
とうとう明日でNHK大河「天地人」も最終回です。
最初は時代考証が変だとか、妙にお茶の間のマダムたちを惹き付けようとしているストーリー展開がNHK大河らしくなくて浅はか、、とか。
いろいろ批判もされていましたが、私は概ね、ドラマ脚本としてはよく出来ていたと思います。だって、面白かったもん。
それは、一応史実として有力視されている資料(まぁ、どれが本当の事実記録なのかは分からないんですがね)と違う多少の事は私でも目に付いたくらいですから、歴戦の大河ファンとしては目に余る事も多かったのでしょう。
でも、ドラマなんだから面白ければそれでいいと、私は思います。
あんなに秀麗な男子たちが勢揃いでねぇ。いいじゃないですか。
さすがNHKですね。まずはキャストが豪華。
そこの所を逆に意地悪く突っ込もうとしたら、
「上杉景勝は北村一輝みたいな男前じゃなかった。背が低くて骨太で、色が黒くて、眉毛が太くて、無口で無骨で、武芸にしか興味がなかった」とかいろいろ出てくるんですが、、、。でも、いいじゃないですかねぇ。
いやむしろ、北村一輝さんはよく役作りをしたじゃないですか、ねぇ。
それとか、
「真田幸村だって、あそこまでいい男な必要はなかっただろう。大阪の陣の頃はすでに初老でよぼついていたはずだ」とか言う人もいそうですが、でも、あの散り方で絶大な人気を得ている幸村ですから、あのくらい美しくないと、やっぱ世の期待に応えられないと思います。
事実、先週の幸村に、私はドキドキしました。
あの、「いつでも三途の川を渡る用意は出来ておる!」という意志の六文銭の前立て。そして鹿角の脇立て。さらに、勇者だけが許される赤備え。
その出で立ちのNHK大河幸村は、これまで見てきたいろんな幸村の中で最も格好良かった。
思わず、戦国グッズショップで真田の六文銭ステッカーとか買っちゃいそうになりましたから。で、真田六文銭ステッカーを性懲りもなくプリウスのリアガラスに貼るでしょ。
「いつでも三途の川を渡る用意はできておる!」っていう勢いでエコカーを運転するのも妙ですから、まぁ、、、思いとどまって良かったです。
それだけ、キャストって大事なんでしょうね。
既存の人物イメージと合う合わないも大事だと思いますが、画面で映えるキャストって、やっぱり重要ですよね。
そういう感もありまして、「天地人」は、私は面白かったと述懐してるんですが、唯一解せないというか、変だなというか、あり得ないのが、
「前田慶次が出てこなかった」ということ。
直江兼続を表現する時、前田慶次は不可欠でしょう。
上杉家が会津に国替えになったとき、慶次は仕官していますから。
まして、当の大河「天地人」でも、「二つの関ヶ原」と銘打っていた時の回。
三成が兵を挙げた事を知って、徳川が上杉会津攻めをやめて引き返した時、上杉軍は長谷堂の戦いで最上&伊達から激しい追撃を受けて、かなり窮地に追い込まれたんです。
その起死回生を果たした長谷堂の戦いに関しては、日本史上でも、「見事なしんがり軍」だったとして、旧日本軍もその戦術を参考にしたというくらい素晴らしいものだったそうです。
そのしんがり軍を受け持ったのが、直江兼続。そして実際に陣頭で戦ったのが、前田慶次。
慶次ら上杉軍の5名の武将が朱色の槍で最上軍を翻弄し、奇跡のように窮地から撤退できたあの長谷堂の戦いはとても有名な話です。
そのモチーフの一片すら「天地人」では垣間見えなかったのは、不思議で仕方がありません。ここを突っ込む視聴者は結構居ると思います。
先日、帯広で仕事を終えた後、昔なじみの友人と晩ご飯を食べたのですが、その時もその話題になって、私の友人は、「きっと、前田慶次に見合うだけの俳優が見つからなくてキャスティングをしなかったんじゃないか?」と言ってましたが。。
本当に、私も、前田慶次を登場させなかった、その意図が分かりません。
唯一の苦言を呈するなら、この点くらいですかね。
前田慶次はたしかに人気があって個性的な人物ですから、半端に出演させると批判も出る。ましてオンエア同時期は石田三成のクライマックスでもある。それでも無理して、どっちも扱うと、バッティングして見どころがブレる危険性が出てくる。。。
っていうんで、前田慶次は「天地人」の脚本から屠られたんですかね?
原作を読んでいないので、なんともいえませんが。
余談ですが、前田慶次についてちょっと余計な話を、、。
慶次といえば、利家を冬の茶会に招いておいて、なんと水風呂に入れてそのすきに名馬を乗っ取り出奔してしまう、、というカブキ者らしい逸話がとても有名ですが、、。
この水風呂の逸話が本当だとしたら、、、まぁ、、あったとしてもそんなに酷い悪事でもなかったんじゃないかと思います。
利休の逸話にもありました。
たしか、利休の弟子の、、誰だっけな?
ヘチカンだったかな? とにかくその弟子が師匠である利休を茶会に招いた時、潜り戸に落とし穴を仕込んであったと。利休はそれに気付いたけど、せっかくだから余興に乗って落ちてあげたんです。
で、「いやぁ、まいったまいった。穴に落ちてしまった」と。
そしたら弟子も、何事もなかったように利休に風呂をすすめて、それから茶室に入ってもらった、と。
こういう話があります。
つまりは、茶会というのは、そういう悪ふざけやちょっとした意趣返しも余興のひとつ。侘び寂びの一環、とされるところがあったんじゃないかと想像します。
だから、前田利家も、せっかくだから、と水風呂に入って驚いてあげたんじゃないでしょうかね?
だって、いくらなんでも、風呂が沸いているかいないかぐらい、入る前に分かるでしょう?(笑)
そういう余談はさておき、、。
とにかく、明日は最終回です。
で、29日は「坂の上の雲」。これもいいですねぇ。
そして、来年からは、福山竜馬。
あんな美男子な竜馬があって良いのでしょうか?
でも、、、福山竜馬は、違った意味で楽しみです。
でも、もっと楽しみなのは、ほかのキャストです。
岡田以蔵はだれがやるんだろうなぁ? 以蔵の悲哀をちゃんと出してくださいよ! ただの人斬りにしちゃ嫌ですよ!
千葉重太郎や武市半平太もだれが演じるのか気になるしなぁ。
勝海舟は、、、だれがやっても、あのシャラシャラした江戸弁でしゃべったら、勝海舟になるから特に興味なし。w
とにかく、久々にNHK大河が幕末に戻ってくるのは、楽しみです。