「フォルクスワーゲン報道官」の可愛い女の子はしたたかだ…

　VWにゴルフを筆頭とするエコカー減税対象車が追加され、TVCMが流れている。これが苦笑する内容なのでコメントしたい。

　ご存知、昨年4月から始まったエコカー減税は輸入車が対象となっていない。これは輸入車がエコに遅れているとか、排ガスが汚いからではなく、日本の特殊でいい加減に決められた法規制に適合しないだけの事だった。

おかげで09年の輸入車販売はすずめの涙にもならないほど惨憺たるもので、ユーザーにとっても輸入車の選択肢から外さざるを得ない状況もあったと思う。

この事態に反発が多かったのか、国交省は輸入車に対する「特枠」を設定して対応した。そこで燃費についてはかなりの技術をもったVWが先陣を切って対象となる車種のキャンペーンに打って出た。

　ここからが本題だ。TVCMが面白すぎるのである。面白いというのは、こども店長やはにかみ店長、ハイジといった視聴覚的にもベタなトークで訴求するものではなく、VWらしくジェントル且つ品位を保ちつつも、日本のいい加減な法規制やライバル会社、メディアに対する揶揄が随所に見られるのである。

CMの設定は“わざと”こども店長を思い起こさせるように女の子による「フォルクスワーゲン報道官」が「発表です！」とプレゼンを行う。ゴルフとゴルフ・ヴァリアントがエコカー減税対象になりました！と発表。

画面が切り替わり、メモを取るいかにも大メディアの“いかにも自動車業界に無知な担当記者”が「輸入車なのに？」と質問。

　フォルクスワーゲン報道官はこの質問を「無視」しているかのように画面が切り替わり、リピートするかのごとく、記者が繰り返し「輸入車なのに？」　フォルクスワーゲン報道官は「無視」。画面が変わり「補助金も！」でCMは終わる。

　輸入車の中で一番パイの大きいVWのエコカー減税と補助金が出ることになってユーザーへの大きな訴求となると共に、ハイブリッドを出さない事で外国メーカーが大きく出遅れている、日本車に大きなアドバンテージがあるととんでもなく間違った認識を持った馬鹿な大メディアと日本の燃費基準にウンザリしている輸入車インポーターからのアンチテーゼであり、ドイツ本国へのメッセージも含ませた上手いとこ突いてるCMだと思った。

実際、同じ内容で投下期間が長く、別テイクの如何にVWのTSIエンジンが燃費が良いかを訴求する“チーター編”も鼻で笑ってしまった記者がその場の空気を凍らせる、という演出は、フォルクスワーゲン報道官が穏やかに済ます、という顛末も上手い。

　大メディアは新車発表の時の質疑応答で、直ぐに「お宅はハイブリッドを出さないんですか？」「電気自動車の計画は？」などの質問が必ず飛ぶ。

木を見て森を見ず、葉っぱら見えてない“担当が自動車になっただけの”記者は何に取り巻かれているのか？長いものに巻かれていれば失職しない安心感にしがみつくからその程度の質疑しか出来ないのだよ。