大きなライブやコンサートは無理ですが、小さいハコや野外なら
PAさんと呼ばれる仕事が出来ます。 元々その仕事から入ったもので・・。
この仕事を含め、舞台に関わる仕事をしたい若人たちは結構多いです。
一般の方も、ライブやコンサートに行った時に、
音響のPA(パブリックアドレス)さん、照明さん、大道具さん、映像さんなど
色々なスタッフさんを見る事があると思います。
サザンなどのグループになると、アルバイトを含めると度肝を抜かれるスタッフ
が関わっています。
先日のサザンの30周年記念ライブは、8500円のチケットで30万人が
集まりましたので、25億5千万の金が4日間で動いた事になります。
たぶん、サザンや演奏スタッフに払われた金より、それ以外のところに
動いた金の方が多いはずです。 会場費とか設備費、スタッフ費と・・。
その中で、音響PAさんの話を少し。
PAさんが活躍する場所は、コンサートの他、結婚式やイベント会場、野球場
など、大勢の人々が集まる様々な場所に広がっています。
いずれの場合でも、音響機材を持ち込み、あるいは会場に備え付けの音響機材も
駆使しながら、そのイベントに合った音づくりをするのがPAさんの仕事。
ライブでご説明すると、一人前になるまでPAの仕事は、
3つのステップがあります。
「ステージマン」「モニターミキサー」「ハウスミキサー」です。
仕事では、それぞれのステップから一人ずつ集まり、三人一組で仕事をする
場合が多いです。
ステージマンは、ステージ上のマイクやスピーカーといった音響機材の
セッティングを担当し、最初に任されるポジションです。
マイク、スピーカーやケーブルの種類や用途など、音響機材の取り扱いについて
覚えます。
常にステージ上にいて、演奏者の生の音を聴けるのもステージマンです。
実際にどんな音が鳴っていて、どうすればその音をマイクで拾うことができるの
か勉強します。
バンドであれば、ボーカルが使うマイクをセットし、ケーブルを這わし、
ドラムにセットするマイクも、キックやスネアなどに使うマイクも違うので、
ベスポジにセットしたりします。
舞台袖に控えているボーカルの人にマイクを渡すのもステージマンの役割ですが、
予備マイクと間違って渡したりすると、ミキサーの予備マイクのボリュームを
調整しているフェーダーは上がっていませんので、ボーカルが歌い始めても
声が出ないというミスに繋がったりします。
よく、マイクにビニールテープを貼っている場合を見る事があると思いますが、
あれは、誰がどのマイクを使うかの目印です。
モニターミキサーは、ステージ脇の隠れたところにあるミキサー卓に座り、
モニタースピーカーという演奏者のためのスピーカーのミキシングを担当します。
ステージマンを経験してからこのステップに進みます。
モニタースピーカーとは、各演奏者の近辺に置かれているスピーカーです。
ボーカルや演奏者が、自分の声や、楽器の音などを「返す」ため、
いわば、聴くためのスピーカーをいいます。
ボーカルの声を上げて、ギターを下げてとかの演奏者からの要求は、
モニターミキサーが調整を行います。
ちなみにモニタースピーカーは「ころがし」や「フット」「返し」などの
呼び名があり、会社によって違うと思います。
最後に、ハウスミキサー。
ハウスとは劇場の意味です。アーティストなどと共同で音づくりをし、
観客のために音を仕上げる最高責任者、それがハウスミキサーです。
「客に聴かせる」ためのスピーカーの音の調整です。
客席のどこかに設置されています。 客席に寄っては、PAで邪魔になる
と思う時もあるでしょう。
このハウスミキサーを任されるようになって一人前といい、
最高の音響空間を作り出すのが仕事です。
経験を重ね、一流のPAマンになると、
アーティストからの指名なども入るようになり、自分の名前で仕事が来るよう
になります。
しかし、道のりは長く、その途中で挫折していく若者たちが数多くいます。
基本的に有名バンドは、専属スタッフを持っているため、
県民会館などのハコのスタッフになっても、「会う」事は出来ますけど、
本番で技術スタッフとして操作する事はありません。見てるだけになるでしょう。
体力的に、専属スタッフ・同行スタッフの方がキツイと言われています。
専属スタッフになると、ツアーなどに同行するため、全国で活動します。
そのため、体力的にもきつく、家に帰れない日も多いです。
何日か前に「前乗り」し、セッティングを行い、リハーサル、本番、
そして片づけである「バラシ」をして、次の現場へ という繰り返し。
バラシの時に、トラックの中にビシッと入れるのですが、隙間なく綺麗に
入れる必要があり、初めて見る人は感動するかも知れません。
隙間を空けると、トラックの中で暴れてしまいますし、スペース的に
もったいないです。 引っ越し作業などは、舞台スタッフさんは、その辺の
引っ越し屋よりも、トラックに積むのは上手だと思います。
どんな仕事もそうですけど、技術の他に、体力も必要です。
この業種を目指す人は、生半可な意欲で目指すと潰れます。
かっこよさそうみたいな憧れで来ると、即潰れるでしょう。
体育会系のノリも全快だったりしますし。
プライベートもあってないようなものです。
その中で、技術スタッフさんは裏で頑張っている事で、
バンドさんなどはコンサートを開催できているのです。