
鉄道駅巡りブログです。そして私のブログでは初の広島県ネタとなります。
今回はJR
芸備線の
道後山(どうごやま)駅を訪ねてみました。
↑まずはその位置を
(上図はグーグルマップより引用)。
道後山駅のある芸備線は伯備線の備中神代駅から分岐して山陽本線の広島駅に至る路線です。三次(みよし)駅から先、広島駅までの区間は広島市の近郊区間として結構な利用がありますが、備中神代~三次間は忘れられたような閑散ローカル線と化しています。
本記事の道後山駅は正にその閑散区間の真っ只中にあって一日の平均乗車人員数0の、いわゆる「
秘境駅」としても知られている駅でもあります。
↑愛車パイザーを走らせて岡山県新見市方面より広島県に侵入、道後山駅にやってきました。
パイザーの背後の建物が道後山駅の駅舎です。
↑道後山駅の駅舎。この駅が開業した1936(昭和11)築の木造駅舎ですが、至る所に手を加えられていて木造という感じのしない建物です。
訪れたのはお昼前、ご覧の通りの「思いっきり逆光」になっていました。
↑別アングルで。
↑出入口のドアはアルミサッシですが、かなり建て付けが悪く、開け閉めに苦労しました(^_^;)。
↑駅舎待合室部分。窓はアルミサッシ化され、外壁はモルタルで仕上げられています。
↑この駅舎の事務室部分は何と消防車(ポンプ車)の車庫になっており、地域の防災拠点として活用されています。
↑真っ青な空の下、初冬の穏やかな日差しを浴びる道後山駅の駅舎。
この辺りは雪に閉ざされてしまう地域ですが、それがウソのような光景でした。
↑駅舎の隣には木造ながらもログハウス風の新しい便所があります。
↑駅の名は「道後山」ですが、駅名の由来でもある道後山はこの駅の北東8km(直線距離)の所にあります。
↑前述の建て付けの悪いドアを開けて、駅舎内に入ってみました。
内部は基本木造ですが、所々改修されていて、新旧入り混じった内装になっています。
↑駅舎の玄関に掲げられていた木製の古い駅名看板が展示してありました。
ネットではこの看板を掲げた駅舎の写真が結構存在している事から、近年まで現役だったようです。
下地にうっすらと見える標記から、もともとはホームの駅名標で後に駅名看板に転用されたのが丸分かり。
↑古色蒼然とした駅舎待合室の木製ベンチ。
窓越しに見えるログハウス風の便所に比べるとかなり年季が入っていて、この駅舎が積み重ねてきた歳月の重みをひしひしと感じます。
↑
秘境駅必須アイテム(?)の
駅ノートもあります。
↑改札口脇に掲げられた時刻表。
↑さらに拡大。
上り・下り共に朝・昼・晩各一本ずつ、つまり一日三本という超閑散ダイヤ。上りは全て新見行き、下りは全て隣の備後落合行きとなっています。
↑今は秘境駅と化してしまったこの道後山駅、実は栄光の時代もありました。
駅の裏側(西側)にスキー場があり、冬季にはスキー客で賑わったそうです。そして何と急行停車駅でもありました。
上の画像は1976(昭和51)年の航空写真(国土地理院)で、駅の西側にスキー場の姿が見えます。駅の南側を通っている国道314号線現道はこの時代にはなく、駅周辺にあるのは狭い道ばかり。この時代に車で道後山駅周辺に行くのはかなり大変だった事が窺えます。
↑ちなみにこちらは2017年の航空写真(グーグル)。駅の南側に二車線の国道が通っているのが目に付く大きな変化です。
駅裏にあったスキー場は2011(平成23)年に営業を終了、その後もレストハウスやリフト等の施設が遺されていましたが、2015(平成27)年に撤去されてしまったそうです。
上の画像はグーグルストリートビュー(2013年撮影)に写っている道後山駅とレストハウス跡。2018年2月時点ではストリートビューにてスキー場の遺構を見る事が出来ます。
↑こちらはレストハウス跡(左)とゲレンデ跡(右)。
私が訪れた時、この辺りでは何やら大規模な工事が行われていました。
↑駅舎より高い位置にホームがあり、ホームへは階段を上ります。
画像の奥に駅裏にあったスキー場のゲレンデ跡が写っています。
↑改札口脇にはこんな看板が。
全体的に色褪せた看板に消えかけの「
国鉄」の二文字・・・・哀愁が漂っています。
数多くの旅人やスキーヤーたちを出迎え、そして見送った看板でもあります。
↑駅舎のホーム側は昔ながらの木造で、なかなかの風情です。
それにしても表側とのギャップが面白い駅舎でもあります。
↑ホームに建つ「標高六一一メートル」の標柱。
ここ道後山駅は芸備線で最も標高の高い所にあります。
↑ホームから見た改札口。
早い時期に無人駅となりましたが、その後もスキーシーズンに限り駅員配置駅となっていたそうです。
↑かつての駅舎事務室には真っ赤な消防車の姿が。
木造の駅舎に格納される消防車の姿は、どことなくシュールな感じがします。
↑ホームから駅構内を眺めてみます。
こちらは備後落合・広島方面。
↑こちらは新見方面。
分水界はこの駅の辺りにあって、ここから先は下り坂に転じます。
↑隣の備後落合駅は秘境駅そして「山間のジャンクション」として知られる駅です。
一方の小奴可駅は「小奴可」と書いて「おぬか」と読ませる難読駅名の駅であります。
↑駅の新見寄りには貨物取扱設備があったと思しきスペースが。
↑ホーム上から見える、駅前にある「廃」な雰囲気を漂わせる家屋。
駅から少し離れた所には集落がありますが、駅前は生活の匂いの感じられない寂しい空間でした。
↑緩やかにカーブした駅構内。
「イマドキの」駅の必須アイテムであるホームの点字ブロックやバリアフリーのスロープはなく、国鉄時代で時を止めてしまったかのような駅です。
↑今は棒線駅ですが、ここも例によって駅の西側に廃ホームの遺構があります。
そして廃ホームの先はスキー場跡。前述の通りスキー場跡では工事が行われていますが、この日は日曜日で休工中、ひっそりと静まり返っていました。
↑駅を出て駅前を観察してみました。
上の画像は駅舎の真向かいにある民家ですが、先程の家屋と同様生活臭が感じられない建物です。
↑民家の玄関先には「国鉄旅行連絡所」の看板が。
↑錆びて判読不能になってしまった案内板に冬枯れの木々、そして生活臭のない家屋・・・ここ道後山駅前は「廃」な空気に満ちていました。
↑その並びに建つ「廃」な雰囲気の家屋。
その造りからして店舗だったようです。
↑建物の傍らに放置された看板。
かつては駅前理容店だったのでしょうか。
↑この後、他のスポットを巡ってその帰り道、道後山駅の近くを通ったので再び立ち寄ってみました。
日没30分位前の道後山駅、逆光に邪魔される事なく駅舎の写真を撮る事が出来ました。
↑侘しさ120%の黄昏時の道後山駅。勿論周囲には誰もいません・・・。
2017年もパイザーを駆ってアチコチ行きましたが、この年パイザーで最後に訪れたスポットがこの黄昏時の道後山駅です。
2017年の、我が無駄ドライブの「終着駅」に相応しい、侘しさ満点のスポットでした。
↑オマケで動画です。この帰りは駅の東側を通る
県道444号線(油木小奴可線)を経由して国道314号線を目指してみました。この県道444号線がなかなか良い雰囲気の道でしたので動画という形にて紹介させて頂きます。