筆者はもうかれこれ20年近く、所有車を箱根のワインディングに連れていけばかっ飛ばして遊んだり景色を堪能したりしている。しかしスイフトについては北海道の千歳からレンタカーで2400キロにも及ぶグランドツーリングを経験済み、十分な走り込みをしているため今回はいいかな、と思ったが、そもそも御殿場へカーグラフィックのイベント、「CG FESTA2014」へ出掛ける事が目的。日帰りのつもりだったが休暇をずらし翌日に箱根登山鉄道の「乗り鉄」と「撮り鉄」もしたくなり、勿論温泉にもつかってのんびり名古屋へ帰宅という贅沢なプランを決行、宿や食事は単独という事もあり贅沢はしなかったが、クルマを思い切り走らせる事やじっくりガマンを強いられる撮り鉄は一人でしかなかなか出来ないもの。今回はCG FESTA2014とスイフトのワインディングロードインプレッションを認めてみよう。
過去のアーカイブでも書いているが、筆者はCG関連のイベントによく出向く。カーグラフィックの運営に紆余曲折あったのは承知だが依然として権威やクオリティが保たれているのは喜ばしい限り。雑誌が主体のイベントというのはまだ珍しく商売っ気もなければクルマ好きにとっては趣味的要素が強い内容で開催していただく事には本当に感謝している。
今回はオフィシャルのイベントに行くのは5年ぶりかになるだろうか、今回はムゼオ御殿場が会場。過去にはとしまえん、伊豆のサイクルスポーツセンターなどがあった。特にサイクルスポーツセンターはスケールがデカく正に動くイベントだったがムゼオ御殿場は業界のロケにも使われるだけあり当然景観のよい場所で、キャパシティもちょうどよくCG向き。中部からのアクセスもよいので出来れば毎回ここで開催してほしいと思っている。ここで詳しくは割愛するがテーマは「ファン・トゥ・ドライブは進化する」ということで先頃お披露目された新型ロードスターの話から始まりラ・フェラーリやマクラーレンP1、BMWi8といった珠玉のスーパースポーツ達にジャパンプレミア?とも言えた国内最初のデリバリーのアルファ4Cに出会えた事、CGTV30周年での田辺氏・松任谷氏トークショー、コペンの開発リーダー藤下修チーフエンジニアの裏話、インポーターの方々のフレッシュな話題などトークショーに来た方だけの特権でSNS投稿禁止的な裏話が出るのが面白い。カーグラフィックのスタッフは加藤社長を始め気軽に話せる環境になっているので、距離感がなくこうしたインタラクティブなイベントは大事にしたいと思っている。
マツダターンパイクと芦ノ湖スカイラインを疾走
四年ぶりにターンパイクを走った印象を記そう。
日本でも屈指のハイスピードドライビングなターンパイク、こういうところで普段乗っているクルマを走らせれば潜在的な能力が垣間見ることができ、スイフトについても同様だった。
三島方面から芦ノ湖スカイラインに入り中速のブラインドコーナーが続く。ここではアップダウンが激しくトラクションが要求されるのだが、10年前に走ったアルファ145から思い起こせばクルマは進化したなと感じる次第。コーナリングにしてもブレーキングにしてもサスペンションがフルストロークする領域まで攻めてみたがクルマがバウンシングする事無く安定しており安心感が全然違う。アルファロメオの時は体を傾けたくなる程ロール感やダイブ感があり、それを官能的とも表現できるのだがアルファ145とスイフトでは設計に20年の差分があるだけに当然といえば当然だろう。
楽しいパドリング
こういうところで俄然威力を発揮するのがパドルシフト。CVTの仮想7段ミッションだがこれが面白い。シフトをMレンジに切り換えれば限界の速度域までポジションを維持してくれるし、逆に「急を要するとき」はシフトをMレンジに切り換える事無く、パドルさえ弾けばアップ・ダウンともにある程度まではドライバーの意思どおりポジションを守り、もういいかな、というところでDポジションに復旧してくれる。速度に合わせて7→6→5→4→3→2→1とプーリーの位置が変わるだけなので当然ショックのない安定した姿勢でブレーキングが出来る。よくあるドライバーの意に反してDモードに戻る事はなく、減速後のコーナー脱出加速も2→3→4→5→6→7と好きなように引っ張る事も出来れば任意のポジショニングをとる事が出来てとっても楽しい。ただ欲を言わせてもらえばレスポンスが鈍いのは否めない。構造上滑り続けている感がつきまとうのはしょうがないのも承知している。よく言えばトルクの断絶が無くスムージーだと言えるし、手のひら返せば電光石火感がない。何に対して訴えているかと言えばVWのDSGがそれで、CVTを擁護するならマニュアルモード付きのCVTはデュアルクラッチのMTに比べれば仕掛けも扱いもイージーだからバリュー感が高い。これならスイフトスポーツやRSグレードでも十分楽しめると思った。
続いてマツダがネーミングライツを持つことになったマツダターンパイクに入る。ここは600馬力級のスーパーカーがまだ対応できるほどワインディングでスリリングな高速コーナリングが楽しめる。さすがに1.2リッタークラスのコンパクトでは上り坂で苦戦するが高回転域のパワーデリバリーが上手く5000から7000回転付近でも息つき感や苦しさがあまり感じられない。むしろスズキとしては意外にも高回転域でのサウンドはシャープでいい音とさえ思った。
ここではそれこそ120でも回るコーナーが続くがスイフトもドイツ車程ではないにせよオンザレール感覚でスッとアプローチしそのままの姿勢で綺麗に脱出する事が出来る。おそらく旧型との違いはリアの接地性でZC32S型の運動性能で一番光る点だと思う。考えてみれば150万円以下のクラスでここまで出来ていれば上出来で、スイフトは200万円台の欧州コンパクトハッチと同等の性能だと思っている。
ベスト燃費
勿論燃費計測も怠らなかった。名古屋の自宅から東名→新東名で御殿場を経由し、沼津と三島の市街地を経由して芦ノ湖からターンパイクを思い切り走らせ、箱根湯本からもういちど箱根越えをし御殿場から東名を燃費走行して帰宅し満タン法で出た燃費は23キロで、カタログ値と同等の結果を出してみせた。メーター内の表示は"サバ読み"だと思っていたが、フルタンクから欠タンまでJC08モードどおりに走らせればそれほどの誤差は出ないのでは、と感じた。オンボード燃費がモード燃費のロジックだとすれば、ユーザー視点ではないので、"サバ読み"感が出ないよう、ユーザーの実際の使い方に即した結果を表示してほしい。
撮り鉄も楽しみの一つ。アーカイブでもお分かりのように、とにかく雨天に見舞われる。
<2014年10月26日>
Posted at 2015/05/09 10:55:59 | |
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