2017年03月18日
VWグループのTSIがsi燃焼の極みなのか ②
最近やけに、くしゃみをすることが多くなってきました。
鼻水は出てないので、まだ花粉症になったわけじゃないと信じたい(・ัω・ั)
先日のブログの続きを書きます。
今回はsi燃焼(火花着火)の話なので、マツダが開発中のHCCIには触れません。
前回のブログの最後に書いた各社の新型エンジンの概要を簡単に書きます。
もう本国では発売されている、新型ゴルフ(7.5?)には「EA211 TSI evo」という新開発のエンジンが搭載されています。
同じVWグループの2.0TFSIは圧縮比が11.8ですが、このEA211 TSI evoはなんと、圧縮比12.5です。
量産型ガソリンエンジン初搭載のVTGターボなどもトピックみたいです。
出力は
EA211 TSI evo blue-motionが130ps、トルクが20.3kg・m。
燃費性能はNEDCモードで21.7km/Lです。
日本のjc08ではどうなるのか楽しみです。
トヨタが昨年末に発表したのがDynamicForceエンジンという新開発の自然吸気エンジンです。
巷ではトヨタ版skyactivと呼ばれているみたいです。圧縮比はハイブリッド用が14、非ハイブリッド用が13です。吸気側のバルブシートを工夫して混合気の高速燃焼を実現したそうです。
このDynamicForceエンジンは最大効率が非ハイブリッド用で40%!ハイブリッド用で41%!!非ハイブリッド用は現行プリウスのエンジンと同じくらいで、skyactiv-gは37〜38%の間のようなので比べてみても凄い高効率です。
パワーは205ps、トルクは25.5kg・mです。
日産が今年から高級車をメインに採用するであろうとされる可変圧縮比VC-Tエンジンは、圧縮比を8〜14に可変可能なターボエンジンです。
従来のターボエンジンで低負荷時の効率を上げるために圧縮比を上げる(10ちょい前後?)も、高負荷域ではリッチやリタードでノッキング回避して効率が悪化していたのを、VC-Tは低負荷域と高負荷域で別の適正な圧縮比で燃やすことで全域で効率の良く燃費とパワーの両立を実現したエンジンです。
また可変圧縮比機構によりエンジンのシリンダーが上下する際に生じる摩擦を低減し、従来エンジンより損失と騒音の低減に寄与しているそうな。
出力は270ps、トルクが39.8kg・mです。
最大熱効率等の情報は見つけられませんでした。
この上記の3つの新しいエンジンですが、国産の2つはモード燃費がどれだけ向上するのでしょうか、特にトヨタのエンジンには興味津々です。
トヨタの新エンジンは、最大熱効率は世界トップクラスですがそれをどの範囲まで拡大できているかが「実燃費性能向上の肝」ですよね。
このエンジンの気になるところは、今時のエコエンジンにしてはパワーの出方が高回転よりであることと、直噴とポート噴射を兼用するため2つのインジェクター持っていることです(トヨタのお得意ですね)。
最大出力を6600rpm、最大トルクを4800rpmで発生させます。
この最大トルクの発生回転数は、現在マークXで搭載されている4GR-FSE、2GR-FSEの最大トルク発生回転数と同じ回転数です。
この2つのエンジンは6気筒で燃費エンジンでは無いので低回転よりにしなかったのかなと思っていましたが、今回のDynamicForceエンジンも高回転よりでパワーも6気筒と遜色無しということで、もしかすると今後4GR-FSEの代替にこのエンジンを考えているのかもしれません。
トヨタの直噴エンジンには、ポート噴射機構も併用して、冷間始動や低中負荷時などの燃焼を補助して使い分けているシステムをよく見ますが、今回もそうらしいです。
トヨタのホームページで公開されてる熱効率表では、約1000rpmから3000rpmくらいまでの回転数で120〜180N・mのトルクの間では、熱効率38%以上をキープしています。
ただ、途中でグラフが途切れています。
現在カローラに搭載されている最大熱効率38.5%の2NR-FKEが、高負荷域でBSFCがめちゃ悪くなっていたので、今回のエンジンは高負荷域でも高熱効率を維持できるのか気になります。
このエンジンは今度フルモデルチェンジするカムリに搭載され、多段化された新開発のDirect shift 8速ATと組み合わせられます。
余談ですが
先月マイナーチェンジしたメルセデスベンツのcクラスがギアボックスを従来の7ATから新しい9ATに変更しました。
同じエンジンで重量増も無いのに、1.2〜2.3km/Lほどjc08が悪くなっています。NEDCモードも
同じく悪化しています。今年の9月から欧州で、来年中に日本でも導入される新しいWLTP燃費計測モードに対応するためのギアボックスチェンジだと思われますが、多段化が「現在の」モード燃費に必ずしも良い方に向くとは限らないようです。
トヨタの新型カムリに、ガソリンエンジンのみのモデルが日本仕様にあれば、新型エンジンと多段化がモード燃費と実燃費をどれだけ進化させられるのか楽しみです。
日産のエンジンも、可変圧縮比をどれだけ高く幅広い範囲で維持できるかで実燃費が大きく変わりそう。
過給エンジンで圧縮比14ですから、この14を使う範囲が広ければ出力に対して凄まじい低燃費を達成しそうですが、実際は自由度が高いのでどのくらいの圧縮比を多く使うかが分からないですよね。。。
僕は今のところ日産のエンジンには興味ありません。
VC-Tは複雑な機構を用いハイスペック・ハイコストで、INFINITYの高級車以外の価格を抑えた大衆車にはまだ搭載されないからです。
この機構を持つ200ps以下くらいエンジンが、大衆車に搭載されてからが本番だと思います。
「燃費がいいのにパワーも凄い」、でもそれが庶民の手に届く価格で売り出してある程度数が売れないと、企業としては開発して市販化する意味が薄れると思います。
今後、大衆車にも搭載されることを待ちます。
そして、VWのEA211 TSI evoは圧縮比が12.5ということで、2.0TFSIと同じ過給ミラーサイクルでさらに圧縮比を高めたエンジンです。
またトピックとして多くのメディアで取り上げられているのがVTGターボです
。ディーゼルエンジンではよく使われているVTGターボですが(デミオディーゼルにも使われてる)、従来ガソリンターボエンジンは排気温度が高すぎてコストが高くなるので今まで採用されなかったのを、ミラーサイクルにして排気温度を低くして、今回のエンジンから採用できるようになりました。これにより、1500rpm以下での回転域の応答性を高めています。
また、トヨタ同様、直噴+ポート噴射を、このエンジンでも採用しています。(システムは違うかもしれません)
EA211 TSI evoのBSFCマップはまだ見たことが無いのですが、2.0TFSIのBSFCマップでは広い範囲で225〜240g/kwhを達成しています。EA211 TSI evoでも同じようなBSFCなら実燃費も上がりそです。
上記の3社のエンジンは既に昨年に発表されていたものです。
それに対して、今月の上旬にマツダはマイルドハイブリッドと気筒休止をガソリンエンジンに導入するという新聞記事が出ました。
マツダはskyactivがTSIに低負荷で負けているのは、気筒休止の効果が大きいとみているようですが、果たしてそれだけでダウンサイジングが得意とする低負荷時のポンピングロスの低減レベルに追いつけるのか?
燃費向上に気筒休止は効果がありそう。マイルドハイブリッドはモード燃費は良くなりそうですが、実燃費はそれほど効果ないのでは。。。(マイルドハイブリッドは欧州勢の後追いの気配がありますね)
マツダの人見さんは
日産のVC-Tには「HCCIをするならいらない」
VWの過給ミラーサイクルには「時代を代表する技術じゃない」
と、言われてます。
今後の各社のエンジンの取り組みは
マツダはHCCIで均質希薄燃焼
トヨタ・ホンダ・日産は火花着火の均質希薄燃焼と可変圧縮比と燃料改質
欧州メーカーは過給はそのまま、可変圧縮比と水噴射
という風に進んでいくそうです。
マツダ以外はまだ火花着火で行くということで、またまだsi燃焼でもできることがたくさんあるということなんですね。
個人的には、燃料改質と水噴射に興味があります。(水噴射って、吸気側を冷やすと直噴の問題の、燃料の気化のハードルが高くなりそうだけど、どうするんだろう?)
とりあえず今のところトヨタのDynamicForceエンジンと気筒休止+マイルドハイブリッドskyactivが搭載された車両のモード燃費が明らかになるのがとても楽しみです。
p.s トヨタの新型ハイブリッドエンジンは直噴ということだけど、トヨタがストロングハイブリッドに直噴エンジンを採用するのって珍しいな。ポート噴射との合わせ技だから冷間始動を繰り返すハイブリッドでも大丈夫なのか?
おわり
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2017/03/22 23:29:52
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