
輸入車、国産車(マツダは全滅)問わず、ナビ替えられない。1DIN、2DINの空スペースも無い。従来のオーディオグレードアップの手段が使えなくなった。こういった車は今後増えていく傾向にあります。そこで、DSPを導入して先々にはDAPをデジタル接続でハイレゾを聴いてみたいという方に、押さえておくべき重要なポイントを3つ図解入りで解説します。
閲覧注意としたのは、すでに導入された方に対してです。CDフォーマットで聴く場合は、どのDSPを選んでも問題はありません。しかし、これがハイレゾとなるとスペックに大きく左右されます。それを熟知されていない状態で購入された方、予算を言ってショップにお任せで組んだ方は閲覧注意と致します。
世の中、知らないほうが幸せだったということはありますので。蒲鉾のピンクの色素のように。
1.動作サンプルレート(内部演算レート)
2.デジタル入力端子
3.周波数特性
動作サンプルレート(内部演算レート)の説明の前に基礎から説明します。音の波形からですが、

これは、正弦波(サインウェーブ)の波形で、この振幅一つを1周期(1サイクル)と言います。1秒間に1つだと1Hz 、1秒間に20繋がっていると20Hz 、1秒間に20000繋がっていると20kHz となります。サンプリング周波数というのは、1秒間にサンプルを取る回数になります。CDだと、44.1kHzなので1秒間に44100回サンプルを取ることになります。これを1周期でのサンプル回数で表すと、20Hzでは44100割る20で2205回、20kHzでは44100割る20000で2.205回です。1周期でのサンプル回数の数値をみても低音は波形再現が容易でも高音は回数が少なくなっていくので難しくなります。では、パソコンで正弦波のサンプリングを見てみましょう。

これはCDフォーマットで200Hzの正弦波をサンプリングしています。1周期あたりの回数は、220.5回。CDフォーマットでも低音域はオーバースペックと言ってもいいぐらい奇麗に再現できています。
では、20kHzではどうなるか!? またパソコンで再現します。
一応これは、スピーカーで出力された波形でもなく、DAC前のデジタルデータとなります。

参考になるように青で本来あるべき姿の正弦波を、1周期だけ表示しています。やはり、2.205回では無理がありますね。見た目が心電図っぽい波形になってしまいます。
次は20kHzの正弦波を48kHzのサンプリングで表します。

1周期あたり2.4回となりますが、正弦波とは言えず三角波と言ったほうがいいかもしれません。
次は20kHzの正弦波を96kHzのサンプリングで表します。

1周期あたり4.8回となり、やっと三角波の呪縛から解かれてはいますが、周期的に三角波に近い波形が現れます。
では最後に20kHzの正弦波を192kHzのサンプリングで表します。

1周期あたり9.6回となり、完全再現ではないのだが、今までの中で当たり前ですが正弦波に一番近い波形になります。
これらは、元の音源のデジタルデータだけでなく、仮にDSPのアナログ入力にノイズが無い完璧な正弦波を入れたとしてもAD変換で、それぞれの動作サンプルレート(内部演算レート)で、この様な波形に処理をされるというわけです。つまり、192kHz/24bitのハイレゾの曲をデジタルで入力してもネイティブで処理再生できるのは192kHzのDSPのみで、それ以外は各サンプリングの数値にダウンコンバートされるということになります。
量子化(16bit 24bit 32bit等)はダイナミックレンジで、識別可能な信号の最小値と最大値の比率ですが、そもそも人間の聞き分け可能なダイナミックレンジは120dBと言われています。16bitだと96dB、24bitだと144dB、32bitだと192dBとなり、24bitから人間の識別可能な最大値を超えます。とは言え、32bitだとデジタルボリュームで大きく絞った時にビット落ちの面で有利とされています。しかし、走行中の車内では音楽以外の音が入り込むので、ある程度は音量を上げて聴いていますし、フェードインやフェードアウトした曲であっても、曲の無音との境目も他の音にかき消されているのが現状です。なので120dBを超えている24bitと32bitでは静かな屋内であっても聞き分けが難しいとされていますので、なおさら車内の環境では聞き分け不可能だと思います。
でも、
32bitフロートは別物です。DAPでネイティブで再生できるのは、Astell&Kern の
A&futura SE100 以上の機種。DSPでは、まだネイティブで対応されている機種は無いのですが、今後に注目しておくべき規格だと思います。
2.デジタル入力端子 について
光デジタル、同軸デジタル、USBとありますが、それぞれに規格があります。光デジタルは、96kHz/24bitまで。同軸デジタルは、192kHz/24bitまで。
光と同軸は、基本的に再生機側で規格を超えたフォーマットはダウンコンバートして、それぞれの規格に合わせて出力しています。
USBですが、USB2.0以上であれば配信されているハイレゾ音源は全て伝送可能なのですがDSP側で制限をかけています。AUDIOTEC FISCHERでは、USBポートに192kHz/32bitまでと制限しています。
一見USBが一番イイと思われますが、例外があります。384kHzのサンプリング周波数の音源は不可になります。このようなケースは、DAPを
FiiOのM9以上にして同軸出力させるか、Audio Technicaの
AT-HRD500を使って変換するしかありません。
ここでAT-HRD500のスペックを見て「おやっ?」と思われた方いらっしゃるのでは。光デジタルの入出力が、192kHz/24bitが可能となっています。元々、光ケーブルは伝送能力が高くなく、そのため96kHz/24bitと制定されたのですが、AUDIOTRAKの
Glass BlackⅡ+という規格外のケーブルが出現したため、Audio Technicaが独自にポートの制限を引き上げたと考えられます。でも、いくら光で192kHzを伝送しても受け手が従来のままだと有効ではないのですが。
DSP192kHz機では、USB or 同軸デジタルの入力端子が必須となります。96kHz機以下では光デジタルだけでもOKとなります。
長くなったので続きは、次回ということで…
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Posted at
2019/12/02 13:11:46