誠にお久しぶりです。
ついに、出ました!
国内仕様skyactiv-xのスペックが!!
また、今年のマツダ技報にも欧州仕様のsky-xが紹介されていました。
また、東京モーターショーに行って、sky-xの説明員の方にお話も伺ってきましたので、
備忘録として書きます。
国内仕様は
圧縮比 15.0:1
出力 180ps
トルク 22.8kgf
ということで、圧縮比は下がっているのに最高出力と最大トルクが据え置きという。。。
これは予想外でした。
全負荷域ではSI燃焼ですので、圧縮比を下げたほうがBMEPを高めやすくなるはずなので、欧州仕様より最大トルクが0.5kgfくらいは増えるかなぁと思っていたのですが。。。ハイオクなのでもう少し高めれた気はしますが。。。
そして、燃費ですがWLTCで17.2km/lということで
出力に対して、かなり低燃費ではあるものの、事前の触れ込みに対して、正直インパクトに欠けるのは否めないなーと、思っちゃいます(笑)
このsky-xで一番引っ掛かるのは、やっぱり値段です、、、
スペック見る限りあと20万くらい安くて、ちょうどいいんじゃないかなーと思いました。
sky-g2.0との価格差が67万ですから。
というより、sky-gグレードを安くしすぎたんじゃないかなって気もしますけどw
排気量が同じだから、どうしても比べてしまいます。
さて、
skyactiv-xの制御に関してですが
やはり、以前のブログで書いたとおり
・低負荷でA/F=30を超える超リーンバーン燃焼
・中負荷でG/Fに切り替えてEGRリーンバーン(A/Fはストイキ)負荷が高くなるにつれEGRを少なくしていく。
・高負荷はSI燃焼
ということらしいです。
今、判明している情報はほとんどが欧州仕様のsky-xだと思われます。
まず低負荷でのA/F=30以上のリーンバーンの領域ですが、
BMEPが500後半まで、運転可能らしいです。
これは結構限定的ですね。まぁ、スーパーリーンバーンできてること自体が素晴らしいじゃんと言えば、そこまでなんですが(笑)
一番効率の良いところで、BSFCがおそらく200前後まで下がっていそうなので、ガソリンエンジンではダントツで最高熱効率トップでしょう。
この情報を見るだけでも、車両重量に対して、ワンクラス上の排気量を選定したくなるエンジン特性だなというふうに感じます。
4気筒2.5Lあたりで開発できてマツダ3やcx-30に載せれたら、燃費的にも出力的にも商品価値的にも楽だったのかなぁと勝手に妄想したり。。。
マツダ2とかには、1気筒減らして3気筒1.7L(バランサーシャフト付き)とかでね。
ただ6気筒で3.7Lは大き過ぎるかw
マツダ3のギア比だと、65~75km/hあたりで信号のほとんど無い田舎道をひたすら走るという状況では、この一番燃費の良い領域を使って走れそうですね。
余談ですが
超リーンバーン燃焼をする燃焼技術は量産では今のところsky-xのSPCCIが唯一ですが、
VWの傘下のIAVという会社と
ホンダ技研が各々別々で「プレチャンバー燃焼」という燃焼技術を研究中です。
このプレチャンバーについてはまた別で書きたいんですが、
IAVの試作機で、BMEP 900kpaまでλ=2(A/F=30前後)を超えるリーンバーンを確認しているらしいです。
続いて
中負荷以降のG/FのEGRリーンバーンですが、
この領域でもskyactiv-d並みの燃費のようです。
しかし、skyactiv-d1.8の最高BMEPは1900kpaちょっとで、ディーゼルエンジンは高負荷になるにつれBSFCがよくなるので、上の図の領域では、フェアな比較にはなっていないとも捉えられますね。
このG/Fリーンの状態SPCCIの燃焼の仕組みですが
上の図のがSI(火花点火)とCI(圧縮着火)の比率を表したものです。
このような感じで、右上あたりはほぼSI燃焼におまけでCI燃焼があるような感じでw
これでも、一応SPCCI扱いのようですねw
つまり
A/F超リーンでは、
CIのための膨張火炎球(SI)ですが
G/Fリーンでは、
CIとSIのハイブリッド燃焼で、限りなくSI燃焼に近いSPCCIもありえるということなんですね(笑)
これは結構面白い情報です。
ここで疑問なのが
このA/FからG/Fに変わる時の、インマニの制御がよくわからなくて
今まで新気が多いA/Fリーンの状態から、G/Fリーンに移行するとき、そんな瞬時にEGRを大量に一気に送れるのかってのが疑問なんです。排気バルブタイミングを変えて、内部EGRで補っているのか?
一応、東京モーターショーで聞いたところ、「大丈夫です。うまいことやってます」みたいな感じで、詳しく教えていただけませんでしたので、聞く機会があれば聞きたいと思います。
そして、高負荷域のSI燃焼領域についてです。
以前、ホントにこの領域の制御が謎でしたが、その謎がちょっと解けました。
本来、ガソリンエンジンで16.3の圧縮比なんてありえない話で、ましてや、それを過給エンジンでやるという、わけがわからんって感じでしたが、今回少しわかりました。
・ストイキではなくリッチ
・ノッキング対策でEGRを9%入れる
・バルブオーバーラップによるスカベンジング
・エアサプライであるスーパーチャージャーは稼働している
という状態のようです。
要するに、「EGRスカベンジング過給」でリッチ燃焼ということのようです。
スーチャーを使ってスカベンジングで、新気をより吹き抜けさせ、4-1排気管を「掃気」をしながら、ノッキング対策でEGRを入れリッチの気化潜熱も利用しているようです。
なかなかの荒業というか(笑)
エアサプライであるスーパーチャージャーを、掃気目的に全振りし、
さらにリッチもするという
通常の過給エンジンでは採用しない使い方ですねw
スーパーチャージャーのロスと、リッチによる熱効率ダウンで、ロスだらけです(笑)
全負荷あたりの燃焼システムは相当こねくりまわした感がありますが
東京msで
全負荷域はsky-Gより燃費悪いんじゃないですか?と聞いたところ
「それはないです。圧縮比が高いのでそこで取り戻していて同等が良いくらいだと思います。sky-Gも全負荷ではリッチにしているので」
と、言われていました。
あれ?sky-Gはリッチしていないと、どこかのインタビューで答えていた記憶が?
もうそこは、つっこみませんでしたけど(笑)
また、このリッチ燃焼のときの排ガス浄化を悪化させないよう
「スカベンジングで排気管を新気で満たしているので、排気の際にリッチの排ガスと新気を混ぜて、三元触媒ではストイキと同じような状態にしている」
なんて情報も、モーターファンか何かの取材で書いていましたが
ほんとにそれで、できてるんかいな
という感じではありますね(笑)
以上が、マツダ技報と東京msの質問でわかったことです。
以前、sky-G2.5Tのブログで
「レスポンスが必要なら、電動スーチャー+ターボのが効率良い」と、私が勝手言ってましたが
この全負荷での制御は、おそらくスーパーチャージャーでしか出来ませんね。
ターボが排気管にあると、
高負荷高回転でタービンが邪魔して糞詰まりになって掃気に差し支えてしまいます。
コスト要件は置いといたとしても
電動スーチャー+ターボをSKY-Xでするなら
全域SPCCIにしないと成立しない可能性が高いことが想像できます。
今回も非常に勉強になりました。
おわり