
あいにくの雨ですが、「時間をかけて試乗してきても良いですよ」というありがたいお言葉をいただきましたので、ちょっとのんびりと試乗してきました。ホントは晴れていれば最高だったのでしょうが、それでもゆっくりと乗れる、というのは大変にありがたいことです。それに、Quattroの安定性を試すというか、体感するにはもってこいの天候とも言えますし。
高知市内から出て、桂浜、そこから海沿いに横浪スカイラインを走って須崎に抜け、その後高速に乗って高知に帰ってくる、という、のべ120km程度の距離です。
市内では頻繁にアイドリングストップが働きます。こう、隙あらば意地でもエンジンをとめてやる!という勢いでがんがん介入してきます。再始動の速さは基本的に問題はないと思うのですが、右折時にもアイドリングストップが介入してくるのはちょっとびっくり。気をつけないと右折のタイミングが狂ってしまいます。日本車だとハンドル操作すればエンジンがかかることが多いようですが、A6はエンジンがストップしてしまうとハンドルが一切動かなくなってしまうので、ブレーキをゆるめるなどしてエンジンを再始動させるしかありません。この辺はまぁ、オーナーになれば慣れる範疇なのでしょうが…。
基本はものすごく静かな車です。以前の試乗記でも書きましたが、普通に走る分にはエンジンの存在感はあまりありません。低速トルクはたっぷりなので、2000回転回さなくてもしずしずしずしず、と速度が乗っていきます。一番気になるのがタイヤノイズという、なんとも贅沢な環境を提供してくれます。ステキ。
7速Sトロニックは、DCTにも関わらずクリープ現象があります。トルコンATほど強いものではありませんが。肝心の使い勝手は、ごく低速で気をつけないと、若干ギクシャクするかなーと思うくらいで、後はほぼトルコンATと同じ感覚で乗れます。それでいてシフトチェンジはショックもなく、瞬速で行われますので、なんともすばらしいミッションだなぁと改めて感動しました。
アウディサイドアシストがついているのですが、これはレーンチェンジをサポートしてくれるもので、ブラインドに車が隠れていたり、高速で迫ってきている車がいるなど、レーンチェンジが危険、と判断されると、お知らせしてくれる機能です。ただ、あくまでお知らせするだけであって、メルセデスやBMW、はたまたフーガのように、ブレーキを軽くかけてレーンチェンジをさせないようにする機能は付いていません。そして、車線逸脱警告、車線保持サポート、いわゆるレーンキープアシスト機能もついていません。これは正直ちょっと意外でした。まぁ、スカイラインクロスオーバーを試乗した時に、レーンキープアシストに怒られまくって、ちょっと煩わしく感じたことがあるので、これはまぁ、個人的には無くても良い機能なのですが、車格的にはついてて当然、という気がしなくもないですね(BMW3シリーズにもついてるのに…)。
アダプティブクルーズコントロールはすっげぇです。すっげぇ!マジすっげぇ!
ブレーキ制御、車間制御、かなり細かく調整してくれます。スカイラインにもアダプティブクルーズコントロールは付いているのですが(日産ではインテリジェントクルーズコントロールと呼んでますね)、それより制御としては数段上です。ブレーキもかなり強めにかかりますし、前車追従もかなりペースをあわせてくれます。設定速度は30km/hからですが、前車がとまれば合わせて止まってくれます(動き出すためにはアクセルを踏んだり、クルーズコントロールのレジュームを使わなければなりませんが)。全く不安とか痛痒を感じることなく、車に任せっきりで普通に走れちゃいます。おそるべし。因みに日本の法規では関係ないのですが、車速は250km/hまで設定できます…。
あと、これに付随して、ブレーキアシスト(衝突軽減機能)も付いています。車間距離が狭まったり、衝突の危険性があるときに警告したり、場合によっては自動ブレーキをかけてくれる機能です(停止まではしてくれません)。ですが、ぶっちゃけ、全く警告すらされませんでした。結構ブレーキ我慢したりしてみたのですが、全くしらんぷり。おそらく本気で、これはもうヤバイ!という状況にならないと警告すらしてくれないようです。スカイラインでは、「なんでそのタイミングで警告するの」っていうくらい、早めに警告されたので、ちょっと違和感があります。個人的にはスカイラインとA6の中間くらいがいい気もしますが。
横浪スカイラインでは、軽く流してみました。
と、いっても、相変わらず走行距離が300km程度のド新車ですので、ホントに軽く流すだけ。エンジン回転も3000rpmで縛って運転したので、高回転ののびだとか、そういうのは試せませんでした。「1.8トン」だとか「四駆」といった言葉を見ると、「ドアンダーじゃね?」と思ってしまうものですが、実はかなりのニュートラルな感じでした。おそらく、Quattroシステムのトルクベクタリング機能などがうまく働いているのでしょうが、常識的な速度で流す分には、ニュートラルステアでシレッとコーナーをクリアしていきます。ただ、さすがにややタイトなコースでは、正直やっぱり重さを感じる部分はありました。
また試乗する機会があれば、今度はもう少しペースを上げられたらな、とは思います。

横浪スカイラインで一休みして写真を撮りました。雨でしたので、ウィンカーが光っているところだけです。
LEDを実にうまく配していますね。これだけで痺れます。
そして高速道路。
これはホントにもう、水を得た魚とはこのことか!という感じです。
雨だろーが、晴れだろーが、なんだろーが、盤石の安定性。四駆ってここまで安定するのか!といわんばかりの安心感。そして、100km/hを超えてきてからが本領発揮という感じで、ちょっとその、追い越しをかけるときに、まぁその、ちょっとだけ速度を上げてみたんですが、速度を上げれば上げるほど接地感が増すといいましょうか、四輪が路面をワシッとつかんで離さないという感覚を味わえました。スカイラインももちろん安定していますし、4WASのおかげでレーンチェンジも安心感たっぷりなのですが、雨天ではここまでの安心感はありません。これはやっぱりA6の面目躍如、というところなのでしょうね。
そうそう、オートライトはかなり敏感です。というより、雨だと昼間から点いてます。LEDなので、寿命は実質ないみたいなものでしょうから、これはこれでアリかなと思います。被視認性に寄与しますしね。あと、おそらく周りの環境で光軸制御している影響だと思うのですが、トンネルに入ると(周りが暗くなると)、光軸が動くのが判ります。これ、結構おもしろいです。
さて、肝心の燃費などは?

こんな感じです。JC08で11.8km/lですので、割と良い感じなんじゃないでしょうか…。
長くなりましたが、最後に今回の試乗を通じて感じた○×を書いておこうと思います。
○なところ
・静か!
・低速トルクたっぷりで走りやすい。
・恐ろしいまでの高速安定性
・思ったより素直なハンドリング。
・賢いアイドリングストップ。再始動・停止もあまり気になりません。
・かなり完成されたと感じる7速DCT。
・Quattroによる安心感
・予想以上に賢いアダプティブクルーズコントロール。
・エアコンも静か。送風音ほとんどしません。
・シートヒーターが暖まるの早い。
・内装の高級感。
・LEDヘッドライト格好良すぎ。よだれが出そうです。
・インパネはすっごい先進的。精緻な機械感もあって、これも男心をくすぐります。
・BMW,おベンツ様ほど目立たない…気がする。
×なところ
・低速ではちょっとギクシャク。アクセルワークに気を遣わないでもないです。
・この車格でレーンキープアシストがオプションですらない。
・あれ?ニーエアバッグは…?
・内装のスイッチが重い。
・瞬間燃費計が数字Only。グラフで見せてもらった方がわかりやすいです。BMWの燃費計はわかりやすいですよね。
まぁ、×は書きはしたものの、全然個人的にはマイナスポイントにしていません。惚れてますからね…。
Posted at 2012/03/04 15:30:50 | |
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