
シトロエンのEGSや5速ETGはクラッチペダルがないためオートマチック限定免許でも運転可能だが、メカニズムとしてはマニュアルトランスミッションをベースにしたシステムである。マニュアル車における人間がペダルを踏んでクラッチを切る操作を機械(アクチュエーター)が肩代わりしている訳である。
以前整備手帳にて寿命を延長させるコツを見つけたかもしれないと書いたが、その内容について記したい。
そのEGS、故障の記事がネットでたくさん検索される。「故障しました修理に○○万円かかりました」という記事は中古車の相場を下げる効果があり、おかげでこちらは安く車体を調達できた訳で感謝の気持ちを抱いて読まなければならないが、失礼ながら技術的には得るものがない。
参考になるのはショップの修理レポートで、さまざま見ていて気づいたのが、
「走行距離5万kmくらいでの故障が多い」
「分解したところ、クラッチ板自体はまだ摩耗限界でない」
「センサー内蔵のレリーズベアリングがガタガタに摩耗している」
といったこと。どうやら、いかにレリーズベアリングを労るかが肝要なようである。
マニュアルトランスミッションの構造を理解している人はピンとくると思うが、レリーズベアリングが摩耗するのはクラッチペダルを踏んでいる時。信号待ちなどの停止時には、ギアをニュートラルにしてクラッチペダルは離す(=クラッチは締結、レリーズベアリングはフリー)べきである。
マニュアル車の場合はクラッチを踏みっぱなしにするのが左足的に辛いから自然と上記の操作となるが、EGSの場合はクラッチペダルがないために、何分でも何時間でもクラッチを切りっぱなしにしてしまえて、辛いのはレリーズベアリングばかりなりという状況になりがちだ。
動作音などから観察するとピカソのEGSは、ギアセレクターがA,MおよびRでは停止中もギアは入りっぱなし、すなわちクラッチは切りっぱなしである。いつまで停止しているかは機械にはわからないので来るべき発進に備える必要があり、これは正しい動作である。
対してギアセレクターがNの時はクラッチはつながっている。これはジャッキアップするとギヤボックスからの音でわかる。
長々と書いてきてしまったが、結論としては
「停止中はギアセレクターをNにせよ。あなたが楽だからといって、Aなどに入れっぱなしにしてはいけない。」
ということである。トルコンATのDレンジとは別物と弁えなければならない。
あなたはどうですか。長い信号待ちや渋滞中にAのまんまではないですか。当てはまるようなら、5万kmでオーバーホールが必要になるかも。
また、考えてみると何もこのことはシトロエンのEGSやETG、センソドライブに限った話ではなく、AMTの仲間であるアルファのセレスピードやフィアットのデュアロジック、スマートのソフタッチなどにも共通する話であろう。
さらに、VWを中心とした流行りのDCTについても乾式クラッチのモデルは同じことだと思う。
Posted at 2018/01/04 16:32:55 | |
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