
現役隧道・トンネル巡り、今回は久々の大型物件です。
先日の「何シテル」にも書きましたが、静岡県と愛知県にまたがる大正時代竣工の古隧道「
本坂(ほんざか)
隧道」に行ってきました。
↑例によってその大体の位置を(グーグルマップ)。
静岡県浜松市北区と愛知県豊橋市にまたがる「
本坂峠」にある隧道です。本坂峠のある道は「
姫街道」とも呼ばれ、古くから東海道のサブルート的役割を果たしてきた歴史のある道です。
国道362号線の隧道でありましたが、1978(昭和53)年に有料の
本坂トンネルが開通、2008(平成)年3月31日に無料開放されてからはより一層寂れてしまい今日に至ります。勿論、今は国道指定から外れています。
ちなみにこの「本坂隧道」は一般的には「旧本坂トンネル」と呼ばれ、心霊スポットとして有名な所でありますが、本記事ではあくまで史跡・近代土木遺産として紹介させて頂きます。
↑今回は愛知県側よりアプローチ。国道362号線を東へ。
現道の本坂トンネルは有料トンネルとして開通した為、その後も本坂隧道経由の旧道は国道指定を解除されず、新旧道共に国道として供用されていました。
その名残が画像の青看板に残っています。
↑旧道に入り、本坂峠目指して進んで行きます(画像上段)。
現国道の下を潜るといよいよ峠道です(画像下段)。
↑鬱蒼とした寂しく狭い峠道を進みます。
路面にはうっすらと苔が生え、あまり通行がない事を物語っています。
↑大阪の自宅を出発してほぼ4時間・・・やっと本坂隧道の愛知県側坑門前に到達しました。
↑ここは愛知県豊橋市です。
鬱蒼とした空間に、哀愁漂う薄汚れた看板がイイ感じです。
↑ここに至るまでの走行動画です。
旧道に入ってからは他の交通に出会う事なく、ここまで来れました。
↑これが本坂隧道愛知県側坑門。
1915(大正4)年の竣工で延長212m、坑門にはピラスター(飾り柱)を備えています。
どんよりと曇った天候の為か、第一印象はとにかく「不気味」で「如何にも」な雰囲気の漂う隧道でした。
↑ここ愛知県側坑門手前には本坂峠旧旧道、隧道開通以前の峠道(姫街道)の入口があります。道標も整備されていて今はハイキングコースとなっているようです。
↑そして愛知県側の坑門脇に建つ、曰く有りげな廃小屋。
この廃小屋、本坂隧道を語る上で外せない物件でもあります。
↑何と、昔懐かし「
電電公社」のマーク入りです。
↑「廃」モノ好きには辛抱堪らぬ光景がここに。
この本坂隧道、かつては東京~岡山間の電話ケーブルを通していて、この電電公社マーク入りの廃小屋はその遺構なのだそうです。
本坂峠を含む姫街道ルートは近代に入ってから国防上の理由から重視されるようになり、この本坂隧道は有事の際の備えとして穿たれたようです。
そして当時の重要な通信インフラである電話ケーブルを通すという役割も担っていました。
↑第一印象は不気味でしたが、慣れてくると「荘厳」・「重厚」という表現がピッタリの坑門です。
今となっては狭いですが、1.5車線分の幅員が確保され、高さもそこそこあります。
大正期の隧道としてはかなり大き目のサイズで、この立派な坑門と併せて、当時のこの隧道にかける期待が今も伝わってきます。
↑ここ愛知県側の坑門脇には排水用と思しき溝があり、その先には「ミニ隧道」が口を開けていました。
↑「ミニ隧道」をズームで。
幼児や小動物だったら何とか通れそうなサイズの、可愛らしい坑です。
↑「ミニ隧道」に至る斜面から撮ってみました。
↑下から見上げる本坂隧道坑門。
うーん、「荘厳」の一言に尽きます。
↑愛知県側の扁額。右横書きで「本坂隧道」と刻まれています。
愛知県側での撮影を切り上げ、パイザーで隧道の向こう側、すなわち静岡県側に移動してみます。
↑洞内を駆け抜け、静岡県側にやってきました。
パイザーにとってはこれが初の静岡県進出となります。
↑背後には通り抜けてきたばかりの本坂隧道が口を開けています。
こちらは愛知県側とは異なり、開放的な感じがする空間です。
↑ここからは徒歩で本坂隧道に再入洞してみます。
↑ここで動画です。静岡県側から愛知県側に向かって洞内を歩きつつ撮ってみました。
普通、トンネルの内部は夏でもヒンヤリとしているものですが、ここの場合は生暖かい風が吹き抜けていました。
↑またしても愛知県側に戻ってきました。
ここからは写真を撮りつつ、また静岡県側に戻ります。
↑愛知県側坑口付近から見た洞内。
鉄板(?)でコーティングされていますが、心無き者たちによる落書きが酷いです。
↑洞内から見た愛知県側。
画像左側には先程の電電公社の廃小屋が見えます。
電電公社の廃小屋に本坂峠旧旧道の入口と、愛知県側の坑口付近には役者(?)が揃っています。
↑洞内を進んでいくと、オリジナルの煉瓦巻き区画があります。
ここも落書きの被害に遭っていますが、それに経年による白化と落書き消しの為のペイントが加わってカオスな感じになっています。
なお、煉瓦積みの区画の何処かの壁面に県境の標識があるそうですが、見落としてしまいました。
↑生暖かい暗闇の中を抜け、静岡県側に戻ってきました。
古びた煉瓦積みの隧道内から見る外の景色はなかなか良いモノです。
↑静岡県側坑口付近から見た洞内。
こちらも落書きが酷いです。上から煉瓦色に塗装して消しているようですが、さらにその上からまた落書きされるという、イタチごっこになっています。
↑天井に付いている小さなファン(?)。
風に吹かれてクルクルと回っていました。同じモノが隧道の中央部にも設置されていました。
↑本坂隧道静岡県側坑門。
こちらも重厚かつ威厳と風格が感じられる煉瓦積みの坑門です。
愛知県側坑門に見られた排水用の坑と排水溝が、ここ静岡県側にはありません。
そしてかなり白化が進んでいる感じです。
↑そして扁額の脇に亀裂が入っています。
落書きのみならず、経年劣化にも悩まされている隧道でもあります。
↑静岡県側坑門の扁額です。
愛知県側と同一仕様ですが、苔生して判読しづらくなっています。
↑動画です。帰り際にパイザーで本坂隧道を往復してみました。
↑こちらは静岡県側の本坂峠の走行動画です。愛知県側よりは離合可能箇所が多く、比較的走りやすい印象のある道でした。
最後に愛知県側で撮った神秘的な画像を。
到着した時はどんよりと曇っていて不気味な雰囲気を漂わせていた本坂隧道ですが、しばらく経つと晴れ間が出てきてこういう神秘的な姿も見せてくれました。
心無き輩による落書きが実に残念ですが、古隧道・旧道好きの方なら訪れてみる価値のある物件だと思います。