2015年03月15日
クルマには愛着が湧くもんである
10年・10万キロストーリーという掲題をつけているが、これはジャーナリストの金子浩久さんの著書から引用させて頂いていて、私も氏には影響を受けていたからあえて使わせて頂いたワードである。
タイトルからお分かりのように一台のクルマに長く乗り続けたストーリーを紹介させて頂ければと思うが、私の愛車遍歴の中ではアルファ145を挙げる位だろうか。それ以外はランサー、ゴルフ、アイも5年以内、5万キロ以内で手放してきた。中古車では走行10万キロ前後の状態で買ったビートとユーノス・ロードスターがあるが、前のオーナーがいるわけだし、引き継いでからも10万キロも乗っていないので対象とならない。番外では所有車以外にも仕事で使ってきたカルディナバンやレンタカーのヴィッツも5万キロ以上は乗った。自分のクルマでなくても体に染み付いてくれば結構愛着が湧いたものである。たかが移動する為の道具、と話を片付けるのは簡単だが、生活に、事業に役立ってくれるクルマというやつはそのスタイリングから連動して感情移入しやすい。ハートにキてしまった以上はカーライフに嗜好を求めるのは当然の事。今回は私の経験したクルマ達から印象に残っているクルマのエピソードに、あのクルマを買って、末永く使いたい、という絵空事を書いてみよう。
長く、沢山乗ったのは8年14万キロのアルファ145
他のクルマに乗り換える事なく一台をずっと所有する事自体は別に難しい事ではない。ただそれはクルマに拘りが無い人ならできる芸当であり、左右クルマ好きならその浮気性からよそのクルマが気になるもの。もう1台、2台と買い足していくのは自由だが、車庫や維持費がもたなければ泣く泣く手放すのがオチだ。思えばアルファ145は8年で14万キロ近く乗ったのは意外で、当時買ってすぐBMWに変えようとしていた。ところが乗っていく内にアルファ本来の魅力に取憑かれ、しばらくは他に欲しくなるクルマが見当たらないほど乗り尽くした。
イタリア車の代償として随分と修理代にカネを落してきたわけだが、それはそれとして割り切れたものだし、多くの思い出ストーリーを残す事が出来た。イタい思い出は大事なのである。
別れた相棒にもう一度乗りたい
まず叶わない願いがあって、それは手放したクルマにもう一度乗り続ける。というもの。いさかか別れた恋人とヨリを戻すようで女々しい気分にかられるが、「想いで再生装置」としての役割ならこれはこれで素敵な事だし、経年変化を確かめたいのも一つ。私の場合、もう一度再会したいクルマの筆頭はゴルフIIIワゴンだ。こいつはハッチバック以上に使い勝手がよく、特に堅牢なボディ、足回りが印象的だったゴルフは20年20万キロを使ってみたいと思わせる。ごくごくたまにIIIワゴンを見かけるが、本当にインタビューしてあわよくば譲ってください、と舌を滑らせてしまいそうな思いになる。車齢20年ならシートや内装のヤレ具合も確かめたい。当時から燃費は不満だったが、それさえ除けばずっと手元に置いておきたい相棒だ。
一番最初に乗ったスタリオンはもの凄い影響を受けたクルマではあったけれども、今特別会いたいとか、もう一度所有したいとは思わないから不思議だ。もし「おぎやはぎの愛車遍歴」に出演したなら、出てきてほしいクルマではあるけれども。ランサーもそうだし、アルファ145は10年後の、私が50を過ぎたおじさんになったらもう一度会いたい、付き合いたいという想いが交錯するかもしれない。アルファの事だから、きっとそうだ。いや絶対そうなるに決まっている。
手放したクルマの中で番外と言えるのが三菱アイ。それもそのはずでこいつは現在兄の元で活躍中。たまに実家に寄ってくればアイに会えるのが嬉しい。近所でたまにドアミラーだけが赤の“アイ君"を見かける。それは「ウチの子」だったわけで、嫁いだ娘を見るような気持ちになるのだ。
一台を乗り続けたいクルマの筆頭はW124メルセデス。
これはその気になれば出来そうなW124メルセデス・ベンツEクラス。セダンはフォーマルだが、ワゴンの方が使い勝手が宜しいだろうか。オーバークオリティと言われていた最後のメルセデス。ブルーノ・サッコのデザインは当時から言われていたように、長年乗っていても飽きのこないデザインは本当だったと痛感する。沢山の距離を乗り、末永く所有していくことは素敵で、当時のカーグラフィック長期テストを担当した阪さんのレポートに影響されたものだった。2015年現在でも、ENGINE誌が中古のW124を購入し、車齢20年近いのにレポートする事から、W124へのオマージュは相当なものだという事が伺える。このクルマはE500というモンスターに後ろの席で乗せてもらった程度の経験しかないが、時を経てクルマがどう進化しようとも、W124に乗っていればそれでいいんだ、と言われるようになるんだろう。思えばこの頃のメルセデスはそんなスタンスだった。私はそんなメルセデスにとても共感し、尊敬したものである。だからこそ、今でもW126を大事にガレージにしまっているオーナーは少なくない。悲しい事に、私にはENGINE誌にレポートのあった修理代を払ってでも維持していく自信がない。そんな身の丈ではないことに気がついている私は、憧れだけに留まる事になるだろう。
今回はW124メルセデス Eクラスを挙げたが、一台のクルマに乗り続けたいストーリーはいくらでもある。物語を描くのは自由だしカネもかからないので、また気がついたらこのコーナーで認めていこうと思う。
(2015年3月15日)
Posted at 2015/05/10 02:07:31 | |
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