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すねげ野郎のブログ一覧

2021年02月07日 イイね!

本当に「効率はEVよりHVのほうがいい」で世界で通用するのか

こんにちは。
非常にお久しぶりです。
プレチャンバーエンジンのブログを書こう書こうと思っていたら、かなりの期間が空いてしまいました(^^;


今回は
私があまり興味が無く知識の無いEVのことについて書こうと思います。
普段はエンジン大好き野郎で、エンジンのことしか考えていませんが
最近の電動化の流れに素人ながら注目してて思ったことを書きたいです。



最近の私が電動化について思っていることを要約すると

・LCAの観点から見ると火力発電の割合が大きい箇所ではco2排出量はHVが有利なのはわかる。
・充電インフラや充電時間の観点からHVが便利なのもわかる。
・国内メーカーが海外勢に電動化技術で劣ってないのも、HVの効率の凄さからわかる。


「だが、今のままではまずいんじゃないか」
これが車好きでエンジン大好きの私の思いです。



では、なにがまずいと感じているのか。

直近では
「国内メーカーがバッテリー製造・供給確保にあまり手をつけていないということ」。

先を見据えると
「バッテリー製造や自動車製造をLCAの観点から日本国内でできるようエネルギー改革を早急にしていくべきだということ」
です。


昨年の12月に政府が
2035年に純ガソリン車販売禁止の施策を示したニュースが話題になりました。
その報道に対して自工会長のモリゾウさんのオンライン会見動画や、YouTube等で色々な意見を述べる動画が投稿されました。
この中では
・EVはLCA観点ではHVよりエコじゃない
・エンジン車製造部品の従事者の雇用はどうする
・電力はどうするか
・火力発電でEVを走らせていてはco2は減らない
・そもそもco2が環境的に悪だとされてる根拠が無い
という意見が散見されました。
私もそのように感じます。


しかし、世界の流れは完全にEVです。

今から2~3年前に欧州勢がEV化への強気な姿勢や多額の投資を宣言した際は
中国でシェアを伸ばしたいから媚びへつらっている
と斜に構えて見てました。

また、昨年の夏には
「欧州がe-fuelという、水素とco2を合成した液体燃料を生成し、ディーゼルエンジンで燃やしてco2出さない政略に、多額の投資をする」
という発表したということで
やっぱEVだけにするつもりもないんじゃん
とも思っていました。


しかし昨年末に、今まで大きな動きがそれほどなかったアメリカのGMとフォードが強気な電動化戦略や多額の投資を発表しました。
これは間違いなくアメリカ大統領がバイデン氏になったことによる変化だと思います。

また昨年末の欧州の売れ行きランキングでは、
VWの電気自動車ID3が、全自動車の中で2位だったようです。
補助金のおかげもあるでしょうが、庶民の購入率がはんぱないです。

さらに中国のスタートアップ企業である、NIOというメーカーが全固体電池のバッテリーパックを開発して2022年末にEVに搭載するという報道も出ました。(半固体という疑惑もあります。)

つまり現状では
欧州・北欧・中国・アメリカにて本拠地を置いてる自動車メーカーのほとんどが、EV化への強気なビジョンや、バッテリー製造・供給への莫大な投資を本気でしているということです。
またヨーロッパでは庶民の購入率も凄く全体の26%だとか。
中国は全体の1割ほどのようです。

この状況で
いくらトヨタが世界2位の販売台数で
「HVのほうがEVより効率が高い」
と正しいことを言っても誰が聞いてくれるのでしょうか。。。

もちろん国内メーカーもEVを世界で出してきています。
トヨタは中国でC-Hrを
レクサスはUX300eを
ホンダはホンダeを
日産は10年前からリーフを、今年にはアリアを
マツダはmx-30を

しかし、航続距離と値段のバランスと充電スピードでVWのEVやルノーのEVと対抗できるのはアリアだけのようです。
C-HRとリーフは航続距離と値段バランスは標準ですが充電スピードが比較的遅いです。
ホンダeとMX-30は航続距離と値段バランスが釣り合っておりません。
現状の国産EVは世界的に見ても性能は高くないです。

またバッテリー供給状況においても、日産のみしか自社のバッテリー製造工場しか持っておらず
トヨタはrav4PHVのバッテリーさえ供給できていない貧弱な供給環境です。



私は昨年末まで、そうは言ってもまだ大丈夫なのではないかと思っていました。
EVは売れると儲けがなく、わざと本気で作らず、わざと高く値段設定していると。
私はトヨタが切り札として、世界初の全固体電池が完成して、航続距離や充電スピードや劣化や価格等を見据えてから本格的にEVにも投資していく思っていたからです。
その全固体電池の製造・供給環境を使って、HVやPHV等も主力で販売してさらに性能を上げコストを下げる戦略なのでは無いかと予想してました。


しかし、上記の内容
とくに昨年末のGMとフォードの動きや中国の全固体電池の情報から今のスピード感や状況では国内メーカーはヤバいんじゃないかという考えに変わりました。


じゃあ日本も全部EVにするといいのか。
私はそうは思いません。
今後の発電環境や充電インフラ拡充を含めて考えた時に、日本国内ではPHVやレンジエクステンダー等の
「外部充電電動システム」+「超高効率エンジン」
の組み合わせをメインにしていくのが最適解では無いかと思います。
廉価版にストロングハイブリッドっていうのもいいと思います。

日本国外への輸出に関しては
先進国にはEV、発展途上国にはPHVとストロングハイブリッドをメインにする流れになるのではないでしょうか。

エンジン自体に関しては、ガソリンに置き換わるカーボンニュートラルを実現できる新燃料にする流れになるでしょう。

あと、トヨタは今すぐ燃料電池車の開発を中止して、リソースをバッテリー開発やウーブンシティーやe-fuel燃料研究等のリソースにまわすべきです。
この流れで燃料電池車を研究して仮に日本で主流になったとしてもガラパゴスでしかありません。


そして、なにより大事なのは
政府のエネルギー改革による
LCAで見たときにも、日本でもバッテリー製造ができる環境を作るということです。

現在のバッテリー製造は中国に集まってしまっているので、中国メーカー以外の自動車メーカーがEVを作っても中国にお金が入る仕組みになってしまっています。
材料は輸入しないと無理かもしれませんが、製造は日本国内でも出来るようにすべきです。
中国で売る車両には規約があるので、中国で売る車両にだけ中国のバッテリーを使うべきです。

バッテリーや車を製造するときに火力発電で作った電力を使っていては、LCA
の観点から日本での製造は厳しくなってしまいます。
co2を発生しない発電方法に置き換えていくことが、自動車製造のカーボンニュートラルを実現していくことに繋がると考えます。

日本国内でも製造し、雇用を生み出し、自動車産業で日本人にもお金が回る仕組みを作らないとまずいと思います。



自動車産業は日本の基幹産業です。
やっとエンジン技術や燃費でもHVを始め世界を大幅にリードし始めました。
しかしEVには日本のアドバンテージは無いどころかバッテリー製造からしても不利です。
なんとか世界の流れに遅れないよう頑張ってほしいと切に願っています。
Posted at 2021/02/07 00:07:52 | コメント(2) | トラックバック(0)
2019年12月07日 イイね!

判明したskyactiv-xの詳細

誠にお久しぶりです。

ついに、出ました!
国内仕様skyactiv-xのスペックが!!
また、今年のマツダ技報にも欧州仕様のsky-xが紹介されていました。

また、東京モーターショーに行って、sky-xの説明員の方にお話も伺ってきましたので、
備忘録として書きます。


国内仕様は
圧縮比  15.0:1
出力   180ps
トルク  22.8kgf
ということで、圧縮比は下がっているのに最高出力と最大トルクが据え置きという。。。
これは予想外でした。

全負荷域ではSI燃焼ですので、圧縮比を下げたほうがBMEPを高めやすくなるはずなので、欧州仕様より最大トルクが0.5kgfくらいは増えるかなぁと思っていたのですが。。。ハイオクなのでもう少し高めれた気はしますが。。。

そして、燃費ですがWLTCで17.2km/lということで
出力に対して、かなり低燃費ではあるものの、事前の触れ込みに対して、正直インパクトに欠けるのは否めないなーと、思っちゃいます(笑)

このsky-xで一番引っ掛かるのは、やっぱり値段です、、、
スペック見る限りあと20万くらい安くて、ちょうどいいんじゃないかなーと思いました。
sky-g2.0との価格差が67万ですから。
というより、sky-gグレードを安くしすぎたんじゃないかなって気もしますけどw
排気量が同じだから、どうしても比べてしまいます。



さて、
skyactiv-xの制御に関してですが
やはり、以前のブログで書いたとおり

・低負荷でA/F=30を超える超リーンバーン燃焼
・中負荷でG/Fに切り替えてEGRリーンバーン(A/Fはストイキ)負荷が高くなるにつれEGRを少なくしていく。
・高負荷はSI燃焼

ということらしいです。


今、判明している情報はほとんどが欧州仕様のsky-xだと思われます。



まず低負荷でのA/F=30以上のリーンバーンの領域ですが、


BMEPが500後半まで、運転可能らしいです。
これは結構限定的ですね。まぁ、スーパーリーンバーンできてること自体が素晴らしいじゃんと言えば、そこまでなんですが(笑)
一番効率の良いところで、BSFCがおそらく200前後まで下がっていそうなので、ガソリンエンジンではダントツで最高熱効率トップでしょう。

この情報を見るだけでも、車両重量に対して、ワンクラス上の排気量を選定したくなるエンジン特性だなというふうに感じます。
4気筒2.5Lあたりで開発できてマツダ3やcx-30に載せれたら、燃費的にも出力的にも商品価値的にも楽だったのかなぁと勝手に妄想したり。。。
マツダ2とかには、1気筒減らして3気筒1.7L(バランサーシャフト付き)とかでね。
ただ6気筒で3.7Lは大き過ぎるかw


マツダ3のギア比だと、65~75km/hあたりで信号のほとんど無い田舎道をひたすら走るという状況では、この一番燃費の良い領域を使って走れそうですね。

余談ですが
超リーンバーン燃焼をする燃焼技術は量産では今のところsky-xのSPCCIが唯一ですが、
VWの傘下のIAVという会社と
ホンダ技研が各々別々で「プレチャンバー燃焼」という燃焼技術を研究中です。

このプレチャンバーについてはまた別で書きたいんですが、
IAVの試作機で、BMEP 900kpaまでλ=2(A/F=30前後)を超えるリーンバーンを確認しているらしいです。




続いて
中負荷以降のG/FのEGRリーンバーンですが、
この領域でもskyactiv-d並みの燃費のようです。
しかし、skyactiv-d1.8の最高BMEPは1900kpaちょっとで、ディーゼルエンジンは高負荷になるにつれBSFCがよくなるので、上の図の領域では、フェアな比較にはなっていないとも捉えられますね。

このG/Fリーンの状態SPCCIの燃焼の仕組みですが


上の図のがSI(火花点火)とCI(圧縮着火)の比率を表したものです。
このような感じで、右上あたりはほぼSI燃焼におまけでCI燃焼があるような感じでw
これでも、一応SPCCI扱いのようですねw

つまり
A/F超リーンでは、
CIのための膨張火炎球(SI)ですが

G/Fリーンでは、
CIとSIのハイブリッド燃焼で、限りなくSI燃焼に近いSPCCIもありえるということなんですね(笑)
これは結構面白い情報です。


ここで疑問なのが
このA/FからG/Fに変わる時の、インマニの制御がよくわからなくて
今まで新気が多いA/Fリーンの状態から、G/Fリーンに移行するとき、そんな瞬時にEGRを大量に一気に送れるのかってのが疑問なんです。排気バルブタイミングを変えて、内部EGRで補っているのか?
一応、東京モーターショーで聞いたところ、「大丈夫です。うまいことやってます」みたいな感じで、詳しく教えていただけませんでしたので、聞く機会があれば聞きたいと思います。





そして、高負荷域のSI燃焼領域についてです。
以前、ホントにこの領域の制御が謎でしたが、その謎がちょっと解けました。

本来、ガソリンエンジンで16.3の圧縮比なんてありえない話で、ましてや、それを過給エンジンでやるという、わけがわからんって感じでしたが、今回少しわかりました。

・ストイキではなくリッチ
・ノッキング対策でEGRを9%入れる
・バルブオーバーラップによるスカベンジング
・エアサプライであるスーパーチャージャーは稼働している
という状態のようです。

要するに、「EGRスカベンジング過給」でリッチ燃焼ということのようです。
スーチャーを使ってスカベンジングで、新気をより吹き抜けさせ、4-1排気管を「掃気」をしながら、ノッキング対策でEGRを入れリッチの気化潜熱も利用しているようです。

なかなかの荒業というか(笑)
エアサプライであるスーパーチャージャーを、掃気目的に全振りし、
さらにリッチもするという
通常の過給エンジンでは採用しない使い方ですねw

スーパーチャージャーのロスと、リッチによる熱効率ダウンで、ロスだらけです(笑)

全負荷あたりの燃焼システムは相当こねくりまわした感がありますが
東京msで
全負荷域はsky-Gより燃費悪いんじゃないですか?と聞いたところ
「それはないです。圧縮比が高いのでそこで取り戻していて同等が良いくらいだと思います。sky-Gも全負荷ではリッチにしているので」
と、言われていました。

あれ?sky-Gはリッチしていないと、どこかのインタビューで答えていた記憶が?
もうそこは、つっこみませんでしたけど(笑)

また、このリッチ燃焼のときの排ガス浄化を悪化させないよう
「スカベンジングで排気管を新気で満たしているので、排気の際にリッチの排ガスと新気を混ぜて、三元触媒ではストイキと同じような状態にしている」
なんて情報も、モーターファンか何かの取材で書いていましたが
ほんとにそれで、できてるんかいな
という感じではありますね(笑)




以上が、マツダ技報と東京msの質問でわかったことです。

以前、sky-G2.5Tのブログで
「レスポンスが必要なら、電動スーチャー+ターボのが効率良い」と、私が勝手言ってましたが
この全負荷での制御は、おそらくスーパーチャージャーでしか出来ませんね。
ターボが排気管にあると、
高負荷高回転でタービンが邪魔して糞詰まりになって掃気に差し支えてしまいます。

コスト要件は置いといたとしても
電動スーチャー+ターボをSKY-Xでするなら
全域SPCCIにしないと成立しない可能性が高いことが想像できます。


今回も非常に勉強になりました。
おわり
Posted at 2019/12/07 10:07:45 | コメント(0) | トラックバック(0)
2019年06月06日 イイね!

欧州仕様SKYACTIV-Xのスペックが判明

先日、ついにmazda3が日本発売になりましたね!
たまたま休みだったので、発売日に試乗しました。
内装の質感やボタンの押し具合、ウィンカー音などが素晴らしく感じました。
静粛性は、現行cx-5以上・後期アテンザ未満といった具合だと思います。
乗り心地は、細かいヒョコヒョコとした上下の揺れはアクセラよりも抑えられていて、滑らかに走ります。
大きいショックは、アクセラと変わらないくらい突き上げを感じましたが、収束が一発で収まる感じで、不快感は無かったです。
ディーゼルエンジンも、車外ではカラカラ言ってますが、室内ではかなり静かでした。アイドリングから低速あたりでは、cx-8よりもエンジン音静かな気がしました。
しかし、ファストバックはやはり後席が圧迫感を感じます。
セダンは普通に開放的に思いました。
総じていい車だと思います。



さて、そんなmazda3ですが
SKYACTIV-X欧州仕様のスペックと燃費が公開されたようです。

180ps/6000rpm
22.8kgf/3000rpm

というパワースペックのようです。

燃費はセダンのFFのmt、16インチホイールが最良のようで
WLTPモードで
総合 18.5km/L
街中 14.7km/L
郊外 18.9km/L
高速 21.3km/L
超高速 17.9km/L

となっているようです。

ちなみに同グレードのNEDCモードでは
cobined 23.3km/L
extra urban 25.6km/L
urban 20.0km/L
となっているようです。


まぁ、1.8Lディーゼルの燃費には及ばずというのが本音でしょうか。

気になるのは、ATだとMTよりも1割以上燃費が落ちるという結果です。


ファストバックのFFの6ATの18インチでは
WLTP 15.9km/L
市街地 12.3km/L
郊外 17.2km/L
高速 18.5km/L
超高速 14.9km/L

と、現在の2.0Gとあまり代わり映えしない結果です。。。


SPCCIはレギュラーのほうが相性が良いようですので、日本仕様でどうなるか期待ですね。
乗り味には期待したいところです。



おわり
Posted at 2019/06/06 03:36:53 | コメント(0) | トラックバック(0)
2019年04月23日 イイね!

ガソリンエンジンで熱効率50%超えのスーパー点火エンジン

こんばんは。
ついに春が来ましたね!
そろそろ、まじでスタッドレス履き替えなきゃ。。。


3月の半ば頃に
「ガソリンエンジンが正味熱効率50%超え」の記事を目にしました。
この50%というのは、もちろん実験での成果です。
過給してこの数値だそうです。

この研究は、SIP(戦略的イノベーションプログラム)という、内閣府から発足した産学共同の研究プログラムで、革新的燃焼についての開発チームによってされています。
2年前の研究成果レポートのPDFでは、確か47%強の熱効率を達成していたはずですが、2018年度で50%超えという素晴らしい成果が出たようです。
もちろん、ディーゼルエンジンも研究されているようで、そちらも熱効率が50%近くの研究成果が出ているようです。


現在のガソリンエンジン全体では、
トヨタのdynamic force engine(自然吸気)が
ハイブリッド用で41%
コンベンショナルで40%の
最高熱効率を誇り、トップの高効率です。
現在の市販エンジンから、過給してさらに10%近く向上しているということで、非常に興味深いです。


この超高効率を達成しているキーテクノロジーは
「超希薄燃焼」です。
超希薄燃焼とはλ=2以上の空燃比での燃焼です。
これを火花点火で実現しています。
3年前から、日経オートモーティブなどで記事があがっていましたが
ついに市販化への開発ロードマップを敷く段階まできたようですね\(^^)/

従来、「火花点火で超希薄燃焼をしようとすると、燃料が薄すぎて火炎伝播せず失火して燃焼出来ない」
という弊害がありました。

それを今回克服したのが
「スーパー点火」だそうです。

名前、だせぇww
名前はダサいですが、仕組みは非常に難しいことをされているようですw


昨今のエンジンは、燃料と空気をよく混ぜて燃焼するためタンブル(縦渦)を強くかけてることが多いです。

今回の実験エンジンでは、
このタンブルをさらに強化させる

エンジンのピストンが圧縮工程に入っている最中にそのタンブルが崩壊する

無数の小さいタンブルが出来る

今までの10倍以上の時間アークを飛ばせる点火システムで、シリンダー内の広範囲にアークを流し点火

無数のタンブルが火種となり、ピストンが上死点あたりで、同時多発的に燃焼する

という、流れの燃焼らしいです。
燃料噴射はポート噴射です。
混合気の流動を、かなり複雑にコントロールしなければならない技術ですね。。。
しかし、この燃焼は非常に期待できます。


超希薄燃焼エンジンといえば、マツダがSPCCIを2017年に技術発表してます。
HCCIでは、限られた狭い回転域で低負荷域でしか運転できなかったガソリン圧縮着火を
スワール(横渦)を駆使して、層状燃焼に近い制御で火花点火を使いながら圧縮着火範囲を広げたエンジン技術がSPCCIです。
もうすぐ、マツダ3を皮切りに市販化されるはずですが、噂では秋までお預けかな?


このスーパー点火エンジンとSPCCIを比較した場合
超希薄燃焼領域では、空燃比はSPCCIのほうが高いです。
それじゃ、SPCCIがやっぱ圧倒的にいいじゃんと思いませんか?私は思いました(笑)

でも、このスーパー点火エンジンにもSPCCIより優れる点があるようです。

①「スーパー点火は巡航だけでなく、登坂から加速まで超希薄燃焼が可能」

SPCCIは低負荷から高負荷になるにつれ、パワーを出すためと圧縮着火を維持するために、スーパーチャージャーで過給し、A/FからG/Fの考え方に切り替わり、空気の代わりに大量にEGRを入れて、似非リーンバーン状態(新気とガソリンの割合はストイキ+EGR)で圧縮着火をします。また、高負荷のどこかしらで圧縮着火を維持できず、火花点火に変わるタイミングがあるので
実質、本当の超希薄燃焼の領域は広くないはずです。
それに比べて、このスーパー点火は加速や登坂も超希薄燃焼できるということで、結構な中高負荷まで超希薄燃焼維持が期待できそうです。
広い範囲で超希薄燃焼を実現できるのは凄いですね。
しかし、実際どのくらいまで可能なのか記されていないので、確信は持てませんが
ターボエンジンで研究して「加速や登坂も対応できる」といっているので、BMEPで15bar以上のとこらへんを期待したいですね。


②「均質の超希薄燃焼なのでNOxが発生しない。」

昨今のガソリンエンジンはストイキの均質燃焼ですが、この領域ではNOxは大量に発生しています。しかし、ストイキ周辺の空燃比のみで使える安価な三元触媒があるため浄化されます。
このNOxは、空燃比16:1前後がピークでそれより希薄になるほどに下がっていき、λ=2を超える29.4:1以上は燃焼温度が2000K以下になりほとんど発生しません。(ストイキ燃焼では2600K)
このλ=1からλ=2の間は、酸素過剰で三元触媒で浄化できないので、ディーゼルエンジンでお馴染みのNOx還元触媒や尿素SCRが必要になってきます。
この触媒は、高価だそうです。

なぜ、「超希薄燃焼」エンジンがλ=2を超える燃焼を狙っているかというと、この高価なNOx触媒を付けずに済むエンジンにしたいからです。
しかも、このくらい希薄にしないと比熱比での向上効果も燃費に現れないそうです。

SPCCIは、超希薄燃焼をしているとき
プラグ周辺の狭い範囲にλ=2より少し低い空燃比のエリアを作り、膨張火炎球を作って
プラグより離れた広範囲でλ=2を超える空燃費のエリアの混合気を圧縮着火させます。
つまり、プラグ周辺の狭いエリアでは少しのNOxが発生しているのです。
この僅かに発生しているNOxをマツダはどうするのか、非常に気になります。
尿素SCR等の触媒を付けるなら心配はありませんが、ディーゼルに対して優位だったコスト面が悪化します。

これに対してスーパー点火は、シリンダーの全エリアでλ=2以上の均質の超希薄燃焼なので、NOxをほぼ発生させません。
そのため、高価な触媒を搭載する必要も無いので、スーパー点火のほうがクリーンなエンジンということですね。



このスーパー点火エンジンは、日本の自動車メーカーと大学が共同で開発しているようなので、この技術は日本メーカー全社が使えるそうです。
今まで希薄燃焼は低負荷の燃費改善としてスポットが当てられていましたが、
このスーパー点火は中高負荷まで使える可能性があるということで、トヨタやホンダが得意とするストロングハイブリッドや日産のシリーズハイブリッドで、発電用エンジンとして技術を応用できる可能性があると見えます。

また、マツダはSPCCIを全負荷域ですることを目指していると思いますが
もし、その野望が頓挫しそうな場合は
「低中負荷はSPCCI・高負荷はスーパー点火」
のエンジンを作るという道もあるんじゃないかと妄想します。
(ただ、SPCCIのスワールとスーパー点火のタンブルを同居させる工夫が必要そうですね。。。)
まぁ、遮熱エンジンが完成すれば圧縮着火範囲も広がって、全域SPCCIできる可能性もあるのかも知れませんが(笑)



このスーパー点火エンジンは2025年に市販車に実用化される目標だということで、今後のエンジンの進化がますます楽しみになりました。

おわり
Posted at 2019/04/23 00:55:15 | コメント(0) | トラックバック(0)
2019年03月19日 イイね!

またマツダのエンジンのお話を聞いてきた③

こんにちは。
前回は、イベントレポートでしたが
今回は、イベント終了後の質問タイムで伺ったお話を書きます。
私にとっては、この質問コーナーこそが今回のイベントのメインです(笑)

さて、私が聞きたかった
①なぜオットーサイクルの圧縮比10.5にしたのか?最大トルクを下げて圧縮比を上げてミラーサイクルというのは考えていなかったのか?

②ガソリンターボエンジンはどの回転数からどの負荷域で対ノッキング性が厳しいのか?

③ 「SKYACTIV-G2.5Tは軽負荷側はEGRを入れて、スロットルバルブによるポンピングロス低減をしているが、他にもノーマルオープン制御や、軽負荷だけミラーサイクルをしたりしているのか?」

④ターボ屋さんから見てスーパーチャージャーはどうなんですか?SKYACTIV-Xはスーパーチャージャー使ってますが。。。

について、答えてくださいました。(うろ覚えです(笑))



①私:なぜオットーサイクルの圧縮比10.5にしたのですか?最大トルクを下げて、圧縮比を上げてミラーサイクルというのは考えていなかったのですか?

山形さん(以下、山)「もちろん、最大トルク(最大BMEP)を下げれば圧縮比は上げれます。しかし、このSKYACTIV-G2.5Tでは、NAのSKYACTIV-G同様、「低温酸化反応」を燃焼で積極的に取り入れているので、そこを考えて圧縮比10.5にしました。これより低くても高くてもダメなんです。」
とのこと。

また、ミラーサイクルで高い過給圧にして、ノッキングが大丈夫な範囲でオットーサイクルと同じトルクを出す場合、よりタービンを回さなければならないため、レスポンスにも懸念事項があるようです。

しかし、まさか低温酸化反応をターボでもしていたとは!?
しかし、よく考えてみるとSKYACTIVは燃焼形態の共通化がポイントなので、今回のターボも、だから「SKYACTIV」の名がついているんでしょうね。


②私:ガソリンターボエンジンはどの回転数からどの負荷域で対ノッキング性が厳しいのですか?SKYACTIV-G2.5Tはどこまでストイキなんですか?

山:「基本的に過給が立ち上がる2000rpm以下の低回転高負荷域と、3500~4000rpm以上の高回転高負荷域でノッキングや排気温度が上がり、厳しくなってきます。
SKYACTIV-G2.5Tでは、2000rpm以下では全負荷域あたりだけ加速空燃比にしています。2000rpm以上では高負荷域より上(全負荷から75%以上くらい?)で加速空燃比にしながら、cooled EGRも入れています。そこより低負荷はストイキです。点火時期リタードは効率も落ちるしパワーも出ないので全域でしていません」とのこと。
加速空燃比とは、12.5~13.0:1くらいの空燃比のことで、効率は落ちるが出力を出しやすい空燃比のことです。
ちなみに理論空燃比は14.7:1です。

この話は、技報で載っていた表の通りだなと思いました。




③SKYACTIV-G2.5Tは軽負荷側はEGRを入れて、スロットルバルブによるポンピングロス低減をしているが、他にもノーマルオープン制御や、軽負荷だけミラーサイクルをしたりしていますか?

山:「ノーマルオープン制御に関しては、商品開発のほうの分野なのであまりわからないんですが、おそらくそんなに広い範囲ではしていないと思います。タービンは重いので予回転が大事なんです。ウエストゲートで排気を逃がしていると、タービンが止まっている状態になるので、ターボラグの原因になります。

軽負荷だけのミラーサイクルもしていません。これもターボのレスポンスのためです。

低負荷で入れているEGRは内部EGRです。cooledEGRの管は、1620rpm以上で開く排気通路のみに設けているので、低回転低負荷のEGRは排気バルブの可変バルタイで対応しています。」
とのことです。

ノーマルオープン制御や軽負荷ミラーサイクルは、ターボエンジンではポンピングロス低減or応答性でどちらを優先するかのようです。
ウエストゲートをクローズにしたまま、スロットルバルブで絞ってるほうがタービンが回っているので、レスポンスは全然違うそうです。


④私:ターボ屋さんから見てスーパーチャージャーってどうなんですか?

山:「私個人の意見ですが、スーパーチャージャーとターボチャージャーは2つとも過給器と呼ばれていますが、スーパーチャージャーは[吸気補助装置]だと思っています。一方ターボはガスタービンエンジンの一種だと思っているので、両者は全くの別の物という感覚です。」

私: SKYACTIV-Xではスーパーチャージャーを過給器として使っていますが、どうしてなんでしょう?

山:「やはり、レスポンスを重視したのだと思います。NAのままだと圧縮着火をできる範囲が狭いのでどうしても吸気を多くしたかったのかと。スーパーチャージャーはクランクから回転力を得るので、ラグも無いので。」

私:実はSKYACTIV-Xの「高応答エア供給機」がスーパーチャージャーと知って、とても残念だったんです。だって、クランクから出力を奪って過給してるからロスがあるじゃないですか?

山:「確かに。しかし、そのロスとSKYACTIV-Xの効率の良さでは、ロスを含めてもSKYACTIV-Xの効率の良さを出せるということです。」

私: そうなんですね。しかし、ルーツブロアと知ってガッカリしたんです。マツダは昔、内部圧縮を持つ高効率なリショルムコンプレッサーを持っていたのに。レスポンスを優先するなら、48Vにして電動過給器+ターボにするだけでも、今よりもっと高効率になりそうですが?

山:「リショルムコンプレッサー、よくご存知ですね。まだ、社内に何個かあったんじゃないかな?
効率の面ではおっしゃる通りだと思います。
しかし、コストとの兼ね合いもあります。電動過給器は高いです。
私も昔、電動過給器の研究をしてましたが、それありきで造ると、電池が切れたり故障したりすると事故に繋がる可能性がありますよね?
そのあたりの問題もあります。」
とのことでした。

現在、電動過給器が搭載されている車種は
・メルセデス S450 E53AMG
・アウディ SQ5 TDI
と、車体本体の価格が1000万円を超える高級車にのみ搭載されています。
今後、採用数が多くなり、値段もこなれてくるまで、大衆車での採用は厳しそうです。
安くなるのがいつになるかで、マツダが採用できる時期も変わってきそうです。



以上、私が聞きたかった質問に対する、山形さんのアンサーでした。
(もう一度いいますが、うろ覚えですw)
他にも欧州メーカーのターボエンジンについても、ご意見を伺えて嬉しかったです。
非常に勉強になりました。丁寧に教えていただきありがとうございました。

また、このような素晴らしいイベントを開催されていることもすごく嬉しいですね。
今後も、マツダブランドスペース大阪でこのようなイベントが開催されるのを楽しみにしています。

山形さんは、SKYACTIV-Xとは別の開発に携わっているそうで、新しいターボシステムも開発中とのことです。
そのターボシステムは、さらにターボラグを消すようなものだそうなので、開発がうまくいって採用されるのが楽しみです。


今回は、本当に有意義なイベントに参加できて、感謝の気持ちでいっぱいです。


おわり
Posted at 2019/03/19 21:38:45 | コメント(0) | トラックバック(0)

プロフィール

「mx-30試乗しに行ったけど、なぜマツダの営業マンは我が強いというか押し売り気味なんだ。。。
私が住んでる地域3店舗みんな癖強い(笑)たまたまなのか、
トヨタやダイハツのディーラーマンは気さくで話しやすいし丁寧だなぁ
商品に自信あるのはいいけど、ちょっと高圧的に感じる(^-^;」
何シテル?   10/17 20:50
すねげ野郎です。よろしくお願いします。 運転は好きですが、ゆったりドライブ派です。 4輪、2輪ともにカスタムには興味はあまりありません。 昔はアニメが好きで結...
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ヤマハ YZF-R25 ヤマハ YZF-R25
高回転が気持ちいいパラツインです。コーナリングが楽しい!
マツダ アクセラスポーツ(ハッチバック) 紅子 (マツダ アクセラスポーツ(ハッチバック))
マツダ アクセラスポーツ(ハッチバック)に乗っています。 BM型前期2016年式20s ...

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