2002年7月に発売された、カローラバン / スプリンターバンの後継である「プロボックス」、
カルディナバンの後継となる「サクシード」です。
ここで取り上げるのは、1.5リッター、1NZ-FE型ガソリンエンジンの「ワゴン」グレードと、
「バン」のみに搭載される、1.4リッターの1ND-TV型 コモンレール ディーゼルエンジンです。
ワゴンとバンに積む1.5リッターは、名機と呼び声の高い「1NZ-FE型」ガソリンエンジンです。
このエンジンは、トヨタの1.5リッターモデル、「カローラ」「ヴィッツ」「プラッツ」「ファンカーゴ」
「Bb」など多様に積まれているエンジンです。
このエンジンを積む中で、旧型のヴィッツやプラッツなどは1リッター以下の900キロ台なので、
マニュアルでブン回すと、結構軽快に回り、スピードが乗ります。
馬力は109馬力です。
サクシードワゴンやプロボックスワゴンは、2駆で、約1050キロです。
高速道路で、サラリーマンがカッ飛んで走るサクシードバンなどを見ると思いますが、
かなり軽快に走ります。
たかが1.5、されど1.5リッターですが、この排気量は「軽さが命」とも言えます。
一方、マニュアル車しか設定が無く、3年前にラインナップから外れた
1ND-TV型 のコモンレールディーゼルは、直列4気筒 SOHC 8バルブ、72馬力。
最大トルク 17.3kg・m(169.66N・m) / 2000rpm です。
このエンジン、下記の走りで記述しますが、名機と呼んで良いでしょう。
残念だったのは、バンにしか搭載されなかったこと。
個人的にマニュアル好きだから良いですが、2駆/マニュアルの設定しかありません。
さらには、カタログ落ちしたのが、残念ですね。
現在は、小型でディーゼルのクルマは、新車で発売されていません。
エクストレイルGTは、ありますけどね。
NZシリーズと呼ばれるエンジンをベースとした直噴ディーゼルエンジンですが,トヨタでは初、
アルミニウム合金製のシリンダーブロック,
インテークマニホールド一体型アルミ合金製シリンダヘッド,
タイミングチェーンのカムシャフト駆動を用いています。
コモンレール方式のディーゼルで、ヨーロッパでも有名なディーゼルです。
確かNZ型のコモンレール、デンソーさんの開発だった記憶がありますが・・。
燃料の供給方式、コモンレール式と呼ばれる燃料噴射方式の名前で、
エンジンの種類名ではありませんのであしからず。
ちなみにガソリン車も、このディーゼルも、タイミングベルトではなく、
「タイミングチェーン」です。
「エクステリア」
96年、ホンダのS-MXが発売され、始めだけ大ヒットしましたが、
後発で出した、同じターゲットの「S-MXのパクリ」といわれた「Bb」が発売されると、
ユーザーはトヨタに流れる現象が起こりました。
そしてこのユーザーが目に付けたのが、
2002年7月に発売されたサクシードとプロボックスです。
頭にタオルを巻いたニーチャンが、Bbを下取りにして買いに来ると、
密かにディーラー側で言われていたそうです。
これは狙ったと言うより、棚からぼた餅という現象にすぎないようですが、
デザインは、エアロを組んでしまうと一級とも言える姿になるクルマが
サクシード/プロボックスです。
トヨタ側も、ワゴンを展示車にしていない所も多く、試乗なしで購入する必要があるのも、
現在も変わらないようです。
立体駐車場に必ず入る寸法にしており、ハイト系のクルマが多くなった現在では貴重です。
この寸法を重視したデザインにしたことで、結果的に生まれたデザインは絶妙です。
何もしなければ、ただのバンというような感じですが、アルミに変更したり、車高を下げる、
エアロを組むなどすれば、変貌する楽しみがあるという魅力があります。
「インテリア」
「クルマはこれで十分じゃない♪」という、最上限の装備しかされないサクシード/プロボックス。
しかし、余計なモノが付いていない恩恵は、すっきりとしたデザインを生み出しており、
軽量化にもつながっています。
特筆すべきは、営業車がベースになっていることもあっての「頑丈さ」が感じられるパーツ群。
シートも長距離を想定されたシートで、ヴィッツやプラッツ、ファンカーゴなどのシートよりも
グレードは明らかに上です。
ワゴンの後部座席は、よく狭いと言われますが、普通に見ると十分です。
前席シート下に足がすっぽり入りますし、窮屈感はワゴンにはありません。
私は狭いとは感じませんでした。
十分ですし、300キロ程度の距離は、私は後部座席でも耐えられます。
しかし、バンに限っては、荷室の容積を多くしなくてはならない制限もあり、
シート形状がワゴンのように厚みがないため、
後部座席のバンは、快適性はありません。
座面も、薄いです。 プロボックスバンは特にそうです。
Bbなど、最近のミニバンと比べれば確かに狭いと言えますが、
それ以上の恩恵が「広大な荷室」にあります。
1.5リッタークラスで、これ以上は望めないほどの荷室空間です。
後部シートは、リクライニングが出来ない残念さがありますが、
シートを畳むと、さらに広大なスペースが生まれ、
荷室で2人は寝ることが出来ます。
キャンプが、サクシード/プロボックスで出来るはずです。 フラットですから寝やすいです。
チャイルドシートは、シートベルトに固定しなくてはならないタイプです。
残念なのは、後部座席を畳んでいると、フロントシートの位置、リクライニング調整が
制限されてしまい、多少窮屈になってしまうことです。
各部のパーツに目を向けると、「安っぽい」ように見えても、しっかりしたパーツになっており、
見る目を変えると、当時のヴィッツよりも「高級感」さえ感じられます。
ドアの閉まり具合なども、ガッシリ感があります。
過酷に扱われるというものを、想定されて造られている「長所」が見えます。
細いボールペンしか入りませんが、「ペン立て」。
カギ付きの中央コンソール。
さらにオプションでAC100の電源を1万ほどで付けられるスペースも確保されています。
しかし、これはディーラーではなく、メーカーオプションとなっているため、
「後付け」が出来ない可能性があるので確認してください。
10キロの重さを耐えられる?と記載されていますが、インパネテーブル。
これはどのクルマにも付けて欲しい装備ですが、開発当時には、このインパネテーブルで
国交省との協議が多くあったほど、ようやく設置許可が出たテーブルのようです。
推奨しにくいんでしょうね、国は。
そのため、このサクシード/プロボックスくらいです、インパネテーブルがあるのは。
走行中以外、パソコンを置いたり、駐車場でサラリーマンは弁当を置くことが出来ます。
灰皿も、今や貴重とも言えるかなりの大きさがあります。 高さも使いやすい位置です。
もうすこし低くても良いですが・・。
使っていると、馴染むデザインで、「飽きにくい」と思います。
今のクルマは、ゴテゴテと色々着いていますが、そんなのはいらん!と思っている方には、
かなりお勧めです。
「 走り 」
まずは、1.5ガソリン車。
ベースは「営業者」です。
初代ヴィッツのプラットフォームをベースに作られていますが、
特にヴィッツを使用したのが、エンジン回りの部分だけです。
エンジン回りの後ろ側は、ほとんど専用パーツで造られており、
ある意味、贅沢なクルマです。
特に、営業車であるがゆえに、リアサスは「板バネ系」を想像しそうですが、
コイルスプリングです。
最大積載は、プロボックスの400kg、サクシードは450kgです。
サクシードの方が積載量が多いのは、全長で105mm、荷室長で20mm、
サクシードの方が長いんですね。 その差が積載量でも現れています。
「見た目の」全長に関しては、バックドアとリアバンパー形状の違いです。
プロボックスで注文装備のものが、サクシードでは標準装備となるものもあり、
サクシードの方が良いんじゃない? と当然思う方も多いですが、
その分、値段もサクシードの方が高いです。
デザインもサクシードの方がよく見えるんですが、プロボックスの、個人的な1番の強みは、
マニュアルミッションが、ワゴンに限って「プロボックスだけ存在すること」です。
サクシードでマニュアルに乗りたければ、バンに乗るしかありません。
これが、結構面白いんですね。
タコメーターが全車設定が無く、それが残念ですが、
1050キロほどの軽い車体もあって、引っ張って走ると、気分が高まります。
なんでしょう、ヴィッツRSの1.5に乗った時よりも、
「ぶん回して楽しんでやる」という気分になってしまうから不思議です・・。
ある意味、そういうことからも楽しいクルマでした。
ヴィッツRSなどですと、「速さ」を期待して乗ってしまいますし、タイヤもこのクルマよりも
良いタイヤを履いています。
期待して乗ってしまうと「遅い」とかヘンな不満が出てしまいますが、
期待して乗らないサクシード/プロボックスは、だから楽しく感じられるのかもしれません。
しかしながら、初代ヴィッツなどよりも、「軽く」感じられるのも不思議でした。
ミッションは、初代のプラッツやヴィッツと同じです。
コンコンと入ります。 個人的には、この節度感は好きです。
人によってはグニャグニャという方もいるようですが、コツコツと入ります。
驚いたのが、空荷の状態だと「ピョンピョン跳ねる」覚悟がありましたが、
コイルスプリングということもあり、昔のバンのように跳ねません。
全くというわけではないですが、全然問題ないです。
現在所有しているサンバーの方が跳ねます(^_^;)
このタイプは、積載すると乗り心地が安定しますので、
「人を乗せるなど、積載して乗り心地が良くなるタイプの車」です。
騒音は、普通に静かです。 ロードノイズが目立ってしまうほどです。
静かになりましたね、今の商業車は♪
この車がうるさいと思うのなら、どのクルマと比べているんですか? と問いたいです。
コーナーを攻めると、タイヤとサスの影響だと思いますが、アンダーは出ますし、
強烈に攻めてみるとインリフトも起こります。
アクセルを踏むとトランクションがかかりにくい現状が起こります。
ただ断言は出来ませんが、タイヤを替える、ローダウンにしてみる というだけで、
だいぶ変わるはずです。
ディーラーでオプションがありますので、これに変えるだけでも変化するはずです。
「自分好みに変えて楽しむ」ことが出来る車ですので、そうやって楽しむと良いと思います。
たぶん、この車がターゲットにはいると、
カローラフィールダーも視野にはいると思います。
大体の人はフィールダーに行くと思いますが、
サクシード/プロボックスを選ぶあなたは「粋」だと、個人的に思います。
ちなみに、タイミングチェーンのエンジンですので、維持費も燃費も安心です。
高速で17近く行くというデータもあるようですし、町乗りでも必ず10は行くようです。
最後に、1.4のディーゼル車です。
このディーゼル、昔のディーゼルと比べると、思い切り裏切られます。
確かに、アイドリングの時は「ディーゼル」っぽい音がします。
スタートのミート付近だけ、「エンストしやすい」習性を持っていて、
アクセルワークとクラッチに、多少の「気遣い」をする必要があります。
低速トルクがないという訳ではないと思いますが、
スタートとバックに、ガソリンと比べると多少の癖があります。
走り始めて20キロも超えると、「ガソリンとディーゼルの区別が分からなくなってきます。」
とりあえず「静か」です。 今までのディーゼルと比べると。
セルシオなんかと比べてダメですよ(^_^;)
パワーに関しては、ガソリン車のほうがあるんですが、
ディーゼルの方が馬力があるように感じるのは、ディーゼル特有の「トルクの厚さ」があるため、
常用域では、かなり扱いやすいです。
40キロ5速から、普通に加速します。
60キロを超えたあたりからの加速感も気持ちいいです。
ガソリンの方が上回っている点は、ハッキリ断言して良いと思いますが、
「 アクセル レスポンスが、ディーゼルの方が鈍い 」 んです。
トンとアクセルを踏むと、ワンテンポ遅れて来る感じがあり、
ドンと加速する感じも、ガソリン車の方が気持ちいいです。
ヨーイドン!で競争すれば、大差はないですがガソリン車の方が100キロに
到達するスピードは速いはずです。
ガソリン車ばかり乗り続けていた方は、この点だけ引っかかるはずです。
とはいえ、我慢できないほどのレスポンスの悪さではなく、
ガソリンと比べれば、少し悪いっていう程度です。
慣れれば、感じなくなるはずです。 これが人間の感性でしょう・・。
ディーゼルは、「リッター20キロを切らない」という、ものすごい燃費の良さを出すようなので、
250万近く払ってプリウスを買うより、よっぽどエコの気さえしてきます。
しかし悲しいかな、このディーゼルはラインナップから3年前に落ちていますので、
中古でしか手に入りません。
バンですから、会社関係で使われたモノも多いので、
ディーゼルで10万キロに達していない、綺麗なサクシードやプロボックスを見つけたら、
即購入して良いくらいです。
店に並べると1週間も持たないそうで、それだけタマ数が無いそうです。
そのまま乗るのも粋ですし、カスタムするのも粋です。
生活の一部のクルマ、商業ベースの「使い倒す」という感覚で乗るのも、
このクルマでは可能なタフな、サクシード/プロボックスです♪