2023年01月20日
ロータリー系列のショップでもあまり話題に上らない、レンジエクステダーEVの新ロータリー。
発電用だとチューニングのし甲斐もないし、当然なのかもしれないけど、勿体ないから引き続き自分が騒ぎますw
スポーツカー好きがあまり盛り上がってないのは「期待した内燃機関でもスポーツカーでもないから関係ない」って感覚なんだろうけど、RX-8販売終了の理由覚えてるだろうか。
欧州で販売終了したときには「排出ガス規制『ユーロ5』に適合しなくなる」というもの。もちろん売り上げが・・・という話も大きな理由なんだろうけど、今やユーロ5どころかユーロ6の時代。このユーロ6も規制が厳しいと各社悲鳴を上げてるのに、ユーロ7も準備されているこの状況で、排ガスと燃費の改善を抜きにしては、仮にマツダが赤字覚悟でロータリースポーツ作ったところで発売できない。
というわけで、エンジンの効率化は発売における大前提でした。
そこに来て、MX-30 R-EVはレシプロエンジンでも簡単でない「ユーロ6(Euro6D-ISC-FCM)」を簡単にクリアと、マツダは自信を見せた。新型スポーツが発売できるとしても、その頃にはユーロ7規制との戦いになっているかもしれない。
スポーツカーを設計しているうちに発売できなくなったら意味がない。
ユーロ6を余裕でクリアできていることには、非常に重要なのです。
今回はそんな8Cエンジンの「燃費」にフォーカスしたポイントを見ていきたい。
燃費に関わると思われる改善点は以下。
・排気量アップ(ロングストローク化)
・高圧縮比11.9
・燃焼室形状の最適化
・直噴
・EGR
・アペックスシールの厚みを変更(薄くしている?)
一目見て、燃費アップが約束されている技術のオンパレード。ロータリーエンジンは、なんだかんだ言って、過去からあまり機構の変わらないエンジンでしたが、一気に現代的なエンジンと同等の技術が盛り込まれましたね。
※ちなみに、排気量アップ=ロングストロークと正確に明言された記事は見ていませんが、試作型16xロータリー(800cc)を発表したとき、「排気量アップはレシプロでいうストローク向上の目的でサイズを変更したため」という趣旨のお話があったため、8cでの排気量アップを勝手にそのように解釈したものです
また、発表こそしていないだけで、マルチホールピエゾインジェクタの採用は当然のようにやっているだろうし、点火時期の自動調整(ノックセンサーの値を監視しながら、目いっぱいまで進角する)も当然やってくるはず。
スポーツエンジンだと採用するかわからないけど、設計水温も上げてくるかもしれない。今は適正85~90℃あたりを基準にした熱膨張率で設計してるけど、これを100℃以上にすると、燃焼室が長いことで熱損失が大きかった問題も、レシプロより高い効果が見込める。
13Bエンジンは、エンジンの状態を良くして、ECU制御を最新化すると、リッター10kmぐらい走れます。もちろん、高回転キープとかじゃないよ。高速道路とか、郊外をロングランした場合だけどね。
(FC3Sでも、RECHARGEさんのEcoCpu入れれば10kmでることは実証済み。EcoCpuは点火時期調整の機構が入ってきます。)
世の中でFDカスタムしてる人が、マルチホールインジェクタに変更して12kmぐらいの燃費出てるって記事も見たことがあります。
そこに今回の燃費向上策ぶち込んだら、一体何kmぐらい行けるんだろうね。
走行条件よければ15kmは超えてきそうだけど、20kmは無理かな?
それを一般的な走行条件にして、仮に実燃費12~16kmぐらいになっていたとしたら、イマドキの車としては低燃費とは言えないけど、「ロータリーエンジンの燃費アップなんて無理!」と言っている人からすれば、結構衝撃な数値なんじゃないかな。でも、全部レシプロで実証されつくした技術の応用だからね。不思議はない。
これだけ燃焼効率があがれば、排気量アップの恩恵もあって、NAでも馬力アップが見込めるかもしれない。もちろん、ロングストローク化でレブリミットが下げられて最大馬力は下がる可能性もあるが、トルクのほうは期待できると思う。
今回、一気に大改造された理由は「そこまでやらないと環境基準に適合しない」ということではあるんだけど、逆に言えば過去の流用ができないような生産設備を作る以上、一気に変更を盛り込んでいくチャンスだったともいえる。
過去の命名から察するに、"8c型"と発表される前に、"8a"と"8b"があったはずで、少なくとも2段階のブラッシュアップが行われていたことになります。時間が掛かったぶんだけ、試行錯誤も繰り返されて、完成度も期待できるところ。
ところで、「明らかに製造品のサイズが違って、それなりの設備投資をした」ということは、当然、それを回収する予定だってことだよね。
で、MX-30 R-EVがバカ売れしたとして、それだけで回収できると思うかな。
考えにくいよね。それはつまり、他の車種にもレンジエクステンダーを使用していくとか、『みんなが期待する車』への搭載なんかも視野にあるかもしれない?
・・・なんて、楽観的で都合の良い話かもしれないけど、荒唐無稽でもない。
8cエンジンとは「発電のための無関係なエンジン」ではなく、まぎれもなく「次世代のロータリーエンジン」の姿を見せるもの。ロータリースポーツの登場を約束するものは何もないけど、出せない致命的な理由は消えた。
このエンジニアリングを成した開発者の方々に「おめでとうございます」と言わせてください。
(続けて「今後にも期待しています(圧)」と言いたいのは、今は横に置いときますw)
Posted at 2023/01/20 04:09:24 | |
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2023年01月18日
以前から長らく噂にあったレンジエクステンダーRE。
マツダから正式に「MX-30 R-EV」と発表されましたが、新型RX-7を期待してるユーザーが多いからか、あまり話題にしている人が少ないですね。
でも、REの機構をよく見ると、かなり興味深い内容に思います。
詳細は以下のサイトさんのまとめが素晴らしいので、リンク貼らせて頂きます。
https://taku2-4885.hatenablog.com/entry/2023/01/13/230848
個人的にめちゃめちゃ気になっているのが、
直噴・1プラグ・異質なローターのバスタブ(リセス)形状の組み合わせ。
・ガソリンを逃さず
・新たに作成したリセス内に集中して取り込み
・理想的な点火ポイント一点で点火する
という思想ですよね。
今まではガソリンと空気の混合気が燃焼室全体に広がり、あまつさえ後ろの方に偏ってしまっていた。燃焼室の形状に合わせて混合気も広がってしまうので、完全燃焼に点火プラグが2本以上を必要とする上に、広い燃焼室の面積で熱損失も大きくなる原因となっていた。
これが一点に集中することで、プラグの問題と熱損失の問題の両方を一気に解消していると考えられます。
また、EGR採用になっているのも気になります。
RX-8ではRENESISがサイド排気になったことで、煤の発生がエンジン寿命にもろに効いてくる(ゆえに、仕様を純正から変えると一気に圧縮が落ちる)という問題がありました。
昨今のマツダディーゼルでは、EGRが煤の原因になっているわけで、一見恐ろしい組み合わせに見えるのですが、これが問題にならないということでしょうか。
どう問題をクリアしたか気になるところです。
・・・しかしながら、もっと気になるのは問題解決の方法だけではなく、そのメリット。
EGRというシステムがREにおいてはレシプロ以上に燃費改善の武器になっているのではないかという気がしています。
今回、燃焼室形状を大きく変更して1プラグにしたわけですが、だからと言って、ローターの回転に伴って燃焼室の隅に混合気が残ってしまうことは避けられないはずなんです。でも、あえて隅の点火を捨てて1プラグとした。
だから排気ガスには本来、多くの未燃焼ガスが含まれているはず。これをEGRとして還流することで、レシプロよりも「質の良いEGR」として再回収しているのではないか?と思ったのです。
「もっともよい条件で点火できる位置にあるものは燃やす。」
「位置に恵まれなかった混合気はEGRとしてリトライ」
という方式で、運よく燃焼室中央に来るまで無限にコンテニューwできる。
もしそうなら、EGRって実はREにめちゃめちゃ相性が良いのでは?という気がします。
欧州の厳しい排ガス基準を「余裕で」クリア、とリンク元の記事にありますが、これぐらいの理由が無いと、一気に環境性能が改善するだろうか?とも思います。
イメージ動画を見る限りサイド排気ではあるのですが、ペリ排気に戻してオーバーラップさせてもEGRで再回収すれば問題ないのでは?・・・と、少し妄想を飛躍させてみましたが、それはさすがに無理があるか。
一見して、過去のREでは類を見ないほどの変更がなされています。もし今後、内燃機関として2ローターREを発売されることがあれば、過去のロータリーオーナー全員を唸らせるほどの進化が見れるかもしれませんね。
というわけで、エンジニアリング的に、ものすごーーーーーーく興味あります。
エンジン開発者の方、是非とも、根掘り葉掘り聞かせてくださいw
(もちろん、そんなツテは無いんですがw)
Posted at 2023/01/18 03:42:30 | |
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