
3月3日(日)ひな祭り
広島県
『タカタサーキット』のオートテストへ。
降雪が2日前で助かった。ここは県北の山中なので、降ったのが昨晩なら道路凍結して辿り着けなかったかも。
コース脇の水溜りはまだ凍ってる。
今回は2023年度の最終戦。1年間の獲得ポイントを合計して年間ランキングも決まる。
僕は前回終了時点で3位。
上位とはかなり差を空けられてるから、年間優勝目指すなら今日、最低でも1位が欲しい。
それでも年間優勝の可能性は0に近いんだけど
(´・_・`)。
年8戦ほど行われる中国地方のオートテストのなかで、このタカタや岡山国際サーキットが舞台のときは、2速に入るほど高速なレイアウト(他の会場は40km/h以下)。
狭い会場のほうが落ち着くなぁ。
練習走行のときは雪も舞い、気温0度。
こんな気温でタイヤも温めず60km/hから急ブレーキなどした経験がない。
しました。
ぜんぜん止まらん…。
冷えてる時は公道でも注意が必要なことがよくわかる。
お昼前、本番1本目のときは晴れ。
ただ気温はほとんど上がってないので、早めに減速。ズルズル滑らないようには走れた。
しかし、練習も1本目も、トップより5秒くらい遅い。
やっぱり速いコースはイヤ
(>_<)。苦手。怖い。
会場ではグランツーリスモのタイムアタックや、いろいろ協賛企業のブースもあったのに、当然それらを見学する余裕はない。
我輩の辞書に気分転換の文字はない。
たぶん治らないかなこの性格。
》》》
小学校の通知表、
「やっていることを気が済むまでやめない」とよく書かれていた(もちろん悪い意味で)。
注意力がないとか、ケアレスミスが多すぎるなど、毎回のように書かれていた。
なぜか異常に若く見られるけど、運転免許取得は30年以上前。
山形県にある『酒田自動車学園』で、夏休みを利用した3週間ほどの合宿免許。
まったく自信がなかったので、少しでも慣れておこうとスーパーファミコンで
『F-ZERO』をやり込んで向かった。
いっさい役に立たなかった。
職員さんたちに方言で会話されると、理解できなかった。
「今年の夏は東北も暑い!」と言ってたけど、いえ、、全国平均と比べるとかなり涼しいですよ…。
海水浴場が近く、友だちと泳ぎに行き、
瀬戸内海の感覚で眼鏡をつけたまま海に入ったら、日本海の荒波をかぶり眼鏡は海の底。
(・ω・)
予備の眼鏡を持参してなかったら、教習中止だった…。
物知りな先生、優しい先生、スクーターで曲芸みたいな操縦ができる先生、名物教官が多かった。
その中に1人、特に面白いことを喋りもしない、普通のおじさん的な教官がいた。
生徒からの人気はなかった。
卒業試験前、最後の路上教習の担当は、その教官だった。
一般道をぐるっと走り、もう少しで教習所へ着く手前でふと、道路脇へ停めるよう指示。
なにか怒られるのかなぁ…と思っていたら、「運転の技術はうまい。試験を受ければ合格する」と言われた。
それまで不安いっぱいだったから「うわぁやったぁ!」と思ったけど、続きがあった。
『でもな、君。 道路は一人で走ってるんじゃないんだぞ』
この30数年、何十回何百回、思い出すたび涙が出てくる。
最近の教習所を知らないけど、こんな風に叱ってくれる教官がいるんだろうか。
僕は、運転の操作ばかりに気をとられ、ミラーを見る余裕がなかった。
周囲の状況を確認する余裕がなかった。
公道を走るなら、それじゃ駄目だぞという注意だった。
》》》
僕が免許を取ったのは、世の中に少しずつオートマ車が出てきた頃。
パソコンが企業で使われ始め、もう少しで21世紀。「そのうち人間は機械にとって代わられるのかなぁ」という、ワクワク感も不安もある時代だった。
僕は乗り物酔いがひどい。バスもタクシーも15分が限界。
そこで自分は、マニュアル車でオートマよりスムーズに運転し、同乗者を酔わせないようになろうと思った。機械に負けたくなかった。
しかし、
家族や友人には誰1人、車酔いする人がいなかった。
どう運転しようが、平気で何か読んだり寝たりしてる。
( -_-; )
それが、つい3ヶ月前、
オートテストで知り合った方の家族が地元に遊びに来るので、車で案内することにしたら、
その中に、乗り物酔いするという娘さんがいた。
半日3時間ほど、吉備津神社や最上稲荷を回った。
予定を立てる段階で酔いやすいと知っていたら、こんな山中のクネクネ道を通らない行程を提案したのだが…、乗ってから聞いたのでどうしようもない。
帰りの新幹線の時間があるため、遅れないよう道を間違えないよう、頑張って走った。
そして十分余裕をもって、岡山駅へ送り届けることができた。
それから1ヶ月ほど経ち、オートテスト会場でお母さんに声をかけられた。
『娘は酔い止め薬も飲んでなかったのに、酔いませんでしたよ!』
・・・にっこり笑い返すことしかできなかった。
どんな表彰よりもうれしかった。
自分は30年間、この日のために運転してきたんだなと思った。
人生の、肩の荷が下りたような気がした。
》》》
本番2本目の前には運悪く小雨が降り、また少し路面は濡れている。
「どうすればそうできるか」はわからないけど、5秒縮めるつもりで走った。
縮まらなかった
(´・_・`)。
スラロームも、バックも、思い描いた理想のラインがとれていない。
4位5位くらいかな…。
それでも、無駄な力は抜いて走れた。
いま肩に乗っているのは、重い荷物ばかりじゃない。
ゆっくりパドックへ戻った。
ところが車から降りると、周りの様子がおかしい。
他の人がペナルティだらけで、、僕がクラス2位?
しかも年間合計ポイントで逆転し、2023年度チャンピオンになっちゃった…。
今日のトップタイムでもないのに優勝してしまい、賞賛される雰囲気ゼロ。
本人も現実感なし
( -_-; )。
ただ、表彰式で「1年分の運を使いましたね」とアナウンスされたけど、運など微塵も使ってない。
不可能だなと思いつつも、1位を目指して走った。
けっきょく3.5秒しか縮められなかったけど、、それすらやっていなければ、結果は違っていた。
》》》
先日、岡山空港から飛行機に乗った。
目的地の羽田が強風で、着陸間際に思いっきり酔い、冷や汗も出て、吐く寸前。
動くと出そうだったけど、全員降りてるので仕方なく立ち上がる。
動きたくない。
動きたくないでござる。
「早く降りてくれないかな…」と言いたそうな感じで近付いてきたCAさんに(時間稼ぎで)「酔わないんですか?」と聞くと、
『たまに酔います』
!!!
かわいそう…。
「慣れました」みたいな返答を予想してたのに。
ゲロー我慢してトボトボ歩きながら、ふと考えた。
10年20年経つと、完全自動運転の車が増えるはず。
でもそれらはきっと遅い。
それなら僕は、自動運転車より早く到着するのに客を酔わせない、車酔いしやすい人専門のタクシー運転手になってみたい。
『吐いたらお代は頂きません』
かっこいい!
だけど膝も腰も悪いから、現実的には20年後マニュアル車を運転するのは難しい。
せめてタンパク質を人並みに摂ろう。
そもそも、二種免許いまから取れるのかな…。
地元を案内したとき、100点ではなかった。
稲荷を出発し、山を登るカーブを3つくらい曲がった辺りで「自分ならもう酔ってる…」と感じた。
急いでいたため、対向車が来てるのにぶつかりはしないからとアクセルを強めに踏んで右折した。
こんなレベルでは、まだまだ仕事にするのは無理か
(-_-)。
サーキット走行でプロがよく言う「遠くを見ろ」。
公道でも何が起こるか早めに予測できれば、急な動作をして同乗者を酔わせずに済む。
昔、父親の車に乗るとよく話してくれた。
『目の前の車だけ見てたら駄目だよ。もっと先の車の動きを感じるんだ』
『でも見えないよぅ』
( ´・ω・`)
小学生の僕には、意味がわからなかった。
ふと気になって、あの懐かしい教習所を検索してみた。
しかし情報が何も出てこない。
GoogleMapの航空写真で調べると、教習所があった場所には、太陽光パネルが敷きつめられていた。
それを見ると突然、どうにか近いうち車で山形へ行きたくなった。
そしてもう一度、あの先生を乗せて走ってみたい。