川端康成さんが名作「伊豆の踊り子」執筆したお宿
太宰治さんが「美少女」でも紹介している温泉郷
どちらも大変いいお湯でした
さすが文豪が愛したお湯…!って感じ
さて今回のお宿の文豪は…
小林多喜二 さん!
……「小林多喜二」とくればプロレタリア文学。
ほんとに全く詳しくない私だと
現代とはくらべようもないほどの格差社会の中で
身分差や階級や苦しい生活にあえいでいた若者の
代弁者(そして活動家)的な…?そんなイメージです
小鳥も飼ってない(それは川端さん)だろうし
審査員(それは川端さん)もしてなければ
スター作家(それは太宰さん)てわけでもなく
ましてや愛人
(それは太宰さん)こさえていたわけでもなく
小 林 多 喜 二 と 温 泉 … ?
どうにもイメージがうまくつながりません
そんなこと思いながらお宿にむかって運転していました
実は今回はたまたま仕事で温泉宿が絡むという
なにそれユノコさん超大喜び という事態でおでかけなのです
「七沢温泉」といえばつるすべのph強めのお湯とききます
七沢温泉 福元館
福助さんがお迎えしてくれています
入ってすぐに二手に割れる廊下
おいてある調度品や家具もなんともレトロ
良い感じです
立派な梅の木です
宿ができたときからずっとある守り神なんだとか
この天気からわかるように屋外での作業はかなり辛かった!
一仕事おえたらもう汗だくです
お風呂おふろ!
きゅーーーーーん♥
こちらの蛇口をひねると「源泉」が
冷たい温度のまま出るので、おもいっきりひねってみると…
とろとろぬるぬる〜〜〜〜♥なのが
ドカドカでてくるではありませんか
あまりのその気持ちよさに
はりついてしまう、あらがえません
露天もあるってことでのぞいてみました
うん、ステキですけど
日差しが強すぎてギブアップ
お湯も内湯より温度断然高くなってます
内湯の床タイル、なんとも懐かしいですね
黄色い桶が似合いすぎます
透明なきれいなお湯がザバーーーー!
赤いかわいいカゴとのコントラスト
大浴場
断然私のはいった小さいほうがオススメです
源泉蛇口が素晴らしかったのもありますが
新館よりも本館のほうが雰囲気があります
※時間で大小が男女入れ替えになるそうです
さて…テーマを文豪に戻しましょう
私の乏しい知識で小林多喜二というと…「蟹工船」
「石ころでもつめておけ!」
かなり昔に読んだのでうろ覚えなのですが
このくだりだけは鮮烈に覚えています
改めてグーグル先生のチカラをかりてどんな作品なのか調べてみると…
オホーツク海のカニの缶詰工場。過酷な労働条件のもと
家畜のようにこき使われる貧しい人々が
残虐なまでの仕打ちに耐えに耐えていた…
が、ついに決壊、天皇に献上する蟹の缶詰に対して発した言葉
「石ころでも入れておけ! かまうもんか!」
工場監督に対してストライキを決行するも…
甲板で仕事をしていると、よく水平線を横切って、
駆逐艦が南下して行った。後尾に日本の旗がはためくのが見えた。
――あれだけだ。俺達の味方は、と思った。
と、信じていた軍艦に連行されていく仲間たち…
軍と大財閥の癒着、特高警察の(拷問による取り調べの)残虐さ…
読んだ当時私の脳みそがオーバーフローしたのを思い出しました
思想が処罰の対象になるっていうのがよく理解できなかったんですね
この「石ころ」で小林多喜二は天皇への「不敬罪」となります
特高警察にマークされ、職も失い、「蟹工船」は発禁処分に。
そののち覚悟を決め、社会運動に身を投じていきます。
そんな小林多喜二さんが 温泉…?という疑問には
お宿さんがこたえてくれました
「作家「小林多喜二氏」が昭和6年に潜在し、小説「オルグ」を執筆した当時の部屋」
というのがお宿に展示されていたのです。それで理解。
湯治でもなく逗留でもなく
「潜在」していた…!
ここに隠れ、オルグ…社会運動や文筆活動をしていたんですね
特高警察に捕まりその日のうちに
拷問の末(警察発表は心臓麻痺)
29歳という若さで、亡くなった小林多喜二さん
今「格差社会」という言葉を毎日のようにメディアで目にします
その中「蟹工船」がまた注目をあびているそうです
本もまた少しずつ売れているようです
その様子を彼はどのように見ているのでしょうか
福元館のあの透明な冷泉と
小林多喜二さんの晩年の活動…
相反するイメージで七沢の湯が心に再度沁みてきています
ーーーー本日の昭和な1枚ーーーー
在りし日の福元旅館
ブログ一覧 |
温泉 | 日記
Posted at
2019/08/14 15:10:19