スズキのヒット作「ラパン」への対抗馬として登場した、ダイハツ「ミラココア」。
「 ちゃんと私の事考えてる? 」と、一瞬しかめ面になる人もいるだろうCMで、
現状で、目標販売台数の3倍の受注量があるというミラココア。
基本的に、デザインをみて分かるとおり、「女性をメインターゲットにした車」。
しかも25歳以下の若い女性を狙っているという。
ラパンとココアでは、どちらがいい? という、このジャンルを選ぶ人は、気になるトコロ。
ここでハル春が一刀両断して参りました。
ミラという頭文字から分かるとおり、ベースはダイハツ・ミラ。
さらに、2代目ミラ・ジーノの後継車種になる。 *ミラ・ジーノは、2代目で生産中止。
乗るのが「女性」という事になれば、やはりデザインという事になると思います。
「可愛いかどうか。」
重要な部分ですよね。
私は、デザインは好みと常々言ってきましたが、今回もそう言いたいところですけど、
目線を変えて言わせて頂くと、「長い目で見て、飽きずに乗っていられるデザインは、ココア」
だと感じます。 ラパンは、初代の方が長く乗れるデザインだったと言える気がします。
ヘッドライトが「丸目のココアと、角目のラパン」という位置づけですが、デザインが良ければ
丸目の方が長持ちするデータがあるようです。 すべてはデザインのバランスなんですけど。
現行のラパンは、ヘッドライト部分のバランスをもう少し変えて貰うと、ガラッと変わるはずです。
現在では出ていない、初代に存在した「ラパンSS」が登場するとすれば、
どうなるのか気になります。
話は戻ってココアです。
ココアのデザインは、ヨーロッパ風をイメージしたデザインで、昔の何かの車にも似ています。
ルーフレールを装着しなければ、立体駐車場ギリギリの1530㎜です。 装着すれば突破します。
全長は、ミラより4㎝伸ばした3395㎜。
今や少なくなったルーフレールですが、お洒落に見えるので付けたくなりますが、
付けると普通の立体駐車場は入れなくなりますので、注意が必要です。
グレードは、「X」と「L」で、フォグランプや国内初採用の「バックモニター内蔵ルームミラー」など
装備を「プラス」した、「プラスL」「プラスX」、最上級グレードの「プラスG」がある。
「 乗り心地 / 装備 」
座ってみると、前方視界が非常に良い。
これは、スズキのラパン以上と言っていい。 ボンネットの高さが、高くもなく低くもなくという、
絶妙な位置にある。 女性からすればベストポジションのはずだ。
座った感じの広さも、十分。 天井もラパンより高いです。
個人的には、「心地よい空間」を感じられるココアが、ラパンより上と感じます。
そして、シート。 消臭機能を持つ「デオドラント・シート」を標準装備し、
ヨーロッパのソファの表皮・感触を持つ、触り心地の良いシートを採用している。
これは、シートに座り、触ればすぐ分かる「女性好みのシート」だ。
シートは、白とブラックが選べる。 オプションで多彩なシートカバーも用意される。
シートクッションはそんなに厚くはないが、座り心地は良い方だ。
ただ、同じダイハツの「ムーブ・コンテ」ほどではないが・・。
リアシートは、スライド機能を持たない。 背もたれはやや立ち気味なので、座る人によっては、
「しっくりこない」場合があるだろう。 しかし、不満が出るほどでは全くない。
広さは申し分がない。 膝元も十分で、前席シートの下にすっぽり足も入れられるので、
この点は合格点である。
残念なのは、シートスライド同様、後部座席はリクライニング機能も持たない事。
ラパンはリクライニングするので、マイナス点に感じる人もいるかも知れない。
インパネ周りのデザインや使いやすさは、ラパンと比べても、合格点であろう。
クラシック感も適度にあり、さらに「プラスG」「X」グレードにはタコメーターが装備されるのが
嬉しいところ。
インパネデザインも、プラスチックなのだが、膨らみを持たせたデザインになっており、
見ただけでは合皮革?に見えるデザインは素晴らしい。
莫大に多いわけではないが、小物入れなども充実しているし、使い勝手に不満が出る箇所は、
特にはない。
私がいつも言う、サンバイザーの裏のミラーは、助手席・運転席の両方に装備されている。
さらに、オプションでライト付も選べる。
一点残念なのが、「ルームランプが中央の1箇所」だけということ。
今やルームランプは2つ必要ではないかと思う。
特に、フロントに必要ではないかと思うのだ。
地図を見るにしても、サンバイザーとの間あたりに、自然に手が伸びてしまう人も多いだろう。
こういう細かい気遣いを、メーカーさんには望みたいトコロである。
正直、個人的には「もっと遊び心のあるデザインを」と思わないわけでもない。
日本車の悪いところ?でもあると思うが、
外見ではやや冒険するのに、インテリアで冒険できない臆病さがある気がしてならない。
ただ、一概には言えないのが、「オプション装備」の豊富さである。
最近のダイハツは、スズキよりも優れている気がするポイントは、オプション装備の豊富さ。
ここは、スズキよりも上の気がする。
ラパンにしても、ココアにしても、
「この手の車に乗るなら、オプション装備を色々付けて、
人と違う感じにしなくてドーする!!」
と声を大きくして断言したい気がする。
上記写真も、オプションのフル装備車である。
考えられるすべての装備が、オプションで用意されている。
ここまでしないと、ココアを買った意味がないのでは?とも思える。
ぜひ、色々選んで「自分好み」にして欲しい。
そういう風に出来る、した方が良いクルマ、しなきゃ損、それがココアだと思う。
装備面で一つ言いたいのが、オプションが多い反面、
「標準装備されているモノが、質素」とも言える。
アルミは標準ではないし、オーディオに至っては「MP3にさえ対応しない簡素なオーディオ」に
なっており、グレードアップするにはオプションに頼る必要がある。
さらに車両価格は、ラパンよりもやや高いココアの価格設定。
装備面は、ラパンに少し劣る点ではないだろうか。 大幅な差はないが・・。
車両価格を安く見せたいのは分かるが、ここをケチっても、数千円じゃない?という装備が
除かれていると、んー・・と感じる。
もう一つ言うならば、
「ラパンの後発ならば、もっと色々やれる事なかったかですか??」 と言いたい。
厳しい言い方だが、後発の運命ではないかと思うのだ。
ラパンに負けない、何かを・・。
「ココアは、オプション装備があってのココア」と言える気がする。
「 走 り 」
女性には、重要じゃないように見えて、重要な走りの部分。
ココアのエンジンは、ムーヴやエッセなどと同型の、ダイハツ量産型の「KF-VE型」。
水冷直列3気筒12バルブDOHCで、58馬力を、7,200回転で発生させる。
これを、4速オートマか、CVTで駆動させる。 マニュアル車はない。
もう一つ言うならば、ラパンには存在するターボ車が、ココアには存在しない。
車重は、ラパンとほぼ同じで800キロ前後。 ハイト軽自動車よりも、軽い部類に入る。
走りは、残念なことだが、「ラパンの方が上」と言いたい。
走り出しも、加速感も、ノンターボNAのラパンの方が、走り全般で優れている。
逆に「ラパンが良すぎる」と言える気がする。
個人的には、車重の関係もあるが「現行ワゴンRよりも、ラパンの方が上」と感じたからである。
トルクはあるし、街中ではストレスを感じないラパン。
感じる人がいるならば、それは軽ターボ車やコンパクトカー・リッターカーと比べているからに
過ぎないと思う。 それくらいNAのラパンは良くできている。
ターボは試乗しなかったが、もっと良いと聞く。
そんな事もあり、ココアは走りでは負けている。
明らかに街乗り重視で、法定速度内で不満は出ないのだが、
一般道の加速、登坂では、辛さを感じるはずである。
山の上に住む方は、試乗した方が利口だと思う。
乗り心地は差があるわけではなく、ロールもするし、アンダーも発生するが、
女性が運転するには十分で、サスも上手く吸収しており、乗り心地も合格点だった。
ただ、CVTの金属音だけは、どうにかならないものか・・。
音が大きすぎる気がしてならない。
クルマに詳しい人なら、「ターボ車か???」 と誤解を招く音が出るのだ。
700キロという、ココアより100キロ近く軽い「ダイハツ・エッセ」は軽快なのに、
100キロ近く重いと、機敏に感じなくなったココアだったが、
軽自動車は、パワーがない分、軽さというのは、かなり重要なのが痛感できた。
ちなみに、エッセとココアは、ほとんど同じセッティングのエンジンを積んでいる。
明らかに奥まで踏み込む度合いが、ラパンより多くなる可能性があるココアだが、
ムーヴよりは軽いので、そういう見方をすれば軽快に走る。
全体的に見れば、先発ラパンより、後発なのに、少し分が悪い気がするココア。
洗練という部分で、スズキはかなりしっかり作ってきた結果なのだろう。
だからといって、やっつけでココアを出してきたわけではない事は、すぐ分かる。
全体的にかなり良くできた車である。
女性が買って後悔する事は、まずないだろう。
もう一点付け加えるならば、ダイハツとスズキの塗装とサビの違い。
この点は、ダイハツの方が上である。
スズキは未だに、この点が弱い。 長く乗るなら、頭に入れておきたい。
私ならどちらを買うかと言われれば、オプションフル装備して、少し高くなってもココアを買うと思う。
デザイン的に、個人的にはココアの方が好みだ。
しかし、改良やマイナーチェンジで、ターボ車が追加される可能性もあり、
スズキが「ラパンSS」を発表すれば、ほぼ出して来るのではないかと思う。
そういう目線で見ると、男性ならば「しばし待て」と言いたいところだ。
女性ならば、ワクワクしながら、本カタログよりも、
「オプションカタログを見て下さい。」
と言いたいクルマ、それがココアだと思う。