初めてのアルファロメオは145購入までのPROLOGE
子供の頃、アルファロメオというメーカーは知らなかったが、多分アルフェッタなんかを見て「野蛮なクルマだ」なんて思っていたような記憶がある。まぁイタメシなんて言われてたころはイタリアは野蛮な国というレッテルが貼られてたようだが、クルマに対する印象もそれが現れていたんだろうか。
やがて免許を取り、クルマ好きな私は雑誌のアルファに関する記事を読む度に、やれエンジンが官能的だのデザインがさすがイタリアだの、信頼性がイマイチだの、最後の信頼性を除けば、とても心惹かれる…やがてDTMを走る155の熱い走りに一目惚れしてしまった私は次第にエンスーへの扉を叩く事になったのだ…。
アルファに憧れながらもゴルフワゴンに乗っていた頃、やはり物足りなくなるのは走りの要素。アルファの官能エンジンを味わいたい、ワルター・デ・シルヴァのデザインの強烈な個性を放つボディが欲しいという思いは日に日に募る。元来ドイツ車の無骨で骨太さが好きだった私にとって、イタ車のウイークポイントは信頼性や作りの悪さ。でもエンスーとしてはアルファを「経験しなければ」という勝手な思い込みを募らせ、購入に至ったのだ。
アルファ145の購入に踏み切れた理由として、265万円という価格で買えたことだ。兄貴分の155より80万円位安いのだから、当時アルバイトの収入だった私にとってはこれしか選択の余地がない。3ドアというのが残念だが、最新アルファで信頼性もあり、ハッチバックの使い勝手のよさも手伝って、Lifeのクレジット60回均等払い(!)で購入することに。
★2002年5月時点で購入から早26ヶ月が経過した145。オドメーターは36000キロを刻み、今のところ大きなトラブルはない。「大きな」はないが「小さな」はよーくある。これまでの経過を記してみよう。
■ 1日 1999年2月 【50km】 納車日にディーラーを出て100メートル走ったらトラブル!?
期待と不安をよそに、我が145の最初のトラブルは納車日だった…。ディーラーで145を受け取り、100メートルも走ったところでシートベルトワーニングのランプが点いたり消えたり…。次の信号で早くも引き返した。アンカー側の接触不良なのは明らかで、ディーラーに相談したが対策部品はないとのこと、一度交換を試みたが症状変わらず、結果シートベルトを装着するのは当たり前なので、シート下にあるコネクタを外すとランプが消えるという事がわかったので、外しっ放しで対策。
■ 一週間 【500km】オーディオ・カーナビ取付
ゴルフから持ち込んだMDデッキとCDチェンジャー、カーナビを取り付ける。カーナビやCDチェンジャーのケーブルを床を通すべく、カーペットをめくると驚き。車両側ハーネスの取り纏めの雑さに呆れた。本来、日本車であればケーブルを纏めてリベットでガッシリ留めてあるものの、コチラとらガムテープでペタッと貼り付けてあるだけ。しかもペダルの直ぐ近くを通っているから呆れた。自分でクルマを触るとやはりメーカーやお国柄というのが見て取れる。それでも施工が終わったところで、カーペットも浮くことはなかったので安心した。
■ 1ヶ月 【1438km】1ヶ月点検、いろいろあります
納車されて1ヶ月。細かいトラブルが気になっていた私はディーラーに対応を迫った…。ニホン人らしい注文をした私だが、やはり製品として最低限ののクオリティは保たれて欲しかったのが本音。まずは1ヶ月間145と暮らしてきたレポート。
・まず、クルマを始動させようとキーを捻ってもスターターが回るだけでエンジン始動できなくなるトラブル。これは、万一クルマが転倒した時の燃料強制カットで、ひょんなことからカットされてしまうというもの。助手席下の復旧スイッチを押せば正常に燃料は送られる。納車時に営業マンからレクチャーを受けたのを覚えていたので、慌てることなくボタンを押せば問題解決。しかし、新車時はアイドリングが不安定なときがあって、信号待ちのときなどこれまたひょんな拍子にエンジンが止まってしまう事もあって慌てたこともあった。
・リアクォーターガラス付近からの雨漏り。今時のクルマに雨漏りがあるのか!と思ったが、ガラス張りなおしで対応。・・Fフォグランプの曇り。隙間があって水分が進入しているはずだが点検のみで後に自然治癒した。
・次にフューエルキャップカバーの受けゴムが脱落、これはディーラーでもらう。最後にルーフアンテナがすぐ曲がるので締め付け。そしてエンジンオイル、ミッションオイル、エレメント交換の料金を支払い、1ヶ月点検を終えた。
■ 4ヶ月 【6000km】Fバンパーが!Fガラスが!
駐車場の輪止めにFバンパー下部をもぐりこませてしまい、強引にバックして引っ張り出したらバンパーが外れてしまった。外れたバンパーがちょっとDTMルックでかっこいい…なんて思ったりして、早速ディーラーにて修理。最低地上高の低さを再認識。オイルパンも低いので気をつけなくては。
とある日、路上駐車しておいた145に戻ると、Fガラスに×状のヒビが入っているではないか!駐車中との事で、イタズラかどうか分からないがとにかく悔しい。一度リペアしてみようと、スーパーオートバックスで修理してみたが、ヒビが見えなくなるわけでもなく、進行を留まらせるにすぎないもの。職人によってはもっと仕上がりがいいと思う。もちろん、これで満足するわけもなく、保険対応で交換。
■ 8ヶ月 【8500km】ドアのヒンジが!
145のドアはデカイ。その為、強風の日にドアをあけた瞬間あおられてしまい、力に耐えられずにヒンジが壊れてしまった。ドアを開けるたびに「バキバキバキ」とイヤ~な音がするので、ディーラーへ駆け込む。ドアチェッカーという部品が必要なのだが、現在日本にないという。しかたなく、部品を注文し、イタリアから上陸するまでの2週間をバキバキ音と暮らす。そのうちバキバキ音もなくなって、とうとうブラブラになってしまった。
ディーラーに部品が到着したとの事で、早速持ち込むが、何と部品が着かないそうだ。私の145は99年モデルで、どうやら99以降は違うものらしい。フィアットオートジャパンから何も通達が降りてなく、正規ディーラーだというのに発注する部品が分からない始末。サービスの人が「156のものが使えそうだ」とのことで、また発注。145のドアは1ヶ月ほどバキバキ、ブラブラ状態で、結構恥ずかしい思いをした。
そろそろエンジンのあたりがついてきたと感じるこの頃、時々エンジンに鞭を食らわせ調教してきたが、吐く息も白くなってきた初冬、ツインスパークがダダをこねるようになった。暖気運転後に顕著に現れるのだが、2000rpmから3000rpmあたりでキャブレター車でいう「かぶる」感じがする。ドアヒンジ修理の時にサービスに乗ってもらったが、そんなときに限って症状は影を潜め、全くタチの悪いウィルスである。一応プラグを交換したが、症状はマシになった「気」がしてるだけなのか、完治していない。サービスマンの話では、エンジン内の膨張状態によって点火時期が微妙に狂っているものだというが、その辺はECUの仕事じゃないのか?とも思うのだが、シロートさんはここまでにしておいて、走行を重ねるうちに自然治癒した。うむ、ヨーロッパ車である。
■ 12ヶ月 1999年2月 【13000km】アイスバーンロードでクラッシュ!」
アイスバーン状態の有料道路でノーマルタイヤ(!)走行中、予期せぬ仮設シケイン(!!)現れ、曲がれずに仮設バリアに激突!!自走で帰ってきたが、見た目は無残…。Fフェンダー、バンパー、ドア、クオーター交換修理、メンバーは助かったので致命傷は免れた。アライメントテストも異常なし。これで下取りに赤点がつくことになった。そして我が145はおよそ2ヶ月の入院生活を強いられることに。重大な事実だが、忘れないよう戒めの為にも簡潔だがここに認めた。
非常に無惨な姿の145。
■ 2年4ヶ月 2001年6月 【26000km】めいほうラテンミーティグでFガラスにヒビが!
岐阜県は奥美濃で毎年行われる、めいほうラテンミーティングに参加したときの事。参加したことのある人ならお分かりだろうが、駐車場が砂利道で、これまたクルマに戻ってきたらFガラスにヒビガ入っていた。ゴルフワゴンに乗ってた頃から、Fガラスにヒビガ入る事件はこれで3度目。運が悪いというか、10万円くらいの出費なのでそうそう替えられない。もうやりきれない思いである。因みにFガラスは今になっても交換していない。今になってFガラスをよーく見てみると、細かい傷がたくさんある。アルファのガラスは弱いんだ!と決め付けていたが、トヨタの開発に勤める友人に尋ねると、ヨーロッパでもガラスメーカーは2社程度しかないとのことで、各メーカー調達してくるモノはほぼ同じとの事。なんだかなぁーて感じだ。
■ 2年10ヶ月 【30000km】タイヤとホイールを新調
スノードライブを控えて夏タイヤの引退のきっかけとして、Yahoo!オークションから新品の後期方ホイール+ヨコハマAVID306を譲り受けた。これまで使ってきた夏タイヤはこれまたオークションで譲り受けたシロモノで、3年間倉庫に眠っていたため既に硬化しており、ハンドリングと乗り心地が悪かったので、タイヤは交換しなければと思っていたのだが、たまたま見かけたオークションで後期方ホイールを見つけたので勢いで落札してしまった。
★装着してみて…
前期型より強調されたデザインのお陰で、存在感は増した気がする。やはり後期型のボディ同色バンパーとの組み合わせの方がお似合いだと思った。156から丸みを帯びたデザイン路線になったからだろうか。これはこれでとても気に入っている。他に黒バンパーの145に似合うホイールは何だろうか。私が思うに155スポルティーバの黒ホイールはとてもスパルタンな雰囲気になるし、より美しく決めたいなら96年に入ってきた155スーパーのホイールでしょう。
ヨコハマAVID306はコンフォートな位置付けで、以前の硬化したP6000を履いていたときと比べ物にならないくらい乗り味が変わった。タイヤを替えるとクルマが変わるというのは本当だ。乗り心地はしなやかで、タイヤノイズも抑えられている。高速での安心感も海外ブランドに比べ遜色ない。元来、ミシュラン派だった私だが、日本ブランドのタイヤも好きになってしまった。
■ 3年 2002年1月 【32000km】車検を迎えこれまでを振り返る
145にとって初回車検を迎える。ちょうど3年で32000kmと、月/1000キロペースで走り、我が145はこれまでに深刻なトラブルに見舞われることなく順調に過ごしてきた。レジャーに、買い物に、通勤に、実用車としての役割をこなしてきたことを思うと、今となっては細かいトラブルがあったことは水に流し、こんなにカッコよく、面白いクルマと付き合ってこれたことを幸せに思う。
3年間の経年変化は著しい。全体的な劣化は予想通りで、期待はやはり外れた。ボディのへたりは10000キロを越えた辺りから感じてきて、最近はまるでオープンボディに乗っているようなブルブルっとした感じを受けるし、内張りやダッシュボードからのガタピシ音もすさまじい。布製のシートはところどころにほつれが出始め、鮮やかなロッソのボディカラーも随分と色褪せた。 このあたりが日本車やドイツ車あたりと決定的に違うところで、これからがイタリア車とのつきあいになっていくような気がする。
消耗部品についてはイタリア車だからってどうのこうのすることはなかった。お金がかかるといえばオイル代で、ディーラー推奨4000キロごとだが、私は5000キロで交換するようにしている。銘柄はモチュール300Vの15W-50Wで、ディーラーで交換を依頼している。初めの頃は量販店でAgipを入れていたが、量販ではパッキンが手に入らないそうで、間もなく作業を断られてしまった。もう安いオイルでケチるのはやめ、ディーラー推奨のモチュール300Vを使うようにした。
あと消耗というか、エンジン冷却水が定期的に減るのが気になる。何故なくなるのだろう?水は3ヶ月に1度補充する程度だが、なくなる原因はタンクかホースの密度が薄くなってきているのだろうか。マメに点検していくつもり。
タイヤはこれまでに2セット、冬タイヤ1セットを使ってきて、ブレーキパッドも意識的にエンジンブレーキを多用しているのでまだ1万キロは余裕で使えそう。後はワイパーゴムを替えた程度で、消耗品のサイクルは平均的といっていいんじゃないだろうか。
(2005年05月25日)