2026年07月24日
皆さん、こんにちは。
愛車のC28セレナで日常のドライブやDIYを楽しんでいます。
中古車市場で今最も動きが活発な、1世代前のMクラスミニバン(80系ノア・ヴォクシー、C27セレナ、RP系ステップワゴン)。ハイブリッドモデルを検討する際、ネットやYouTubeで情報を集めていると、ある不思議な現象に気がつきませんか?
それは、「ノアやヴォクシーは走行用バッテリーを交換した」という修理ブログや動画はたくさん出てくるのに、セレナ(e-POWER)やステップワゴンのバッテリー交換の話は比較的殆どない、ということです。
実は以前、私も1世代前のC27セレナ e-POWERに乗っていましたが、手放すまで8万キロほど走りましたが走行用バッテリーが劣化するような感覚は全くありませんでした。
では、なぜ特定の車種ばかりバッテリー交換の話題が目立つのでしょうか。そこには、採用されているバッテリーの「化学的な特性」と「設計思想」、そして「ハイブリッドシステムの世代の違い」という明確な理由があります。
■ 1. 「システム×ニッケル水素」がもたらす走りの質感
最大の理由は、搭載されているシステムとバッテリーの違いです。
トヨタ(80系ノア・ヴォクシー等): 「実績のある一世代前のシステム」+「ニッケル水素バッテリー」
日産(C27セレナ)&ホンダ(RPステップワゴン): 「新世代のモーター主導システム」+「リチウムイオンバッテリー」
トヨタが採用していたニッケル水素バッテリーは、製造コストが安く安全性が高い実績のある素材です。しかし、科学的な特性としてリチウムイオンよりも充放電のサイクル寿命が短く、走行距離が10万〜15万キロを超えてくると寿命(劣化による容量低下)を迎えるケースが多くなります。
さらに、この化学特性とうん「ハイブリッドシステムの基本設計」は、普段の走りの質感に直結しています。
実は、80系ノア・ヴォクシーのハイブリッドシステムは、3代目プリウス等と同じ基本設計のもの(1.8L THSⅡ)です。この熟成されたシステムと瞬発力がマイルドなニッケル水素の組み合わせは、重いミニバンを動かす際にモーターの出力だけでは賄いきれず、すぐにエンジンと協調させる必要があります。結果として、「ちょっとアクセルを踏んだだけで、すぐにエンジンが始動してブォーンと唸ってしまう」どうしたというフィーリングになりやすい傾向があります。(YouTuberからもトヨタ式が騒音がすごいと言われる理由)
一方、日産(e-POWER)とホンダ(i-MMD)は、そもそもがモーターを主役にして走る「新世代のハイブリッドシステム」として開発されました。そこに、瞬時に強大な電力を引き出せる(高出力な)高価なリチウムイオンバッテリーを組み合わせています。
C27セレナのe-POWERが、無駄にエンジンを唸らせず、モーター特有の力強いトルクでスッと静かに加速できるのは、この新世代システムとバッテリー特性のおかげなのです。
■ 2. 設計思想の違い:「消耗品」という割り切り
この化学的な特性の違いから、メーカーごとの設計思想の違いもうかがえます。
トヨタは車両価格を抑えるために安価なニッケル水素を採用し、「バッテリーは10万キロ台で定期交換が必要な消耗品」として完全に割り切ったパッケージングであると言えます。
対する日産やホンダは、コストをかけてでも新世代のシステムと高価なリチウムイオンを採用し、走りの質感(高出力)を高めつつ、コンピューターの厳格な保護制御によって「できるだけ無交換で長く使える長寿命設計」を目標としています。
■ 3. リビルト(再生品)市場という「裏の真実」
そして、ネットで交換の話題ばかり目立つもう一つの理由が「リビルト市場」の存在です。
トヨタのハイブリッド車は販売台数が桁違いに多く、さらに多くの車両で交換時期が訪れるため、社外品の「リビルトバッテリー(再生品)」のビジネスが完全に成立しています。
ディーラーで新品にすると十数万円かかるところを、リビルト品なら数万円で安く交換できるため、DIY派のオーナーや街の整備工場が「安く直せた!」とネットに発信しやすい環境が整っているわけです。
裏を返せば、「交換が必要になる時期が来るからこそ、安く直すためのエコシステムが出来上がっている」という事実でもあります。
■ まとめ:中古ミニバン選びの一つの視点に
もちろん、日産やホンダのリチウムイオンも機械である以上、個体差や乗り方によって運悪く壊れてしまうことはあります(その場合、リビルト品が少なく高額な新品交換になりやすいというリスクは潜んでいます)。
ただ、1世代前の中古ミニバンを選ぶ際、「ノア・ヴォクシーは近いうちに数万円のバッテリー交換費用が発生する前提で買う」「セレナやステップワゴンは、その可能性が比較的低い」という事実を知っておくと、購入後のトータルコストを考える上で一つの参考になるかと思います。
「なぜあの車はすぐエンジンが唸るのか」「なぜバッテリー交換の話ばかり聞くのか」。
その理由がシステムの世代や化学的な特性にあると知ると、車選びがさらに面白くなりますね。これから中古でファミリーカーを探す方の、少しマニアックな視点としてお役に立てれば嬉しいです!
Posted at 2026/07/24 19:24:58 | |
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2026年07月23日
皆さん、こんにちは。
愛車のC28セレナで日常のドライブやDIYを楽しんでいます。
ミニバンを選ぶ際、カタログの「広々3列シート」という言葉だけでは見えてこないのが、実際に人が座ったときの快適性です。各社の3列目を比較してみると、そこには「8人全員が快適に移動する乗り心地(日産)」を取るか、「荷物の積みやすさや車載性(他3社)」を取るかという、明確な設計思想の違いが見えてきます。
今回は、友人たちのリアルな体験談や、オーナーならではの視点も含めて「3列目シートの真実」を紐解いてみたいと思います。
■ 1. 「車載性・使い勝手」に振った他社の割り切り
まずは、荷室の広さやシート格納のしやすさを最優先したライバル3社の特徴です。
三菱 デリカD:5:悪路走破性のための「完全エマージェンシー」
デリカは高い最低地上高と強固なサスペンションを備えているため、どうしても室内の床が高くなります。デリカ乗りの友人も「あの3列目は完全な緊急用。大人が長距離乗ったら拷問レベル(笑)」と言っていましたが、悪路を走破するタフさを最優先した、潔い割り切りです。
ホンダ ステップワゴン:トランポ最強も、人は「体育座り」
3列目が床下にすっぽり収まる「床下格納」は、バイクや大きなギアを積むトランスポーターとしては文脈抜きで最強です。しかし、薄い床下にしまう構造上、クッションは薄く、座面も低い。大人が座るとどうしても膝が上がる「体育座り」になり、乗り心地は二の次になります。
トヨタ ノア・ヴォクシー:使い勝手は良いが「視界を潰す」懸念で座り心地もエマージェンシー。
片手でワンタッチで跳ね上がる機構は、買い物や送迎でサッと荷室を広げたい時に非常に便利です。ただし、スライド機能はなく、跳ね上げたシートが3列目の窓(クォーターガラス)を完全に塞いでしまいます。私自身、過去に合流で跳ね上げたヴォクシーの死角からアタックされそうになりヒヤッとした経験がありますが、日常の利便性を最優先した設計と言えます。
■ 2. 「8人乗り全員の乗り心地」に全振りしたセレナのこだわり
対する我が家のセレナは、「跳ね上げ時の荷室の出っ張り(車載性)を多少犠牲にしてでも、乗る人全員が快適に過ごせるシート性能」に全振りしています。
酔いにくく疲れないシート構造
3列目であっても分厚いクッションがあり、座面高も確保されています。前方視界が開けるシート配置と相まって車酔いしにくく、祖父や祖母を乗せて3世代で長距離ドライブに出かけても「セレナの3列目は全然疲れないし、酔わない」と大好評です。
このクラス唯一の「3列目シートスライド」
現行モデルで3列目自体を前後にスライドできるのはセレナだけです。乗る人の体格に合わせて、ミリ単位で足元スペースを調整できます。
■ 知られざる便利機能&よくある誤解
【コラム1】3列目「前倒し」×「ハーフバックドア」の2段活用&車中泊アレンジ
実はあまり知られていないのですが、セレナの3列目は跳ね上げるのではなく「後ろにパタンと倒して背もたれをフラットにする」使い方が超優秀です。
この状態でセレナ名物の「デュアルバックドア(ハーフバックドア)」を組み合わせると、荷物の完璧な上下置き分けができます。
下段(フロア側): 重量のある荷物や車載ポータブル冷蔵庫など、普段あまり出し入れしないものを配置。
上段(前倒ししたシート背面): ハーフバックドアを開けてアクセス。腰の高さでそのまま荷物が置けるフラットスペースになるので、狭いスーパーの駐車場などでも屈まずにサッと荷物を出し入れでき、体への負担が劇的に少ないです。
さらに、道の駅などでの仮眠や車中泊でもこの組み合わせが神がかって威力を発揮します。
夜間に換気したい時、全開にすると不用心ですし雨も入りますが、ハーフバックドアだけを車中泊グッズで売っている器具で半開きにすれば、荷物の飛び出しや外からの目線を防ぎつつ、快適な「窓代わり」として機能します。ハッチがひさしになるので、多少の雨なら入ってこないのも最高に使い勝手が良いポイントです。
【コラム2】レビュー動画でよく見かける「跳ね上げが重い」の誤解
YouTube等で様々な車を紹介してくださるアドバイザーや車好きの方の試乗レビューを拝見していると、たまに「セレナの3列目は跳ね上げが重い」という感想をお見かけします。たくさんのメーカーの車に乗るプロの方だからこそ、車種ごとの細かいコツが見落とされがちで、少しもったいないなと感じることがあります。
実はセレナの3列目の根元には、スプリングを内蔵した強力な「アシスト機構」が備わっています。ロックを解除してブルーの紐(アシストストラップ)を正しい角度で引くだけで、バネの力が働いて女性でも「スッ」と驚くほど軽く持ち上がる仕組みになっているんです。
もし今後レビューされる機会があれば、ぜひこの「アシスト機構を効かせるコツ」を試してみていただきたいなと、一人のオーナーとして応援しています!
【コラム3】1列目でTVが見られないからこそ「後ろの快適性」が正しい設定
ナビをキャンセラー等で走行中に見られるように(注視違反になるような改造。また新車検では落ちる場合があるので注意)していない限り、走行中は1列目のモニターでTVやブルーレイを見ることはできません。安全を考えればこれが本来の正しい仕様です。
だからこそ、移動中にエンタメや会話を楽しむのは「2列目・3列目に座る家族や子どもたち」になります。前席でTVが見られないからこそ、後席に乗る全員が疲れず快適に過ごせる空間づくりにコストをかけるセレナの設計は、ファミリーカーとして非常に理にかなった「正しい設定」だと感じます。
【コラム4】よくある誤解:「スーパースライドシート」の真実
2列目の「超ロングスライド(スーパースライドシート)」についても、「3列目を跳ね上げておかないとロングスライドが使えない」と勘違いされがちです。
これも大きな間違いで、3列目を普通に出して乗車状態にしたままでも、2列目シートは十分に下げてゆったり座れます。全員がスペースを分け合って快適に過ごせるのがセレナの隠れた強みです。
■ まとめ:どちらの思想が自分のライフスタイルに合うか
こうして比較してみると、メーカーが想定している使い道がはっきりと見えてきます。
HONDA、トヨタ、三菱の3社: 普段はシートをたたんで荷物を積み、3列目は時々乗せる「車載性重視」の車作り
日産(セレナ): 普段から3列目までフル活用し、8人全員が快適に移動できる「乗り心地重視」の車作り
「普段どんな使い方をして、誰をどこに乗せるのか」。
荷物重視か、それとも乗る人の快適性重視か。この軸で考えてみると、自分にぴったりのミニバンが自ずと見えてくるのではないでしょうか。
あくまでも参考になればと思います。
Posted at 2026/07/23 21:58:13 | |
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2026年06月10日
皆さん、こんにちは。
最近の安全運転支援システムはどのメーカーも本当に優秀ですよね。特に、ライバルである現行ステップワゴンなどに搭載されている最新の「ホンダセンシング」は、以前と比べて挙動がものすごくスムーズで賢くなったと評判です。
実は、このホンダセンシングがこれほど高い完成度に至るまでには、ホンダの開発陣が直面した苦難の歴史と、それを乗り越えるための大きな決断がありました。
今回はカタログには絶対に載らない、自動ブレーキの「画像認識チップ」を巡るマニアックな裏話をご紹介します。
■ 1. 初代ホンダセンシングが直面した苦難
初期のホンダセンシング(一世代前のモデルなど)は、主に海外の別メーカーのシステムを採用していました。しかし、このシステムは日本の複雑な道路環境との相性があまり良くなく、当時の開発陣やオーナーは苦戦を強いられていました。
特に、何もない路面の影やカーブの先にある看板などをシステムが「障害物」と誤認識し、走行中に突然強めの自動ブレーキがかかってしまう事案などが散見されていたのです。
他社のシステムがテストで高評価を叩き出す中、思うような精度が出せず、ドライバーからも「怖くて機能をオンにできない」という厳しい声が上がるなど、ホンダにとってはまさに試練の過渡期でした。
■ 2. 「技術の日産」を支え続けてきた最強の頭脳
一方その頃、日産は「プロパイロット」や自動ブレーキのシステムで圧倒的な高い評価と成功を収めていました。その高い精度を根底で支えていたのが、イスラエルの半導体企業である「Mobileye(モービルアイ)」社の画像処理チップです。
カメラに映った映像から「これは車」「これは歩行者」「これは単なる影」と瞬時に見分ける、いわばシステムの「視力と脳みそ」にあたる部分において、モービルアイの技術は世界トップクラスの性能を誇ります。日産はこの優秀なシステムをいち早く採用し、長年熟成させてきました。
■ 3. ホンダの決断:日産と同じ「頭脳」の採用へ
誤作動問題と性能の伸び悩みに直面したホンダは、苦難を乗り越えるべく、2020年以降のモデルからシステムの根本的な大改革に踏み切ります。
それまで使っていたシステムを見限り、フロントカメラの映像を解析する最も重要な頭脳として、日産がプロパイロットで大成功を収めていたのと同じ「モービルアイ製の画像処理チップ」を全面採用するという、大きな舵切りを行ったのです。
一番肝心な「モノを見る頭脳」を世界トップクラスのチップに変更したことで、最新のホンダセンシングは過去の苦戦が嘘のように劇的な進化を遂げました。今や日産のプロパイロットに引けを取らない、非常に高い精度とスムーズな挙動を手に入れています。
■ まとめ:どちらも本当に素晴らしいシステム!
ライバル車が最近良くなった背景を調べてみたら、実は自分の愛車と同じ優秀な頭脳(モービルアイ)にアップデートされていた……というのは、クルマ好きとしてはなんだか面白い巡り合わせですよね。
日産がいち早く目をつけ、ホンダもその実力を認めて採用したモービルアイの技術。
アプローチの歴史は違いますが、現在ではどちらのメーカーも、大切な家族を乗せて安心して長距離を任せられる、本当に素晴らしい運転支援システムに仕上がっています。
メーカーの垣根を超えて、こうした見えない技術が日本の交通安全を底上げしてくれていると思うと、同じドライバーとして嬉しい限りですね。
Posted at 2026/06/10 11:21:35 | |
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2026年06月04日
皆さん、こんにちは。
愛車のC28セレナで日常のドライブやDIYを楽しんでいます。
最近は燃費や雪上制御といった少し重ための技術ネタが続いていたので、今回は息抜きに、カタログを読んでいるだけではなかなか気づかない「乗っているからこそニヤリとできるマニアックな小ネタ」をひとつ紹介したいと思います。
それが、ドライブモードにある「S」の文字についてです。
実は、先代のC27型と現行のC28型では、同じ「Sモード」でもアルファベットの持つ意味が全く違うのをご存知でしょうか。
結論から言うと、C27の「S」は「SMART(スマート)」、C28の「S」は「SPORT(スポーツ)」を指しています。
日産がこのアルファベットの意味をコッソリ変えた裏には、第2世代e-POWERへと進化した過渡期のストーリーが隠されています。
■ C27の「S」= SMART(スマートモード)だった理由
C27の第1世代e-POWERがデビューした当時、日産は「アクセルペダルだけで加速も減速も意のままに操れる」という、新しいワンペダルドライブの感覚(e-POWER Drive)を世の中に広く浸透させたいと考えていました。
そこで用意されたのが「S(スマート)モード」です。
キビキビとした力強い加速を楽しみつつも、アクセルを戻すと強い回生ブレーキがかかって無駄なく発電・減速できる、非常に効率の良いモードでした。
「ECOモードほどモッサリしていなくて気持ちよく走れるのに、燃費も良くて運転がスマートになる」という意味を込めて、日産はこれをスマートモードと名付けたわけです。エコと走りの楽しさを賢く両立させるための「S」でした。
■ C28で「SPORT(スポーツモード)」に変わった理由
しかしC28になり、e-POWERは「第2世代」へと完全に生まれ変わりました。この劇的な進化によって、日産は「S」の意味をあえて変えることになります。理由は大きく2つあります。
1. 標準(NORMAL)モードが最初からスマートになった
C28では、インバーターや制御システムが大幅に進化しました。その結果、普通の「NORMALモード」であっても、アクセルオフ時の減速(回生ブレーキ)のギクシャク感がなくなり、ものすごく滑らかで賢い制御ができるようになりました。
つまり、わざわざ「S(スマート)」という特別なモードを切り替えて用意しなくても、車全体が最初からスマートになってしまったのです。
2. 専用エンジン(1.4L)による圧倒的なパワーの余力
もう一つの理由は、C28で新開発された1.4Lのe-POWER専用エンジン(HR14DDe)の存在です。
これにより、モーターの最高出力がC27の136馬力から、C28では163馬力へと大幅にパワーアップしました。もはや「キビキビ走る」というレベルを超えて、ミニバンとは思えないほどの力強い加速力を手に入れたのです。
日産としては、この第2世代e-POWERの圧倒的なパワーをドライバーに100%体感してもらうために、あえてお行儀の良い「スマート」という言葉を捨てました。
「アクセルを踏み込めば、電気の力で圧倒的な加速を見せる『SPORT』モードだ!」と、キャラクターを完全に尖らせる方向に舵を切ったわけです。
■ まとめ:1文字の定義に隠された開発陣の自信
C27からC28への進化は、目に見えるデザインや静粛性の向上だけでなく、実はこんな運転モードのアルファベット1文字の定義にまで、開発陣の「第2世代e-POWERへの圧倒的な自信」が隠されているのが本当に面白いところです。
C27からお乗り換えされた方は、ぜひNORMALモードの賢さと、新しくなった「SPORTモード」の加速力を改めて体感してみてください。
皆さんは、この「S」の意味が変わったことに気づいていましたか?
Posted at 2026/06/04 07:24:04 | |
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2026年06月02日
■ はじめに:カタログの数字だけでは見えない冬の戦闘力
皆さん、こんにちは。
愛車のC28セレナで日々のドライブやDIYを楽しんでいます。
冬になるとみんカラのタイムラインでも一気に増える「雪道」や「スタック」の話題。
「ミニバンのハイブリッドなんて、どれも雪道は似たようなものでしょ?」と思っている方も多いかもしれません。しかし、各社のシステム(日産のe-POWER、トヨタのTHS-II、ホンダのe:HEV)を技術的に紐解くと、雪上での挙動には天と地ほどの差があります。
今回は、本来は4WDが有利な雪道において、あえて「2WD(FF)で比較したときの制御の違い」、巷で話題になった「ステップワゴン低床化の悲劇」、さらには「日産が雪道最強と言われる歴史的エビデンス」について、少しマニアックに深掘りしてみたいと思います。
(※今回の内容は、どのメーカーが上でどれが下という話ではなく、何を優先して車を作ったかという「設計思想の違い」としてお読みいただければ幸いです!)
■ 第2章:2WD(FF)で決定的な差が出る「1万分の1秒」のモーター制御
雪道などの滑りやすい路面において、日産のe-POWERは2WDであってもライバルより雪道に強いと言われます。その理由は、モータージャーナリストの五味康隆氏も動画等で高く評価している「制御の緻密さ」にあります。
【日産 セレナ(e-POWER):滑る前にミリ単位で抑え込む】
e-POWERはエンジンとタイヤが完全に切り離された「100%モーター駆動」です。これが雪道で最大のアドバンテージになります。
タイヤが雪面でツルッと滑りそうになった瞬間、センサーがそれを検知して「1万分の1秒単位」という超高速でモーターのトルク(回す力)をフワッと抜きます。
五味氏も解説している通り、ガリガリと空転してから対処するのではなく「滑り始めた瞬間に力を抜き、グリップが回復したらまたミリ単位で力をかける」という制御を常に行います。
実際、北海道や東北の降雪地域でe-POWER搭載車がもの凄く売れているのも、この2WDでも雪をしっかり掴んで前に進む「現場での圧倒的な安心感」が評価されているからです。
【コラム:オールシーズンタイヤで見えた制御の差】
私自身、C28でたまたま大雪に遭遇した際、オールシーズンタイヤのままでしたが、スリップやスタックで困ることなく普通に走破できて驚いた経験があります。
五味氏の動画で、同じオールシーズンタイヤを履いたプリウスが雪道で完全に身動きが取れなくなっていたシーンがありましたが、これはプリウスが悪いというより、機械的なギアで繋がっているシステム(THS-II)では、オールシーズンタイヤの低い限界値を超えた空転を抑えきれなかったのだと思います。同じ条件でも普通に走れてしまうe-POWERのミリ単位の制御が、タイヤのポテンシャルを底上げしてくれていることを身をもって実感しました。
【トヨタ ノア・ヴォクシー(THS-II):滑ってからブレーキで止める】
トヨタのハイブリッドは、エンジンとモーターが遊星歯車で繋がっているため、日産のように「瞬時にトルクをゼロにする」といった極端な電子制御が構造上苦手です。
そのため、雪道でタイヤが空転すると、伝統的なVSC(横滑り防止装置)が働き「空転したタイヤに物理的なブレーキをかけて無理やり止める」という制御になります。滑ってから対処するため、どうしても発進時にもたつきを感じやすくなります。
【ホンダ ステップワゴン(e:HEV):安全思想ゆえに出力をガツンと絞る】
ホンダのe:HEVも低速域ではモーター駆動がメインですが、ホンダの安全制御(VSA)は「スリップを検知すると、危険を回避するためにモーターの出力をドカンと大きくカットする」という生真面目な味付けになっています。
そのため、雪のわだちから抜け出そうとアクセルを踏んでも、少し滑っただけでパワーが絞られてしまい「ウンウン唸るだけで前に進まない」というギクシャク感に繋がりやすい傾向があります。
■ 第2章:カタログの数字に騙されるな!現行ステップワゴン「低床フラット」の罠
人気YouTuberのカズさんが、大雪の日に新型ステップワゴン(現行型のRP8)で見事にスタックの危機に直面した動画が話題になりました。
「ホンダのモーター制御が悪いのか?」と思われがちですが、実は最大の原因は、ホンダが誇る伝統の「低床パッケージング」が雪道で裏目に出てしまったことにあります。
カタログ上の「最低地上高」を比較すると、面白い盲点が見えてきます。
・ホンダ ステップワゴン: 145 mmから150 mm
・トヨタ ノア・ヴォクシー: 125 mmから140 mm
・日産 セレナ: 135 mm
数字だけ見ると、実はトヨタが一番低く、ステップワゴンの方が高く見えますよね。しかし、ここがパッケージングの罠です。
トヨタや日産の数字は、マフラーの出っ張りなど「一部のパーツ」が地面に近いだけで、床下には雪が逃げる凸凹(隙間)がしっかり確保されています。
対してホンダのステップワゴンは、乗降性を極限まで高めるために、燃料タンクの形状まで変形させて「床下全体がデコボコなく、見事に真っ平ら(フラット)」に作られています。
これが大雪の日にどう影響するかというと、深いくぼみやわだちに入った瞬間、真っ平らで広いお腹全体で雪を綺麗に「面」で押し固めてしまうことになります。結果として、車体全体がソリのようになって雪の上に乗っかってしまい、タイヤが浮いて空転する(亀の子スタック)という現象が起きやすくなります。
日常の「乗り降りしやすさ」という最大の優しさが、豪雪地帯では自らを身動きできなくするトラップに反転してしまう。このメカニズムの皮肉は、非常に興味深いポイントです。
■ 第3章:日産「雪道最強伝説」を裏付ける3つの歴史的エビデンス
なぜここまで日産は雪道に強いのか。それは、一朝一夕でできたモーター制御ではなく、何十年も積み重ねてきた「四駆開発の歴史と意地」があるからです。
① 北海道「陸別テストコース」という極寒の実験室
日産は、日本一寒い町として知られる北海道の陸別町に、広大な試験場を所有しています。厳冬期にはマイナス20度を下回るこの過酷な地で、圧雪、アイスバーン、深雪など、リアルな雪質を使い倒して、泥臭くトラクション制御のソフトウェアを煮詰めています。
② GT-R「アテーサE-TS」から続く四駆のDNA
日産の雪道への強さは、R32型スカイラインGT-Rで世界を震撼させた電子制御トルクスプリット四駆「ATTESA E-TS」からの圧倒的な技術の蓄積がベースにあります。この思想をSUVに応用したのが歴代エクストレイルであり、「日産の四駆=雪に強い」という信頼を決定づけました。
③ 北海道警察(プロ)が認めた圧倒的な信頼性
スタックが絶対に許されない北海道警察のパトカーや事故処理車に、歴代のエクストレイルやサファリといった日産車が長年制式採用されてきました。過酷な冬の北海道を24時間走り回るプロが選ぶという実績こそが、何よりのエビデンスです。
そして現代、この四駆の歴史とEVの超高速モーター制御が融合して生まれたのが、C28セレナや現行エクストレイルの「e-4ORCE」ですね。ツルツルのアイスバーンでも車体がブレない次元の違う安定感は、ここから来ています。
■ まとめ:パラメーターをどこに全振りしたかという思想の違い
最新のミニバン3社を比較すると、それぞれのメーカーが何を一番大切にしているかがハッキリと見えてきます。
・多少ブルブルとした振動があっても、極限までフリクションを削って「燃費世界一」を獲りにいくトヨタのストイックさ。
・雪道でのスタックリスクを冒してでも、家族全員が毎日快適に乗り降りできる「究極の低床空間」を作るホンダの優しさ。
・多人数で長距離を移動するミニバンだからこそ、1万分の1秒の制御で「徹底的な静粛性と雪上の安心感」を提供する日産のおもてなし志向。
どの車にも一長一短があり、だからこそ車選びは面白いですよね。
以前乗っていたC27から現在のC28へと乗り継いでいますが、DIYで少し手を加えながら、これからもこうした各社の設計思想の違いを楽しんでいきたいと思います。
Posted at 2026/06/02 07:28:51 | |
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