思い出が詰まった愛着ある車というのは、車乗りなら大抵の人はあると思う。
デビューから17年以上経過し、定年劣化もあるが、その他の部分でも
不具合が出るため「外車と思え」と言われる程。
それでも、ここまで愛される国産車もめずらしいと思う。
私がビートを所有したのは、今から10年前・・。
茨城県の水戸市にいた頃だった。
購入場所は、「ホンダカーズ千波」。 ビートの名門だ。
有名な吉田氏から購入したのだが、当時わたしはこのショップが
ビートの名門と知らずに購入した。 たまたま近所にあり、
原付で走っていたら見つけたのが「 無限ビート 」だった。
当時価格で、5万キロ・込み90万と記憶している。
あとから有名なショップで購入したのに気づいたのは、
仙台に戻った1年以上経った後だった・・。
メンテ系以外で、急に故障したなどのトラブルはなかった。
しっかり整備して頂いていたのだろう。 幌が新品なのに、雨漏りがする
以外は・・。 当時、仕事でもビートを使用していたので、
仙台~水戸の高速道路・280キロを何往復もしてくれた。
オープンで仙台に向かった事も何度もあった。
帰れば排気ガスで真っ黒になった顔を見て、妹が「 真っ黒なんだけど! 」
とかまし、風呂に入ったら「 真っ白なんだけど 」と返されたことも
しばしあった。 菅生パーキング手前で雨が降ってきて、慌てて入って
幌を閉めたこともあった。
たしか、300キロ走って20リッター給油だったので、リッター15。
ただ、300走るとガソリンメーターが一番下のラインまでいくので、
高速で焦るのだが、実はこれで10リッターは残っている計算・・。
実は、ビートに乗って一番面白くないのは高速道路だと思う。
しかし、ビートはオープンカーになるのだ。
これだけで楽しい。 高速道路も安いし燃費も良い♪
一生で、オープンカーを経験した事がない人も多いと思う。
バイク乗りにはオープンカーは感動しないという方もいるが、たぶん違う。
私もバイクに乗るが、感動・感激は間違いなく得られる。
オープンは、確かに所有するには勇気がいる。 趣味と言われればその通り。
ただ、乗らなければ味わえない感覚なのだ。
口では伝えにくい感動だ。
夏場の炎天下で乗れば、熱射病の危険性まで出る。
一度、水戸から九十九里、東京を抜け、埼玉の友人宅に行った時期は、8月。
真っ赤に日焼けした。 たぶん今までの最大級。 車の中であんなに汗をかいた
のもこれまでで最大。
しかし、今までで、一番思い出にも残るドライブ・・ Priceless。
これが、オープンカーの魅力。
法定速度で、あんなに楽しめる車も少ない。
ビートに乗ると、一般道がサーキットのような気分になれる。
パワステがついていないため、パワステ慣れしている人には重く感じる
と思うが、乗った事ないがF1マシンにでも乗っている気分。
なじみ深いモノで言えば、ゴーカートでしょうか。
ミッドシップレイアウトの醍醐味もある。
軽自動車でミッドシップを味わえる幸せがある。
あのF1パイロット、佐藤琢磨だって乗っている。 ちなみに赤いミニも。
凄く車の趣味が合う気がする・・。 一度、一緒に酒を飲んでみたい・・。
旧軽自動車枠で作られたサイズ、小気味良く走れるビートは、
乗り手と車が完全に一体感になれる。 乗せられている車とは全然違う。
グランツーリースモのゲームで、ビートを選んで走っても、実車には
全然かなわない。
あのサウンドと、エンジン。
初めて乗った時、前車がターボのスカイラインということもあってか、
「 なんでこんなに回るんだ??? 」
と感じた。 エンジン音/排気音も気持ちいい。
気のせいではなかった。 本当に良く回る、高回転型。
それもあってか、デスビなどにも影響がでるが・・。
しかし、スピードは出ていない・・。 違う意味でのホンダマジック。
しかし遅くても、楽しい。 本当に楽しい。
当時、今でもかも知れないが、カプチーノやAZ-1と比べられたが、
速さは敵わない。 そりゃターボだもの・・。
違う目線で、AZ-1はクセがあって面白かった。
カプチーノも乗ったことがあるが、個人的には「未知の世界」だったAZの
方が良かったし、たぶんカプチーノより速いと思う。
しかし、楽しさは敵わないと思う。
このことはよく口コミや雑誌などでも言われたことだが、
ここまで「楽しい」と言われているのだから、間違いないのだ。
私が乗っていた当時、まわりが珍しがって、運転させてとか、
ドライブしようとかの誘いも結構あった。 これもビートの長所か。
当時、20になったばかりの女の子を乗せて夜にドライブした事がある。
「 私がこの車に乗っていること、貴重な体験なんだろうね 」
という一言が、印象に残っている。
これから先、どんな高級車に乗る事はあっても、ビートはないだろうなという
事だった。
同時に、オープンにして国道を走った時、
「 トラックが横を通ると怖い・・。 国道って怖い場所なんだね 」
という言葉も印象に残る・・。
ビートは、女の子からの目線になると様々・・。
恥ずかしいと思う人もいる。 彼氏、何の車に乗っているの? と聞くと、
ビートなのに答えたくない女の子も、今まで2人くらいいた。
待ち合わせをすると、小さすぎてどこにいるか分からない・・ とか。
オープンカーにしても、日焼けするとか、髪が乱れるということから
乗りたがらない子もいるだろう。
2人乗りだから、実用性もないから、買い物に行くのも苦労する。
カップルの彼氏が、ファーストカーにするのも辛いだろう。
でも、いまビートに一番乗って欲しいのは、若者だと思う。
車嫌いの救世主になればいいと思う。
私みたいに、日焼けしながらドライブするのも、一生の宝物だと思う。
いまも新規格で、デザインを変えずにもう一度出て欲しい気もする。
利益度外視の車ということは分かるが、それでも出して欲しい。
いま、ビートの雑誌やDVDが出ても、普通に売れる。
そんな車は、あまりないのだから・・。