1986年・昭和61年 1台のロングセラーのバイクが、ホンダから発売された年。
「ホンダ フュージョン」
発売するには、少し早かったとも思えるコンセプト。
当時は、チェルノブイリ原発事故、仙台市では市外局番が「022」になり、
ビートたけしのフライデー襲撃事件、「加トちゃんケンちゃんごきげんテレビ」が始まったのも、この年。
フュージョンは、1994年に豪華仕様の「SE」グレードを追加しながら、
1997年に、生産が中止。
しかし皮肉なモノで、この時期以降に、ヤマハ「TW」や、ピックスクーターブームが訪れる事になる。
一時期、70.80万近いプライスを掲げる店もあったほど。
そして、ホンダは前代未聞の決定を下す。
そのままのデザインで、2003年にフュージョンが復活する事になったのだ。
自動車メーカーでも、こういう事をやって貰いたいモノだが、
大変珍しい事例の一つだった。
メーカーカスタム仕様の X /XX の追加、カラーオーダープラン、2005年には以前発売されていた
「SE」 も復活。
復活以降は、若者を中心に人気を博してきたが、排ガス規制の強化により
2007年8月をもって、2度目の生産終了となった。
今や、ピックスクーターが流行する先駆けにもなったヤマハのマジェスティをはじめ、
フォルツァ、スカイウェーブ、マグザムなど、250クラスでも数多くのラインナップが揃っている。
スクーターは、積載性・快適性に優れており、加えてデザインを含めると、
個人それぞれの好みで選んで間違いないと思う。
そんな中で、ピックスクーターというジャンルを、1986年に発売されていたフュージョン。
独特のオーラを持つ1台として、以前ほどの加熱はないものの、人気の1台だ。
基本性能というモノについては、86年から構造が変わっていないため、
よく言えばクラシック、悪く言えば「基本性能が、他のスクーターには負ける」という点。
コーナーを一つ曲がれば、「よじれ」という感覚があるし、細かく見れば欠点が見えるのも事実。
しかし、その欠点というのは、あくまで「他と比べれば」の話。
普通に乗っていれば、気になる点なんて、ほとんど見あたらない。
気になるところが見えるなら、ほとんどが比べているからという部分に過ぎない。
軽さだって、150キロ台という車重。 他のスクーターと比べれば、明らかに軽量クラス。
当時は、普通に「重い」という目で見られてきたが、現在では軽量クラスである。
フュージョンの一つの特徴である「後輪フットブレーキ」は、
2000年代に発売されていたスクーターでは、フュージョンだけである。
90年代にフリーウェイやスペイシーなど、ホンダから2車種存在していた。
フュージョン自体、バイクというよりクルマに近い。
その理由の一つとして挙げて良いのが「フットブレーキ」である。
通常のバイクのブレーキは、ハンドル左右に付いており、後輪は「左手ブレーキ」。
それをフュージョンは、右足のフットブレーキに採用する事で、「よりクルマらしさ」を演出させる
事になった。
このフットブレーキは、最後まで慣れない人もいるだろうが、使いこなせれば、かなり便利。
左手はフリーになるし、結構クセになる。
そして、フュージョンを意識して登場させたヤマハのマグザムも敵わないという箇所で、
「アメリカンスタイルから来る、ライディングスタイルの楽さ」
「フカフカのクッション」
が挙げられる。
これだけでも、「他にはない長所」で、他のスクーターは真似が出来ていない。
これが譲れなくて、フュージョンに乗る人は多いだろう。
個人的には、復活後のカスタム系のフュージョンより、
復活前のコンセプト、特にSEが好きだ。
「小さいゴールドウィング」のコンセプト。
マイナーなデータではあるが、復活前のフュージョンの方が1馬力ほど高出力のセッティングに
なっている。 乗った感じでは、ほとんど分からないが・・。
燃費はリッター25キロほど。 長距離で30キロ。
最高速は、130キロほど。
復活後のショートスクリーンになると、体がついて行けないとも思うが、
快適なのは100キロ付近までだと思う。
ロングスクリーンでは、基本的に「そよ風」という風の流れで体に当たるため、
ロングツーリングでも疲労感は少なく、雨も当たりにくい。
どうしても、250クラスのピックスクーターは、図体が大きいので、
すり抜けもしにくく、交通量の多い地域での「通勤」は、それこそ「カブ」などには負ける。
通勤では、バイクなのに、「クルマと同じ立場」になることも、珍しくはない。
気軽に「路駐」もしにくいし、隣のバイクにも気を遣う。
街中のチョコチョコした動きが主流なら、やはり125ccクラスのスクーターの方がいいだろう。
現在では、「ノーマル」の状態を探す方が難しくはなっているが、
今後、フュージョンが3度目の復活をすることはないだろう。
あるとすれば、一新した「新型」になるとは思うが、
ホンダが当時発売していた、「フリーウェイ」 「フォーサイト」 「スペイシー」 「フュージョン」
の「独特のツボ」を持つバイクを願いたい。
そして、私は、また
フュージョンを買ってしまったのである。。
コレだもんなー。。 ハル春と来たら(^_^;)