奥多摩へは、休日には新宿から直通の快速電車が出ている。
ところが小澤酒造の最寄駅である沢井駅には快速は止まらない。青梅駅からの接続には20分もかかるので、一つ先の御嶽駅から2分ほど歩く。
観光客で賑わい、外国人も少なくないが、大概はデイパックを背負ったハイキング目的と思しき客で、飲んだくれ目的らしいのは自分ひとり。
歩きとはいえ下り坂なので大して苦にはならない。途中登ってゆくロードスターが2台ほどあったが、大麦代で見たような見ないような。そうこうするうち目的地に到着。
澤乃井園。料亭や資料館などを併設した一種のテーマパーク。庭園風の設え。
脇目も振らず飛び込んだのが唎酒処。澤乃井の酒を全種類と、あまり流通していない限定のお酒を全て味見できる夢のような場所。
おちょこ一杯200〜500円。しかも2杯目以降は100円引き。実質飲み放題。この地に立ったことを五体投地で酒の神に感謝しつつ最初の一杯を求める。
令和の始まりを寿ぎつつ乾杯。
右側が「さわ音(さわね)」、軽い口当たりで酸味も効いて、どこまでもピュアで最初の一杯にふさわしい。
左は「東京蔵人(くらびと)」。酒粕の香りがして口当たりが甘いのに、実は辛口で後口スッキリ。
「大吟醸」。おすすめはこれかもしれない。酸味とコクのバランスが良く、食べ物にも合う。
「純米大吟醸 芳醇参拾伍」。大吟醸に比べ酸味とコクが立つ。
「凰(こう)」。澤乃井の最高峰。大吟醸にさらにコクが加わり、しかも辛口。全く飲み飽きないが、肝臓より財布の限界が先に来る。
少し趣向を変えて「元禄」。これは江戸時代の製法を再現した古来の日本酒。杉樽の香りだろうか、独特の香りとコクがあり、色も濃い。煮込みやタレの焼き鳥が欲しくなる。
「蔵守(くらもり)」。6年古酒。日本酒ではなかなか珍しい。濃厚で紹興酒っぽい味と香り。これは好みが分かれるかもしれない。水割りにすればちょうどいいかも。
「彩は(いろは)」。樽の香りを前面に出した感じは元禄と似ているが、それよりスッキリしていて、日本酒を飲み慣れない人にはこちらの方がおすすめ。
「蒼天生酒」普通の蒼天の方は飲み慣れているし、流通もしているので飲んだ人も多いだろうが、こちらは火入れをしていないのでより酒粕の香りが立つ。
他にも随分と飲んで、ゆず酒と梅酒以外は全種類飲んだ(と、思う)。
ここまで飲めばアテも欲しくなるが、そこは抜かりない。
一通り日本酒に合いそうなのは揃っている。
板わさ。ツンとしたわさび漬けでスッキリ目のお酒に当てる。
モツ煮。居酒屋の定番とて酒に合わないはずもない。今回は元禄と合わせてみた。
ちょっと珍しい、「畑のお肉」。大豆タンパクを原料にした人工肉だが、食感はスジ煮かタンに近い。甘辛く煮付けてあり酒に合うが、冷たいのが少し残念。
酒どころはどこも水がいい。
ここも奥多摩の湧水を原料にしていて、水質はあくまで柔らかい。
酒泉神に感謝して飲むもよし、酔い覚ましに呷るもよし(大半はそっちの用途だが)。
酒蔵は見学できるが、ゴールデンウィーク期間中は予約が一杯とのことで入り口を拝むだけ。
園内は多摩川を渡る吊り橋が設けてあり、対岸に行くことが出来る。
(そして写真を縦にする方法がわからない)。
対岸にはお寺があり、観光客が自由に鐘を突けるようになっている。石段を登った先が本堂だが、酔っ払いの足にはおぼつかないので行かずじまい。
(写真が横に寝ているのは酔っているせいなのか)
新緑と渓流が美しい。
(そしてもはや縦に直すのは諦めた)
着いた時は時々雨が落ちるような天候だったが、昼過ぎには晴れ間も見え始めた。
庭園風の作りに所々野外席も設けてあり、外飲みには理想的な環境。
(みんカラの仕様はMac osと相性が悪いのでそのせいなのか)
何もかも美しい。
此処は飲兵衛のユートピアといっても過言ではない。
死んだら此処に埋めて欲しいくらい(大迷惑)
そんなこんなで時も経ったので、沢井駅から帰りの電車に乗る。
正直、周りの風景はツーリングで見慣れたものだが、たまにはこんな旅も悪くはない。