2015年07月28日
2015年鈴鹿8耐から受ける 「ストーナー」と「ホンダ」と「鈴鹿サーキット」の印象
ケーシー・ストーナーの転倒を実況のピエール北川氏の絶叫よりコンマ2・3秒も早く叫んだ私。モニターに釘付けだった私は椅子からスッ転げ落ちる程ビックリしました。ここ最近の8耐は序盤に有力チームが転倒してしまい、心臓に悪いレースを何度も見てきましたが、今回のストーナーの転倒はシリアスに映ったものです。
コースアウトしたにしてもクラッシュパッドとガードレールまでがすぐ近くで、オフィシャルもマーシャルカーも近い。その間近でストーナーとCBRがクルクル回って地面に叩き付けられているものですから、これはマズいぞ…と感じ、シモンチェリの時のようなシリアスな緊張が走ったものです。この時私は、「やっぱり鈴鹿は二輪にとっては危なっかしいな」と率直に感じたのです。
ストーナーの容態を知りたかったのですが、直ぐに本人からツイッターが上がり、包帯グルグルの状態。本人からは感謝と謝罪、気になるのはスロットルが固定された、という文言が入っていた事です。ただ本人の表情は放心状態なのが伺えます。
それにしてもケーシー・ストーナーがミスるなんて…BS12で放送を見ていて、夕刻に中野真也さんのコメントにはスロットルよりもギャップを拾った影響を強調されていました。ケーシーの訴えを蔑ろにしているのか?と思ったものです。
昨年、出番の無いまま終わってしまったシュワンツにしても、今回のストーナーにしても見る側は不完全燃焼で、来年もう一回参戦してくれ!って直ぐに思いましが、本人の事を思うと、想像すると、彼にとっての鈴鹿8耐は「残念な結果」としてキャリアを刻むでしょうね。あれだけ飄々としているし、耳タコのように聞いているだろうモトGP復帰についても、首を横に振るわけで。勝てるまでやらせてくれなんて言わないだろうし、今回こんなに痛い思いをして、リスクを犯す価値観は毛頭ないでしょう。
ホンダはどっちを向いている?不可解な対応
レース当日、ケーシー・ストーナーのツイッターでスロットルの件についてホンダ側は「そのような事実はなかった」というものでした。
ではケーシー・ストーナーがシレッと書いたのは何なのか?今更自分を擁護する為のコメントとも思えないし、腑に落ちない。ところが日が明けて月曜日には一転、テレメータを確認したところストッロルグリップが26度で固まっていたと、ケーシーの訴えを認めた事に2度、驚きました。
このホンダの対応には何かを隠蔽しているかのように勘ぐりたくもなる発表です。ハルクプロのCBRはヘアピンに残されたままでしたから、レース後に回収してログを拾うのは想像できますし、モトGPでは無線でデータが飛んでますから直ぐに分かる。全日本のスーパーバイク機がスロットル・バイ・ワイヤであることは分かりますけれども、何故ホンダは当日は否定して翌日になって認めたのでしょうか。普通、「確認中」と発表した後に認めれば余計な勘ぐる事は無かったわけです。
さらに興味深いのはこれらの情報ソースは私、イタたわさんからなんですけれども、イタたわさんの情報源であるGPON誌は2003年の加藤大治郎の事故も同様の件が云々…と書いてあるらしいんですよ。 この大治郎の件についても、検証、発表はされましたが、依然として謎のベールに包まれたままなんです。
ペドロサ代役の件もそう
ついでにケーシー・ストーナーとホンダの件で意見があります。ペドロサの負傷でケーシー・ストーナー自ら代役を買って出たという世界がひっくり返る程の逆オファーをホンダが蹴った件です。ホンダ側としてはケーシー・ストーナーを出すなら勝てる体裁に整えないと…ということでしたが、それはストーナーへの配慮は十分とも言えますけれども、当の本人が重い腰を上げてやってやるというのだから、ファンにとっては願っても無いことなんですよね。モータースポーツは興行でしょう、ブランクのある最強ライダーが、マルケスといった新しい最強世代とぶつけたらどうなるかを見たいだけなんですよね。
マルケスを破れるのか、それともブランクはきつく遅い惨めなレースを見せられるのか、どっちでもいいんですよ。興味があるのは結果どうなるかですから。勝ってるホンダを見せられないと出さないというのは、ストーナーへも客にとっても失礼だと思うんですよね。
まぁ、ホンダがモータースポーツに異常にプライドの高い企業だと言うのは知っていますけれども、〇〇ありき、というのも何かな、と思うわけです。
鈴鹿サーキットの対応というのは
2003年からモトGPカレンダーに鈴鹿サーキットの名前が無いのも、言うまでもなく加藤大治郎の件に他ならないのですが、あれから12年を経った今でも、鈴鹿でモトGPを観たいという声は途絶える事がないんですね。
私は鈴鹿サーキットに行くと、なるべくシケインに行くようにしています。シケインには大治郎を忘れまいと、今でも色褪せた写真が飾られているのですが、コースサイドから130Rを遠目に、2003年のあの日…大治郎がシケインにやってくるのを想像するのです。やはり、スポンジバリアにぶつかれば危ないし、スポンジバリアとタイヤバリア、ガードレールが目の前なんですが、防具フル装備でも人がここにぶつかれば、ちょっとの事ではない、というのは想像がつきます。コースを跨ぐブリッジにしても、スポンサーの為だけなのに、支柱はコースにほど近いところから生えている。シケインのすぐ下には一般道が走っているのですけれども、何とか拡幅してランオフエリアを確保出来ないものなのか、といつも思うのです。
できないのか、やらないのか、どっちなんでしょう。でも私は日本橋の上に首都高を作るくらいの日本だから、出来ない事はないと思っています。新国立競技場のすったもんだは困ったものですが、鈴鹿サーキットが国際的に安全と認めてくれるなら、どんな工事も厭わないと思います。用地の問題というなら、別によその国の基地ってわけでもないのだし、地域振興として認められるものだと勝手に思うのですがどうなんでしょうねぇ。モトGPに限らず、旧いサーキットは安全上の問題からカレンダーから外れる傾向です。ブランズハッチやラグナセカなど、欧米には危なっかしいサーキットは沢山ありますが、危なっかしいところは危ない、というのはつきものです。
また、今回触れるのは辛いですが、ジュール・ビアンキが他界した翌週の8耐です。黙祷の時間でも設けられるのかと思いましたが、カテゴリーが違うからなんでしょうか。少なくとも鈴鹿サーキットで起こった事故でタイムリーなタイミングでこれほど注目されているイベントの機会なんだから、故人を偲ぶ機会があってよかったのかな、と思うのです。本当にケーシー・ストーナーにはこんなことになってしまって申し訳ない、と客なのに思ってしまいました。
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【コラム】Road On Mobirity | 日記
Posted at
2015/07/28 03:11:17
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