スイフトとライバル達を比較してみよう
筆者は日頃から業務に於いてスイフトと同クラスのレンタカーを乗っている恩恵を受けて、比較ができる。そこで今回は雑誌の比較記事と同じように、筆者のナナメ眼鏡視点で比較インプレッションしようと思う。よかったらお付き合い願いたい。
毎日のようにとっかえひっかえ違う車種に乗り、時折自分が所有しているスイフトが出てくる事もあれば、軽自動車からミニバンまで幅広い車種に乗る。ただコンパクトカーでも輸入車についてはレンタカー屋さん自体、保有する事も稀でクラス違いのため殆ど乗っておらず、ミニを経験したくらい。輸入車の同カテゴリーでスイフトクラスに入るのはVW・UP!、BMW・ミニ、VW・ポロ、フォード・フィエスタくらいだろうか。しかしいずれも150万円以下もしくはそこそこで収まるクルマはなく、UP!を除けば軒並み200万円台の前半から後半と幅広い。この中で随一UP!が被ってくるが、日本車勢の中でのドイツ車というのは特徴が違いすぎるし、ただ私の父親がUP!に乗っていて私も度々借りる事もあれば価格帯も近い為、今回UP!については参考扱いで触れようと思う。さらに軽自動車からも一台、MRワゴン/モコも特別に推挙した。
魅力の衰えないスイフト
これを書いているのが2014年8月、現行ZC72S型スイフトが2010年9月の登場から既に4年が経過し、2013年暮れにはフィットがモデルチェンジし、2014年夏にはヴィッツがマイナーチェンジ、間もなく新型デミオを待ち受けている状況。結論から言ってしまうと、最新の新型フィットに乗ってもまだスイフトの方が好みだし実力があると思った。
今回、燃費が向上したDJEエンジングレードとスイフトスポーツについては比較対象から外しており、レンタカー側も廉価グレードを対象としている。比較対象とした車種は以下のとおり。
ホンダ・フィット (2007年10月〜2013年9月 GE9/GK3型)
マツダ・デミオ (2007年7月〜 DE3FS型)
日産・マーチ (2010年7月〜 K13型)
トヨタ・オーリス (2006年10月〜2012年8月 E15型)
トヨタ・ヴィッツ (2010年12月〜NCP131型)
日産・キューブ (2008年8月〜Z12型)
日産・ノート (2012年9月〜 E12型)
スズキ・MRワゴン(日産モコ) (2011年1月〜MF33S型)
VW・UP! (2012年10月〜AACHY型)
フィット(除HV)とスイフト(以下、除DJE)
先ずは最大のライバルであるフィットをぶつけてみよう。
新型、旧型ともに大きな違いがなかったので、一括りにして記そうと思う。フィットを一言で言えば「重箱の隅をつついても何も出ない」ほど全体に纏まりがあり万人に受けるクルマだ。スイフトとの違いはボディスタイルの違いでオーソドックスなスイフトのハッチバックスタイルに対してフィットは如何にもミニバンスタイル。これが今のモダンなデザインだなと誰もが思うだろう。初代から最新型に至るアイデンティティで、センタータンクレイアウトの恩恵で荷室は驚く程で商用バンとしても使えそうなくらい。ミニバンルックスよろしく、Aピラーも遠いところにあり視界はパノラミックだ。
インテリアはホンダらしく立体的で遊び心に溢れており、それでも実用的に纏まっている。スイフトに比べると質感・スイッチ類の節度感は劣るが、スイッチ類に関してはひとつひとつ大きく作ってあり、誰でも迷う事がない。
因みに新型フィットのインパネはこうした立体的な構造は影を潜めた。以前はどのホンダもゴテゴテしすぎではないか?と思っていたのだが、新型の造形はこれはこれで面白みがなくなってしまったな、と思う。メーカーには申し訳ないがユーザーは実に勝手な意見を出す。
走りに関しては少しガサガサしたノイズのエンジン音に感じ、使いやすいのは勿論の事、CVTのセッティングもいい。燃費は2代目/3代目共に明らかにフィットの方が勝り、フィットを積極的に選ぶ理由としては、人も荷物もしょっちゅう乗せるとか、キャラクター、ホンダが好き、或は無駄の無い、合理的なクルマが好きな人にはスイフトよりフィットをお勧めする。
デミオとスイフト
2007年の登場から7年の歳月が経って、ロングライフモデルとなった現行デミオだが、このところのマツダは例のスカイアクティブテクノロジーを展開し、次期デミオは相当期待がかかっている。筆者も次期愛車候補のナンバーワン候補なのだ。そんな状況のモデル末期デミオとの比較だが、さすがに古さは否めず、乗ると一昔前のコンパクトハッチを色濃く感じる。だがこのデミオ、マツダらしいスポーティな走りが楽しめる点ではスイフトを上回るのがデミオなのだ。
タイヤサイズからもそうだが、一回り小さいクルマに乗っている感じがして、クルマの挙動がサイズに比例している。スイフトよりどちらかと言えばヴィッツやマーチに近い。インテリアは落ちついた印象を与え、それに気楽に走れる感じがして、走り出せば軽快の一言。曲がるのも楽しさを演出されているようで、FFのロードスターではないかというくらい。
デザインも当時のマツダのコンセプト、「流」デザインを組んでおり、確かに躍動感を感じ、いつ見てもナイスなスタイリングだ。
落ちついたスイフトのキャラクターとは対照的に、明るく、軽快なデミオ。乗り心地も悪くはない。実を言うとデミオは買ってもいいと思っていたくらい、好きなクルマだったのだが、当時の趣向の違いで落ち着きの点ではフォーマルなスイフトが凌いでいた為、候補から外した。今デミオを買うならディーラーが設定している「特別仕様車」なら99万円で買える。これはコンパクトのベストバリューと言えるのではないか。
マーチとスイフト
問題だらけのマーチ、このクルマを買う理由はどこにあるのか、スイフトに勝っているとすれば燃費だけという、厳しい評価を下さねばならないクルマなのである。
スイフトと同じようにグローバルに展開するマーチなのだが、タイ生産ということを除外してもこの出来は酷い。とにかくチープにも程があるだろうといいたい。確かに、クルマを単なる移動の手段、道具としてだけならそれなりによく出来ていると思う。3代目の愛らしいスタイルは完全に無視し、キャラクターは与えず効率だけを追求している。何もかもがチープでスイフトとの比較にもならない。筆者がレンタカーでこれが出てくると、その日の一日が憂鬱になるほどだ。因みに何十回とマーチに乗っているが、その内の2台はリアから異音が聞こえてきたのでクオリティにも疑問を持っている。
そんなマーチだが価格が安いわけでもなく、110万円から150万円程の設定もタイ生産を考えれば高すぎる。筆者は99万円なら軽より余裕がありますよ?と奨めてみる。それでも借りに貰ったら、売ってヴィッツの中古を買うだろう。筆者が警鐘を鳴らすのはマーチの問題は日産全体の車種に然り、これについては別の機会に述べようと思う。
オーリスとスイフト
スイフトに比べれば価格も車各もオーバーなので、直接比較には少々厳しい面があるのだが、実際乗ったら近いものがあったのでリストアップした。
スタイリングはアクシオの日本のセダン臭がしない、欧州Bセグメントに属したもので、なかなか格好が良い。対する兄弟車のブレイドが何だかクラウンの仮面でも被せられたように日本車臭がしてくる。
グローバルなアクシオ・ハッチバックとでも言ったらいいだろうか、乗ってみると大柄なアクシオに乗っていると思うくらい、酷似している。実際は1.8のアクシオと同じものなんだろう。各国で展開され、欧州仕様が分からないが、それをさしひいてもVWゴルフのようなものを期待したら一刀両断で裏切られる。サイズが大きい分、大味な乗り心地になり、これを余裕ととらえるか無駄ととらえるかだ。であればサイズも小さく、価格も圧倒的に安いスイフトでいいんじゃないか?と結論づけたクルマ。
ヴィッツとスイフト
始めにいっておくと、3代目ヴィッツに好感を持っている人は少ない。それもそのはず、初代ヴィッツが日本のコンパクトカーを変える切っ掛けとなったくらい偉大な存在だからだ。CMを見れば分かるが3代目は男性路線に振ったお陰で、イカつい顔になってしまったところが好感を失った原因である。
スタイリングの話から入ってしまったが、外見の先入観を無視すればなかなかいいクルマである。初代から続くチープさはむしろアイデンティティで、割きりの良さがむしろウリなのだが、3代目はそこが伝わってこないもどかしさがある。
ではスイフトとの比較はどうか?サイズはスイフトより小さいクルマに乗っているという事がはっきり分かる。普段乗っているのは1リッターの方だがCVTとの相性がよくとにかく低回転からグイグイ引っ張っていく。この為かなりの低燃費かと思いきや、メーター内の平均燃費を見ると思ったより数値が延びず、もしかしたら"サバ読み"をせず、正確な燃費数値を捻出しているのでは、と思った。満タン法を試していないのでここでは回答を出せない事をお許し頂きたい。
乗り心地もフラット、足腰のしっかり感もあるが、スイフトと比較すると格下に感じた。
意外と長距離でも疲れにくく、"これ一台で万能に使える感"が強い。
この機会に触れておきたいがスイフトが劣るのは前方視界で、スイフトはオーソドックスなスタイリングにプライオリティを置いた結果、Aピラーがキャビン寄りの為、三角窓がなく、ドアミラーとの干渉もあり死角がある。最近のコンパクトの多くが採用しているのはAピラーを前進させ三角窓をつけて尚且つドアミラーはドアマウントとすることで視界確保に有利に働いている。ヴィッツはこの点でも高評価、運転がとにかくイージーなのが印象。
キューブとスイフト
異色に感じるキューブだが、同サイズ、同価格帯という事でスイフトとぶつけてみた。
2代目キューブが出た時は誰もがその得意なデザイン・パッケージングに驚いたものだ。フェミニンなそのルックスは意外に老若男女受け入れられているようで、人と違うものに乗ってみたい感があるのだろう。実際にオーソドックスなスイフトとは対照的で、エクステリアもインテリアもクルマとは思えない。まるでフランフランのようなモダーンな雑貨ショップのような遊びを入れており、これまでのクルマとは一線を画す新しい雰囲気だ。それは走りを楽しむものとは程遠く、何もそれが悪いわけではなくキチンと実用的なのだから大丈夫。
走りは重量が増えたボディに対してパワー不足を感じ、スポーティではない。部屋ごと移動している感覚があってあまり速く走ろうとは思わないクルマなのだ。結論を言えばキューブは化学反応的にイーネ!と思わなければ触手の延びないクルマ。怖いのはキューブの魅力に覚めてしまうのが早いのでは?と慎重にならざるを得ない。同じ5ドアハッチのスイフトとは一線を画す。
ノートとスイフト
三代目フィットよりも早く、2012年9月に登場したノートも、新型フィットを迎えて魅力が衰えてしまった。個人的には随所に日産のトレンドデザインが入っておりスタイリングは好感が持てる。だがインテリアの質感次第でクルマの印象を大きく変えてしまう事を改めて思わせるのがノートだ。
兄弟車のラティオに至るまで、マーチと共通部品が随所に見られ、質感が悪い事も合わせて希薄な印象を受ける。これでは上級グレードにしようとも思わない仕上がりなのだ。
始めから厳しい事を書いているがいいところも結構ある。3気筒のエンジンながら、振動もノイズもすごく抑えられていて尚且つ燃費は相当いい。パワーもスイフトと比べて申し分無いのだ。CVTはマーチやスイフトと共通のジャトコ7で、こちらもマッチングがよく推進力を感じる。このクラスではまだ珍しいエマージェンシーブレーキを採用しているのも評価出来るし、結構いいところは多い。
MRワゴン/モコとスイフト
一台だけ軽自動車の登場を願ったのは、MRワゴン/モコの出来があまりにもいいから。筆者は大体の軽は乗ってきた。ホットなところでは人気のN-ONE、ek/デイズに乗るとその出来の良さに驚けば、ブレイク中のハスラーだけはまだ乗れていないため、そこは勘案しないといけないが外見も含めていささか地味な存在になってきたMRワゴン/モコ、実を言うと感動的に出来がいい。
筆頭に挙げられるのはインテリアの質感で、デザインと雰囲気を例えるならキューブと同じくフランフランの雑貨感がする。スイッチ類の節度感、文字の書体から照明までが上質な仕上がりでこれまでの軽とは一線を画す。騒音も実にしっかり抑えられており静か。この上質感はまるでスイフトのお株を貰ったかの様だ。
走りもNAながらスーッを推進力を感じるもので、乗り心地もワゴンスタイルのボディが上手くバランスされたのか、無駄な揺れを伝えず、フラット感がある。とにかく走りも乗り心地もインテリアも上質感があり、ワゴンRが兄弟車とはにわかに信じ難いほど。
今となってはハスラーの登場で影の薄い存在になってしまったが、これは軽のスイフトといっていい。何故スズキはいきなりここまで出来るのか?こうなると軽自動車のランニングコストを再考し、軽がいいじゃないかと思うようになってくる。
真打ち登場 VW UP!
日本上陸時は149万円と、スイフトクラスには黒船来航と大げさな事を言われたUP!だが、スイフトと比べて一回り小さく、なによりドイツ車は成り立ちが日本車と全然違う。しかし価格面を考えると、度重なる値上げもあり、5ドアのUP!を選べば175万円からだし、特別グレードだと結局200万円オーバーなってきた。ご存知運転席から助手席のパワーウィンドスイッチが省かれていたり、後席ウインドも下がらずチルトアップするだけと、快適装備は最小限だが、エマージェンシーブレーキが標準装備だったりとなかなか抜け目無し。UP!については筆者が2回目のスイフト購入の前に、購入候補だったわけで途中、父親に勧めてみたらあっさり購入したため、私がスイフトに落ちついたという経緯がある。
スイフトと比べるとUP!は「The・ドイツ車」で、堅牢の足腰、ガッシリしたボディ、疲れないシートなど皆まで言う必要がないくらい、正しいクルマだという事が断言出来る。
ウィークポイントとしてはご存知ミッションで、ASGと言われるシングルクラッチの自動MTはDSGの電光石火に比べれば、確かに人間の変わりにやってもらってる感があり、それでもヘタな人よりよほど上手い。ただ人間がマニュアルシフトしなくなった分、トルクの断絶感が気になるようになり、これを良くないという人が多いのだ。筆者はそんなことないと思うのだが、確かにUP!のトランスミッションをCVTと組み合わせたなら、都会の込み合った道路上ではスムーズな駆動で推進力があると思う。クリープが無い点やヒルホールドが無いのは時にはシビアに感じるものだし、筆者がUP!に厳しくNGを出しているのはシフトゲートで、N→Dが横方向というのがいつまで経っても馴染めず、時には慌てる程で、日本の道路事情でASGが不利扱いになっているのは否めない。
日本車勢と比べればかなり勝手が違うUP!なのだが、価格を勘案すればかなり魅力。ASGがちょっと…装備が退屈…という方はポロがあるのだが、同カテゴリーとは言え価格的にはサヨナラだ。それに輸入車はハイオクを要する事とか車検代・整備費用もプラス10パーセントは見積もっておかないといけない。
たまにUP!を借りて乗ってみるとスイフトがかなりいいといっても足腰の強さ、さらにしなやかさはさすがにイーね!と思い、なかなか甲乙つけがたい。やはり輸入車はプラスアルファの価値が享受でき、プレミアムなお付き合いになると思った。
まとめ
以上でザックリナナメ眼鏡視点で比較してみたが、殆ど同じようなクルマでも各車特徴があり、クルマを購入する時は自分の好きなカタチで、燃費が良くて、維持費が安ければ何でもいいと済ませてはいけない。それだけで選んでしまっては市場は「その程度のクルマ選び」で定着し、市場は萎縮する。
確かに筆者は毎日のように違うクルマに乗っていると、正直同じに思えてならない。現代のクルマの何所に差分があるのだろう?デザインとパッケージングを除けば、何に乗っても大して違いが分からない。しかし絶対に買いたくないクルマや欲しくとも手の届かないクルマがある。欲しくないクルマはいわずもがな、マーチ。欲しいんだけどちょっと高いから躊躇するクルマはミニやフィエスタといった輸入車勢だ。
面白くも何ともなく、単なる移動の手段としての前者ならコストが安く済むし、後者は趣向性が強い変わりにコストがかかってくる。資本主義の当たり前の構図だが、スイフトはその中でズバリいいセンいっており、スズキというメーカーに興味すらなかった私が二度も同じクルマを買わせたくらい、魅力がある。これらは現在の筆者の生活スタイルと深く因果関係があり、あまりお金はかけたくないけど、日本車なら輸入車に近いフィーリングがほしい、思っていたからスイフトがジャストミートだった。が時にはビートルが欲しくなったり、Mベンツの中古車なんてどうだろう?なんて浮気心が働くのも正直なところで、夢見る分にはタダだし楽しい。
やはり私は「クルマは単なる移動手段」では選びたくない。服を着るのと同じ位、自分を表現するものでもあるし、分身である。だから子供がいる家庭で一家に一台をこなすのであればミニバンに転じるのも当然だし、趣味がアウトドアならSUVがいい。カテゴリーが変わっても確かに似たようなクルマばかり散見されるが、ライフスタイルに密に関係するアイテムとして、満足感の得られるクルマを世に出してほしいと切に願う。
2014年8月21日