身体にふらずに生きてきた
どちらかと言うと余り好んでいる方ではない
なにか身体に染みこませるようなその行為を
毎日行う事にも抵抗があるのは否めない
しかしその時は何故だか心地よく思えた
サイドシートが少し大きく思える程に小柄な
身体の全てをそこに預けて外を眺めている
クルマは大黒ふ頭へ向かっていた
目指す場所は都内だがドライブしてから方向転換
落ち着いて話す時間が出来たことでお互い緊張を
解くことが出来たようだ
都内に着く頃にはすっかり意気投合していた
そこは英国調の外観でこじんまりと佇んでいた
小さな印象は早速ロビーで裏切られることに
全てが大きくまさに威風堂々とした感がある
天井も高い
ホテルマンたちも一流どころだろうか
身のこなしが映画の中のそれのようである
通された部屋もかなり大きいために
自分が小さくなったような錯覚を起こすほど
窓外に広がるのは都会と思えない緑
下を見やると施設内の緑地だそうだ
部屋の中には巨大と言って良いほどのベッドと
普通の家にあるものよりも重厚な洋ダンス
さらにテレビにいたってはタンスに負けない
作りのキャビネットに収まっていた
陽射しは南向きの部屋の窓辺を照らしている程度で
薄暗い中向き合う私たち
視線を合わせてしまう瞬間がもしあったなら
そこで何かのバランスが崩れてしまいそうな
少し息苦しい時間をやり過ごす
ふっとバランスを崩してしまったその瞬間
小柄なその体躯は私の胸へと飛び込んできた
先の柑橘系に加えて少し甘い香りが私の思考を焼く
視界が狭くなるような
目眩を起こしそうになりながら自分の身体が
まっすぐ立っていられない…
そんな言い訳を自分にした様な気がするような次の瞬間
腕の中の小さな身体にしがみ付くように抱きしめた
…
Posted at 2008/12/23 19:09:46 | |
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